発表年:1998年
ez的ジャンル:女性R&B/Hip-Hopの決定版
気分は... :ブラック・ミュージックの未来を感じた1枚☆
今回はFugeesの紅一点Lauryn Hillのソロ・アルバム『The Miseducation Of Lauryn Hill』(1998年)っす。
今振り返ると、このアルバムはErykah Baduのデビューアルバム『Baduizm』(1997年)と並んで、90年代後半の女性R&Bを代表する作品だと思いマス。
当時、Lauryn Hillがソロ・アルバムを出すと聞いて、ある程度の期待はしていたが、まさかこんなにミラクルな傑作をリリースするなんて、正直予想外でシタ。
本ブログでも取り上げたFugeesの大ヒット2ndアルバム『The Score』は、かなりのお気に入りのアルバムだったし、その時からLauryn Hillの存在は目立っていたと思う。
でも、ヒネくれ者の僕は、Fugeesの音楽を実質的に牛耳っているのはWyclef Jeanであるとの思い込みが強かったので、Lauryn HillよりもWyclef Jeanのソロ『Presents the Carnival Featuring the Refugee Allstars』(1997年)への期待の方が大きかったように記憶している。
でも、結果として、Lauryn Hillはこのソロ作でスーパースターの仲間入りをし、一方のWyclef Jeanは次第に地味な存在になってしまった。
『The Miseducation Of Lauryn Hill』を聴いて、Lauryn Hillがこんなにソウル/ゴスペルのバックボーンを持ったシンガーであるということに驚いたなぁ。Fugees=カリビアンといった印象が強かったので、Fugees時代にはLaurynにもソウル/ゴスペルの印象は薄かった。でも、彼女のプロフィールを調べてみると、幼い頃から地元ニュージャージーの教会の聖歌隊で歌っていたみたいですね。
このアルバムで歌とラップを自在に使い分けるLaurynの姿から、ブラック・ミュージックの未来を感じたリスナーの方は多いのではと思いマス。勿論僕もその一人っす。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Lost Ones」
ラガ・テイストのHip-Hopチューン。Fugees自体が第三世界的な雰囲気が漂うグループだったので、こういった曲も違和感ない。
「Ex-Factor」
当時、SONYのCMでも流れていたヒット・シングル。Lauryn Hillという人のアイデンティティを感じずにはいられない1曲ですね。何度聴いていも腹に落ちてくるリアリティがある。Wu-Tang Clan「Can It Be All So Simple」ネタ。
「To Zion」
Carlos Santanaをフィーチャーした曲。ちなみにZionとはLaurynの長男の名前(父親はBob Marleyの息子Rohan Marley)。母親の愛情に満ちてます。Jose Feliciano「And the Feeling's Good」ネタ。
「Doo Wop (That Thing) 」
グラミー受賞の大ヒット・シングル。現代的なHip-Hopのフィーリングと、ノスタルジックなソウル・フィーリングが見事に融合した名曲。聴いているだけで、身体と脳が勝手に反応するカンジだよね。Arrested Developmentあたりが大好きだった僕としては、このオーガニックなグルーヴは実に魅力的に聴こえる。PVも実に印象的だったよね。
「Superstar」
The Doors「Light My Fire」をモチーフにした独特の雰囲気をもった曲。『Songs In The Key Of Life』あたりのStevie Wonderを連想させるアレンジも凝っているよね。
「Final Hour」
真偽は知らないが、どこかの記事でこの曲はDJ Premierと共に作ったというのを読んだ記憶がある(Primoの名はどこにもクレジットされていないが)。そう思って聴くと、Primoの影響が感じられるから不思議だよね。
「I Used To Love Him」
Mary J. Bligeをフィーチャー。Hip-Hopマナーのソウルを確立したMary J. Bligeと、それをネオ・ソウル、オーガニック・ソウルの流れで昇華させたLauryn Hillというまさに90年代レディ・ソウルを象徴する夢の共演ですね。
「Forgive Them Father」
Bob Marley & The Wailers「Concrete Jungle」ネタのナンバー。FugeesでもBob Marleyのナンバー取り上げていたし、ましてやその息子Rohanが子供たちの父親であることを考えれば、ある意味自然な流れの曲かもね。
「Every Ghetto, Every City」
70年代Stevie Wonder調のファンク・ナンバー。David Axelrod「Tony Poem」ネタ。
「Nothing Even Matters」
D'Angeloをフィーチャー。個性がぶつかり過ぎてどうなるのかなぁ?なんて危惧する組み合わせだけど、LaurynがうまくD'Angeloに合わせているカンジだね。
「Everything Is Everything」
Lauryn Hillらしい少し憂いのある曲調が印象的なヒットシングル。この曲のピアノでクレジットされているJohn Stephensとは、若き日のJohn Legendデス。
「The Miseducation Of Lauryn Hill」
Donny Hathaway『Extension of a Man』(1973年)あたりに通ずる崇高な重みを感じるナンバー。実に感動的ですな。
「Can't Take My Eyes Of You」
Franky Valliの名曲のカヴァー。Boys Town Gangのアノ曲と言った方が通りがいいのかなぁ?ビター・スウィートな仕上がりがいいカンジですね。
最近は、断片的にしか情報が伝わってこないLaurynだけど、どうしているのかね?