2006年11月15日

Lauryn Hill『The Miseducation Of Lauryn Hill』

90年代の女性R&B/Hip-Hopの集大成的な1枚☆Lauryn Hill『The Miseducation Of Lauryn Hill』
ミスエデュケーション
発表年:1998年
ez的ジャンル:女性R&B/Hip-Hopの決定版
気分は... :ブラック・ミュージックの未来を感じた1枚☆

今回はFugeesの紅一点Lauryn Hillのソロ・アルバム『The Miseducation Of Lauryn Hill』(1998年)っす。

今振り返ると、このアルバムはErykah Baduのデビューアルバム『Baduizm』(1997年)と並んで、90年代後半の女性R&Bを代表する作品だと思いマス。

当時、Lauryn Hillがソロ・アルバムを出すと聞いて、ある程度の期待はしていたが、まさかこんなにミラクルな傑作をリリースするなんて、正直予想外でシタ。

本ブログでも取り上げたFugeesの大ヒット2ndアルバム『The Score』は、かなりのお気に入りのアルバムだったし、その時からLauryn Hillの存在は目立っていたと思う。

でも、ヒネくれ者の僕は、Fugeesの音楽を実質的に牛耳っているのはWyclef Jeanであるとの思い込みが強かったので、Lauryn HillよりもWyclef Jeanのソロ『Presents the Carnival Featuring the Refugee Allstars』(1997年)への期待の方が大きかったように記憶している。

でも、結果として、Lauryn Hillはこのソロ作でスーパースターの仲間入りをし、一方のWyclef Jeanは次第に地味な存在になってしまった。

『The Miseducation Of Lauryn Hill』を聴いて、Lauryn Hillがこんなにソウル/ゴスペルのバックボーンを持ったシンガーであるということに驚いたなぁ。Fugees=カリビアンといった印象が強かったので、Fugees時代にはLaurynにもソウル/ゴスペルの印象は薄かった。でも、彼女のプロフィールを調べてみると、幼い頃から地元ニュージャージーの教会の聖歌隊で歌っていたみたいですね。

このアルバムで歌とラップを自在に使い分けるLaurynの姿から、ブラック・ミュージックの未来を感じたリスナーの方は多いのではと思いマス。勿論僕もその一人っす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Lost Ones」
ラガ・テイストのHip-Hopチューン。Fugees自体が第三世界的な雰囲気が漂うグループだったので、こういった曲も違和感ない。

「Ex-Factor」
当時、SONYのCMでも流れていたヒット・シングル。Lauryn Hillという人のアイデンティティを感じずにはいられない1曲ですね。何度聴いていも腹に落ちてくるリアリティがある。Wu-Tang Clan「Can It Be All So Simple」ネタ。

「To Zion」
Carlos Santanaをフィーチャーした曲。ちなみにZionとはLaurynの長男の名前(父親はBob Marleyの息子Rohan Marley)。母親の愛情に満ちてます。Jose Feliciano「And the Feeling's Good」ネタ。

「Doo Wop (That Thing) 」
グラミー受賞の大ヒット・シングル。現代的なHip-Hopのフィーリングと、ノスタルジックなソウル・フィーリングが見事に融合した名曲。聴いているだけで、身体と脳が勝手に反応するカンジだよね。Arrested Developmentあたりが大好きだった僕としては、このオーガニックなグルーヴは実に魅力的に聴こえる。PVも実に印象的だったよね。

「Superstar」
The Doors「Light My Fire」をモチーフにした独特の雰囲気をもった曲。『Songs In The Key Of Life』あたりのStevie Wonderを連想させるアレンジも凝っているよね。

「Final Hour」
真偽は知らないが、どこかの記事でこの曲はDJ Premierと共に作ったというのを読んだ記憶がある(Primoの名はどこにもクレジットされていないが)。そう思って聴くと、Primoの影響が感じられるから不思議だよね。

「I Used To Love Him」
Mary J. Bligeをフィーチャー。Hip-Hopマナーのソウルを確立したMary J. Bligeと、それをネオ・ソウル、オーガニック・ソウルの流れで昇華させたLauryn Hillというまさに90年代レディ・ソウルを象徴する夢の共演ですね。

「Forgive Them Father」
Bob Marley & The Wailers「Concrete Jungle」ネタのナンバー。FugeesでもBob Marleyのナンバー取り上げていたし、ましてやその息子Rohanが子供たちの父親であることを考えれば、ある意味自然な流れの曲かもね。

「Every Ghetto, Every City」
70年代Stevie Wonder調のファンク・ナンバー。David Axelrod「Tony Poem」ネタ。

「Nothing Even Matters」
D'Angeloをフィーチャー。個性がぶつかり過ぎてどうなるのかなぁ?なんて危惧する組み合わせだけど、LaurynがうまくD'Angeloに合わせているカンジだね。

「Everything Is Everything」
Lauryn Hillらしい少し憂いのある曲調が印象的なヒットシングル。この曲のピアノでクレジットされているJohn Stephensとは、若き日のJohn Legendデス。

「The Miseducation Of Lauryn Hill」
Donny Hathaway『Extension of a Man』(1973年)あたりに通ずる崇高な重みを感じるナンバー。実に感動的ですな。

「Can't Take My Eyes Of You」
Franky Valliの名曲のカヴァー。Boys Town Gangのアノ曲と言った方が通りがいいのかなぁ?ビター・スウィートな仕上がりがいいカンジですね。

最近は、断片的にしか情報が伝わってこないLaurynだけど、どうしているのかね?
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2006年11月14日

The Rolling Stones『December's Children (And Everybody's)』

初期Stonesの中で一番のお気に入り☆The Rolling Stones『December's Children (And Everybody's)』
December's Children (And Everybody's)
発表年:1965年
ez的ジャンル:カヴァー&オリジナル混在のStones
気分は... :初期Stonesのコレクションはややこしい(>0<)

The Rolling Stones本ブログ4回目の登場っす。

これまでStonesは『Black And Blue』(1976年)、『Beggars Banquet』(1968年)、『Sticky Fingers』(1971年)と紹介してきましたが、初期の作品がありませんでしたね。

ということで、初期の作品より『December's Children (And Everybody's)』をセレクト。

ファンの方ならご存知の通り、初期Stonesの作品は、アメリカ発売のものと、イギリス発売のものがタイトル、内容が異なるため、コレクションするのがややこしい。しかも、同じセッションでの録音が複数のアルバムに分散して収録されているので、ややこしさがさらに増すよね。

イギリス盤のオリジナルが『The Rolling Stones』(1964年)、『The Rolling Stones No.2』(1965年)、『Out Of Our Heads』(1965年)、『Aftermath』(1966年)、『Between the Buttons』(1967年)である。さらに数種のEPを加えないと歯抜け状態のコレクションになるので厄介だ。

一方のアメリカ盤のオリジナルが『England's Newest Hit Makers』(1964年)、『12×5』(1965年)、『The Rolling Stones, Now!』(1965年)、『Out Of Our Heads 』(1965年)、『December's Children (And Everybody's)』(1965年)、『Aftermath』(1966年)、『Got Live If You Want It!』(1966年)、『Between the Buttons 』(1967年)、『Flowers』(1967年)である。

イギリス盤とアメリカ盤でタイトルが同じものがあるが、ジャケや内容は異なる。イギリス盤とアメリカ盤が統一されるのは問題作『Their Satanic Majesties Request』(1967年)以降である。

僕の場合は基本的には、アメリカ盤でコレクションし、『Aftermath』のみイギリス盤で持っている。

そんな初期の作品の中でお気に入りなのがアメリカにおける5作目『December's Children (And Everybody's)』(1965年)だ。

個人的には、初めて全曲オリジナル作品で固めた『Aftermath』(1966年)が初期Stonesの集大成的作品だと思う。その1つ前の作品である『December's Children (And Everybody's)』は、オリジナルとカヴァーは半々の割合で収録されている。

僕がこのアルバムが好きな理由は、カヴァーで彼らの音楽的ルーツに触れることができると同時に、まだ発展途上の初々しいオリジナルを堪能できるからかもしれない。Beatlesで言えば、『Beatles For Sale』みたいな印象を受ける作品だ。

全曲紹介しときヤス。

「She Said Yeah」
Larry Williamsのヒット曲のカヴァー。悪ガキらしさが全面に出た激しいサウンドがカッチョ良いですな。ちなみにLarry WilliamsはBeatlesもカヴァーしていますよね。

「Talkin' About You」
Chuck Berryのカヴァー。同じChuck BerryのカヴァーでもBeatlesとは随分印象が違うよね。ブラック・フィーリングに溢れた仕上がりがイカしてる。

「You Better Move On」
R&BシンガーArthur Alexanderのカヴァー。イギリス盤ではEP『The Rolling Stones』に収録されていた曲。オリジナルの味わい深さには及ばないが、初々しくカヴァーしてマス。Arthur AlexanderもBeatlesが「Anna」をカヴァーしていますね。

「Look What You've Done」
シカゴ・ブルースの父Muddy Watersのカヴァー。Stonesにはこういったブルース・カヴァーがよく似合う。

「The Singer Not the Song」
Jagger/Richardのオリジナル。イギリスではシングル「Get Off of My Cloud」のB面にもなった。

「Route 66」
この曲と「I'm Moving On」は1965年3月のライブを録音したもの(イギリス盤はEP『Got Live If You Want It!』に収録)。スタジオ録音はアメリカでのデビューアルバム『England's Newest Hit Makers』に収録。Chuck Berryのレパートリーとしても有名なスタンダード・ナンバーですね。なかなか弾けていて好きだなぁ。

「Get Off of My Cloud」
「Satisfaction」に続く、全米No.1シングルとなった初期Stonesを代表する名曲(Jagger/Richard作品)。邦題の「一人ぼっちの世界」と書いた方がピンとくる人がいるかもね?個人的には初期のシングルの中でこの曲が一番好きかなぁ。「Satisfaction」よりもカッチョ良いと思うねぇ。今、聴くとこの曲のMickのボーカルってラッパーだよね。そんな視点で聴くのも楽しいかも?

「I'm Free」
Jagger/Richardのオリジナル。既にStonesらしさ見える楽曲だよね。

「As Tears Go By」
「Get Off of My Cloud」と並ぶ本作のハイライト。1964年にMickの元恋人Marianne Faithfullがシングルとしてリリースした。この曲はMickとKeithが初めて書いた曲と言われているが、僕も詳しくは知らない。ここでは実に切なく、美しいバラードに仕上がっていマス。

「Gotta Get Away」
「Blue Turns to Grey」
Jagger/Richardのオリジナル2曲。「Gotta Get Away」はソウルフルな仕上がりになってマス。「Blue Turns to Grey」はあんまりStonesっぽくないね。逆に、そんな楽曲が聴けるのも楽しいけどね。

「I'm Moving On」
この曲も「I'm Moving On」同様に1965年3月のライブ録音。オリジナルはカントリー・シンガーHank Snowのものだが、Ray Charlesのカヴァーが有名かもね。Stonesのこのライブでは、かなりスリリングな仕上がりでグッドだと思いマス。

急に寒くなってきましたね。
僕的には、そろそろウォッカお湯割りの季節かな?
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2006年11月13日

Bonnie Raitt『Give It Up』

PINKのBONNIEもいいけど、コッチの激シブBonnieもいいよ☆Bonnie Raitt『Give It Up』
Give It Up
発表年:1972年
ez的ジャンル:女性カントリー・ブルース
気分は... :ジャケのイメージと全然違うよ...

今日は女性の歌声が聴きたい気分...
ふとTVを観ると、m-flo loves BONNIE PINK「Love Song」のCMが...

ひらめいた☆BONNIEと来れば、PINKもいいけど別のもあるでしょ!
ということでBonnie Raitt『Give It Up』をセレクト☆

Bonnie Raittは、女性カントリー・ブルース歌手&ギタリスト。歌手のイメージが強いかもしれないけど、スライド・ギターの名手ですよね(女性版Ry Cooderってカンジ?)。ちなみに、父親はブロードウェイ・シンガーJohn Raittです。

1971年にデビューしたBonnie Raittがブレイクしたのって、グラミー賞を受賞した『Nick Of Time』(1989年)だと思うんだけど、Bonnie Raittの名は昔からよく耳にしたことがある。多分、作品を聴いているとしたら、映画『Urban Cowboy』(1980年)のサントラ収録曲「Don't It Make Ya Wanna Dance」だけなんだけどね。

きちんと音を聴いていないくせに、勝手にBonnie Raittって明るく陽気なカントリー歌手だと思っていたなぁ。Dolly Partonみたいなイメージかなぁ。正直、僕は明るく陽気なカントリーってヤツが大の苦手だったので、Bonnie Raittの作品も積極的には聴く気がしなかった。

そんな僕が本作『Give It Up』を購入したのは、70年代の名盤ガイドの類に頻繁に本作が挙げられていたからだ。僕的には、カントリー・テイストのCarole Kingみたいなシンガーを期待して、本作を購入した記憶がある。

ジャケを眺めても、明るく爽やかなカントリー・ポップ・シンガーってカンジだもんね。

でも、聴いてみると自分のイメージとのギャップの大きさに驚いたなぁ。
雰囲気としては、ギターを持ったじゃじゃ馬娘ってカンジかなぁ。
こんなに黒っぽく、ブルース・フィーリングな作品だとは正直思わなかったね。
確かに、名盤ガイドに取り上げられるわけだよね。

この手のアルバムを取り上げると、昔懐かしさの懐古趣味みたいに思われるかもしれないけど、今日的視点から聴いても全然鮮度が失われていないと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Give It Up or Let Me Go」
まさにギターを持ったじゃじゃ馬娘ってカンジのゴキゲンなホンキー・トンクなオープニング。ホーンやスライド・ギターも陽気に響きわたりマス。

「Nothing Seems to Matter」
ブルージーなCarole Kingといった趣きのナンバー。曲自体がいいよね。しみじみと腹に響いてきマス。

「I Know」
「Love Me Like a Man」
本領発揮のカントリー・ブルース2曲。「I Know」はリラックスした雰囲気がいいカンジ。「Love Me Like a Man」はディープさが光りマス。女性なのに男気を感じるよね(笑)

「Too Long at the Fair」
素朴だけど力強さを感じるナンバー。Norah Jonesが好きな人なんか気に入る曲じゃないかなぁ。John Hallがギターで参加。

「Under the Falling Sky」
僕が大好きなJackson Browneのカヴァー(オリジナルは『Jackson Browne』収録)。オリジナルなパーカッシブでせっかちな仕上がり(笑)とは大きく異なり、ウエスト・コースト+スワンプな仕上がりデス。正直オリジナルより格段にカッチョ良い。ゲスト参加のPaul Butterfieldブルースハープもイカしてるよね。

Bonnieは本曲以外にもJackson Browne作品として「I Thought I Was A Child」を次作『Takin' My Time』(1973年)でカヴァーしてます。

「You Got to Know How」
往年の女性ブルース・シンガーSippie Wallaceのカヴァー。今年はChristina AguileraOutkastの新作のように1920〜1930年代の雰囲気をモチーフにした作品が多いけど、そうした時代のナイト・クラブの雰囲気漂うブルース・ナンバー。実に小粋な仕上がりだね。

「You Told Me Baby」
個人的には一番のお気に入り曲。ファンキーでソウルフルで、小洒落たアレンジも文句なし!70年代初めのRolling Stonesに通じるカッチョ良さに溢れてマス。

「Love Has No Pride」
このアルバムの一番のハイライトかもしれないシンガーソングライターEric Kazの名曲。Bonnieの本バージョンを皮切りに、Linda Ronstadt、Rita Coolidge、Tracy Nelsonといった女性シンガーが続々と取り上げましたね。でも、このBonnieバージョンが一番味わい深い気がするなぁ。

最近、映画の『SAW』と『CUBE』にハマっている。
『SAW III』も公開間近ですね。う〜ん、気になる....
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2006年11月12日

John Legend『Once Again』

大ヒット・デビュー作を上回る強力2ndアルバム☆John Legend『Once Again』
Once Again
発表年:2006年
ez的ジャンル:正統派コンテンポラリーR&B
気分は... :これはかなり強力な1枚だね...

John Legendの待望の2ndアルバム『Once Again』っす。

John Legendと言えば、Kanye Westの全面サポートでデビューアルバム『Get Lifted』(2004年)を大ヒットさせ、いきなりグラミー3部門を受賞した注目のR&Bシンガーですよね。

僕も『Get Lifted』は愛聴していまシタ。あとはKanyeつながりでCommon『Be』(2005年)への参加も印象的だったかなぁ。

『Get Lifted』を聴いた印象は、ピアノの弾き語りスタイルと相俟って正統派のシンガー/ソングライターという印象だったかなぁ。あとは、それをKanye Westが全面バックアップしているというのが面白いカンジがした。一見ミスマッチのように思えたけど、結果として単なるノスタルジックで終わらない、素晴らしいコンテンポラリーR&Bに仕上がっていたと思う。

さて、そんなJohn Legendの2ndアルバム『Once Again』であるが、正直期待と同時に不安もあった。

Kanye Westに加え、Black Eyed PeasWill.I.Amがプロデュースに参加と聞いて、Hip-Hop色が強くなっちゃうのかなぁ...というのが僕の不安だった。Will.I.Amの場合、Sergio Mendes『Timeless』のイメージが強いので(笑)

でも、『Once Again』を聴いてびっくり!Hip-Hop色など全くない、今時珍しいくらい正統派なアルバムに仕上がっていた。余計なゲスト参加もなく、真正面からコンテンポラリーなR&B/Soulに取り組んでいる真摯な姿勢が伝わってくるね。

これはかなり強力な1枚だね。
この作品を聴いた後に、他の新作アルバムを聴いても正直物足りない。

Kanye West、Will.I.Am以外にもRaphael Saadiq、Craig Streetなどがプロデュースしてマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Save Room」
先行シングルとなった曲。Classics IVの名曲「Stormy」をサンプリングしてマス。「Stormy」の甘酸っぱい雰囲気をそのまま受け継ぎ、そこにJohn Legendのそこに少し憂いのあるボーカルが乗っかり、なかなかシブい1曲に仕上がっていマス。Will.I.AmとJohn Legendのプロデュース。

「Heaven」
Kanye Westプロデュースの僕の一番のお気に入り曲。まさに天国気分の至極のグルーヴだよね。Bobby Caldwellを彷彿させるAOR的アーバン・メロウな香りが漂うのが好きだなぁ。書きながら気付いたんだけど、どことなくJohn Legendの歌い方ってBobby Caldwellに似てない?Monk Higgins「Heaven Only Knows」ネタ。

「Show Me」
Raphael Saadiqプロデュース曲。John Legendとの組み合わせを考えた場合、Kanye WestやWill.I.AmなんかよりもRaphaelが一番しっくりくるカンジがするよね。Raphaelらしいナチュラルな仕上がりになっています。でも、ある意味予想通りすぎるかも?

「Each Day Gets Better」
「Slow Dance」
Will.I.Am/John Legendプロデュースによるソウルな2曲。2曲とも胸キュン度の高いスウィート・ナンバーっす。
「Each Day Gets Better」はWill.I.Am絡みでは一番好きかなぁ。70年代ソウルマナーな仕上がりデス。Four Tops「In These Changing Times」ネタ。「Slow Dance」の方は60年代ソウルマナーな仕上がり。

「P.D.A. (We Just Don't Care) 」
美メロな1曲。Johnのピアノの音色が実に瑞々しい、爽快なミディアム・チューン。心が洗われるカンジだよね。

「Again」
「Where Did My Baby Go?」
じっくり聴かせるピアノの弾き語りナンバー2曲(ともにCraig Street/John Legendプロデュース)。1、2曲はこのタイプが欲しいよね。「Where Did My Baby Go?」はストリングスとの絡みがお見事!

「Maxine」
意表を突くボッサな1曲。しかもアレンジがひとヒネリあって楽しいね。

「Another Again」
70年代のクロスオーバー/フュージョン路線R&Bを彷彿させるメロウなアレンジがオシャレな1曲。

「Coming Home」
素朴ながらも、実に味わい深いバラード。胸に染み渡るねぇ。Will.I.Am/John Legendプロデュース。

大ヒット・デビュー作の次の2枚目ってイマイチな人も多いけど、John Legendは本物だね。来年1月の来日公演も楽しみですな。
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2006年11月11日

Elvis Costello & The Attractions『Blood & Chocolate』

Nick Lowe、Attractionsを再び迎えた原点回帰作☆Elvis Costello & The Attractions『Blood & Chocolate』
Blood & Chocolate
発表年:1986年
ez的ジャンル:パンク魂系ポップ・ロック
気分は... :大歓迎♪原点回帰

Elvis Costelloは、『Get Happy!!』(1980年)以来2回目の登場っす。

以前のエントリーでも書いたが、マイ・コレクションの男性ロックアーティスト部門ではElvis CostelloVan Morrisonが最もCD保有枚数が多い。また、Paul WellerStyle Council含む)、XTCと並ぶ当時の僕のUKロック御三家だった。

それだけCostello好きの僕だったが、2000年代に入るとリアルタイムのCostelloに対しては、急激に関心が薄くなっていったかなぁ。

『North』(2003年)なんて購入したけど、封を切らないまま一度も聴いていない。ホント、長年のお付き合いで買っただけってカンジだよね。

地球環境のためには聴く気もないCDの購入は止めましょう(笑)

やっぱり僕にとってのCostelloは80年代がサイコーだったかなぁ。

80年代のCostelloは、『Get Happy!!』(1980年)、『Trust』(1981年)、『Almost Blue』(1981年)、『Imperial Bedroom』(1982年)、『Punch the Clock』(1983年)、『Goodbye Cruel World』(1984年)、『King Of America』(1985年)、『Blood & Chocolate』(1986年)、『Spike』(1989年)という9枚のアルバムを発表している。

後日Costello本人が語ったところによると、最も気に入っている作品は『King Of America』であり、“自分が作った最悪のレコード”と評している作品は『Punch the Clock』なのだとか。個人的には『Punch the Clock』はそんな悪い作品だとは思わないけどねぇ...

ちなみに、この中で現在の僕が好きな作品は、『Get Happy!!』『Imperial Bedroom』『Blood & Chocolate』の3枚かなぁ。

この3枚のうち、近年僕的に再評価している作品が『Blood & Chocolate』っす。

当時、レーベルを移籍したばりで本作の配給権が日本に無かく、国内盤未発売ということもあり、かなり扱いが地味だったように記憶している。そんな影響でリアルタイムでの記憶は薄いのだが、改めてこの時代の作品を順番に聴いていくと、結構インパクトのある作品だと思いマス。

前年に(1985年)発表したThe Costello Show名義の『King Of America』では、Costelloのアメリカのルーツ音楽への憧れが反映されたアルバムであり、Attractionsの参加も1曲のみで、それ以外はアメリカの腕利きミュージシャンとLAで録音されたものだった。当時はかなりこの作風が好きだったが、今の僕にはロックしていないCostelloには物足りなさを感じる。

その意味で、再びプロデューサーNick Loweを迎え(Colin Fairleyとの共同プロデュース)、Steve Nieve(key)、Bruce Thomas(b)、Pete Thomas(ds)というAttractionsのメンバーと組み、ほとんどライブ録音に近いかたちでレコーディングされた『Blood & Chocolate』は、パンク世代の代弁者だった初期の荒々しさに出会うことができる。

特に、ガレージ・バンドのようなラウドな仕上がりの前半が特に魅力ですよ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Uncomplicated」
いきなりゴツゴツしたサウンドをバックに、Costelloが叫ぶ、やっぱりアンタは怒れるパンク野朗だぜ!

「I Hope You're Happy Now」
僕の一番のお気に入り曲。Costelloの切れ味鋭いロッカーの要素と、メロディアスな要素が見事に融合して、Costello独特の切ないポップ・ロックに仕上がっていマス。そして、このサウンドはAttractionsならではのものだよね。サイコー!

「Tokyo Storm Warning」
アルバムからの1stシングル。スタジオ・ライブのスタイルで録音し、この曲はファースト・テイクがワン・テイク一発OKだったのだのか。そうしたテンションの高い臨場感が伝わってくるよね。

「Home Is Anywhere You Hang Your Head」
この曲は、なんか胸トキメクものがあるよね。現在のCostelloにも通じる哀愁メロディだけど、しっかりロックしていマス。

「I Want You」
アルバムからの2ndシングル。この曲もファースト・テイクで即OKだったらしい♪Beatlesの同名曲を彷彿させるへヴィーネスが魅力の1曲ですね。

「Honey, Are You Straight Or Are You Blind?」
この曲のCostelloも弾けてますな。カッチョ良さで言えばこの曲が一番かもね!

「Blue Chair」
アルバムからの3rdシングルにもなった名曲。ただし、シングルは別メンバーで再レコーディングしたもの。メロディ・メイカーとしてのCostelloの才能が堪能できる1曲ですね。

「Crimes Of Paris」
アコースティックな雰囲気が爽やかなナンバー。この曲もCostelloらしいよね。

「Poor Napoleon」
アルバム全体の雰囲気とは異なる、味わい深い曲。アレンジが小粋で洒落ていますな。

「Next Time Round」
僕は案外パワーポップ好きなんだけど、結構Costelloってそんな僕のニーズを満たしてくれることが多い。この曲なんかもそのパターンだね。

この後、Costelloは再びAttractionsと離れることになる。両者の共演が再び聴けるのは7年後の『Brutal Youth』(1994年)まで待たねばならない。
posted by ez at 00:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする