2006年11月09日

Beck『Odelay』

その才能を見せつけたメジャー第2作☆Beck『Odelay』
Odelay
発表年:1996年
ez的ジャンル:Hip-Hop世代のダウン・トゥ・アース系ロック
気分は... :ダサ格好いい!

今回は新作『Information』も好調なBeck『Odelay』(1996年)っす。

Beckって特別好きなアーティストという意識はないのだが、気付くとメジャー第1作『Mellow Gold』(1994年)以来しっかり聴き続けている。

Beckの名を一躍有名にした大ヒット・シングル「Loser」は、いろんな意味でインパクトがあったよね。フォーク+ブルース+Hip-Hopなサウンドと共に、♪オレは負け犬〜♪と歌う様は、格好いいんだか悪いんだか、よくわからんけど、へんてこりんな新しい感覚の音楽ってカンジがしたなぁ。

Beck本人曰く、“「Loser」はラッパーになりきれない自分自身を半分茶化した曲”なのだとか。でも、この曲の“予想外”大ヒットで、負け犬どころか見事メジャー契約に成功してしまった。

メジャー第1作となった『Mellow Gold』(1994年)は、どこか物珍しさで聴いていた記憶がある。最初はBeckに対してまがいものっぽい印象を持っていたのも事実だ。そんな僕がBeckの才能を思い知らされたカンジがしたのは本作『Odelay』(1996年)だった。

本作では、Dust Brothersをプロデューサーに迎えていマス。本ブログではDust Brothersプロデュース作として、Beastie Boys『Paul's Boutique』を以前に紹介していますね。

Dust Brothersを迎えたことによって、サンプリング・サウンドが強化されたと同時に、『Mellow Gold』以上にフォーク、ブルース、ロックン・ロール、Hip-Hop、R&B、ジャズ、テックス・メックス、ボサノヴァなど実に多様な音楽がゴチャ混ぜ状態になっているのが本作の特徴だと思いマス。

きっと僕にとってのBeckは、Hip-Hop世代によるダウン・トゥ・アースな音楽って位置づけなんだと思う。
なんかリラックスしたい時に、脱力系で土臭く、ダサ格好いいけど、いかがわしいBeckの音楽ってハマるんだよね!

「Devils Haircut」「New Pollution」「Where It's At」といったヒット曲をはじめ、バラエティに富んだナンバーが揃っていマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Devils Haircut」
Dust Brothersらしいサウンド・プロダクションがBeckの無愛想なボーカルと実にマッチしたナンバー。全体的にラウドな雰囲気も大好き!Them「Out of Sight」、Bernard Purdie「Soul Drums」ネタ。

「Hotwax」
アーシーでファンキーなミッド・チューン。途中で「Jingle Bells(ジングルベル)」のメロディが聴こえるのも楽しいよね。Bernard Purdie「Song for Aretha」、Monk Higgins & the Specialites「Up on the Hill」ネタ。

「Lord Only Knows」
Beck流カントリー・ロックなナンバー。70年前後のRolling Stonesあたりの雰囲気を彷彿させるね。Mike Millius「Lookout for Lucy」ネタ

「New Pollution」
Beck独特のダサ格好いいHip-Hopサウンドが堪能できる“らしい”1曲。メルヘンチックなイントロも印象的ですね。Joe Thomas「Venus」ネタ。

「Derelict」
妖しげなエスニック・テイスト溢れるナンバー。タブラのリズムにジワジワとヤラれてしまいマス。

「Jack-Ass」
ThemによるBob Dylanのカヴァー「It's All Over Now Baby Blue」をサンプリングしたトラックが印象的なナンバー。

「Where It's At」
完成度ではこの曲が一番じゃないかなぁ。アーシーな土臭さとスペイシーな近未来感の組み合わせがとっても面白い。Mantronix「Needle To The Groove」ネタ

「Minus」
ハード・コアな疾走感がイイ感じですな。

「Sissyneck」
ダウン・トゥ・アースなHip-Hop感覚が何ともジャスト・フィットな1曲。Dick Hyman「The Moog and Me」ネタ。

「Readymade」
淡々として前半から後半は意表を突いてボッサな展開となり、Almeida, Laurindo & the Bossa Nova All Starsによるボサノヴァの名曲「Desafinado」(Nara Leaoのバージョンが有名ですね)をサンプリングしていマス。

「High 5 (Rock the Catskills) 」
アーシーで、ロックで、テクノで、Hip-Hopで...説明するのに困ってしまうゴッタ煮ナンバー。Rasputin's Stash「Mr.Cool」ネタ。

本作の成功でBeckは1997年度グラミー賞でベスト男性ヴォーカル・パフォーマンス、ベスト・オルタナティヴ・ミュージック・パフォーマンスの2部門を受賞まシタ。
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(3) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする