発表年:1986年
ez的ジャンル:パンク魂系ポップ・ロック
気分は... :大歓迎♪原点回帰
Elvis Costelloは、『Get Happy!!』(1980年)以来2回目の登場っす。
以前のエントリーでも書いたが、マイ・コレクションの男性ロックアーティスト部門ではElvis CostelloとVan Morrisonが最もCD保有枚数が多い。また、Paul Weller(Style Council含む)、XTCと並ぶ当時の僕のUKロック御三家だった。
それだけCostello好きの僕だったが、2000年代に入るとリアルタイムのCostelloに対しては、急激に関心が薄くなっていったかなぁ。
『North』(2003年)なんて購入したけど、封を切らないまま一度も聴いていない。ホント、長年のお付き合いで買っただけってカンジだよね。
地球環境のためには聴く気もないCDの購入は止めましょう(笑)
やっぱり僕にとってのCostelloは80年代がサイコーだったかなぁ。
80年代のCostelloは、『Get Happy!!』(1980年)、『Trust』(1981年)、『Almost Blue』(1981年)、『Imperial Bedroom』(1982年)、『Punch the Clock』(1983年)、『Goodbye Cruel World』(1984年)、『King Of America』(1985年)、『Blood & Chocolate』(1986年)、『Spike』(1989年)という9枚のアルバムを発表している。
後日Costello本人が語ったところによると、最も気に入っている作品は『King Of America』であり、“自分が作った最悪のレコード”と評している作品は『Punch the Clock』なのだとか。個人的には『Punch the Clock』はそんな悪い作品だとは思わないけどねぇ...
ちなみに、この中で現在の僕が好きな作品は、『Get Happy!!』、『Imperial Bedroom』、『Blood & Chocolate』の3枚かなぁ。
この3枚のうち、近年僕的に再評価している作品が『Blood & Chocolate』っす。
当時、レーベルを移籍したばりで本作の配給権が日本に無かく、国内盤未発売ということもあり、かなり扱いが地味だったように記憶している。そんな影響でリアルタイムでの記憶は薄いのだが、改めてこの時代の作品を順番に聴いていくと、結構インパクトのある作品だと思いマス。
前年に(1985年)発表したThe Costello Show名義の『King Of America』では、Costelloのアメリカのルーツ音楽への憧れが反映されたアルバムであり、Attractionsの参加も1曲のみで、それ以外はアメリカの腕利きミュージシャンとLAで録音されたものだった。当時はかなりこの作風が好きだったが、今の僕にはロックしていないCostelloには物足りなさを感じる。
その意味で、再びプロデューサーNick Loweを迎え(Colin Fairleyとの共同プロデュース)、Steve Nieve(key)、Bruce Thomas(b)、Pete Thomas(ds)というAttractionsのメンバーと組み、ほとんどライブ録音に近いかたちでレコーディングされた『Blood & Chocolate』は、パンク世代の代弁者だった初期の荒々しさに出会うことができる。
特に、ガレージ・バンドのようなラウドな仕上がりの前半が特に魅力ですよ!
オススメ曲を紹介しときやす。
「Uncomplicated」
いきなりゴツゴツしたサウンドをバックに、Costelloが叫ぶ、やっぱりアンタは怒れるパンク野朗だぜ!
「I Hope You're Happy Now」
僕の一番のお気に入り曲。Costelloの切れ味鋭いロッカーの要素と、メロディアスな要素が見事に融合して、Costello独特の切ないポップ・ロックに仕上がっていマス。そして、このサウンドはAttractionsならではのものだよね。サイコー!
「Tokyo Storm Warning」
アルバムからの1stシングル。スタジオ・ライブのスタイルで録音し、この曲はファースト・テイクがワン・テイク一発OKだったのだのか。そうしたテンションの高い臨場感が伝わってくるよね。
「Home Is Anywhere You Hang Your Head」
この曲は、なんか胸トキメクものがあるよね。現在のCostelloにも通じる哀愁メロディだけど、しっかりロックしていマス。
「I Want You」
アルバムからの2ndシングル。この曲もファースト・テイクで即OKだったらしい♪Beatlesの同名曲を彷彿させるへヴィーネスが魅力の1曲ですね。
「Honey, Are You Straight Or Are You Blind?」
この曲のCostelloも弾けてますな。カッチョ良さで言えばこの曲が一番かもね!
「Blue Chair」
アルバムからの3rdシングルにもなった名曲。ただし、シングルは別メンバーで再レコーディングしたもの。メロディ・メイカーとしてのCostelloの才能が堪能できる1曲ですね。
「Crimes Of Paris」
アコースティックな雰囲気が爽やかなナンバー。この曲もCostelloらしいよね。
「Poor Napoleon」
アルバム全体の雰囲気とは異なる、味わい深い曲。アレンジが小粋で洒落ていますな。
「Next Time Round」
僕は案外パワーポップ好きなんだけど、結構Costelloってそんな僕のニーズを満たしてくれることが多い。この曲なんかもそのパターンだね。
この後、Costelloは再びAttractionsと離れることになる。両者の共演が再び聴けるのは7年後の『Brutal Youth』(1994年)まで待たねばならない。