2006年11月19日

Luisito Quintero『Percussion Maddnes』

神秘のパーカッション・ワールド☆Luisito Quintero『Percussion Maddnes』
Percussion Madness
発表年:2006年
ez的ジャンル:クラブ・テイストのラテン・ルーツ・ミュージック
気分は... :神秘のパーカッション・ワールド

今回は春先に購入し、ずっと愛聴していたにも関わらず、紹介し忘れていた作品Luisito Quintero『Percussion Maddnes』っす。

本作は、以前に本ブログで紹介済みのLA Stylez『The LA Style Project』Latrice『Illuminate』と一緒に購入したものデス。

これがきっかけで今年はは久々にハウス/クラブ・ミュージックにハマった1年になった。その影響で僕のハウス系コレクションの大半を占める90年代前半のハウス作品も今年はよく聴いている。

そして、本作をプロデュースするのは、その90年代から活躍し続けるハウス界の超大物Louie Vegaだ。

本作は以前に紹介したLouie Vegaの奥方Anane『Selections』などと共に、Louie Vegaが主宰するVega Recordsから今年発売された作品である。それ以外にもVega Recordsには本作にもフィーチャーされているBlazeも所属していマス。

本作の主役Luisito Quinteroはベネズエラ出身のパーカッション奏者であり、サルサ、ラテン、ジャズなどの分野で数多くのセッションを重ねた後に、Louie VegaとKenny "Dope" GonzalezのMasters At Work(MAW)による一大プロジェクト『Nuyorican Soul』(1997年)へ参加する。

それを機にQuinteroはLouie Vegaとの交流を深め、Vega RecordsにおけるLouie VegaのプロジェクトElements Of Life(EOL)では、Louie Vegaから“天才パーカッショニスト”と賞賛される最重要メンバーとして参加している。

さて、本作『Percussion Maddnes』だが、聴けば聴くほど面白い作品だ。未聴の方は、ラテン+ハウスのラテン・ハウスなアルバムをイメージするかもしれないが、そんなにクラブ・テイストが全面に出ているわけでもない。ラテン・ハウスと言うならば、むしろAnane『Selections』の方がそんな表現がピッタリだと思う。

単純なラテン・ハウスではないプラスαの何かを感じさせるのが本作だ。きっとラテンの部分が表層的なものではなく、ルーツに根ざしたものだからであろう。なので、ラテン・テイストのハウスというよりも、クラブ・テイストのラテン・ルーツ・ミュージックと表現した方がニュアンスが伝わるかもね。

パーカッションのパカポコ感が大好きの僕としては、パーカッション乱舞の本作はホント全然飽きがきません。Louie Vegaのスパイスが加わることで、パーカッションの宇宙に神秘性が増しているような気がします。

たまにはこんなラテンもいいもんですよ!

全曲紹介しときやす。

「Percussion Maddness」
オープニングはいきなりQuinteroによるパーカッション・ソロ。まさに狂喜乱舞のパーカッション・サウンド。

「Tumbao」
Nuyorican Soulを彷彿させるアフロ・キューバン・グルーヴ。オルガン、ギター、フルートとパーカッションの絡みがイイ感じっす。BlazeのJosh MilanとAnaneがバック・ボーカルが盛り上げてくれマス。

「M'Bongi」
パーカッション奏者Bujoと白熱のパーカッション・バトル。リンガラ(アフリカ音楽)・テイストに仕上がっていマス。

「Gbagada, Gbagada, Gbogodo, Gbogodo」
Francis Mbappeをフィーチャーしたアフロ・ビートのパイオニア故Fela Kutiのカヴァー。ホーンセクションをはじめ、ファンキーなアフロ・ビートに仕上がっています。隠れた本作のハイライトなのでは?

「Aquilas Coisas Todas」
Toninho Horta作品カヴァーのブラジリアン・グルーヴ。これは単純に気持ちいいねぇ。Josh Milan(Blaze)のオブラートのようなスキャットがとっても好きだなぁ。

「Our Love」
Ananeのボーカルをフィーチャーしたボッサ・グルーヴ。クラブ系リスナーの方は気に入りこと間違いなしの1曲。どちらかと言えば、Anane『Selections』の収録曲っぽいよね。

「Quintero's Jam」
今年6月に死去したラテン・ジャズ界のトップ・ピアニストHilton Ruizをフィーチャーしたラテン・グルーヴ。この曲あたりはLouie Vegaらしく、エキサイティングかつ洗練されたサウンドに仕上げていると思いマス。ヒップなニューヨリカン・パーカッション奏者Milton Cardonaがコーラスで参加。

「EOL Intro (Clap Your Hands) 」
2004年にジャパニーズ・レゲエ・クイーンPUSHIMの名曲をLouie Vegaがリミックスした「Like A Sunshine,My Memory(EOL MIX) 」のリバージョンといった雰囲気のナンバー。日本のリスナーは2倍楽しめるよね。

「Acid」
本ブログでも紹介したラテン・グルーヴの帝王“ハード・ハンズ”Ray Barettoの名曲のカヴァー。ライナーノーツによるとQuinteroのオールタイム・フェイバリット・ベスト5の1曲がこの曲なのだとか。まぁ、納得ですね。Ray Baretto『Acid』の記事に本バージョンのカヴァーを書くのをすっかり忘れていたので、そっちも修正しておきまシタ。

「Four Beat Mambo」
「Son Montuno」
こちらも大御所ティンバレス奏者Tito Puenteのカヴァー2曲。「Four Beat Mambo」はQuinteroのパーカッションが満喫できるストレートなラテン・グルーヴに、「Son Montuno」の方はエレピの音色がオシャレなアーバン・グルーヴに仕上がっていマス。

「Oshagrina」
Milton Cardonaをフィーチャーしらラテン・スピリチュアルとでも呼びたくなる神秘的なグルーヴ。

「Love Remains The Same」
ラストはBlazeをフィーチャーしたStevie Wonderを彷彿させるラテン・ソウル・チューン。この曲もサイコーだね。個人的にはBlazeは大好きなハウス・グループだったので、彼らの名前がクレジットされているだけでウレシイっす。Amazonの扱いさえあれば、傑作コンセプト・ハウス・アルバム『25Years Later』(1990年)を本ブログでも取り上げたいんだけどなぁ。

こうやって書いてみると捨て曲ナシのアルバムだね。ハウス/クラブ・ミュージックという先入観なしに、多くの人に聴いて欲しいなぁ。
と言いながら、紹介が遅くなってホントごめんなさいm(_ _)m
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする