発表年:1966年
ez的ジャンル:ブリティッシュ・ビートの成長過程
気分は... :Pete、Roger、John、Keithの4人揃ってこそThe Who
The Whoの本ブログ3回目の登場っす。
週末にCDショップへ行くと、“The Whoの24年ぶりの新作”の文字が目に入った。新作は『Endless Wire』というタイトルらしい。
The Who好きを自認する僕ではあるが、この新作を購入することはないだろう。まぁ、Pete TownshendやRoger Daltreyの創作意欲に敬意を表すけどね。
やっぱり、僕にとってのThe Whoは、Pete Townshend(Guitar)、Roger Daltrey(Vocal)、John Entwistle(Bass)、Keith Moon(Drums)の4人が揃ったグループを表すネーミングなのだ。
その意味では、発売直後にKeith Moonが亡くなってしまった『Who Are You』(1978年)が僕にとってのThe Whoのラスト・アルバムだ。
その後の『Face Dances』(1981年)や『It's Hard』(1982年)もLPでは持っているが、CDで買い直すことはしなかった。残念ながら、The Whoの名を語る別のグループの作品にしか思えない。
新作を聴くぐらいならば、真のThe Whoを聴くべき!ということで、2ndアルバム『A Quick One』(1966年)っす。
これまで紹介してきた『Who's Next』(1971年)、『My Generation』(1965年)に比べると、地味な作品かもしれませんが、実にWhoらしさに溢れた作品だと思いマス。
先日、The Rolling Stones『December's Children (And Everybody's)』のエントリーで、初期Stonesのアルバムは、アメリカ発売とイギリス発売のもので内容が異なるのでややこしいという話をした。
初期のThe Whoの場合も同じような悩みがある。「I Can't Explain」、「Anyway, Anyhow, Anywhere」、「Happy Jack」、「Substitute」、「I'm a Boy」、「Magic Bus」などのヒット・シングルがオリジナル・アルバムには未収録なのだ。特に、デビュー作『My Generation』(1965年)発表後にマネジメント面でのトラブルに巻き込まれ、その影響も多分にあると思うんだけど...
なので、何らかのかたちで、これらのヒット・シングルを収めたベスト盤を購入しないと、コレクションが歯抜け状態になってしまう。僕の場合、オリジナルのベスト盤『Meaty Beaty Big And Bouncy』で補完したが、現在は内容、音質ともに充実した他のベスト盤があるので、そちらで補完する方がいいかもね。
そういったヒット・シングルという観点から、考えると本作は少し物足りなさが残るかもしれないけど、独自のR&Bカヴァー、わけわからんおふざけナンバー、後のロックオペラへの布石といったように、モッズ・バイブル的作品だったデビュー・アルバム『My Generation』からの成長ぶりを確認できることが魅力のアルバムっす。
なお、本作はアメリカでは『Happy Jack』のタイトルで、「(Love Is Like A) Heat Wave」が「Happy Jack」に差し替えられたかたちで発売されていマス。
全曲紹介しときヤス。
「Run Run Run」
オープニングはPete Townshend作のThe Whoらしいキャッチーなビート・ナンバー。このカッチョ良さは、BeatlesやRolling StonesにはないWhoならではのものだね。当初、この曲は「The Cat」というタイトルで呼ばれていたのだとか。そう言われると、このビート感にピッタリのタイトルかもね!
「Boris the Spider」
John EntwistleがWhoで書いた最初の作品。不気味なカンジがJohnらしい。
「I Need You」
続いて、Keith MoonがWhoで書いた最初の作品。コレが意外なことに(?)実にイカした1曲なんだよね。なんかヒーローものアニメの主題歌とかにありそうなカンジ。Keithもやる時はやるじゃん!
「Whiskey Man」
これもJohn Entwistleの曲。この曲も実にキャッチーだね。Johnはカッチョ良いベースに加え、フレンチ・ホルンも吹き、張りきってマス。
「(Love Is Like A) Heat Wave」
本ブログでも紹介したMartha Reeves & The Vandellasの大ヒット曲のカヴァー。The Jamのカヴァー(アルバム『Setting Sons』収録)も有名ですね。詳しくは知らないけど、Jamのカヴァーはオリジナルというよりも、Whoの本バージョンの影響なのでは?
黒人音楽のカヴァーの観点から、Beatles、Rolling Stones、Whoの3大グループを比較するのも面白いかもね!意外とロックン・ロールしているBeatles、ブルース・フィーリングのStones、モータウンなWhoっていうのが僕の単純なイメージなんだけど...
「Cobwebs and Strange」
Keith Moonによる破茶目茶インスト。コントのBGMにピッタリだよね。このおふざけぶりがKeithらしくて大好き!ドラム叩きまくっているしね☆
「Don't Look Away」
Pete Townshend作のカントリー・タッチのナンバー。正直、あんまりWhoらしくないよね。
「See My Way」
Roger Daltrey作品。Rogerのボーカルはサイコーだけど、コンポーザーとしての才能は....まぁご愛嬌ですな。
「So Sad About Us」
実はアルバム中一番のお気に入り曲。「Substitute」タイプのメロディアスなナンバー。Pete Townshendの本領発揮ってカンジだね!元々はPeteがMerseybeatsのために書いた曲。The Jamもカヴァーしてますよね(アルバム『Setting Sons』のCDボーナストラックとして収録)♪
「Quick One, While He's Away」
ラストを飾るタイトル曲はPete作の9分を超える組曲。後のロック・オペラの名作『Tommy』(1969年)への布石となった曲と言えるよね。
この曲で思い出すのは、Rolling Stonesが企画した幻のTVスペシャル『Rock And Roll Circus』での本曲の演奏の映像ですな。Stones、Whoに加え、John Lennon、Eric Claptonなども参加した超豪華メンバーのTVスペシャルがオクラ入りになった理由の1つに、Whoの本曲の演奏があまりに素晴らしく、主役のStonesを食ってしまったためなんて噂もありましたよね。
以上のようにメンバー4人全員の作品が楽しめる作品になってマス。
また、CDにはボーナス・トラックとして、「Batman」、「Barbara Ann」、「In the City」、「Man With Money」などが収録されていヤス。