発表年:1976年
ez的ジャンル:フュージョン・グループ最高峰
気分は... :明日の天気は???
クロスオーバーのグループと聞いて、僕が真っ先に思い浮かべるのはCrusadersである。一方、フュージョン・グループと聞いて、まず思い浮かぶのはWeather Report(WR)である。
Weather Reportは、本ブログの400回目の記念エントリーで取り上げたMiles Davis『In A Silent Way』で大活躍だったJoe Zawinul(key)が同じくMiles門下生Wayne Shorter(ts)、プラハ生まれのMiroslav Vitous(b)、NY出身のAlphonse Mouzon(ds)と1970年に結成したグループだ。
Miles Davisが『In A Silent Way』(1969年)、『Bitches Brew』(1969年)で開いたフュージョンの扉を、強力に推し進めていったグループがWeather Reportだった。その意味では、Weather Reportの登場は時代の要請だったのかもしれませんね。ZawinulとShorter以外のメンバーは交代を繰り返したが、天才ベーシストJaco Pastoriusが在籍していた時期が黄金時代と言われていマス。
僕の中学・高校の頃は、フュージョンがかなり盛り上がっていた時代だった。
高校の学園祭で一番盛り上がっていたバンドは、高中正義のコピーをやっていた連中だったような記憶がある。あと、音楽フリークを語る連中は、みんなカシオペアを聴いていたかなぁ(笑)
当時の僕は、どちらかと言えば、AOR的なフュージョンを好んでいたかなぁ。なので、Weather Reportもその凄さは雑誌の記事などで想像出来たが、実際にその音楽を聴く機会はFMラジオで聴いた程度だった。
僕がWeather Reportをきちんと聴くようになったのはCD時代になってからだ。特別思い入れがあったわけでは無かったが、Weather Reportを聴かずして、フュージョンを堪能出来ないだろうなぁ...程度の認識はあったので、とにかく一通り聴いてみようと思ったね。そんなカンジでWeather Reportの主だった作品はコレクションしてある。
マイ・コレクションの中では、Jaco Pastorius(Jacoは1982年にWRを脱退)在籍時の『Black Market』(1976年)、『Heavy Weather』(1977年)、『8:30』(1979年)、『Night Passage』(1980年)あたりを聴く頻度が多かったかなぁ。やっぱり、単純に1987年に亡くなった天才ベーシストJaco Pastoriusのプレイを聴きたいというのがホンネだったかも?
そのJacoが初めて参加したWeather Report作品が本作『Black Market』である。ただし、本作でJacoがベースを演奏しているのは「Cannon Ball」、「Barbary Coast」の2曲のみで、それ以外はAlphonso Johnsonがベースを担当しており、第1期WRから第2期WRへの橋渡し的な作品と言えるかもしれない。
一般には、この第2期WRの最高傑作としてJacoが全面参加した次作『Heavy Weather』(1977年)を挙げる人が多いと思う。でも、個人的には『Black Market』がWRを聴く時のファースト・チョイスになってしまっている。
開放的なんだけどミステリアスなアルバム全体のムードが好きなのかもしれない。
全曲紹介しときヤス。
「Black Market」
ジャケ写真のようなエキゾチックな楽園ムードが漂うポップなタイトル・ナンバー(Zawinul作品)。最後に雷鳴の音が響くあたりは、さすがWeather Report(笑)ちなみに本曲と次の「Cannon Ball」でドラムを叩いているのは後にR&Bヒットを連発した名プロデューサーNarada Michael Waldenです。
「Cannon Ball」
Jaco Pastorius参加作品。タイトルはZawinulが1975年に死去したサックス奏者Cannonball Adderleyに捧げた曲だ。ZawinulはかつてAdderleyのグループに参加していた。幻想的なムードの中でJacoの印象的なベースを堪能できマス。
「Gibraltar」
張り詰めた緊張感をエキゾチック・ムードを併せ持つグループを代表する1曲(Zawinul作品)。。多くの言語、文化がクロスオーバーする場所ジブラルタルはWeather Reportの音楽と合い通ずる部分があるかもね。
「Elegant People」
「Three Clowns」
Wayne Shorter作品の2曲。「Elegant People」もグループの代表曲の1つですね。まさにエレガントな1曲。Portishead「Strangers」なんかでサンプリングもされていマス。「Three Clowns」はミステリアスなカンジが印象的な1曲。
「Barbary Coast」
Jaco PastoriusのWR最初の作品。大きなクラクション音を合図にファンキーなリズムが展開される。まさに天才ベーシストのお披露目に相応しい1曲。ベースが主役ってカンジが楽しいっす。Freestyle Fellowship「Jupiter's Journey」でサンプリングされていマス。
「Herandnu」
ボーナス・トラックで追加されたAlphonso Johnson作品。これが案外良かったりする。Jacoばかりが注目されてしまうが、Alphonsoのベースもなかなかいいんじゃないかなぁ?
Jaco Pastoriusについては、『Jaco Pastorius(邦題:ジャコ・パストリアスの肖像)』(1976年)、『Word Of Mouth』(1980年)といったソロ作品も紹介したいですね。