2006年12月03日

The Jam『All Mod Cons』

Paul Weller率いるThe Jamによる“ネオ・モッズ宣言”☆The Jam『All Mod Cons』
All Mod Cons
発表年:1978年
ez的ジャンル:ネオモッズ開花宣言
気分は... :ここに本物のビートがある!

永遠のモッズ・ヒーローPaul Weller率いるThe Jamの本ブログ2回目の登場っす。

前回は個人的に一番好きな作品である4thアルバム『Setting Sons』(1979年)を紹介しまシタ。今回は『Setting Sons』と並び評価の高い3rdアルバム『All Mod Cons』(1978年)っす。

パンク的なエネルギーの勢い一発で作ったカンジの1stアルバム『In the City』(1977年)、パンクとモッズの狭間でやや迷いの見える2nd『This Is the Modern World』(1977年)あたりまでは、The Jamはパンク・ムーヴメントの中から出てきたバンドの1つという扱いだったと思う。

そんなThe Jamを一気にネオ・モッズの旗手に押し上げた作品が本作『All Mod Cons』だと思いマス。

僕自身は全英No1になったシングル「Going Underground」(1980年)でThe Jamの存在を知ったので、その直後にやや後追いで『All Mod Cons』(1978年)、『Setting Sons』(1979年)のLP2枚をたて続けに購入しまシタ。そんな影響もあってか、やっぱりこの2枚への思い入れは強い。

当時はわからなかったが、The Jamの全作品を聴いたうえで『All Mod Cons』を聴くと、『In the City』『This Is the Modern World』と比べて、明らかにサウンドが変化していることに気付く。パンク・ムーブメントも下火になる中で、独自のジャム・サウンド確立し、いよいよネオ・モッズ・バンドへと走り出したのが本作だと言える。

それまでの直球ど真ん中勝負のみから、緩急いろいろ織り交ぜた結果、格段に音楽の幅が広がったというのが『All Mod Cons』の印象かなぁ。その大きな要因は、Paul兄貴のソングライティングの向上があるのでは?その証拠に本作ではシングルにもなったKinksのカヴァー「David Watts」以外は全てPaul兄貴の作品で固められていマス。

緩急織り交ぜたと言っても、Jamらしいビートは不滅っす。

今回久々にCDではなく、レコードの『All Mod Cons』をレコード棚の奥から引っ張り出してきて、当時のライナーノーツを読んでみたら、こんな文句で締めくくられていた。

ビートだよ!ビート!これがジャムにはあるんだ。
これがあるからジャムはOKなのさ。
僕らのロックはまだまだ死んじゃいない。
ここにジャムがいる。こいつが何よりもその証拠なんだよ!

オススメ曲を紹介しときやす。

「All Mod Cons」
1,2,3,4のカウントと共に疾走するJamらしい小気味良いビート・ロック。この曲こそJamの“ネオ・モッズ宣言”と呼べる曲かもね!

「To Be Someone (Didn't We Have a Nice Time) 」
Beatles「Taxman」のようなリズムが印象的な1曲。Paul兄貴による「Taxman」路線は後のシングル「Start!」で結実することになる(笑)

「David Watts」
シングルにもなったKinksのカヴァー。個人的にはオリジナルよりも全然カッチョ良いと思いマス。

「English Rose」
Paul兄貴のソングライティングの成長の跡を確認できる美しいアコースティック・バラード。イギリス国花について、悲しげに歌うあたりがPaul兄貴らしいかもね。

「Billy Hunt」
これは初期Jamのエネルギッシュ部分を引き継いだビート・ナンバー。当時はこの曲が一番好きだったかも?♪ビリー・ハント♪ビリ〜ビリ〜ビリ〜♪の部分をよく口ずさんでいまシタ。

「It's Too Bad」
初期The Whoの影響を感じる1曲。先日紹介した『A Quick One』収録の「So Sad About Us」あたりに似たタイプの曲かもね。ちなみにJamは「So Sad About Us」をカヴァーし、シングル「Down in the Tube Station at Midnight」のB面曲として発表してマス。

「Fly」
ドラマチックな展開がステキなアコースティック・ナンバー。当時この曲を聴いて、“Jamって単なるビート・バンドじゃないぞ!”って認識したような記憶がありマス。

「Place I Love」
兄貴のギターリフがカッチョ良1曲。当時はそんなに気になる曲じゃなかったけど、今聴くとかなりいい曲だよね。

「Down in the Tube Station at Midnight」
シングルにもなったJamを代表する1曲。Paul兄貴も自画自賛の1曲みたいですな。Paul兄貴らしいメッセージに、躍動するビート、見事なアレンジと言うことなしの名曲ですな。個人的にはBruce Foxtonのベースがカッチョ良いっす。

Style CouncilあたりからPaul Weller信奉者になられた方の中には、案外Jamの作品はベスト盤の類で済ませている方も多いかもしれない。たしかにJamのカッチョ良さをコンパクトに知るためには、ベスト盤は最適だと思うけど、シングルだけはわからない魅力がオリジナル・アルバムにはあるので、ぜひ聴いて欲しいと思いマス。

さっきまで、海外ドラマシリーズ『コールドケース』の第2シーズンの最終回を観ていたが、エンディングはThe Who「Behind Blue Eyes」だった。その前の時間帯でやっている『CSI:マイアミ』もThe Who「Won't Get Fooled Again」がテーマ曲だ。共に『Who's Next』からのセレクト。改めて、この名盤の凄さを思い知った。
posted by ez at 00:02| Comment(5) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする