発表年:1969年
ez的ジャンル:ブラック・パワー宣言系JBファンク
気分は... :インパクトあるよね!
“ゴッドファーザー・オブ・ソウル”James Brown(JB)の本ブログ初登場っす。
音楽ファンの多くの方が、James BrownがFunkの改革者であり、帝王であると認識し、「Papa's Got A Brand New Bag」、「Get Up,I Feel Like Being A Sex Machine」などの代表曲を聴く機会もかなり多いと思う。サンプリング・ネタとしても帝王なので、間接的にJBファンクを聴いていることも多いであろう。
にも関わらず、James Brownのオリジナル・アルバムを聴く機会って、案外少ないのでは?
その要因の1つとして、そのオリジナル・アルバムの数が膨大すぎて、その全体像を把握するのが困難であると同時に、その入手が困難なものも存在するためだ。特に60年代の作品がね。JBの場合、ヒットした1、2曲以外は安易な編集がなされた作品も少なくないし。
かく言う僕も、JB作品群についての知識はかなり怪しい(笑)♪
結果として、僕もオリジナル・アルバムを聴く頻度よりも、JBの再評価を高めたサンプリング・ネタの宝庫の編集版『In The Jungle Groove』あたりを聴く頻度の方が圧倒的に多いかもしれない。
やっぱりJames Brownの全盛期と言えば、1969〜1971年あたりのBootsy CollinsらオリジナルJ.B.'のメンバーがバックを努めた時代の作品だと思う。事実、『In The Jungle Groove』に収められた作品は殆どこの時代のものである。
今回は、それ程多くないオリジナル・アルバムのマイ・コレクションの中から『Say It Loud - I'm Black And I'm Proud』(1969年)をセレクト。
この作品の背景には、前年(1968年)に起きたキング牧師の暗殺事件がある。キング牧師の暗殺された直後、全米中で黒人の暴動が勃発した。そんな中、キング牧師とも親交の深かったJBが全米に向けにテレビ出演し、黒人達に呼びかけて、暴動を沈静化させるのに一役買った。
こうして、JBは単なるFunk帝王というミュージシャンの枠組みを大きく超えた黒人の代表として、大きな影響力を持つようになった。そんな状況下で発表された作品が本作『Say It Loud - I'm Black And I'm Proud』である。
そんな黒人の代表であるJBが、♪黒人であること、それを誇りに思うことを声高に叫べ♪と歌うんだから、当然ながら黒人たちからは熱狂的に支持された。まさにブラック・パワーの象徴的な作品だ。逆に白人ファンはJBから離れていってしまった...
サウンド的には、BootsyらCollins兄弟はまだ参加していないが、Maceo Parkerに加え、Fred Wesleyあたりも参加しており、パワーアップしつつあるJBサウンドを堪能できマス。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Say It Loud (I'm Black and I'm Proud), Pts. 1 & 2」
前述のタイトル曲。JBらしいファンキー・サウンドにのって、このタイトルがガンガン叫ばれるんだから、そりゃインパクトあるよねぇ!しかもJBの先導で子供たちも叫んでいるんだからねぇ。真偽のほどはよく知りませんが、JBがブランクパンサーに脅されてこの曲を書いたなんて噂もありますよね。
R&BチャートNo.1になったと同時に、ポップチャートでもTop10入りを果たした。本ブログで紹介したBlackstreet「Good Lovin'」ネタにもなってマス。
「I Guess I'll Have to Cry, Cry, Cry」
これもメッセージ性の高いタイトルですな。曲の方はストリングスが印象的なR&Bバラードに仕上がっていマス。
「Goodbye My Love, Pts. 1 & 2」
シングルにもなったブルージーなバラード。どうしてもJBにはファンキーを求めてしまいがちだけど、こんなカンジのJBもまたいいですな。
「Licking Stick」
「Say It Loud...」と並ぶ本作のハイライト曲だと思いマス。シングルカットもされまシタ。思わず腰が動いてしまうこのグルーヴ感がたまりません。Maceoのサックスもいいカンジっす。
「I Love You」
アルバムの中では目立たないけど、小気味良いリズムがなかなか小粋な1曲デス。
「Then You Can Tell Me Goodbye」
「Maybe I'll Understand」
タイプが違うバラード2曲。「Then You Can Tell Me Goodbye」はなかなか甘いムードのバラード。「Maybe I'll Understand」はブルージー路線デス。
「Shades of Brown」
「I'll Lose My Mind」
インストナンバー2曲。共にJB自身が弾くオルガンがなかなか印象的ですな。特に「I'll Lose My Mind」はなかなかっす。
「Say It Loud...」の次にJBがポップチャートでTop10入りするのは、16年後の『Rocky IV』の挿入歌「Living In America」(1985年)まで待たねばならない。