発表年:1967年
ez的ジャンル:悪ガキによるサルサ前夜のブーガルー
気分は... :激辛料理が食べたい!
なんか今日は激辛料理が食べたい気分!
そんな気分の時にはラテンが聴きたい♪
ということで、今回はサルサ界のスーパースターWillie Colonのデビュー作『El Malo』(1967年)っす。
僕がサルサのアルバムを購入し始めたのは、ワールド・ミュージックが盛り上がりはじめた1990年前後だったように思う。
それまで欧米の音楽をメインに聴いてきた僕がワールド・ミュージックの流れの中で、アフリカ、中東、インド、ラテンといった音楽を聴くようになり、サルサもラテン音楽の1ジャンルとして聴き始めたのがきっかけっす。当時は、サルサ以外にもメレンゲ、カリプソ、ボサノヴァ、サンバ、ズークなどかなり広範にラテン音楽を聴いていまシタ。
サルサについては、当時サルサという音楽を知るための入口がなかなか見出しにくかったことを記憶している。
当時は今のようにラテン/ブーガルー/サルサの作品が旧譜も含めて豊富にCDショップに揃っている時代ではなかったので、入手できる作品はかなり限定されていた。また、サルサという音楽自体も一部のマニアの方が聴く音楽ってカンジで、一般の音楽リスナーが気軽にサルサの作品を購入するって雰囲気は無かったよね。
そんな中で僕のサルサ初体験となったアーティストがWillie ColonとRuben Bladesだった。
Willie Colonで言えば、『Especial No.5』(1987年)、『Top Secrets』(1989年)、Ruben Bladesは『Buscando America』(1984年)、本ブログでも紹介した『Agua de Luna』(1987年)といった作品を購入した。Rubenの『Buscando America』を除けば、残りの作品は今のラテン・ブームの中で殆ど無視されている作品ばかりだけどね(笑)個人的にはこれら4作品は今聴いても全然悪くないと思うのですが...
僕が最初にWillie Colonの存在で興味を持ったのは、彼がトロンボーン奏者であったこと。当時の僕はトロンボーン奏者と言えば、ジャズのJ.J. Johnsonか谷啓くらいしか知らなかった(笑)そんなマイナー・イメージの楽器のプレイヤーが脚光を浴びる音楽とはどんなものなんだろう?というカンジだったかなぁ。
Willie Colonはサルサ・ファンならば誰しも知っているスーパースター。ニューヨークのブロンクスに生まれたColonは弱冠17歳で後のNYサルサ名門レーベルFaniaから今回紹介する『El Malo』(1967年)でデビューした、70年代に入るとその地位を不動のものとし、Fania All Starsのメンバーとしても活躍しましシタ。70年代後半のRuben Bladesとの共作などもお馴染みですね。
さて、そのデビュー作『El Malo』(1967年)デス。NYで頭角を現しはじめてきたプエルトリコ人シンガーHector Lavoeを従えたこのデビュー作は大ヒットし、タイトル通りのEl Malo(悪党)イメージで一躍ニューヨリカンのヒーローとなったらしい。
ノリ的にはニューヨリカンの悪ガキ・ティーンによるラテン版ガレージ・ロックみたいなカンジだったのかもね。
僕も長い間、この作品の存在を知りながら、なかなか作品を聴く機会に恵まれなかった。今年やっとFaniaの復刻CDで本作をゲッチュできてウレシイ限りっす。
70年代にサルサが爆発する前のサルサ前夜の何かをこのブーガルー的な作品から体感できるのでは?
全曲紹介しときやす。
「Jazzy」
ルードでワイルドな雰囲気が魅力のマンボ・ジャズ。トロンボーンという楽器がこんなにカッチョ良いのかと体感できるオープニング。
「Willie Baby」
「Skinny Papa」
ブーガルー・ナンバー2曲。僕のイメージなんだけど、ブーガルーってIsley Brothersのヒット曲「Twist & Shout」のラテン・バージョンみたいな曲が多いですよね。この2曲もそんなカンジ。Hector Lavoeのボーカルが堪能できマス。
「Borinquen」
この曲なんかは僕が最初に聴いたColon作品に近いかもね。その意味ではColonらしいのかも?
「Willie Whopper」
今日的な見方をすれば、このラテン・グルーヴが一番カッチョ良いかもね。ハモンド・オルガンが何ともイカしてますなぁ。途中で「メリーさんの羊」みたいなフレーズが出てくるあたりのセンスもお茶目でいいよね。
「El Malo」
ラテン的な疾走感がカッチョ良いタイトル・ナンバー。Colonの図太いトロンボーンとHector Lavoeのハイトーン・ボーカルがハジけているようでいいカンジ。
「Chonqui」
キューバン・スタイルな1曲。そう言えば、以前雑誌でプエルトリコ人がイニシアティブを取る音楽(=サルサ)が生まれる大きな要因の1つはキューバ革命であったことをColon自身が語っていたのを読んだことがありマス。
「Quimbombo」
実は密かにお気に入りの1曲。パーカッションのパカポコ感多目なカンジが僕好みなのかも?
Willie Colonについてはまだまだ聴いていない作品が山ほどある。今後ボチボチ攻略していく予定デス。