2006年12月24日

Miles Davis『'Round About Midnight』

こんな作品で淡々とイヴを過すのもいいのでは?☆Miles Davis『'Round About Midnight』
'Round About Midnight
録音年:1955年、1956年
ez的ジャンル:Milesのハードバップ絶頂期
気分は... :クリスマス・イヴですね!

いよいよクリスマス・イヴですね。

僕の場合、先日のSounds of Blacknessのエントリーでも書いた通り、感謝したり、祈ったり、願ったりする日がクリスマスだと思っているので、特別浮かれ気分でもないんですけどね。

なので、気分的には淡々とした音楽が聴きたい感じかな。
ということでMiles Davis『'Round About Midnight』をセレクト☆

本ブログ最多登場の帝王Milesは、『On The Corner』(1972年)、『Milestones』(1958年)、『Miles Ahead』(1957年)、『In A Silent Way』(1969年)に続き5回目の登場となりマス。

本作『'Round About Midnight』は、Milesが独立レーベルのPrestigeから大手のColumbiaへの移籍第1弾アルバムとなった作品っす。録音は1955年、1956年、発売は1957年となってマス。これはPrestigeとの契約が残っていたため、こっそり録音だけしておき、Prestigeとの契約が切れるのを待って、即発売という感じだったみたいですね。録音時期は有名なマラソン・セッションの時期とも重なっており、Prestigeに残されたこれらの作品と聴き比べるのも面白いかもしれませんね。

本作は、Miles Davis(tp)、John Coltrane(ts)、Red Garland(p)、Paul Chambers(b)、Philly Joe Jones(ds)というオリジナル・クインテットの最初の録音としても有名ですね。

Milesの長いキャリアの中でハードバップ期の代表作である本作は、僕のMilesコレクションの中でもわりと最初の頃に購入した記憶がある。ジャケのクールなMilesの姿とそのタイトルにつられて購入したカンジだったかなぁ。何せ僕がJazzに興味を持つきっかけとなったのが大学生の時に観たDexter Gordon主演の映画『Round Midnight』(1986年)だったもので。

この作品と言えば、やっぱりMilesのミュート・トランペットの印象が強いよね。永遠のジャズ初心者の僕にミュート・トランペットの美学を教えてくれたのがこの作品のように思いマス。この作品を聴くまではミュートって何かふん詰まりな音だなぁなんて思っていた大バカ者でしたので(笑)

ジャズ初心者の方も、聴きやすく、ハードバップ・ジャズの魅力をわかりやすく伝えてくれる作品だと思いマス。
だからこそ永遠のジャズ初心者の僕が気に入るのかもね?

全曲紹介しときやす。

「'Round Midnight」
本作と言えば、このタイトル曲ですね。Thelonious Monkによる永遠の名曲。以前に紹介したMonk自身のバーションも聴いて欲しいですが、この曲を名曲に押し上げたのはMilesの演奏があったからかもしれませんね。

とにかくMilesのミュートのクールなカッチョ良さといったらたまりませんな。この演奏を聴くと、北方謙三あたりのハードボイルドの世界をすぐに思い浮かべてしまいマス。アレンジもグッドなのですが、これは元々Gil Evansがオーケストラ用に書いたものをMilesが拝借したらしいっす。

Monkのエントリーの時にも書きましたが、当初は「'Round About Midnight」のタイトルでしたが、 Barnie Hanighen が歌詞をつけた時に,どうしてもabout が入らなくて,削ってしまい、「'Round Midnight」となりまシタ。

「Ah-Leu-Cha」
Charlie Parkerの作品。この演奏こそがオリジナル・クインテットの最初の録音曲みたいっす。多少そのあたりのギクシャク感があるのかもしれませんが。MilesとGarlandのソロが好きデス。

「All of You」
Cole Porterの名曲ですね。ここでのクインテットは実に品格のあるエレガントな演奏を聴かせてくれるのがウレシイですね。Milesは『My Funny Valentine』(1964年)でも本曲を取り上げています。個人的にはBill Evans Trioによる演奏(アルバム『Sunday At The Village Vanguard』収録)も愛聴していマス。

「Bye Bye Blackbird」
作詞Mort Dixson、作曲Ray Hendersonによるスタンダード。この曲もMilesの本バージョンによってスタンダードになったと言えるかもしれませんね。Milesの余裕たっぷりの気取ったミュート、Coltraneの気まじめなテナー、Garlandのムード満点のピアノといろいろ楽しめるカンジが好きですね。特にGarlandがこの曲がお気に入りなのか、自身のリーダー作でも何度か本曲を取り上げていマス。

「Tadd's Delight」
かつてMilesとも活動したピアニストTadd Dameronの作品。全体としてこざっぱりとしたカンジが好きですね。特に最初のMilesとColtraneのユニゾンがいいカンジ。

「Dear Old Stockholm」
Stan Getzの演奏で有名なスウェーデン民謡ですね(原曲は「Ack Varmeland Du Skona」、「Warmland」で表記されることも)。Milesは本バージョン以前にもBlue NoteでJ.J.Johnson、Jackie McLeanらと本曲を録音していマス。この曲のメランコリックなムードをMilesは気に入ったのでしょうか?

僕が持っているCDにはオリジナルの6曲しか収録されていませんが、最近のCDはボーナス・トラック4曲が追加されていマス。
posted by ez at 00:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする