2007年01月28日

Terry Callier『Occasional Rain』

90年代に突如再評価の高まった名作☆Terry Callier『Occasional Rain』
Occasional Rain
発表年:1972年
ez的ジャンル:ニューソウル系黒人シンガー・ソングライター
気分は... :信じる者は報われる...

今回は、90年代に入り突如再評価の高まった黒人シンガー・ソングライターTerry Callierっす。

Terry Callierは1941年シカゴ生まれ。1960年代半ばから本格的な音楽活動を開始する。John Coltraneの影響を受け、ジャズの要素を取り入れた独自のフォーク・スタイルを確立したが、成功のチャンスをつかめないまま60年代を過した。

1970年代に入ると、Dellsのヒット曲「The Love We Had Stays on My Mind」のソングライティングで注目を集めた。

これを契機に、Charles Stepneyプロデュースのもと、Cadetからジャズとフォークとソウルを見事に融合した『Occasional Rain』(1972年)、『What Color Is Love』(1973年)、『I Just Can't Help Myself』(1974年)という3枚の傑作アルバムを発表している。しかし、これら3枚も商業的成功には至らなかった。

結局、1970年代も不遇な時代を過したCallierは、1983年には音楽業界から離れ、コンピュータ・プログラマーとなってしまう。しかし、1990年代に入ると、Acid Jazzで沸くロンドンで突如Terry Callierの名が浮上し、再評価されたのでシタ。そして、日本でもフリー・ソウル系のリスナーを中心に絶大なる支持を獲得しまシタ。

特に、前述のCadetからの『Occasional Rain』(1972年)、『What Color Is Love』(1973年)、『I Just Can't Help Myself』(1974年)という3枚の作品に対する支持は高いですよね。僕もこの3枚には脱帽です。まさに“フリー・ソウル”という言葉がピッタリなカンジですよね。

今回はこの3枚の中から『Occasional Rain』(1972年)をセレクト。

タイトルの通り、雨の街のスナップが散りばめられたジャケが印象的ですよね。音の方も雨の日にピッタリなしっとりとした仕上がりになっていマス。

とってもピュアでスピリチュアルで内省的な音楽というのが、僕のTerry Callierに対する印象っす。あとは想像以上にボーカルがソウルフルでしたね。

本作が発表された1972年はニューソウル真っ盛りの時期だったけど、他のニューソウル系アーティストのように声高にメッセージを叫ぶというより、静かに、思いを込めて、力強く語りかけてくれるってカンジがTerry Callierらしいのではと思いマス。

なお、本作にはMinnie Ripertonがコーラスで参加し、あの天使のソプラノ・ボイスを聴かせてくれていマス。これもファンには嬉しい限りですね。

全曲Terry Callierのオリジナルっす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Ordinary Joe」
多くのDJや若い音楽ファンの心をつかんだ永遠の名曲。ポップでノスタルジックなサウンドと、Callierのソウルフルなボーカルの相性が抜群っす。Hip-Hopファンにとっては、Nujabesによる、なんとTerry Callier本人をフィーチャーしたカヴァーも記憶に新しいところですね。

「Golden Circle」
じんわりと体が温まる胸にしみる1曲。わけもなく涙腺が緩んできて、聴き終わった頃は目がウルウルしてしまう。Donny Hathawayあたりにも通じる崇高さがあるよねぇ。

「Trance on Sedgewick Street」
シンガーソングライターらしい1曲。シンプルかつ淡々とした流れがなかなか味わい深いっす。

「Do You Finally Need a Friend」
この曲も感動が胸一杯に広がっていく曲だよね。Minnie Ripertonらのコーラス隊とCallierのボーカルの絡みがサイコーっす。ラブ・ストーリーの(雨の降る)クライマックス・シーンなんかにピッタリな気がします。

「Sweet Edie-D」
実にリラックスした雰囲気の1曲。ソウルフルな中にもポップな味わいがある小粋な仕上がりデス。

「Occasional Rain」
「Ordinary Joe」と共に音楽ファンのハートを射止めた静かなる名曲。フォーキーな味わいの中に漂う崇高さがたまりません。

「Blues for Marcus」
ブルージーなフォーキー・ソウル。力強いCallierのボーカルが印象的ですね。チェロが醸し出す荘厳なムードがいいカンジっす。

「Lean on Me」
Bill Withersのあの名曲とは同名異曲です。でも時期的にも同じ頃だし、とてもニューソウル的なところも共通しているので、セットで聴いてみるのもいいかもしれませんね。全体としては、スピリチュアルなテイストの実に感動的なナンバーに仕上がっていマス。

相当遠回りしたとはいえ、こうした素晴らしい音楽をクリエイトしていたアーティストが陽の目を見ることは嬉しいですね。信じる者は報われる!
posted by ez at 00:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする