2007年02月28日

Rick James『Come Get It』

Motownらしからぬ異端児のデビュー作☆Rick James『Come Get It』
Come Get It!
発表年:1978年
ez的ジャンル:過激&奇行系ファンク
気分は... :久々にキレた...

昨晩、久々にキレた...

僕は基本的にキレることが少ないタイプの人間だと思っているのだが、久々にきたね。

睡眠不足、栄養不足、人格不足(?)等々いくつかの条件が重なり、頭の中でスイッチがオンになってしまった。

朝目覚めて反省m(_ _)m

そんな影響で、昨晩やっつけようと思っていた他の案件も、すべて今日に持ち越し。
きっと今夜は徹夜パターン...と思うとまたまたブルー(´_`)

こんな時はお行儀の悪いファンクでも聴いて、ハイテンションになってみようっと!
ということでRick Jamesのデビュー作『Come Get It』です。

Rick Jamesと聞いて、最近もCMで流れているM.C. Hammer「U Can't Touch This」の元ネタである「Super Freak」を思い出す方も多いかもしれませんね。

僕は「Super Freak」をリアルタイムで聴いていた世代だけど、この頃のRick Jamesは飛ぶ鳥を落とす勢いでしたな。自身のヒットに加えて、Teena MarieMary Jane GirlsEddie Murphyなどのプロデュースも目立ったし、何より彼の派手なコスチュームとお騒がせ行動でも目立っていたしね。

Motownらしからぬ異端児!っていうのがRick Jamesの印象だったよねぇ。

当時の僕の感覚で言えば、表の天下を取っていたMichael Jacksonに対して、裏天下を取っていたのがRick Jamesって感じがしたなぁ。Prince殿下が『Purple Rain』(1984年)で裏天下を奪取するまではね!

そんなRick Jamesの裏天下街道の第一歩となったのが本作『Come Get It』(1978年)です。

個人的にはRick Jamesのアルバムの中ではダントツで本作が好きですね。
Rick流ファンクの魅力がこの1枚に凝縮されている気がします。

Rick Jamesが死去して約2年半が経過しますが、本国アメリカでのリスペクトぶりに比べて、日本ではいまいち評価が低いような気がします。

その意味では「Super Freak」を含む大ヒット作『Street Songs』(1981年)よりも、本作『Come Get It』から入った方が、Rick Jamesというアーティストの本質に迫れる気がします。

全曲紹介しときヤス。

「Stone City Band, Hi!」
本作はStone City Bandを従えたかたちで制作されており、このオープニングはRick JamesとStone City Bandのショウの幕開けを告げる体裁になっていマス。以前紹介したThe Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のオープニングあたりをモチーフにしているのでは?

「You and I」
全米R&BチャートNo.1に輝いた大ヒット・デビュー・シングル。カッチョ良いコンテンポラリーなファンク・ナンバーに仕上がっていマス。キャッチーだけどグイグイと押しまくるファンクネスもばっちりの文句ナシの1曲。「Mary Jane」と並ぶ永遠のクラシック。

「Sexy Lady」
セクシーな腰つきのレディがわんさか登場しそうなエロ・ファンクに仕上がっていると思いマス。

「Dream Maker」
アゲアゲのファンク・チューンだけではなく、スロウもなかなかデス。意外とソウル・マナーに則った正統派のスウィート・ソウルに仕上がっておりマス。

「Be My Lady」
♪フッウォ☆フッウォ〜♪のコーラスが印象的な軽快なダンス・チューン。明るく、楽しく盛り上がろうぜ!ってカンジが大好き。中盤以降のラテンな展開も楽しい。

「Mary Jane」
説明不要のクラシック。シングルカットされ、全米R&Bチャート第3位に輝いた大麻賛歌のミドル・チューン。Mary J. Bligeの代表曲「Mary Jane (All Night Long)」の元ネタ曲Mary Jane Girls「All Night Long」のプロトタイプとなった曲としても有名ですね。

また、Kris Kross「I'm Real」、EPMD「Jane」、Jennifer Lopez「I'm Real (Murder Remix)」、Da Brat「Sittin' On Top Of The World」、Redman「Smoke Buddah」、213「Mary Jane」、AZ「Sit 'Em Back Slow」など多くの曲でサンプリングされていマス。

この独特の浮遊感は何とも気持ちイイ。Hip-Hop世代にジャスト・フィットするこのグルーヴ感を1978年に生み出していたことに驚きですね。

「Hollywood」
哀愁ムード漂う泣きのバラッド。最近で言えば、Bow Wow feat.T-Pain & Johnta Austin「Outta My System」でサンプリングされていますね。

「Stone City Band, Bye!」
ショウの終わりを告げるオープニングのReprise。

Rickは、2004年にハリウッドの自宅で自然死の状態で発見された。享年56歳。
奇行によるお騒がせ男だった彼らしい最期だったかもしれないですね。
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2007年02月27日

Jackson Browne『Hold Out』

そう、君は忍耐強い人だね。そして、僕もくじけない男だと思う☆Jackson Browne『Hold Out』
Hold Out
発表年:1980年
ez的ジャンル:不器用な恋愛系ロック
気分は... :うまくは言えないけど...

昨日は更新をサボってしまいまシタ。
Seesaaブログのメンテ以外で記事更新しなかったのは、かなり久々っす。

これには事情があって...
昨日はかなり特殊かつ特別な日でシタ。

とってもハードで、とっても焦って、とっても眠くて、でも...最高にハッピーな1日だった。
一歩間違えると、大失敗の1日になりかねなかったけど、あきらめず、くじけず、粘り強く行動したら、最後にご褒美をもらえたというカンジでしょうか。

そんな気分で聴きたくなったのがマイ・フェイバリット・アーティストJackson Browne『Hold Out』(1980年)。

以前にも書いたように、『Late For The Sky』(1974年)、『The Pretender』(1976年)、『Running On Empty』(1977年)と並んで、僕が墓場まで持っていきたいアルバムの1枚デス。

このブログを閲覧されている方は、僕のマイ・フェイバリット・アーティストとしてR&B/Soul系の人の名が挙がらないのは不思議に思われるかもしれませんね。

今ではR&B/Soul中心の音楽ライフを楽しむ僕ですが、それでも僕の原点はこの不器用なシンガー・ソングライターJackson Browneなのです。

そんなJackson Browneの作品の中でも特に影響を受けた曲が、本作『Hold Out』に収録された「Hold on Hold Out」という曲なんですよね。今でも僕の人格の何割かは、この曲の歌詞で形成されていマス(笑)

本作『Hold Out』は、本ブログでも紹介した傑作ライブ・アルバム『Running On Empty』(1977年)で1つの節目を迎えたJackson Browneが、80年代への突入に合わせるように、次なる1歩を踏み出した作品です。

David Lindley、Russ Kunkel、Bob Glaub、Craig Doerge、Bill Payne、Rosemary Butlerなどのお馴染みの面々をバックにしつつも、新しい方向を打ち出していマス。

Jackson Browneにとって、初の全米アルバム・チャート第1位に輝いた作品でもありマス。

全曲紹介しときヤス。

「Disco Apocalypse」
オープニングはおよそJackson Browneらしくないシンセ・サウンドが特徴の1曲。このサウンドが好きかと聞かれれば???だが、新たなサウンドに挑戦しようとした彼の姿勢を評価しましょう(笑)でも、今聴くと当時の印象よりは悪くない気がします。

「Hold Out」
さぁ、このタイトル曲からいつものJackson節となりマス。恋人との別離に際して、悪いのは僕で、君は正しいとJacksonらしい語り口で歌う。やっぱり、この手の恋愛に不器用な男を歌わせたら、Jacksonは天下一品ですな!

「That Girl Could Sing」
アルバムからの2ndシングルとして、全米チャート第22位まで上がった。1stシングルの「Boulevard」、そして2ndシングルのこの曲と、従来のスタジオ作品に比べて力強いサウンドの曲をシングルカットするあたりにJacksonの意欲が窺えマス。

「Boulevard」
アルバムからの1stシングルとなった曲(全米チャート第19位)。「Running On Empty」あたりにつながる疾走感あふれる演奏が気持ちいいよね。

「Of Missing Persons」
前年に亡くなったLittle Featの故Lowell Georgeについて歌った曲。Little Feat「Long Distance Love」の歌詞をヒントに、Lowellの娘InaraへのメッセージというかたちでLowellを追悼していマス。涙なくして聴けない曲ですね。Rosemary Butlerのコーラスが実に素晴らしいデス。

ちなみにLowellの娘Inara Georgeは、エレクトロ・ポップ・ユニットThe Bird and the Beeのボーカルとして、今年に入ってからデビューアルバム『The Bird and the Bee』を発表しています。親父さんとは全然違う路線だけど、なかなかいい作品ですよ。

「Call It a Loan」
この曲も「Hold Out」同様に恋愛に不器用な男の歌。恋愛を貸し借りで考えるな!なんて思うけど(笑)、そこがJacksonらしいところですよね!このもどかしい哀愁感がなんともいいですな。

「Hold on Hold Out」
本作のハイライト。マイ・フェイバリット・アーティストJackson Browneのマイ・フェイバリット・ソング。この曲が僕に与えた影響は相当なものである。

自己分析をすると、僕は結構粘り強い人間だと思う。そんな粘り強さの原点はこの曲かもしれない。

青春時代に聴いた、♪自分の心を放棄したら、君は自分の道を失うことになる♪自分の場にしがみついていれば、いつか必ず転機がやってくる♪その時まで、しっかり持ちこたえるんだ♪という歌詞は、今でも僕の生き方にしっかり根付いている。

また、この曲の中で、But...I love youと恋人へ告白する有名な一節があるけど、この愚直さこそがJackson Browneの魅力であり、共感する部分なんだよね。

ホント、今でもこの曲を聴くと自分自身の原点に戻れる気がします。

激動の1日から一夜明けた今日は、かなり心地良く目覚めることができた。

今日も、くじけず、粘り強く頑張ろう。
そうすれば道は開ける!少なくとも僕はそう信じている。
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2007年02月25日

Angie Stone『Mahogany Soul』

Angie姉さんの懐の深いダイナマイト・ソウルを堪能あれ!☆Angie Stone『Mahogany Soul』
Mahogany Soul
発表年:2001年
ez的ジャンル:肝っ玉母さん(姉さん?)系ダイナマイト・ソウル
気分は... :やっと謎が解けた!

今日は仕事がパツパツで更新が大幅に遅れてしまいまシタ。

昼間、仕事をしながらTVをつけていたら、モーグルの上村愛子チャンとお母さんのドキュメンタリーを放送していた。
知り合いに愛子ちゃんソックリの女性がいることから、個人的にとても彼女に親近感を抱いているので、かなり入れ込んで観てしまいまシタ。

長野五輪から昨年のトリノ五輪までのくだりを観ていたら、涙でウルウルになっていまシタ。
挫折をバネに、人間として、スポーツ選手として、そして女性として輝きを増している愛子チャンをますます応援したくなりまシタ。
応援するお母さんのためにも、ぜひバンクーバーではメダルをゲットして欲しいですね。

今日は強く、優しい女性アーティストを紹介したくなりまシタ。
ということで、歌う肝っ玉母さんAngie Stoneの2回目の登場デス。

前回は3rdアルバム『Stone Love』(2004年)を紹介しまシタ。今回は2nd『Mahogany Soul』(2001年)っす。

前回も紹介したように、Angie Stoneは僕にとって、かなり年齢不詳な人だった。70年代後半にはデビューしているのに、1974年生まれのD'Angeloと付き合い、ってことは????なんてカンジでした。

女性の年齢を調べるなんて大変失礼なのですが、どうしても気になって仕方なかったので、今回Wikipediaで調べてみたら1961年1月生まれでした。思っていたよりも、かなり若かったというのが印象っす。このスベスベ肌もかなり納得デス。ということで肝っ玉母さん改め、姉さんと呼ばせていただきマス。

Angie姉さんのアルバムって、ダイナマイトソウルで押しまくる印象があるかもしれないけど、意外と70年代ソウル・ファンから今時R&Bファンまで対応する柔軟かつバラエティに富んだ作品に仕上がっていると思いマス。また、そのあたりをサラリとやってのけるのが彼女らしい。

本作『Mahogany Soul』も、そんなAngie姉さんの懐の深さを堪能できる1枚っす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Soul Insurance」
LaBelle「Lady Marmalade」からの引用である♪Hey Sista,Soul Sista♪という掛け声で始まるオープニング。タイトルも含めて、私こそがソウルの正しき継承者よ!とでも言いたげなAngie姉さんの自信が窺えマス。

「Brotha」
Raphael Sasdiqプロデュース曲。Raphaelらしい、まったりとしたネオソウルに仕上がっていマス。でも、この曲と言えば、かのAlicia KeysとEveをフィーチャーしたフロア仕様アップ・チューンのシングル・バージョン(Part II)をついつい聴いてしまいますよね。このシングル・バージョンは、本作のシークレット・トラックとして収録されていマス。Albert King「I'll Play The Blues For You」ネタ。

まぁ、アルバム・バーションとシングル・バージョンは別の曲という感覚で楽しむのが良いのでは?

「Pissed Off」
ゆっくり大きくグルーヴするミドル・チューン。個人的には、このタイプのミドルが一番Angie姉さんのスケール感の大きさと柔軟性の両面が出て、姉さんらしいのではと思いマス。

「More Than A Woman」
Calvin Richardsonをフィーチャーしたデュエット・ナンバー。元旦那のD'Angeloを彷彿させるグルーヴ感がとってもいいカンジっす。別れても、音楽性だけはしっかり吸収してしまうところが女性のたくましさか(笑)?

「Snowflakes」
「Easier Said Than Done」
70年代ソウルの香り漂うエレガントな2曲。Angie姉さん風格たっぷりの雰囲気のあるボーカルが実にマッチしていマス。「Snowflakes」 は、The Supremes「Let's Make Love Now」ネタ。

「Wish I Didn't Miss You」
O'Jays「Backstabbers」ネタが印象的なシングル・カット曲。ラテン・テイストのパーカッシブなグルーヴ感が僕好みっす。案外、Angie姉さんって、ラテン・グルーヴにピタッとハマるんだよね。本ブログでも紹介したAndrea Martinが作者に名を連ねているのが嬉しいですな。

「Bottles & Cans」
この曲もかなり70年代の雰囲気ですな。最近Bernard Edwards『Glad to Be Here』のエントリーの中でも紹介したRay Chewがストリングスのアレンジを担当していマス。

「The Ingredients Of Love」
Musiq(Soulchild)をフィーチャーしたナンバー。個人的にはアルバムで一番キャッチーな曲ではないかと思いマス。Freddie Hubbard「Red Clay」ネタ。それにしても、Alicia Keysといい、Musiqといい、美味しいところをうまく押さえていますなぁ。

「What U Dyin' For」
ATCQのAli Shaheed Muhammadプロデュースの怪しげなグルーヴ感が魅力の1曲。

「Makings Of You」
先日紹介したCurtis Mayfieldの名曲のカヴァー。インタールード的にサラッと仕上げてしますが、それが逆にインパクト抜群かも?

「20 Dollars」
Mary J. Blige「PMS」と同じAl Green「Simply Beautiful」ネタのイナたいソウル・ナンバー。どこかの記事で、この曲やオープニングの「Soul Insurance」でAngie姉さんのやり玉に挙がっているのはMJBだと書いてあった。個人的には二人共大好きなので、仲良くして欲しいものですな。

「Life Goes On」
D'Angeloとの別れについて歌ったナンバー。個人的にはアルバムで一番好きな曲かも?アコースティックなグルーヴ感が実に心地良いですな。

デビュー・アルバム『Black Diamond』(1999年)も、そのうち紹介したいですね。
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2007年02月24日

Donny Hathaway『Everything Is Everything』

記念すべきデビュー・アルバム!ここから新しいソウルの道が開けた☆Donny Hathaway『Everything Is Everything』
Everything Is Everything
発表年:1970年
ez的ジャンル:知的エモーショナル系ニューソウル
気分は... :今日は真面目に!

数日前、紹介しようと思ってスルーしてしまったDonny Hathawayの紹介っす。

Donny Hathawayは本ブログ2回目の登場デス。
前回はライブアルバム『Live』(1972年)を紹介しましたが、今回はスタジオ作の中からデビュー・アルバム『Everything Is Everything』(1970年)を紹介しマス。

子供の頃からゴスペル・グループで活動すると同時に、クラシックを学んでいたDonny Hathawayは、黒人大学の名門ハワード大学へ進む。ハワードでは、後に共演アルバムを制作するRoberta Flackとクラスメイトであり、本作でも数曲で共作しているLeroy Hutsonとルームメイトであった。

その後、Donnyはシカゴへ向かい、Curtis Mayfieldが設立したばかりのCurtomへ入社する。そこでアレンジャーとして活躍したDonnyは、King Curtisの紹介でアトランティックとの契約に成功し、デビュー作となる本作『Everything Is Everything』を発表した。

以前にも書いたが、Marvin GayeStevie WonderCurtis MayfieldDonny Hathawayというニューソウル四天王の中で、Donny Hathawayを聴く頻度が圧倒的に少ない。前回紹介した『Live』(1972年)だけは例外的に頻繁に聴きますが。

Donnyの音楽の最大の魅力は、意識的にポップでダンサブルな要素を排した音作りによる圧倒的な重量感だと思う。僕はその重さが決して嫌いな訳ではない。

ただし、ジャズにおけるJohn Coltraneと同じで、その重さをしっかり受け止めて聴きたいので、他のアーティストよりは聴く機会を選んでしまう。結果として、聴く頻度が少なくなってしまうのであろう。

『Live』を除くと、Roberta Flackとのデュエットアルバム『Roberta Flack & Donny Hathaway』(1972年)を聴く回数が一番多いかなぁ。でも、今回は『Everything Is Everything』を紹介しマス。振り返ると、やっぱりこのデビュー作にDonnyの魅力が凝縮されていると思いマス。

一般的には『Extension of a Man』(1973年)を最高傑作として紹介されるケースが多いけど、普段グルーヴ感のあるソウル/R&Bを聴いている人にとっては、『Extension of a Man』よりは『Everything Is Everything』の方がしっくり来るのでは?

全曲紹介しときヤス。

「Voices Inside (Everything Is Everything) 」
Donnyによる新しきソウルの道は、Richard Evans/Philip Upchurch/Ric Powell作のエモーショナルなナンバーで始まった。確かに同年代のソウル・アルバムとは異なる肌触りであることが、この1曲でわかりますね。ホーンセクションが印象的っす。

「Je Vous Aime (I Love You) 」
DonnyとLeroy Hutsonの共作曲。ジワジワと胸に響く感動に充ちた1曲。このジャズとゴスペルが融合したソウル・フィーリングというのはDonnyならではの味わいですね。「The Ghetto」を除けば、この曲が一番好きかも?

「I Believe to My Soul」
Ray Charlesのカヴァー。なかなかファンキーな仕上がり。Donnyの場合、カヴァー曲でさらにその魅力が増すのがスゴイですね。

「Misty」
お馴染みのジャズ・スタンダード。ジャズ・ピアニストの Erroll Garnerがシカゴに向かう飛行機の中から見た霧深い景色にインスパイアされて作曲したというこの曲は、まさにDonnyらしい選曲かもしれませんね。

「Sugar Lee」
ジャム・セッション風のインスト曲。重い雰囲気のイメージが先行するDonnyですが、実に楽しそうにヒートアップするDonnyの様子が窺えマス。

「Tryin' Times」
DonnyとLeroy Hutsonの共作曲。ジャジーでブルージーな味わいが実に洒落ている1曲。

「Thank You Master (For My Soul) 」
Donnyらしい崇高で、ずっしりとした重量感のあるゴスペル・フィーリングに溢れたバラード。中盤でのDonnyのピアノもなかなか素敵デス。

「The Ghetto」
DonnyとLeroy Hutsonの共作。シングル・カットもされまシタ。ラテン風味のクール・ファンクは、Donnyの重さが苦手という方も納得のグルーヴだと思いマス。僕もやっぱり本作ではこの曲を聴く頻度が圧倒的に多いですね。Ric PowellとHenry Gibsonのパーカッションがいいカンジっす。この路線を拡大していればDonny Hathawayというアーティストの印象もかなり変わっていたのでは?

Leroy Hutsonのバージョンはアルバム『The Man』で聴くことができマス。

「To Be Young, Gifted and Black」
Nina Simone作の黒人差別に対するプロテスト・ソング。本ブログでは以前にAretha Franklinのバージョンを紹介しましたね。Donnyの唱法やアレンジが実に曲とマッチしていますね!

Donnyの歌を聴きながら、今日は真面目に過してみようかな?
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2007年02月23日

The Byrds『Fifth Dimension』

新生Byrdsによるサイケデリック・ロックの先駆け的作品☆The Byrds『Fifth Dimension』
Fifth Dimension
発表年:1966年
ez的ジャンル:脱フォーク・ロック系ラーガ&スペース・ロック
気分は... :三茶面白い('◇')

昨晩は知人と三軒茶屋を探検(?)
隠れ家的な店をいくつか発見することができ、なかなかの収穫でシタ。
まぁ、探せばいい店はあるものですな。しばらく三茶探検が止められないカンジっす。

The Byrdsの3回目の登場デス。

これまで個人的に一番好きな4thアルバム『Younger Than Yesterday』(1967年)、フォーク・ロックのブームを作った1stアルバム『Mr. Tambourine Man 』(1965年)を紹介してきまシタ。今回はサイケデリック色を打ち出した3rdアルバム『Fifth Dimension』(1966年)を紹介しマス。

本作に先駆けてシングル・カットされた「Eight Miles High(邦題:霧の8マイル)」を最後に中心メンバーのGene Clarkがグループを抜け、Roger McGuinn(g、vo)、David Crosby(g、vo)、Chris Hillman(b)、Michael Clarke(ds)の4人体制となりました。

本作『Fifth Dimension』は、そうした事情を背景にグループ内のパワー・バランスがビミョーに変化した作品っす。特に、これまで目立つことが少なかったDavid Crosbyの存在感が増してきたのが大きな変化だと思いマス。

内容的には、2ndアルバム『Turn ! Turn ! Turn !』(1965年)までで確立したフォーク・ロック路線からの脱却を図り、インド音楽を影響を受けたラーガ・ロックや、宇宙を題材にしたスペース・ロックといった新たな取り組みが見られマス。こうした動きが1年後に大爆発するサイケデリック・ロック・ブームの先駆けとなりまシタ。

また、この時期にグループの中心人物Roger McGuinnがJohn Coltraneに傾倒し、そうしたモード・ジャズの影響が演奏面に反映されているのも本作の特徴ですね。

個人的には本作『Fifth Dimension』と次作『Younger Than Yesterday』の2枚こそがByrdsの頂点を示す作品だと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「5D (Fifth Dimension) 」
アインシュタインの相対性理論をテーマにしたMcGuinn作品のアルバム・タイトル曲。アルバム発表よくこの作品は“スペース・ロック”と称されるけど、全然宇宙の神秘を感じないところが面白いよね。ただし、楽曲としては、なかなか味わい深いものがありマス(笑)『Song Cycle』でお馴染みのVan Dyke Parksがキーボードで参加していマス。

「Wild Mountain Thyme」
「John Riley」
トラディショナル・フォークをメンバーがアレンジした2曲。前作までのByrdsらしいフォーク・ロックを堪能できマス。やっぱり、こういった典型を聴くとある意味安心してしまいますな。特に「John Riley」は好きだなぁ。

「Mr. Spaceman」
タイトルの通り、宇宙の旅について歌ったスペース・ロック。この曲も「5D (Fifth Dimension) 」同様に全然宇宙っぽくありません(笑)後のカントリー・ロック路線を予感させるようなカントリー・フレイヴァーの軽快なロックン・ロールに仕上がっていマス。Roger McGuinnの作品

「I See You」
McGuinnとDavid Crosbyの共作曲。サイケでモーダルな感じのサウンドが魅力の1曲。「Eight Miles High」がお好きな方は、セットで聴くと気に入る曲だと思いマス。

「What's Happening?!?! 」
David Crosbyが作曲し、リード・ボーカルを取るポップでサイケな作品。以前にブログで紹介したCrosbyのソロ・アルバム『If I Could Only Remember My Name....』(1971年)が好きな僕にとっては、CSN&Y時代のCrosbyよりも、この頃のCrosbyの作品の方が断然好きですね。

「Eight Miles High」
説明不要のラーガ・ロックの名曲。アルバムに先駆けシングルカットされ、全米チャートで最高14位を記録しまシタ。インド音楽とJohn Coltraneに影響を受けた、シタール風の12弦ギター・サウンドを中心にモーダルな演奏が堪能できマス。Byrdsの全楽曲の中で今でも最も鮮度の高い曲だと思いマス。

最初のロンドン公演の時の飛行機の旅のことを歌った曲ですが、ドラッグ体験を想像させるとして、一部の放送局では放送禁止となりまシタ。このあまりに魅力的なドラッギー・サウンドは確かに、ドラッグを連想させるよね(笑)

何度聴いても飽きない名曲中の名曲だと思いマス。

「Hey Joe (Where You Gonna Go)」
多くの歌手によって取り上げられたBilly Robertsのスタンダード。アルバム中一番ロックしている曲かもね。なかなかストレートでスリリングな演奏がカッチョ良いっす。

「Captain Soul」
ブルース・フィーリングたっぷりのインスト・ナンバー。Chris Hillmanのベースがいいカンジっす。

「2-4-2 Fox Trot (The Lear Jet Song) 」
ジェット機のパイロットと管制塔のやりとりが繰り返される遊び心一杯の1曲。

まぁ、Byrdsというのは、様々な顔を持つグループなので、カントリー・ロック路線の中期、LAロックの原型のような後期など、それぞれの好みに応じて、好きなアルバムがかなり分かれるグループなのではと思いマス。まぁ、そこがByrdsを聴く面白さですな。
posted by ez at 00:26| Comment(0) | TrackBack(1) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする