発表年:1976年
ez的ジャンル:クロスオーバー系シンガー・ソングライター
気分は... :Jacoはやっぱり凄いねぇ!
孤高のシンガー・シングライターJoni Mitchellの2回目の登場っす。
前回は、それまでのフォーク的なアプローチから、ジャズ、フュージョン、ロックなどの要素を取り入れて、一気にサウンドがカラフルになった人気作『Court and Spark』(1974年)を紹介しまシタ。
今回はジャズ/フュージョンへのアプローチを一気に強めた『Hejira』(1976年)デス。
本作の話題は何と言っても、Weather Reportなどでお馴染みの天才ベーシストJaco Pastoriusの参加ですね。
本作を皮切りに『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)、『Mingus』(1979年)、『Shadows and Light』(1980年)といったアルバムで、Joniとの絶妙なコンビネーションを見せると同時に、Joniの音楽性を1つ上のステージに引き上げたと思いマス。
僕の場合、Jacoとのコラボということで言えば、よりJacoの存在感が大きくなった『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)の方を聴く回数の方が多かったんだけど、たまたま『Hejira』を久々に聴いたら、ハマってしまいまシタ。
各曲が実にシンプルで落ち着いた演奏なんだけど、不思議な浮遊感と深みが魅力となっていマス。
『Court and Spark』でカラフルになったサウンドから余計なものを削ぎ取ったカンジでしょうか?
Joni Mitchell(g、vo)とJaco Pastorius(b)以外のメンバーは、John Guerin(ds)、Bobbye Hall(per)、Max Bennett(b)、Larry Carlton(g)、Chuck Domanico(b)、Abe Most(cl)、Neil Young(harmonica)、Victor Feldman(vib)、Tom Scott(sax)、Chuck Findley(tp)といったメンバーっす。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Coyote」
シングルにもなったオープニング曲。個人的にもアルバムで一番のお気に入りっす。Larry Carltonのギター、Jaco Pastoriusのベース、Bobbye Hallのパーカッションというシンプルなバック陣を従えて、時にはラップのようにも聴こえるJoniの自由奔放な歌が縦横無尽に駆け巡りマス。シンプルなバックだからこそJacoのベースに魅了されますねぇ。フォーキー系のフリーソウルが好きな人は絶対に気に入る曲だと思いマス。
「Amelia」
落ち着いた雰囲気の中にも何か強さを感じる1曲ですな。この曲がアルバムで一番のお気に入りという方も多いのでは? Larry Carltonのギターと Victor Feldmanのヴァイヴの絡みが非常にいい感じデス。
「Furry Sings the Blues」
1920年代のメンフィス・カントリー・ブルースを代表するシンガー/ギタリストFurry Lewisについて歌った曲。Neil Youngのハーモニカがグッド!
「Hejira」
まさにJoni Meets Jacoといった趣のタイトル曲。ピンと張り詰めた静寂の中で、くっきりと浮かび上がるJoniの歌とJacoのベースがサイコーっす。
「Song for Sharon」
僕はJoniの深い霧の中で不安と希望が入り混じっているような哀愁感が好きなんだけど、そんな雰囲気を堪能できる1曲。
「Black Crow」
落ち着いた雰囲気の曲が多い中で、この曲は激しいですね。何といってもJoni、Larry、Jacoの三人だけの演奏が何といっても聴きものですね。全然飽きません。
「Blue Motel Room」
Norah Jonesあたりを聴く人が好きそうなしっとりメロウな仕上がりの曲。あまりJoni Mitchellらしくないかなぁ?
「Refuge of the Roads」
完成度という点ではこの曲が一番かもしれませんね。曲の良さ、Joniの歌、Jacoのベースをはじめとするバックの演奏、全てがうまくかみ合っている気がします。『Court And Spark』では大活躍だったTom Scottがようやく登場してきマス。
本作の邦題は『逃避行』♪僕は逃避行はしないけど、よく雲隠れしマス(笑)