発表年:2002年
ez的ジャンル:サイケデリック・ダンス系ドラッギー・ロック
気分は... :脳内トロトロ...
Primal Screamの2回目の登場っす。
前回は90年代を代表する問題作となった『Screamadelica』(1991年)を紹介しました。今回は2002年に再び『Screamadelica』のような衝撃を与えてくれた快心作『Evil Heat』っす。
『Screamadelica』(1991年)以降、『Give Out But Don't Give Up』(1994年)ではスワンプ・ロック、『Vanishing Point』(1997年)ではダブに傾倒したBobby Gillespieが、『Xtrmntr』(2000年)で再び鋭角なメスを持ったデジタルでパンクなロック・サウンドで音楽シーンを切り裂いた。
その『Xtrmntr』の鋭さはそのままに、ジャーマン・テクノやサイケデリックなスパイスを効かせたアルバムが本作『Evil Heat』っす。
2000年代に入り、数えるほどしかロックの新作を聴かなくなった僕だが、Primal Scream(というかBobby Gillespie)の動向はとても気になる。以前にも書いたかもしれないけど、Bobby Gillespieには60年代を代表するカリスマDoorsのJim Morrisonの姿をダブらせてしまいマス。なんか、とっても危ういカンジが刺激されるんだよねぇ。
思えば、最近のロック・ミュージシャンの中でBobby Gillespieほど雰囲気を持った人って、なかなか居ない気がするなぁ。あのヘロへロでダメダメだけど凄いぜぇ!カンジが個人的には大好きっす。
本作のプロデュースは、Two Lone Swordsmen (Andrew Weatherall and Keith Tenniswood)、サブメンバーでもあるMy Bloody ValentineのKevin Shields、Jagz Kooner☆『Screamadelica』好きは、やっぱりAndrew Weatherallに期待しちゃうし、Kevin Shieldsは本作の魅力であるサイケ感覚の仕掛人、Jagz Koonerには『Xtrmntr』の刺激を再び!ってカンジでしょうか。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Deep Hit Of Morning Sun」
ドープでラリラリ&ヘロへロなサイケデリック・ナンバー。Bobby曰く“過去最高の表現ができた一曲”♪確かにこのサイケ感覚は尋常じゃないよね!さすがKevin Shields、納得です。
「Miss Lucifer」
先行シングルにもなったパンクでアナーキーなデジタル・ロック。他のロック・バンドがこの手の曲をやると、違和感を感じることが多いんだけど、彼らが演るとピタッとハマるねぇ。Jagz Koonerプロデュース。
「Autobahn 66」
タイトルからも察しがつくように、KraftwerkやNEU!といったドイツのテクノ・グループを意識したナンバー。知らぬ間に、このサイケでテクノなループが脳内でグルグル回っている。中毒になる1曲ですな。
「Detroit」
Bobbyがかつて在籍していたグループJesus and Mary ChainのJim Reidをボーカルでフィーチャーした1曲。Kevin Shieldsプロデュースらしい怪しげでドープなサウンドに仕上がっていマス。
「Rise」
ご存知の通り、当初は「Bomb The Pentagon」というタイトルであったため、、9.11同時多発テロの発生と同時に物議をかもした1曲。その後歌詞の一部が変更され、タイトルも「Rise」と改められた。曲自体は、ノイジーだけどキャッチーなガレージ・ロック風の仕上がりっす。
「The Lord Is My Shotgun」
ゆったりとしたリズムの中で響き渡るノイジーなサウンドが印象的な曲。Robert Plantがハーモニカで参加していマス。
「Some Velvet Morning」
ボーカルにスーパーモデルKate Mossをフィーチャーしたことで話題となったナンバー。ちなみにこの曲のオリジナルはNancy Sinatra & Lee Hazlewoodっす。BobbyはKateのことを“若い頃のNicoみたい”と言っていたようだけど、Kateのど素人で刹那的なボーカルは確かにNicoみたいですな。チープなエレポップ・サウンドが哀愁感を増幅してくれマス。
「Skull X」
アルバム中一番ロックしている1曲。ラウドでノイジーな仕上がりが何ともカッチョ良いっす。やっぱり、こういったゴキゲンなナンバーも1、2曲聴きたいよねぇ!
「A Scanner Darkly」
映画『Blade Runner』の原作者Philip Kindred Dickの作品「A Scanner Darkly(暗闇のスキャナー)」にインスパイアされた曲なのだとか。「Autobahn 66」同様にジャーマン・テクノの影響が色濃く出た仕上がりになっていマス。
『Xtrmntr』、『Evil Heat』の2枚は僕の固まった脳ミソをムース状にトロトロにする刺激を持った数少ない2000年代ロック・アルバムなのデス。