発表年:1972年
ez的ジャンル:インド瞑想系ジャズロック
気分は... :迷いを吹っ切ろう!
John McLaughlin率いるMahavishnu Orchestraっす。
John McLaughlinは70年代のジャズ/フュージョン界で一世を風靡したギタリストですね。
イギリス出身のJohn McLaughlinは、ジャズにロック的なテクニックを駆使したギター・プレイを導入し、モーダルかつフリーキーなフレーズでジャズ/フュージョンにおけるエレクトリック・ギターの在り方を強烈に示してまシタ。
1969年にTony WilliamsのグループLifetimeへの参加で注目を浴びたMcLaughlinは、『In A Silent Way』、『Bitches Brew』、『A Tribute to Jack Johnson』、『On The Corner』等Miles Davisのエレクトリック・マイルス時代の主要作品でのプレイで、名声を一気に高めました。
そして、Milesとのセッションで一緒だったBilly Cobham(ds)らと自身のグループMahavishnu Orchestraを結成し、ジャズロックを代表するグループとして人気を博しまシタ。ちなみに“Mahavishnu”とは、インド音楽、哲学、宗教に傾倒していたMcLaughlinがヒンズー教の導師Sri Chinmoyから贈られた名前デス。
また、1973年にはMcLaughlinと同じくインド思想に傾倒していたCarlos Santanaとの共演作『Love,Devotion and Surrender』(1973年)も発表していマス。ちなみにMcLaughlin同様にCarlos Santanaも導師Sri Chinmoyから“Devadip”の名を贈られていマス。
その後、Mahavishnu Orchestraの活動に区切りをつけ、1975年にインド人ミュージシャン達とのアコースティックなグループShaktiを結成するといった具合いに、70年代半ばまでのMcLaughlinの活動は実に勢力的でシタ。
きっと、リアルタイムでMcLaughlinを聴いていたオールド・ファンの方にとっては、後追いで聴いた僕のようなリスナー以上に、McLaughlinはセンセーショナルな存在だったのではと思いマス。
僕の場合、McLaughlinに特別思い入れがあったわけではありませんが、今回我が家のコレクションを眺めてみたら、案外McLaughlin作品を保有していることに気付きまシタ。
Mahavishnu Orchestraでは『The Inner Mounting Flame』(1971年)、『Birds of Fire』(1972年)、『Apocalypse』(1974年)、『Visions of the emerald beyond』(1975年)、『Inner Worlds』(1976年)の5枚、Shaktiの『Shakti with John McLaughlin』(1975年)、『Natural Elements』(1977年)の2枚、それに前述のCarlos Santanaとの共演作『Love,Devotion and Surrender』(1973年)、さらにはLifetime、Miles Davisの諸作を加えると結構な枚数になります。
そんなMcLaughlin作品の中から、Mahavishnu Orchestra『Birds of Fire』(1972年)をセレクト。
凄腕のメンバーによる暴走ギリギリのスリリングな演奏でジャズ・ファンの度肝を抜いたデビュー作『The Inner Mounting Flame』(1971年)で、ジャズ/フュージョン界にセンセーショナルを起こしたMahavishnu Orchestra。本作『Birds of Fire』は『The Inner Mounting Flame』に続く2ndアルバムっす。
本作『Birds of Fire』も『The Inner Mounting Flame』同様に、ジャズ・シーンにかなりのインパクトを与えた作品だったようですね。
本作のメンバーは1st同様に、John McLaughlin(g)、 Jan Hammer(key)、 Jerry Goodman(vio)、 Rick Laird(b)、Billy Cobham(ds) の5人。
1stと比較して、よりインド音楽/思想の影響が強く反映されているという印象でしょうか。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Birds of Fire」
ドラの音と共に始まるエキゾチックなタイトル曲。McLaughlinのギターとGoodmanのバイオリンが激しいインタープレイを堪能できマス。テンション高いのにミステリアスな雰囲気がいいですね。Aceyalone「The Hunt」の元ネタです。
「Miles Beyond」
Jan Hammerの美しいエレピが印象的な1曲。へヴィーなのにエレガントで落ち着いた雰囲気があるのが好きデス。A Tribe Called Quest「Same Ol' Thing」でサンプリングされていマス。
「Celestial Terrestrial Commuters」
インド志向が反映されたジャズロック。ムーグとバイオリン、ギターの絡みが東洋的なスペイシー感を生み出していますね。この神秘的なムードが大好きデス。
「Thousand Island Park」
McLaughlinアコギとJan Hammerのピアノが美しく絡むメランコリックな1曲。
「One Word」
本作のハイライトといえる1曲。このグループの持つスリリングかつ神秘的な演奏が堪能できる作品。この曲を聴けば、このグループがジャズロックの最高峰であることが納得できますね。
煽るようなギター、バイオリン、ムーグの応酬もすごいけど、Billy Cobhamのドラムが凄すぎですね。Mahavishnu Orchestraってプログレ・ファンの方からの支持も高いけど、この曲なんてKing Crimsonあたりが好きな人にはたまらない1曲なのでは?
「Sanctuary」
インド志向のスピリチュアルな作品ですね。目を閉じて瞑想しながら聴きたくなりマス。
「Open Country Joy」
カントリー・フレイヴァーの前半が終了し、一瞬の沈黙の後にハードな中盤へ突入し、後半は再び穏やかなムードというドラマチックな展開の1曲。
「Resolution」
ロック色の強いへヴィーな1曲。この重く、美しく、陰鬱な演奏はモロにプログレって感じですね。Dilated Peoples「Work the Angles」の元ネタです。
本作や『The Inner Mounting Flame』といった初期の作品の評価が高いMahavishnu Orchestraですが、個人的には、よりポップになった後期の『Visions of the emerald beyond』(1975年)、『Inner Worlds』(1976年)あたりも結構好きだったりしマス。
『Inner Worlds』収録のポップでメロウなボーカル・ナンバー「River of My Heart」が大好きだったりしマス。軟弱かな?(笑)