発表年:1998年
ez的ジャンル:シカゴ音響派ポスト・ロック
気分は... :あなたと相手の間合いは?
子供の頃に剣道を習っていた。
その経験の中で最も勉強になったことが“間合い”だ。
間合いとは、自分と相手の距離のことである。
上達者ほど、この間合いの取り方がうまい。
これは剣道のみならず、人間関係にもいえることだ。
人付き合いの上手い人ほど、自分と相手の心の距離感に心配りできる。
自分と相手の心が歩み寄るタイミングと距離を見誤らず、相手とシンクロできるというカンジかな。
逆に、人付き合いの下手な人ほど、この距離感に鈍感である。
相手の心の中に、不意に土足で踏み込んでしまい、相手との距離感が縮まるどころか大きく離れてしまうというカンジでしょうか。
あなたとあなたの大切な人の間合いは適切ですか?
さて、今日はキャッチーかつアバンギャルドな作品が聴きたい気分!
ということでGastr Del Sol『Camoufleur』(1998年)をセレクト。
Gastr Del Solは、 David GrubbsとJim O'rourkeのユニット(O'rourkeは2ndアルバムからの参加)。シカゴ音響派の第一人者であるJim O'rourkeのグループということで注目を集めていましたね。
90年代後半から2000年代初頭にかけては、Gastr Del Sol、Jim O'rourke、Tortois、Sea and Cake、Sam Prekop、The Aluminum Groupといったシカゴ系のポスト・ロックをよく聴いていまシタ。
仕事しながら聴いたり、本を読みながら聴いたり、ボーッとしながら聴いたりと、“ながら聴き”でこれらのポスト・ロックを流していた記憶がありマス。
この頃の僕は、ロック(特にアメリカン・ロック)は殆ど聴かず、R&B/クラブ系の音楽ばかり聴いていた。
ロックに全く興味がなくなったわけではなかったけど、聴くに値する作品になかなか出会えないというカンジだったかなぁ。聴く作品どれもマンネリを感じずにはいられなかったんだよね。
そんな時に出会ったのがこれらのシカゴ音響派のポスト・ロック作品だった。従来のロックの記号とは、全く新しい記号を用いているカンジがして新鮮でしたね。
僕がシカゴ音響派系の音楽を聴くきっかけとなったのが、1998年に発表されたTortois『TNT』とGastr Del Sol『Camoufleur』の2枚です。
2枚ともジャケからしてアバンギャルドでインパクトありましたね(笑)
『Camoufleur』はGastr Del Solとしてのラスト・アルバムとなりましたが、僕のように本作からシカゴ音響派にハマっていった人も多かったのではと思いマス。
『Camoufleur』を聴いて思ったのは、案外静かで聴きやすい音楽というカンジだったかなぁ。音楽雑誌の予備知識で、かなり小難しいサウンドを予想していたんだけど...
前衛的だけど瑞々しさを感じるところが好きですね。
OvalことMarkus Poppが参加し、効果的に電子音やノイズを使い、アバンギャルドな雰囲気を盛り上げてくれていマス。TortoisのJohn McEntireなども参加していマス。
全曲紹介しときやす。
「Seasons Reverse」
Markus Poppも参加している1曲。電子音に加え、フリーキーなホーン、スティール・ドラムも混じってゴッタ煮状態なんだけど、そんなクドさを感じないスッキリ感があるから不思議。
「Blues Subtitled No Sense of Wonder」
静寂感の中でジワジワと表情が豊かになってくる展開が魅力の1曲。
「Black Horse」
牧歌的な味わいのフォーキー・チューン。中盤以降のアルペジオがとても新鮮ですね。
「Each Dream Is an Example」
ノスタルジック・ムード漂う1曲。僕が好きなパターンのユラユラとした浮遊感のある1曲。
「Mouth Canyon」
O'rourkeのボーカルも聴ける味わい深いリリシズムに充ちたナンバー。
「Puff of Dew」
Markus Poppらしい電子音とノイズが飛び交う1曲。アルバム中一番アバンギャルドかもね?
「Bauchredner」
美しく響くアコギの音色に吸い込まれそうな1曲。ミニマルな前半をボーッと聴いていると、後半のキャッチーなリズムへガラッと変わる瞬間はハッとしますね。
もう今週で3月もおしまいですね。
月末までに、やるべきことをやるために気合いを入れようっと!