2007年04月30日

Bob Dylan & The Band『The Basement Tapes』

DylanとThe Bandによるルーツ探索の実験☆Bob Dylan & The Band『The Basement Tapes』
The Basement Tapes
発表年:1975年
ez的ジャンル:ルーツ探索系ロックセッション
気分は... :地下で何が...

偉大なるロック詩人Bob Dylanの3回目の登場デス。

『Highway 61 Revisited』(1965年)、『Hard Rain』(1976年)に続く3枚目は、The Bandとの地下室での音楽的実験『The Basement Tapes(邦題:地下室)』(1975年)デス。

ファンの方はご存知の通り、フォークからロックへの移行し、その地位を確立した2枚組大作『Blonde on Blonde』(1966年)発表から2ヵ月後の1966年7月、別荘のあるウッドストックの路上でバイクの転倒事故に遭ったDylanは瀕死の重傷を負う。

ロック界の時の人Bob Dylanはシーンから忽然と消え、静養を兼ねた隠遁生活に入る。この間、マスコミをシャットアウトしたため、死亡説、廃人説なども流れた。

Dylanがシーンに戻ってくるのは約1年半後の1967年暮れである。そして発表された作品がカントリーの本場ナッシュビルで全曲録音された『John Wesley Harding』。ロック界での成功を印象づけた『Blonde on Blonde』に対して、新作を貫いたのはカントリー・フレイヴァーであり、Dylanの変化を感じさせるものであった。

この『Blonde on Blonde』『John Wesley Harding』とのギャップを埋めてくれる作品が1975年に発表された『The Basement Tapes』である。

バイク事故の隠遁生活の間、Dylanはおとなしく静養していただけではなかった。ある程度回復した1967年6月から11月にかけて、ウッドストック郊外の“Big Pink”と呼ばれた借家の地下室に籠もり、Dylanは音楽実験を試行していた。この時に一緒にセッションを重ねたのがThe Hawks(後のThe Band)のメンバーである。

このセッションの成果は、The Bandのデビュー・アルバム『Music From Big Pink』(1968年)として発表される。本ブログでも紹介したとおり、この作品で演奏されたルーツミュージックは多くのミュージシャンに多大な影響をもたらし、シーン全体を南部へと向わせた。

一方で、この時のDylanの成果は公になることはないままであった。しかし、1968年にRolling Stone誌がこの私的セッションの事実を公表すると、一部がデモテープとして業界内で出回り、1969年には『Green White Wonder』というタイトルの海賊盤も発表される。

このように正式に作品が発表されないまま、この地下室でのセッションを音楽シーン全体に影響をもたらすこととなった。

そして、1975年にこのセッションの模様が『The Basement Tapes』として発売されることとなる。

大分長くなりましたが、この作品が生まれた経緯はこんなカンジです。
ファンの方が書けば、背景にはもっといろいろあるのかもしれませんが...

発売タイミングの遅れや、私的レコーディングによる音質の悪さなども手伝って、ファンの間でもこの作品は賛否両論みたいですね。“悪くはないけど、それほど騒ぐほどでもない”といったビミョーなニュアンスの評価が結構多いのかなぁ?

確かに、本作が発表された1975年前後のDylanは、『Planet Waves』(1974年)、『Before the Flood』(1974年) 、『Blood on the Tracks』(1975年)、『Desire』(1976年)、『Hard Rain』(1976年)と全キャリアを通じてもかなりの充実期で、敢えて過去のレコーディング作品へ向う必然性は感じられない気もしますね。

でも、個人的にはこの作品は結構好きだなぁ。単純だけど、Dylanだけではなく、The Bandとセットになっているのが大きいかも?

全24曲中8曲は、The Band単独のものです。Dylanマニアではない僕は細かいことにはあまり関心がないのですが、全てがBig Pinkで録音されたものではなく、後にオーバーダブされた箇所もかなりあるみたいです。

まぁ、ずらずら書いてきましたが、余計な予備知識ナシでも十分楽しめる1枚っす。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Odds and Ends」
本作のオープニングにぴったりのタイトル(残りもの)ですね。ノリがいいけど、コクもあるご機嫌なロック・チューン。Robbie Robertsonのギターがいいね!(オーバーダブみたいだけど)

「Orange Juice Blues (Blues for Breakfast) 」
The Band単独曲(Richard Manuel作品)。二日酔い気分のブルースってカンジでしょうか。でも、この少し洒落たムードのブルージー感覚は『Music From Big Pink』にはないかも?

「Million Dollar Bash」
Dylanらしい作品ですね。Dylan一人で弾き語りでも良さそうだけど、The Bandが加わることで芳醇さが増すカンジがいいですね。

「Yazoo Street Scandal」
Robbie RobertsonのペンによるThe Band単独曲。かなりカッチョ良い曲ですね。Beatles「Come Together」を南部ロック・テイストにしたカンジが好き(ヘンな説明でゴメンナサイ)。

「Katie's Been Gone」
The Band単独曲(Richard Manuel作品)。Richard ManuelはRay Charlesから影響を受けているらしいみたいですが、そんなブラック・フィーリング溢れたボーカルを堪能できマス。

「Lo and Behold」
以前にも書いたけど、僕はDylanを聴いているとあの独特のトーキング・スタイルがラッパーに思えてくることがある(笑)この曲もそんなDylanに出会えます。

「Bessie Smith」
Robbie RobertsonとRick Dankoの共作によるThe Band単独曲。The Band好きの人は安心して聴ける1曲。あの荘厳で哀愁感漂う演奏とボーカルを堪能できマス。

「Tears of Rage」
『Music From Big Pink』のオープニングも飾ったDylanとManuelの共作曲。哀愁漂うオルガンとアコーディオンが印象的デス。本作のハイライトの1つですな。

「Too Much of Nothing」
不安感を煽るコード進行が全然Dylanらしくない1曲。全体を覆うクールでダークな雰囲気が実に興味深いですね。

「Ain't No More Cane」
トラディショナル・ソングをThe Bandをアレンジしたもの。The Bandらしいアーシーなコクと深みがなんともシブいです。

「You Ain't Goin' Nowhere」
「Nothing Was Delivered」
The Byrdsのカントリー路線アルバム 『Sweetheart of the Rodeo』で取り上げられた2曲。本作の影響力の大きさを窺えますね。The Byrds自体は大好きだけど、このカントリー路線はあまり好きではないというビミョーな心境の僕なのですが(笑)

「Long Distance Operator」
Dylan作品をThe Band単独で演奏したもの。へヴィーな南部ロックらしい演奏を聴くことができマス。

「This Wheel's on Fire」
『Music From Big Pink』にも収録されたDylanとDankoの共作曲。言わずもがなの名曲ですね。

本セッションでDylanを代表する名曲も「I Shall Be Released」レコーディングされていたのですが、何故か本作には収録されていません。

このように書いてきて、Dylan以上にThe Band単独曲への関心が高いのかなぁと思えてきました。

それにしても、ロック界全体がサマー・オブ・ラブで浮かれていた1967年に、地下室でこんなアプローチをしていたいうのが興味深いですな。サイケとフラワーが支配していた時代に、表舞台から姿を消していたというのは、戦略的にも正解だったのでは?
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2007年04月29日

Prince『Prince』

初々しい殿下の変態ぶり(?)が微笑ましい(笑)☆Prince『Prince』
愛のペガサス
発表年:1979年
ez的ジャンル:ペガサス系R&B
気分は... :初心に戻る...

昨日は朝までコースで出歩いていた影響で1日寝ていました。
う〜ん、時間が勿体なかったけど、天気も悪かったし、まぁいいっか。
その分、今日から気合い入れようっと。

さて、Prince殿下3回目の登場デス。

『1999』(1982年)、『Sign O' The Times』(1987年)に続いて紹介するのは『Prince』(1979年)。

以前のエントリーでも書いたとおり、Prince殿下の最高傑作は『Sign O' The Times』、今の僕の音楽嗜好に合っているのは『Controversy』(1981年)、『1999』の2枚というカンジです。

しかしながら、僕が最も頻繁に聴く殿下の作品は実は本作『Prince』(1979年)だったりしマス。

『Prince』はデビュー作『For You』(1978年)に続く2ndアルバム。

いきなりセルフ・プロデュース&セルフ・レコーディングでセンセーショナルにデビューした『For You』でしたが、商業的には成功したとはいえませんでした。

そのため、巻き返しを図ったのが本作です。そんなことを踏まえてか、殿下独特の変態チックなファルセット・ボーカル全開ながら、案外キャッチーな楽曲が並び、聴きやすいアルバムに仕上がっていマス。勿論、本作もセルフ・プロデュース&セルフ・レコーディング。

そんな努力の甲斐あってか、R&Bアルバムチャート第3位、ポップアルバムチャート第22位まで上昇するヒットとなりまシタ。

本作の邦題は『愛のペガサス』。裏ジャケの一糸まとわず白馬(ペガサス)にまたがる殿下の姿はらしいですね。

全曲紹介しときやす。

「I Wanna Be Your Lover」
アルバムからのリード・シングルとして全米R&Bチャート第1位、ポップチャート第11位となったポップなダンス・チューン。明るく軽快なトラックと殿下のファルセット・ボーカルが実にマッチしていマス。シンセの印象的な後半のインスト・パートもなかなかです。

もしかしたら、この曲が殿下の曲で一番好きかも。本曲と「I Feel for You」が一番聴いている殿下の曲だと思います。後にポップ/R&B界の人気を二分することとなるMichael Jacksonの「Rock with You」と少し雰囲気が似ているのが面白いですな。

殿下へのトリビュート・アルバム『Party O' The Times: A Tribute To Prince』の中でLoleatta Hollowayがカヴァーしていますね。それ以外にもChristinaなどのカヴァーがあります。

「Why You Wanna Treat Me So Bad? 」
この曲もシングルカットされ、全米R&Bチャート第13位まで上昇しまシタ。ロック色の強いアップ・チューン。ギターソロもなかなか決まっていマス。

「Sexy Dancer」
ごきげんなファンク・チューン。R&B的な視点で聴くならば、この曲が一番カッチョ良いかもね。

「When We're Dancing Close and Slow」
殿下らしい変態チックなスロウなんだけど、妙な初々しさも感じてしまいますね(笑)

「With You」
個人的に『The Black Album』収録の「When 2 R in Love」のような孤独感の漂うスロウが好きなんだけど、その予兆が垣間見れる1曲ですね。Jill Jonesがカヴァーしています。

「Bambi」
ロックしているバラッド。ロックとして聴けば、それなりに楽しめるかも?ギタリストとしての欲求を満たすために、こうした曲やギターソロは必要なのかもしれませんね。

「Still Waiting」
シングルカットされたメロウなスロウ。殿下にしてはちょっと可愛いすぎる感じがしますが(笑)

「I Feel for You」
Chaka Khanのカヴァー(1984年)の大ヒットで一躍有名になったダンス・クラシック。僕もChakaのヒットからオリジナルを求めて、本アルバムに辿り着き、ハマっていったというカンジでした。作りこまれたChakaのバージョンにはない、未完成感が魅力のオリジナル・バージョンだと思いマス。

また、Chaka Khanに先駆けて1982年にPointer Sistersもカヴァーしていましたね(アルバム『So Excited!』収録)。こちらはオリジナルの雰囲気に近いカンジですね。

「It's Gonna Be Lonely」
アルバムのラストもロンリーなバラッド。こうして眺めると、案外スロウ系の曲が多いアルバムですね。

本作の成功で自信を深めた殿下は、『Dirty Mind』(1980年)、『Controversy』(1981年)と性愛路線を突っ走ることとなりマス。
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2007年04月28日

Consequence『Don't Quit Your Day Job!』

ついにメジャーデビュー!90年代のHip-Hop黄金期を思い出すね☆Consequence『Don't Quit Your Day Job!』
Don't Quit Your Day Job
発表年:2007年
ez的ジャンル:グッドミュージック系Hip-Hop
気分は... :ついにメジャーだぜぃ☆

今朝は朝4時まで三軒茶屋で飲んでいまシタ。
全然GW気分ではないんだけどねぇ。

今回、最近一番お気に入りのHip-HopアルバムConsequence『Don't Quit Your Day Job!』です。

本ブログでは以前にジャケ・ネタのエントリーの中で、本ブログでも大人気のA Tribe Called Quest『Midnight Marauders』をパロッたにしたジャケで話題になった『A Tribe Called Quence』(2005年)を紹介したことがありマス。

Consequenceは、ATCQQ-Tipの従兄弟であり、前述のATCQ『Midnight Marauders』からのシングル「Award Tour」のB面曲「The Chase Part 2」への客演でシーンに登場しまシタ。

その後、ATCQの4thアルバム『Beats, Rhymes & Life』(1996年)へ参加した後は不遇の年月を過すことになりマス。

しかし、Kanye Westとの出会いがConsequenceに転機をもたらしまシタ。Dweleのシングル「Hold On」のリミックスやKanyeの大ヒット作『The College Dropout』の収録曲「Spaceships」への参加を経て、KanyeのレーベルG.O.O.D.と契約を結び、2004年にアルバム『Take 'em to the Cleaner』を発表しまシタ。

そして、シーンへ登場してから10年以上の歳月を経て、念願のメジャーデビュー作である『Don't Quit Your Day Job!』の発表となりまシタ。

Kanye Westが3曲でプロデュースしているほか、KanyeファミリーのJohn Legendが2曲で客演しています。

メジャーデビュー作といっても、長いキャリアに裏打ちされた熟練の仕上がりがグッド☆大好きだった90年代Hip-Hop黄金期を思い出す作品ですな。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Job Song」
オープニングはBob James「Nautilus」を使ったクールな1曲。この大定番ネタをあえて使うあたりにConsequenceの自信を窺えますね。

「Don't Forget Em」
Kanye Westプロデュース。Milton Nascimento「Catavento」ネタのフルートの音色が涼しげなメロウ・チューン。iPodで「Job Song」、「Feel this Way」、「Disperse」と4曲セットで聴くのが僕のお気に入りパターンです。

「The Good, the Bad, the Ugly」
Kanye Westプロデュース。お得意の早回し(Al Green「I Wish You Were Here」ネタ)によるソウルフルなトラックを堪能できます。このパターンは聴き飽きた感じもしますが(笑)

「Pretty Sexy Little Mama」
ゆる〜い感じが魅力の1曲。Lamont Dozier「Trying To Hold On To My Woman」ネタ。

「Feel this Way」
John Legendをフィーチャーした涼しげユラユラ感が心地良いナンバー。清涼感のなかにもJohn Legendらしい温かみを感じるお気に入りの1曲です。

「Callin' Me」
Younglordプロデュースのリードシングル。僕が好きだった古き良きHip-Hopのノリでかなりいいですね。初めて聴いた時から、♪Get it get it now〜♪というライムの部分が空耳アワーで♪ギリギリマ〜ン♪と聴こえて、やけに印象に残っています

「Disperse」
Cru「Just Another Case」でも使われていたRhythm「The World Is A Place」ネタのトラックが何とも気持ちいいですな。GLC(Gangsta L. Crisis)とReally Doeフィーチャー。

「Uncle Rahiem」
幻想的なループを聴いているうちに、じんわりと高揚感がましてくるクセになる1曲。

「Grammy Family」
DJ Khaled、Kanye WestJohn LegendをフィーチャーしたKanye Westプロデュース曲。Kanyeらしいソウルフルな1曲ですね。Lou Rawls「You've Made Me So Very Happy」ネタ。

「Who Knew My Luck Would Change? 」
Luther Vandross「Love Won't Let Me Wait」ネタのトラックが何ともムーディーな、大人のムード満点のスウィートなメロウ・チューン。

最近のHip-Hopアルバムだと、Talib Kweli & Madlib『Liberatio』あたりもお気に入りデス。
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2007年04月27日

Airto Moreira『Samba de Flora』

UKジャズ・ダンスのクラシック「Samba de Flora」収録のブラジリアン・フュージョン☆Airto Moreira『Samba de Flora』
Samba de Flora
発表年:1988年
ez的ジャンル:クラブジャズ系ブラジリアン・フュージョン
気分は... :余計なことは考えない...

今回はブラジル生まれのドラマー/パーカッション奏者Airto Moreiraデス。

1941年生まれのAirtoは、奥方のFlora Purimと共に1968年に米国へ進出します。そして、Wayne Shorter(『Super Nova』等)やMiles Davis(『Live-Evil』等)のアルバムに参加した後、Weather Reportのデビュー作『Weather Report』(1971年)にメンバーとして名を連ね、さらにChick Corea率いるReturn to ForeverにFloraと共に参加しまシタ。

それ以外にもJohn McLaughlin、Jack DeJohnette、Cannonball Adderley、Keith Jarrett、Al Di Meola等数々の有名ミュージシャンとの共演を重ね、現在も勢力的に活動を続けていマス。

僕がAirto Moreiraについて知っていることはこれくらいですかね。
AirtoやFloraの名前はかなり前から知っているし、二人が参加している作品もそれなり持っているけど、いざ書こうとすると名前以外のことは案外知らないことに気付きまシタ。

そんな彼のソロ作の中から1988年発表の『Samba de Flora』をセレクト。

正直、Airtoのリーダー作は全く把握できていないので、本作『Samba de Flora』が何枚目のソロ作なのかわかりません。本作以外のAirtoのリーダー作だと『Fingers』(1973年)、『I'm Fine, How Are You?』(1977年)あたりしか頭に浮かばないのですが。

本作をどういう流れで購入したのか記憶が定かではありません。
僕がブラジル系の作品を購入するとすれば、ワールド・ミュージックの流れ、UKジャズ・ダンス・シーンの流れ、フリーソウルの流れ、ブラジリアン・フュージョンの流れといったあたりが考えられるのですが....どのルートも該当するような気がしマス。

逆に、多様な切り口からアプローチできるのが面白い作品なのかもしれませんね。

ジャケには奥方Flora Purimとアルゼンチン出身のキーボード奏者Jorge Daltoの名が大きくフィーチャーされていマス。ということでJorge Daltoのプレイにも注目かもしれませんね。

それ以外にも元Return to ForeverのJoe Farell、元Weather ReportAlphonso Johnson等がレコーディング・メンバーに名を連ねていマス。

決して、メジャーな作品ではないかもしれませんが、なかなか聴き応えのあるアルバムだと思いマス。

全曲紹介しときヤス。

「Parana」
このオープニングを聴くと、当時盛り上がっていたワールド・ミュージックの匂いがしますねぇ。日本人キーボード奏者ケイ赤城さんがシンセで参加していマス。

「Samba de Flora」
本作のハイライトとなるタイトル曲。UKクラブシーンではJazz系DJのキラーチューンとして人気の博した1曲。Basement Jaxxのクラブヒット「Samba Magic」の元ネタとしても有名ですね。クールに高揚してくるカンジがいいですね。パーカッション大好きの僕としては、パーカッションが主役なのがサイコーですね。

「La Puerta」
Jorge DaltoのピアノとAirtoのボーカルのみのムーディーな1曲。ボーカリストとしてのAirtoに注目しましょう。

「Dedos」
Flora Purimのボーカルをフィーチャーしたラテン・グルーヴ。ブラジルに止まらない汎ラテン的なカンジがいいですね。

「Yanah Amina」
Flora Purimの幻想的なボーカルに牽引される、独特の雰囲気をもったブラジリアン・グルーヴ。

「El Fiasco」
トランペットを大きくフィーチャーしたラテン・グルーヴ。特に後半のノリがカッチョ良いですな。

「Mulambo」
AirtoとFloraの夫婦デュエットが聴けるロマンティックでサウダージな1曲。Jorge Daltoのピアノもエレガントで美しいです!

「Latin Woman」
ブラジリアン・フュージョンらしい1曲。陽気なラテン・ウーマンのように明るく、楽しいカンジがいいですな。

そのうち、奥方Flora Purimの作品も紹介しますね。『Everyday Everynight』(1978年)、『Carry On』(1979年)あたりかなぁ。
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2007年04月26日

Johnny Bristol『Bristol's Creme』

メロウ&グルーヴなアーバン・ソウルに酔いしれる☆Johnny Bristol『Bristol's Creme』
Bristol's Creme
発表年:1976年
ez的ジャンル:メロウ&グルーヴ系アーバン・ソウル
気分は... :チェルシーか?リバプールか?

たった今、UEFAチャンピオンズリーグ準決勝1stレグ「チェルシー対リバプール」が開始したばかり。 昨日の「マンチェスターU対ミラン」もかなり好ゲームだけど、今日も好試合を期待しマス。メンバーが欠けているチェルシーが不利だけど...

今日は70年代ソウルでメロウな気分に浸りたいモード☆

そんな気分でCD棚の70年代ソウル・エリアをゴソゴソ探していたところ、この人を紹介し忘れていたことに気付いた...ということでJohnny Bristolの登場デス。

Johnny Bristol(1939-2004年)は、正統派ソウル・ファンからフリーソウル系、AOR系リスナーまで幅広い層に支持されているシンガー/ソングライター/プロデューサーですね。

60年代前半にJohnny & Jackeyとして活動した後、60年代後半からモータウンのソングライターとして活動を開始し、Marvin GayeStevie WonderDiana Ross & the SupremesSmokey Robinson & the MiraclesGladys Knight & the Pips等大物アーティストの作品に次々と関与し、頭角を表します。

ソロ・シンガーとしてのキャリアをスタートさせるためにモータウンを離れ、1974年にMGMから1stアルバム『Hang On In There Baby』を発表。タイトル曲がR&Bチャート第2位、ポップチャート第8位の大ヒットとなりまシタ。

2nd『Feeling The Magic』(1975年)発表後はアトランティックへ移り、3rd『Bristol's Creme』(1976年)、4th『Strangers』(1978年)という2枚の作品を残していマス。2004年に死去。享年65歳でした。

僕の場合、Johnny Bristolをきちんと認識するようになったのはフリーソウル・クラシックとして大人気の「Hang On In There Baby」を聴いてからですね。その後、前述のモータウン系の作品や本ブログでも紹介したJackson SistersBoz Scaggs『Slow Dancer』等に関与していることを知り、ますます興味を持つようになりまシタ。

そんなJohnny Bristolの作品を1枚選ぶとなると、『Hang On In There Baby』『Bristol's Creme』ということになるのですが、今日はメロウ気分なので『Bristol's Creme』に軍配!もし、ノリのいい70年代ノーザン・ビートが聴きたい気分ならば『Hang On In There Baby』なのですが...

『Bristol's Creme』は前述の通り、1976年に発表された3rdアルバムです。

メンバーもRay Parker, Jr.、David T. Walker、Willie Weeks、James Gadson、Ed Greene、Sonny Burke、John Barnes、Victor Feldman、Ernie Watts、Michael Boddicker等なかなか豪華な顔ぶれが揃っていマス。

ジャケの雰囲気そのままのメロウなアーバン・ソウルに仕上がっていマス。

全曲紹介しときヤス。

「Do It to My Mind」
アルバムからの1stシングルにもなったメロウなミディアム・グルーヴ。フリーソウルのコンピにも収録されているのでお馴染みの1曲ですよね。洗練されたバッキングもサイコーですね。「Hang On In There Baby」に引けをとらない名曲だと思いマス。

「I Love Talkin' Bout Baby」
ロマンティックなミディアム・スロー。この曲あたり聴いていると、BristolのボーカルってBill Withersに似ている気がしますね!

「I Sho Like Groovin' With Ya」
Bristolお得意のノーザンダンサーなメロウ・グルーヴ。リズム隊がカッチョ良いですね。エレガントなストリングスもグッド!かなりイケてる1曲だと思いマス。

「You Turned Me On to Love」
この曲もシングルカットされまシタ。アーバンな大人のスロウといったカンジでしょうか。AOR的に本作を聴きたい人あたりには、うってつけの1曲なのでは?

「She Came into My Life」
ノスタルジックなムード漂う味わい深い1曲。イナたくなる一歩手前みたいなさじ加減が絶妙ですね。

「Love to Have a Chance to Taste the Wine」
この曲もAOR向けのバラッドですね。(Bill WithersBoz Scaggs)÷2みたいなBristolのボーカルを堪能できマス。

「Baby's So Much Fun to Dream About」
個人的にはかなりお気に入りのメロウなミッド・グルーヴ。フリーソウルとAORのエッセンスのいいところ取りなカンジがサイコーですな。

「Have Yourself a Good Time Thinkin' Bout the Good Times」
Bristolらしい1曲ですね。スタイリッシュという点でがイマイチだけだど、良質のソウル・ミュージックという点はいい曲だと思いマス。フルートの音色が涼しげ。

本作をお気に入りの方は4th『Strangers』(1978年)もセットでどうぞ!
posted by ez at 03:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする