発表年:1973年
ez的ジャンル:ミラクル・ソウル/R&B
気分は... :全曲クラシック級♪
説明不要の天才アーティストStevie Wonderの3回目の登場デス。
以前にも書いた通り、Stevie Wonderのキャリアのピークは、『Music of My Mind』(1972年)から『Talking Book』(1972年)、『Innervisions』(1973年)、『Fufillingness's First Finale』(1974年)という所謂三部作を経て『Songs In The Key Of Life』(1976年)に至る5作品だと思う。
逆に、『In Square Circle』(1985年) 以降のStevieは正直購入してまで聴きたいとは思わない。最新作『Time To Love』(2005年)もCDショップで試聴したけど、食指は動かなかった。
まぁ、今のStevieに70年代のミラクルなパワーを求めること自体が無理なお願いであうことは十分承知しているんだけどねぇ...
ということで、ミラクルな5作品の中から『Innervisions』(1973年)を紹介します。
これまで本ブログでは、『Songs In The Key Of Life』(1976年)、『Talking Book』(1972年)の2枚を紹介してきまシタ。
個人的には、ポピュラー音楽史に残る完璧なアルバムが『Songs In The Key Of Life』、僕とStevieの最初の出会いとなった思い出のアルバムが『Talking Book』という位置づけですね。
それに対して『Innervisions』は、今時の若いR&Bリスナーの方にぜひ聴いてもらいたい、最も凄みのあるStevieに出会えるアルバムだと思いますね。
ポピュラー音楽全般に興味がある方には、『Songs In The Key Of Life』、R&B/Soulファンの方には『Innervisions』をイチオシするといったカンジです。
全曲クラシックと呼べるくらい、1曲1曲の作りが充実していますな。
『Talking Book』で開花したStevieのクリエイターとしての才能を思う存分見せつけてくれマス。
本作は第16回グラミー賞でAlbum Of The Yearを受賞しまシタ。
全曲紹介しときヤス。
「Too High」
イントロのムーグが実に印象的なオープニング。意表をつくスリリングな展開とクールな雰囲気が大好き!Tasha Thomasらの女性バック・コーラスが盛り上げてくれマス。レコードで初めて聴いた時には、左右に音が動くステレオ効果に感動したりもしまシタ。
The Detroit Experiment、Yesterdays New Quintet(Madlib)、Norman Brown等がカヴァーしたり、Alkaholiks「All Night」等でサンプリングされていマス。Porn Kingsによるアッパーハウスなんてのもありまシタ。
「Visions」
「愛の国」という邦題が似合う美しいナンバー。David T. Walkerが参加していマス。Dean Parksのアコースティック・ギターとDavid T. Walkerのエレクトリック・ギターの絡みが実にソフトで清らかデス。
Musiq、Yesterdays New Quintet(Madlib)、DUBSENSEMANIA feat.UAなどがカヴァーしていますね。また、Ginuwine「I'll Do Anything/I'm Sorry」、Mary J. Blige feat.John Legend「King & Queen」などでサンプリングされていマス。
「Living for the City」
シングルとして、全米R&Bチャート第1位、ポップチャート第8位となったヒット曲。「汚れた街」の邦題の通り、ミシシッピからNYへやって来た少年の視点を通じて、黒人が都会で暮らす困難さを浮き彫りにしマス。まさにニューソウル的な内容の1曲ですな。
淡々とスタートしつつ、徐々に高揚感が高まってくるカンジがいいですね。ムーグの音色が都会の不穏な空気感を見事に表現していますね。
Maynard Ferguson、Ike & Tina Turner、O'donel Levy、Troop/Levert/Queen Latifah(メドレー)、Totoなどがカヴァー。映画『New Jack City』で使われたTroop/Levert/Queen Latifahのメドレーは映画と見事にマッチしていましたね。また、Public Enemy「Black Steel in the Hour of Chaos」等でサンプリングされていマス。
「Golden Lady」
個人的には、アルバムで一番好きな曲。美しく、幻想的で、キャッチーなこの曲は、今から約25年前に初めて聴いタ時から今日まで、僕の心をギュッとつかんで離しません!
本曲のカヴァーといえば本ブログでも紹介したJose Felicianoのバージョンが超人気ですね。他にFrank McComb、Yesterdays New Quintet(Madlib)、Stefan Scaggiari Trio、Saigenji等がカヴァー。
「Higher Ground」
シングルカットされ、全米R&Bチャート第1位、ポップチャート第4位となったヒット曲。Stevieらしい独特のファンク・チューン。初めて聴いた時には、あまりいい曲だとは思わなかったけど、R&B/Funk好きになってからこの曲のブルージーな魅力を実感できるようになりまシタ。
本曲のカヴァーはRed Hot Chili Peppersのものが有名ですね。他にもJohnny Hammond、Fourplay、Eric Claptonがカヴァーしていマス。
「Jesus Children of America」
ゴスペル・タッチの崇高な雰囲気が魅力の1曲。BeBe WinansがStevie自身をゲストに迎えてカヴァーしていますね。
「All in Love Is Fair」
ただただ美しい感動的なバラッドですね。聴いているうちに、心の中が洗われて、ピュアな気持ちになってきますね。G.C.Cameron、Marc Anthonyがカヴァーしています。
「Don't You Worry 'Bout a Thing」
シングルとして全米R&Bチャート第2位、ポップチャート第16位となったサルサ・テイストのラテン・グルーヴ。「Golden Lady」と並ぶ僕のお気に入り曲です。Yusuf Roahmanのシェーカー、Sheila Wilkersonのボンゴがラテン・ムードを盛り上げてくれますね。
本曲のカヴァーといえばIncognitoが一番有名ですかね。他にもThe Main Ingredien、Weldon Irvine、Black Sugar、Cal Tajar & Carmen McRae、Sergio Mendes & Brasil '77、John Legend、Noa Noa等がカヴァー。
「He's Misstra Know It All」
隠れ名曲として密かに人気の高い1曲。Willie Weeksがベースで参加していマス。あらゆる面で計算され尽くされた完成度の高い曲ですな。素晴らしい感動と共に、このミラクルな1枚が幕を閉じます。
『Innervisions』というタイトルの通り、Stevieの内なるビジョンを見事にクリエイティブなサウンドとして昇華させたアルバムだと思いマス。
これを聴かないのは、特上大トロを食わないようなもの!ぜひご賞味を!