発表年:1978年
ez的ジャンル:3兄弟系AOR
気分は... :気分を取り直す意味で
今回はAORファンの間で絶大な人気を誇るGino Vannelliの代表作『Brother to Brother』(1978年)です。
僕はAORが好きだが、AORマニアではない。
AOR好きの人というのは、お洒落”“メロウ”“ロマンティック”“アダルト”“アーバン”といった言葉を連想させるキーボードを中心とした都会的で洗練されたサウンドが好きなのだと思う。僕もそういったサウンドが大好きだ。
一方で、そうしたサウンドがあまりに重視されすぎて、曲やボーカルは二の次といったカンジの作品も多い。
また、そうしたサウンドを支えるプロデューサー/ミュージシャンの名前がクレジットされているのみで“名盤”“傑作”の称号を与えられているケースも見受けられる。David Foster、Jay Graydonあたりが典型ですな。
どうもそのあたりの重箱の隅を突付くカンジに違和感を覚える僕なのでシタ...
さて、本日の主役Gino Vannelliです。
Gino Vannelliは1952年生まれのイタリア系カナダ人シンガーソングライター。1973年にデビューアルバム『Crazy Life』を発表していマス。
本音を言えば、この人もAOR好きの人に持ち上げられすぎ!というカンジですかね。
Gino Vannelliの作品は4、5枚持っていますが、悪くはないけど、特別騒ぐほど良くもないという印象です。
しかし、その中で唯一これは本当に名作だと思う作品が今回紹介する6thアルバム『Brother to Brother』(1978年)ですね。
本作では、これまでプロデューサーを務めてきた兄Joe Vannelliに、弟のRoss Vannelliも加わり、3兄弟の絆がミラクルな作品を生み出したというカンジですかね。
バックはCarlos Rios(g)、Jimmy Haslip(b)、Mark Craney(ds)、Joe Vannelli(key)、Victor Feldman(vib)、Ernie Watts(ts)、Manuel Brdrena(per)、Leon Gear(synb)といった布陣。特にギターのCarlosの活躍が目立ちますね。
ややもすると仰々しいサウンドが目立ってしまう人なのだけど、本作に限ってはそのあたりのバランスが絶妙だと思いマス。あとは楽曲も佳作が揃っているし、何よりGinoのボーカルが素晴らしいですね。
決して、雰囲気ではない、本格派のAORアルバムに仕上がっていマス。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Appaloosa」
ロックフィーリングのオープニング。本作におけるCarlos Riosの存在感の大きさを確認できる1曲ですね。
「The River Must Flow」
個人的には一番のお気に入り曲。ラテン・タッチのメロウ・グルーヴ。この曲なんかは若い音楽ファンの方にも気に入ってもらえるのでは?Judy Robertsもカヴァーしています。
「I Just Wanna Stop」
全米ポップチャート第4位となったGinoのキャリア最大のヒット曲(弟Rossの作品)。AORファンが喜ぶロマンティックなバラッドです。見事にコントロールされたGinoのボーカルを堪能しましょう。
「Love and Emotion」
ロック調のミディアム・チューン。この曲にそっくりのJ-Popがあるんだけど、曲名、アーティスト名が思い出せない。
「Feel Like Flying」
クロスオーバー/フュージョンの色合いの強いメロウなミディアム・チューン。僕はやっぱりロック・テイストよりもこちらのテイストの方が好きだなぁ。
「Brother to Brother」
完成度の高さではアルバム随一のタイトル曲。Steely Danに通じるスリリングな演奏を堪能できマス。
「Wheels of Life」
シングルカットもされたメロウなラブ・バラード。「The River Must Flow」と並ぶ僕のお気に入り曲。個人的には「I Just Wanna Stop」よりも好きだなぁ。
結局、この後のGinoは本作を超える作品を生み出すことができなかったように思いマス。