
録音年:1969年
ez的ジャンル:アフロ・アメリカン系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :カオス状態を楽しもう!
昨日は日帰り出張などバタバタ状態だったため、更新をサボってしまいまシタ。
いろいろあって頭の中がカオス状態、そこで聴きたくなったのが....
スピリチュアルなサックス奏者Pharoah Sandersの本ブログ3回目の登場です。
『Elevation』(1973年)、『Rejoice』(1981年)に続く3枚目の作品は『Izipho Zam』(1969年)です。
以前のエントリーでも書きましたが、スピリチュアルな音楽を聴きたいと思った時の僕のファースト・チョイスがPharoah Sandersです。
Pharoahの音楽から感じるスピリチュアルでコズミックな高揚感って、明らかに他のアーティストにはない何か特別なものがあるんですよねぇ。
そんなPharoahの作品の中で一番最初に聴いたのが本作『Izipho Zam』(1969年)です。お馴染みの名曲「Prince of Peace」が収録されていマス。
90年代前半にAcid Jazzに熱中していた方にとってはGallianoのカヴァーが有名ですよね(アルバム『A Joyful Noise Unto the Creator』収録)。元Style CouncilのMick TalbotプロデュースでValerie Etienneの艶やかな女性ボーカルをフィーチャーしたこのカヴァーはAcid Jazzブームを代表する曲の1つでしたよね。
僕もGalliano経由で本作『Izipho Zam』に辿りついたパターンでした。
でもGallianoのスタイリッシュなカヴァーのイメージで聴いたらビックリ!
そこには大地の底から響き渡る崇高なサウンドとLeon thomasのヨーデル・ボーカルが....
最初は戸惑いましたが、インパクトがあったことは確か!
そこからPharoahの小宇宙にハマった僕なのでした...
さて、本作『Izipho Zam』は『Tauhid』(1966年)に続く2作目のリーダー作。『Tauhid』はJohn Coltraneのグループに在籍中の録音だったので、John Coltrane死後としては最初の録音になるのでは?実際の発売は1973年まで待たねばならないのですが...
メンバーはPharoah Sanders(sax、per)、Leon thomas(sax、per)、Sony Sharrock(g)、Lonnie Liston Smith(p)、Sonny Fortune(as)、Howard johnson(tuba)、Cecil McBee(b)、Sirone(b)、Billy Hart(ds)、Majeed shabazz(ds)、Chief Bey(afds)、Net Bettis(per)、Tony Wylie(per)といったところ。
全3曲。気楽に聴くには向いていませんが、音楽から何かを感じ取りたい人にとってはピピッとくる作品ですよ。
全曲紹介しときヤス。
「Prince of Peace」
神秘的なパーカッションと大地の祈りのようなLonnie Liston Smithの幻想的なピアノをバックに、♪エイエイエイエイウォ〜♪ララララララ〜♪というLeon thomasのヨーデル・ボーカルが炸裂します。ぜひGallianoのカヴァーとセットで聴いて欲しいですね。
「Balance」
PharoahのサックスとHoward johnsonチューバが絡みながらドロドロとしたカオスの世界へ突入します。何なんだ、この激しさは! でも、単にやかましいのではなく、しっかりとした躍動感があるのが退屈しませんね。Sony Sharrockのギターがなかなかいいカンジです。
「Izipho Zam」
28分を越す大作。前半はアヴァンギャルドな演奏をバックにLeon thomasが吠えまくります。その後オリエンタルでアフリカンという実にミステリアスな雰囲気へ...Sony Sharrockのギターが加わるあたりからグッと雰囲気が出てきマス。Pharoahのサックスが加わる頃にはかなりキャッチーでカッチョ良い演奏となり、スリリングでパーカッジヴな後半から最後は大カオス状態でピークを迎えます。ここでのSony Sharrockはサイコー!ですな
この曲でのアフリカン・ドラムの盛り上がりは初期のEarth,Wind & Fireあたりにも通じるのでは?
今現在の僕が考える“Jazz”のイメージに最も近いのは、Miles DavisでもJohn Coltraneでもなく、Pharoah Sandersかもしれません。