2007年07月23日

Sebadoh『Harmacy』

Lou Barlow率いるSebadohの成熟したUSインディ/オルタナ・ロック☆Sebadoh『Harmacy』
Harmacy
発表年:1996年
ez的ジャンル:メロディアス・オルタナ・ロック
気分は... :時代の空気を吸おう!

巷では「●●年代ロックのベスト100」とやらが流行っていますね。

某雑誌が3ヶ月連続で60年代、70年代、80年代のロックベスト100の特集を掲載した影響だと思いますが、60年代〜80年代までで90年代には立ち入らないというのがミソでしょう。

僕が思うに、90年代を境に洋楽リスナーは新旧に分断されている気がします。その時点で洋楽の聴き方が大きくパラダイム転換してしまったからでしょうね。

きっと80年代前半あたりまでは、ロックを中心にビルボードのTop40あたりをフォローし、加えてマイナーな作品を多少知っていれば、洋楽通ってカンジだったでしょうか。僕も昔はそんなリスナーの一人でしたね。

しかし、80年代後半あたりになると、Top40の動きと連動しないカレッジ/インディ・チャートの動きが活発化するなど変化の兆候が見えはじめました。さらに、ロックの対抗勢力としてR&B/ソウルがレコード/CDショップの売場面積を拡大していき、Hip-Hop、ハウス/テクノ、ワールド・ミュージック(ラテン、アフリカ等欧米以外の音楽)といった新ジャンルが生まれ、徐々に地殻変動が起きていたような気がします。

90年代に入るとそれら洋楽の細分化・多様化の動きが一気に加速し、もはやロックやTop40という枠組みで洋楽をすくい取ることは困難となり、ロック中心の洋楽というパラダイムは完全に崩壊しまシタ。R&B/Hip-Hopから洋楽に入り、そのままロックを全く聴かずに過ごす世代が急増すると同時に、特定の音楽ジャンルを深く追求するスタイルの人も増えましたよね。

ロックに限定しても、時代はグランジ/オルタナやダンス・カルチャーとの融合といった流れになっており、従来の延長では聴きづらい状況になってしまいました。

結果として、旧来の洋楽通の方は居場所を求めて、現在ではなく過去を掘り下げるといったベクトルへ向かったのではと推察します。そういったニーズをうまくすくい取ったのが前述の某雑誌なのでしょう。

僕の場合、そのタイミングでたまたまロック中心からR&B/ソウル中心の洋楽ライフへシフトしていたので、その立ち位置からリアルタイムの洋楽を聴き続けることができ、ラッキーだったのかもしれません。

誤解しないで欲しいのは、僕は新旧どちらの聴き方も好きだという点です。
節操ないから、両方の聴き方ができるのかもしれませんが(笑)

さて、長い前フリをした上で今回は90年代アメリカン・ロックです。
ということで、USインディ/オルタナ・ロックの重要人物の一人であったLou Barlowの率いるSebadoh『Harmacy』(1996年)です。

かつてJ Mascisと共にDinosaur Jr.に在籍していたLou Barlowが結成したグループがSebadohです。

前述のように、90年代に入るとロック離れが進行していった僕ですが、我が家のCD棚の90年代アメリカン・ロック・コーナーを眺めてみると、Dinosaur Jr.SebadohFolk ImplosionLou Barlow絡みのアルバムが意外と揃っています。

きっとロック離れが進んでいても、心の何処かで時代を反映したロックの空気に少しは触れていたいとの思いがあったのでしょうな。歯抜け状態ですが、Sonic YouthNirvanaPearl JamNine Inch Nailsオルタナ・カントリー等を揃えてあるのも同じ理由ですね。

そんな中でLou Barlow関連作品が多いのは、特にSebadohFolk Implosionあたりのローファイな素朴感やオーソドックスなカンジが僕に合っていたのかも?

本作『Harmacy』(1996年)は、ローファイ感はかなり弱まりましたが、グループとしての完成度はかなり高まったアルバムだと思います。何よりこの手のグループとしては曲が抜群にいいと思います。かなり地味ですけどね(笑)

メンバーはLou Barlow、Jason Loewenstein、Bob Fayの3名。Jason Loewensteinがソングライティングの面でもLou Barlowと並んで頑張っていますね。

90年代ロックは70年代ロック、80年代ロックと比べると閉塞感や虚無感が蔓延している印象を受けるかもしれません。でも、それが時代の空気ならば、その空気を吸うのもロック的なのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「On Fire」
90年代以降のオルタナ・カントリー的なカントリー・ロック。穏やかな雰囲気の中に陰を感じるのがらしいですね。

「Prince-S」
ややハードめのメロディアスなギター・ロック。シンプルなのがいいですね。

「Ocean」
シングルにもなったポップなナンバー。下手するとパワーポップ一歩手前ですね。Lou Barlowってこんなにポップだったけ(笑)

「Nothing Like You」
なんて、言っていると気だるい虚無感たっぷりのナンバー。こういったムードの方が合っていますね。

「Crystal Gypsy」
かなりエッジの効いたノイジーなロック・ナンバー。普段この手を曲を聴きなれない分、たまに聴くとスカッとしますね。1分半というコンパクトさも僕にはピッタリ!

「Beauty of the Ride」
この曲もシングルになったナンバー。適度にハードでメロディアスな完成度の高いギター・ロックだと思います。アルバムで一番好きですね。

「Mind Reader」
「Beauty of the Ride」と並ぶ僕のお気に入り曲。ハードめの演奏がいいカンジ。個人的にはコアなパンクやメタル系のようなハードすぎるものは苦手なのですが、ノリ一発ではないこのハードさは大好きですね。

「Willing to Wait」
切なく冷めた雰囲気のカントリー・ロックってカンジでしょうか。この味わいは旧世代のロック・ファンの方にも受け入れられるのでは?

「Zone Doubt」
実に抜けのいい、ストレートなロック・ナンバー。素直にカッチョ良いですね。

「Too Pure」
「Perfect Day」
90年代らしいメロディアスなナンバー2曲。くどすぎない甘さが好きだなぁ。

「Can't Give Up」
キャッチーなミディアム・ロック。70年代ロックのカッチョ良さと共通するものがあります。

本作が気に入った方はLou Barlowの別プロジェクトFolk Implosion『One Part Lullaby』(1999年)あたりも気に入るのではと思います。あるいは、よりローファイな感覚を堪能したいのであれば、初期のSebadohやFolk Implosionの作品がオススメです。

滅多に90年代アメリカン・ロックを聴かなくなった僕ですが、たまに聴くといいですね。
毎日聴きたいとは思わないけど(笑)
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2007年07月22日

Ellen McIlwaine『Up from the Skies:The Polydor Years』

こんなカッチョ良い女性フォーキー・グルーヴ聴いたことがない!☆Ellen McIlwaine『Up from the Skies: The Polydor Years』
Up From The Skies: The Polydor Years
発売年:1998年
ez的ジャンル:スライド系ファンキー・フォーキー・グルーヴ
気分は... :カッチョ良すぎ!

今回はフリーソウル・ファンにはお馴染みのカナダ人女性シンガーソングライター/ギタリストEllen McIlwaineを紹介します。

Ellen McIlwaineは1945年ナッシュビルの生まれ。牧師の養子となり、幼少より約15年間を神戸で過ごしたそうです。帰国後にアートスクールに入り、本格的な音楽活動を開始しました。1966年にNYへ向かった後、アトランタへ戻り自身のグループFear Itselfを結成し、レコード・デビューを果たします。その後ソロ活動へ転じまシタ。

今回セレクトした『Up from the Skies:The Polydor Years』は、1972年発表のアルバム『Honky Tonk Angel』と1973年発表『We The People』の2in1CDです。

Ellen McIlwaineの名が注目されるようになったのは、やはり90年代のフリーソウルのムーブメントですね。時代がやっとEllenに追いついたといったカンジですかね。僕もその流れで知りました。「Toe Hold」「Wings of a Horse」「Jimmy Jean」の3曲はフリーソウルのコンピでお馴染みですね。

こんなカッチョ良い女性フォーキー・グルーヴを聴いたことがありませんね。
これだけグルーヴ感のある演奏を聴かせる女性SSWがいたなんて驚きでしたね。
というか、本作を聴いてから“フォーキー・グルーヴ”という言葉を強く意識するようになりまシタ。

あと忘れていけないのはEllenのギター・プレイですね。本作収録の「Sliding」の演奏なんてスゴすぎですっ!

素晴らしい女性SSWの作品は数あれど、こんなにカッチョ良くて男勝りな作品は滅多にお目にかかれないのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Toe Hold」
フリーソウル・ファンお馴染みのファンキー・チューン。Wilson Pickettのバージョンで知られるIsaac Hayes/David Porter品を見事なフォーキー・グルーヴに仕上げていマス。ライブの臨場感もあっていいですね。この曲を初めて聴いた時のインパクトはかなり大きかったですね。

「Weird of Hermiston」
なんと元CreamのJack Bruceの作品。意外な組み合わせですね。渋めのJoni Mitchellってカンジでしょうか。

「Up From the Skies」
Jimi Hendrix作品(オリジナルはThe Jimi Hendrix Experience『Axis: Bold As Love』収録)。何でもEllenは有名になる前のJimi Hendrixと交流があったようですね。ブルージーな味わいがいいですな。

「It's Growing」
The Temptationsのヒットで知られるSmokey Robinson作品のカヴァー。ソウルフルな味わいを持ったファンキー・フォークに仕上がっていマス。ギター1本でここまで表現できるのは圧巻ですな。

ここまではCurtis Mayfield『Curtis/Live!』Donny Hathaway『Live』でもお馴染みのNYのライブハウスBitter Endでのライブ録音です。

「Can't Find My Way Home」
Blind Faithの演奏でお馴染みのSteve Winwood作品。このブルージーなカヴァーは実にハマっていますね。

「Wings of a Horse」
この曲もフリーソウルのコンピ収録曲ですね。歯切れのよいEllenのボーカルとラテンのりのピアノが実にキマっています!

「Wade in the Water」
パーカッシヴな展開が僕好みのフォーキー・グルーヴ。全体的に気だるい雰囲気もいいですね。ここまでが『Honky Tonk Angel』からのセレクト。

「Ain't No Two Ways to It (It's Love)」
ここからは『We The People』からのセレクト。この曲はかなりアーシーな演奏を楽しめマス。

「Sliding」
曲名の通り、Ellenのスライド・ギターを堪能するためのナンバー。かなりスリリングなギター・プレイを聴けますよ。Ellen McIlwaine恐るべし!

「Never Tell Your Mother She's Out of Tune」
「Toe Hold」タイプのファンキー・グルーヴ。基本的にこのタイプの曲は大歓迎ですね。この曲もなんとJack Bruceの作品。

「Jimmy Jean」
「Toe Hold」、「Never Tell Your Mother She's Out of Tune」と並ぶ僕のお気に入り。基本的にはパーカッシヴがパカポコ響くフォーキー・グルーヴです。ホント、惚れ惚れするくらいカッチョ良いですね。

「We the People」
最後はCarnegie Hallでのライブです。実に神秘的でスピリチュアルな雰囲気さえ感じるギター・プレイが圧巻ですね。

サッカー日本代表はヒヤヒヤもんの勝利でしたね。
あの有利な状況でPK戦まで持ち込まれるあたりが日本の今の実力でしょうね。
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2007年07月21日

Roger『Unlimited!』

Zapp/Roger最大のヒット曲「I Want to Be Your Man」収録☆Roger『Unlimited!』
Unlimited!
発表年:1987年
ez的ジャンル:エンタメ系P-Funk
気分は... :ア〜イ・ウォア・ビ〜ユア・マ〜ン☆

僕にとって音楽は公私共々において重要なコミュニケーション・ツールである。
僕の場合、音楽の嗜好が特定の年代・ジャンルに偏っていないことが幸いしているのだと思う。

若者や女性とのコミュニケーションにおいてはR&B/Hip-Hopやクラブ・ミュージックの話が中心だし、取引先の経営者とは懐かしいロックやジャズの話をしないと盛り上がらない。

自分が好きな音楽を押し付けるのではなく、相手の好きな音楽に話を合わせることができるのが強みかも?

逆に、特定の音楽ジャンルや年代に縛られるのが大の苦手です。僕的にはジャンルや年代の枠を自由に飛び越えて音楽空間を遊び回るのが楽しいので☆多分、そんな無節操でぶっきらぼうなスタンスが、PVの多さの割りにコメント、TBが少ないという本ブログのアンバランスな状況を招いていると思うのですが(笑)

と言いつつ、今日は僕の嗜好丸出しのセレクションです。今は亡きZappのリーダーRoger (Troutman)最大のヒット曲「I Want to Be Your Man」収録のアルバム『Unlimited!』(1987年)っす。

最近、EPMD『Business Never Personal』Shirley Murdock『Shirley Murdock!』といったRoger Troutman絡みのエントリーを書いていたら、久々にRoger自身の作品をエントリーしたくなりました。以前にも書いた通り、僕が最も好きなファンク系アーティストがZapp/Rogerです。

Rogerのエントリーは『The Many Facets of Roger』(1981年)以来2回目となります。

何と言っても本作のキラー・チューンは「I Want to Be Your Man」ですね。Zapp/RogerともにR&Bチャートのみでヒットする典型的なアーティストだったので、ポップチャートでヒットしたこの曲で初めてRogerの存在を知った人も多かったのでは?

多分、普段からR&Bチャート寄りの音楽の聴き方をしている方には『The Many Facets of Roger』が向いていると思いますが、ポップチャート中心の方には本作『Unlimited!』の方が入りやすいかもしれませんね。

個人的にはブラコン/エレクトリック・ファンクにハマり、レコード(当時はまだCDではありませんでした)を買い漁ってっていた時とリンクする作品なので、特に印象深い作品ですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「I Want to Be Your Man」
前述のように全米ポップチャート第3位、全米R&Bチャート第1位となったRoger最大のヒット曲。

どこを切ってもRoger Troutman印のトーク・ボックス唸りまくりのスウィート・ソウルに仕上がっていマス。出だしの♪Hey lady〜♪を聴いただけでラブリーな気分になりますよねぇ。個人的にはZapp「Computer Love」あたりとセットで聴くのがお気に入りデス。

Cam'Ron Feat. Freaky Zeekey「Hey Lady」、Irv Gotti feat.Ja Rule,Ashanti,Vita,Charli Baltimore「Down 4 U」、Zeebra「Perfect Queen」、T.I.「Let Me Tell You Something」等のサンプリング・ネタにもなっていますね。

「Night and Day」
Cole Porterの名曲をRoger流ファンクに一変させてしまったカヴァー。お恥ずかしい話ですが、長い間この曲がCole Porterのアノ曲だとは全く気づきませんでした。その位アゲアゲのエレクトリック・ファンクに仕上がっていマス。

「Composition to Commorate (May 30, 1918) 」
Zapp/Rogerの特徴の1つであるジャズ・フレイヴァーのインスト・ナンバーです。昔は歌ナシの曲はスルーしていましたが、最近は案外このインストものが気に入っていマス。

「Papa's Got a Brand New Bag」
James Brownの名曲カヴァー。「I Want to Be Your Man」に次ぐ聴きどころかもね。JBのテイストとRogerならではのファンクをうまく融合しているカンジがいいですね。トーク・ボックスも冴えわたっていマス。

「Thrill Seekers」
80年代ならではの打ち込みファンクですね。全体的にエロいカンジがいいですね。エレクトリック・ファンク好きには持ってこいのミッド・チューン。シングル・カットもされまシタ。

「If You're Serious」
哀愁感たっぷりのスロウ。同じスロウでも「I Want to Be Your Man」とは異なる、まさに“シリアス”な雰囲気がとってもいいですね。

「Private Lover」
Princeばりのアゲアゲ・ダンス・チューン。リアルタイムで聴いていた頃は「I Want to Be Your Man」以上にこの曲ばかり聴いていましたね。Prince「1999」あたりと一緒に聴くとピッタリなのでは?Rogerのギター・プレイもなかなかご機嫌です。

「I Really Want to Be Your Man」
「I Want to Be Your Man」のリプライズ。ほとんどインスト・バージョンというカンジですね。余韻を楽しみましょう。

Zapp本隊も『The New Zapp IV U』(1985年)『Zapp II』(1982年)の2枚を取り上げて以来、長らくご無沙汰しているので近々紹介しますね。
posted by ez at 00:02| Comment(0) | TrackBack(2) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月20日

Nazz『Nazz』

若き日のTodd Rundgrenの姿がココに!☆Nazz『Nazz』
The Nazz
発表年:1968年
ez的ジャンル:Nuggets系ガレージ・ロック
気分は... :Toddの原点を楽しもう!

Todd Rundgrenファンは外せない1枚!Nazzのデビュー・アルバム『Nazz』(1968年)です。

本ブログでも『Something/Anything』(1972年)、『Hermit Of Mink Hollow』(1978年)という2枚のTodd Rundgrenのソロ作を紹介してきました。そんなToddが1970年代のソロ・アーティストとしての活動を開始する前にToddが組んでいたガレージ・ロックのグループがNazzです。グループ名はYardbirds「The Nazz Are Blue」から取ったもの。

グループは、1967年にTodd Rundgren(g)以下、Robert Antoni(key)、Thom Mooney(ds)、Carson Van Osten(b)という4名で結成されまシタ。レコード会社は第二のMonkeesとして売り出そうとしたようですが、その目論見は見事に外れたようですね(笑)

特に大きな商業的成功を収めないまま、デビュー・アルバム『Nazz』(1968年)、2nd『Nazz Nazz』(1969年)、3rd『Nazz III』(1970年)という3枚のアルバムを残してグループは解散。Toddはソロ活動へと進んでいくこととなりマス。

商業的には成功しませんでしたが、音楽的には当時のサイケなガレージ・ロックをキャッチーに聴かせて

僕は上記の3枚のアルバムは全て持っていますが、一番良く聴くのが今回紹介する『Nazz』です。やはり、「Open My Eyes」「Hello It's Me」という有名な2曲が収録されているからでしょうね。

全体としては多少散漫な印象もありますが、そのとっ散らかった未完成感が逆に楽しいアルバムだと思います。ブリティッシュ・ロックを中心に様々な音楽に影響を受けたTodd Rundgrenのルーツが見え隠れするのがいいですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Open My Eyes」
アルバムのハイライト曲の1つ。60年代後半のサイケ/ガレージ・ロックを収録した有名なオムニバス・アルバム『Nuggets』にも収録されているので、それでご存知の方も多いのでは?

よく指摘されているようにイントロはThe Whoの名曲「I Can't Explain」みたいですね。全体としてはサイケでキャッチーなガレージ・ロックに仕上がっています。

Toddの未発表曲集『Somewhere/Anywhere?』に本曲のUtopiaによるライブ・バージョンによる収録されていますね。

「Back of Your Mind
この曲はCreamしてますね。『Disraeli Gears』あたりのサイケなブルース・ロックってカンジでしょうか。

「See What You Can Be」
ソフト・ロックしてます。それほど手馴れてなく、ぎこちないカンジが初々しいですね。

「Hello It's Me」
Toddファンにはお馴染みの曲ですね。本ブログでも紹介したToddの名作アルバム『Something/Anything』にも収録されている名曲のオリジナルです。Toddのソロに比べると、サイケなマッタリ感があるカンジですかね。ビブラフォンの響きとパーカッションのパカポコが印象的ですね。
Toddのソロと聴き比べてみると面白いですよ。

「Wildwood Blues」
これはかなりへヴィーなロックですね。ハード・ロックを

「When I Get My Plane」
Toddらしいキャッチーなパワー・ポップですね。サイケな雰囲気もバッチリです。先に挙げた『Nuggets』あたりの音が好きな人は気に入る曲だと思いマス。

「Lemming Song」
キャッチーなシングル向きのビート・ロック。エッジの効いたハードなサウンドもなかなかで、実にバランスのいい仕上がりだと思いますね。

「Crowded」
アルバム中唯一Toddがソングライティングに関わっていない作品です。でも、実はこの曲がアルバム中最もメロディアスでToddっぽく聴こえるのは皮肉でしょうか?個人的にはアルバムで一番好きかも?

「She's Goin' Down」
ブリティッシュ・ロックっぽいキャッチーなガレージ・ロック。Robert Antoniのオルガンがサウンドのキーになっています。後半のThom Mooneyのドラム・プレイもスリリングでいいカンジですね。

第二のMonkeesとして売り出そうとしたレコード会社は、メンバーのうち最も甘いルックスのThom Mooneyを前面に出そうとしたらしいです。確かに、Toddを前面に持ってきてもアイドル・グループにはなれませんわな(笑)
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2007年07月19日

Morgana King『New Beginnings』

Stevie Wonder自身が絶賛した「You Are the Sunshine of My Life」のカヴァー☆Morgana King『New Beginnings』
ニュー・ビギニングス
発表年:1974年
ez的ジャンル:フォーキー・ソウル系女性ジャズ・ボーカル
気分は... :かなり上機嫌(^0^)

久々にかなり上機嫌です!

そんなご機嫌モードにぴったりなのがStevie Wonderの名曲「You Are the Sunshine of My Life」
本ブログでも紹介済みのこの全米チャートNo.1、グラミー受賞曲はマイ・フェイバリット・スティーヴィーっす。

そんなStevieの名曲は数多くのアーティストにカヴァーされていますが、その中でもStevie自身が大絶賛したのが今日紹介するMorgana Kingのバージョンです。

ということで、その名カヴァーが収録されたMorgana Kingのアルバム『New Beginnings』(1974年)を紹介します。

Morgana Kingは1930年NY生まれの女性ジャズ・シンガー。1960年代にがコーラス・グループTaste of Honeyのメンバーとして活躍したみたいですね。もちろん、ダンス・クラシック「Boogie Oogie Oogie」のA Taste of Honeyとは別グループですよ!

本作『New Beginnings』は、最近Suburbiaの“フォーキー・ソウル”再発シリーズで発売になりましたが、以前からフリーソウル・ファンの間ではお馴染みの1枚でしたよね。僕もそんな流れで以前に輸入盤を購入していまシタ。今回“フォーキー・ソウル”の1枚として発売されたように、ナチュラルな味わいが心地良い作品に仕上がっています。あまり、ジャズ・ボーカルのイメージで聴かない方がいいでしょうね。

僕の記憶が間違っていなければ、Morgana KingってFrancis Ford Coppola監督の映画史上に残る名作『The Godfather』(1972年)に出演していましたよね。イタリア系移民のマフィアのドンVito Corleoneとその一家の光と影を描いた映画はアカデミー受賞作であると同時にマイ・フェイバリット・ムービーでもあります。

そんな作品で主演のMarlon Brando演じるVito Corleoneの妻Carmellaを演じていたのがMorgana Kingだったと思います。ただ、Morganaがこの映画に出演していたのは42歳前後の時だと思うんだけど、映画の役では少なくとも50代半ばあたりの一家の母親を演じていまシタ。なので、本作のジャケのMorganaを見ていると、“この人が本当にコルレオーネ一家のママ?”と思ってしまい、いまいちピンと来ませんね。

さて、『New Beginnings』に話を戻すと、アレンジャーにBob Jamesらを迎えて、クロスオーヴァー的なサウンドをバックにソウル/ソフト・ロックの名曲を歌うというMorganaの新境地を切り開いた作品と位置づけられマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「You Are the Sunshine of My Life」
前述のStevie Wonderのカヴァーであり、フリーソウル・クラシックとなっている1曲。まさにご機嫌モードの今の僕の気分にぴったりです。Stevieのバージョンが天高く昇っていく歓喜の歌のイメージならば、本バージョンは天から舞い降りてくる天使の歌ってカンジでしょうか。バックの控え目なクロスオーヴァー・サウンドも絶妙です。

「As Long as He Will Stay」
「You Are the Sunshine of My Life」と並び密かに好きな曲がコレ。なんかジワジワとハッピー気分になる1曲ですね。

「The Sands of Time and Changes」
Donny Hathaway作品。Morganaならではの透明感も堪能しつつも、Donny Hathaway作品ならではの崇高さと重みを崩さないあたりが絶妙。

「We Could Be Flying」
Paul Williams作品。静のたたずまいから一気に盛り上がる展開が好きですね。

「Like a Seed」
Kenny Rankinの名作カヴァー。Kennyのオリジナル同様、子供達の歌声から始まるドリーミーな展開です。本編は程よくパーカッシヴな心温まるミドル・テンポのフォーキー・ソウルに仕上がっていマス。この曲もフリーソウル系リスナーに人気の1曲ですね。

「A Song for You」
僕が大好きなLeon Russellの名曲カヴァー。この曲はLeonのオリジナル以外にもCarpentersやDonny Hathawayのカヴァーが有名ですが、それらとも異なるジャズ・ボーカリストならではの味わいが格別ですね。

「All in All」
Paul Williams作品。Morganaが一番熱唱しているのがこの曲かも?ソフト・ロックらしいキャッチーな展開もいいカンジです。

まだまだご機嫌モードは収まりそうにない!
もう1回「You Are the Sunshine of My Life」を聴こうっと!
posted by ez at 05:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする