発表年:1975年
ez的ジャンル:MOR系女性R&B/Soul
気分は... :開き直りも大事かなぁ?
今回は1963年にデビューして以来、地味ながらもコンスタントに活躍し続けるベテラン女性R&BシンガーDionne Warwickの登場デス。
Dionne Warwickと言えば、 Burt Bacharach/Hal David作品の歌い手として有名ですね。「Walk on By」、「Alfie」、「I Say a Little Prayer」、「Do You Know the Way to San Jose?」、「I'll Never Fall in Love Again」など60年代に数多くのBacharach/David作品をレコーディングしています。
なんて書きながら、実は60年代のDionne Warwickってあまり聴けていません。機会があれば、じっくり聴いてみたいですね。
僕がDionne Warwickの名を初めて知ったのは、リアルタイムで聴いた1982年のトップ10ヒット「Heartbreaker」だったかなぁ。その時の印象はやけに明るいオバちゃんシンガーというカンジでしたかね。
その後はElton John、Gladys Knight、Stevie Wonderとの共演で全米ポップチャートNo.1となった「That's What Friends Are For」(1985年)を聴いたくらいで、長らく僕にとっては無縁のアーティストでした。
そんな僕がDionneに興味を持つきっかけとなった作品が本作『Then Came You』(1975年)デス。
本作を購入した理由はフリーソウル・クラシックとして人気の「Move Me No Mountain」が収録されていたためデス。
個人的にはフリーソウルで注目される前から、Soul II Soulの
カヴァーをえらく気に入っていまシタ(3rdアルバム『Volume III Just Right』収録)。大好きな女性レゲエ・シンガーKofiをフィーチャーしたグラウンド・ビートによるこのカヴァーはSoul II Soulの全作品の中で一番好きですね。
その「Move Me No Mountain」が収録されているのが本作『Then Came You』です。
70年代半ば頃のDionneは低迷期といわれるけど、本作を聴くと作品の質自体はエラく高いことがわかるはずだと思います。
きっと本作の魅力はソウルとポップスをうまく融合させたMOR(Middle Of the Road)路線の仕上がりにあると思いマス。
全米No.1ヒットとなった「Then Came You」以外は全てJerry Ragovoyがプロデュースしています。
全曲紹介しときヤス。
「Take It From Me」
シングルにもなったダンサンブルなミッド・グルーヴ。軽快なグルーヴ感がいいですね。「Move Me No Mountain」以外ならばこの曲が一番好きかなぁ。
「We'll Burn Our Bridges Behind Us」
しみじみと胸に染み渡るバラッド。この曲あたりを聴いていると、Dionneの声質がいかに魅力的かわかりますね。
「Sure Thing」
この曲も味わい深いバラッドですね。しっとりと落ち着いた雰囲気がホッとします。シングルにもなりまシタ。
「Then Came You」
シングルとして全米ポップチャートのNo.1となったThe Spinnersとの共演曲。この曲のみThom Bellがプロデュースしています。アルバム全体のなかでもこの曲のキャッチーさが群を抜いていますね。さすがThom Bellですね。
「How Can I Tell Him」
都会的で大人のラブ・バラッド。映画音楽のようなアレンジが実にいいですね。
「Move Me No Mountain」
前述したとおり、この曲狙いで本アルバムを購入しまシタ。Soul II Soulのスタイリッシュなグルーヴ感たっぷりのカヴァーに比べると、Dionne版は落ち着いた仕上がりですね。その分Dionneの艶やかななボーカルを堪能できマス。
本曲はChaka Khanなどもカヴァーしています。Dionne、Soul II Soul、Chaka 三者のバージョンを聴き比べするのも楽しいかも?
「I Can't Wait Until I See My Baby's Face」
なかなかエレガントなミディアム・スロウ。恋愛映画の挿入歌あたりになってもよさそうなカンジですね。
「It's Magic」
明るく軽快なナンバー。ソウルファンというよりもポップスファンが喜びそうなMOR路線のアレンジがいいですね。聴いていると、気持ちが晴れやかになりマス。
「Who Knows」
「Getting In My Way」
まるでBurt Bacharachの作品のような雰囲気を持った仕上がりのスロウ2曲。ソウルフルになりすぎないのがDionneの魅力ですね。
本作を聴いている限りは、(商業的に)この時期のDionneが不調だったなんて信じられませんね。