2007年07月09日

Miles Davis『Cookin'』

マラソン・セッションを収めたING四部作の中の代表作☆Miles Davis『Cookin'』
クッキン
録音年:1956年
ez的ジャンル:マラソン・セッション系ハードバップ
気分は... :今夜の料理の出来は...

昨晩は特製オリジナル・チキン・カレーを作り、自画自賛の仕上がりにご満悦でシタ。

そんな中で思いついたのが今夜の1枚...
本ブログ最多登場Miles DavisのING四部作の1枚『Cookin'』(1956年)デス。

Milesは『On The Corner』(1972年)、『Milestones』(1958年)、『Miles Ahead』(1957年)、『In A Silent Way』(1969年)、『'Round About Midnight』(1955、56年)、『Miles Smiles』(1966年)に続き7回目の紹介デス。

ING四部作とは、いわゆる“マラソン・セッション”を収めた『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』という4枚のアルバムをさします。

大手Columbiaと契約を交わしたMilesがPrestigeとの残りの契約を履行するために行ったセッションが、“マラソン・セッション”と呼ばれるものです。このセッションは1956年5月11日と10月26日の2度にわたり行われまシタ。

たった2日でアルバム4枚分のレコーディングを敢行し、契約問題のゴタゴタを一気に解決してしまおうとするのが、とてもMilesらしいカンジがしますね。

このように書くと、やっつけ仕事のレコーディングのような印象を受ける方もいるかもしれませんが、それがMiles Davis(tp)、John Coltrane(ts)、Red Garland(p)、Paul Chambers(b)、Philly Joe Jones(ds)という第一期黄金クインテットの大きな成果を生み出すドキュメントとなっている点がさすが帝王Milesですな。

『Cookin'』は四部作のうち、一番最初に発売された作品です。
レコーディング自体は10月26日のセッションが収められています。

ING四部作の中で最も人気の高い作品が『Cookin'』なのでは?
多分、名演「My Funny Valentine」収録されていることと、John Coltraneの急速な成長をはじめとする黄金クインテットの完成度が高まってきたことなどが要因だと思いマス。

ING四部作は、Prestigeの思惑から一気に発売されず、『Cookin'』が1957年、『Relaxin'』が1958年、『Workin'』が1960年、『Steamin'』が1961年といった順で発売されまシタ。素直に考えれば、一番出来の良い作品を最初に発売すると思うので、その意味でも『Cookin'』の完成度は高いといえるのでは?

全曲紹介しときやす。

「My Funny Valentine」
Miles至極のバラッドとも呼べる本作のハイライト。説明不要のスタンダードですね(Lorenz Hart作詞、Richard Rodgers作曲)。先日もBill Evans & Jim Hall『Undercurrent』のバージョンを紹介しましたが、個人的には本曲といえばこのMilesのバージョンのイメージが強いですね。

Red Garlandのイントロのピアノを聴いただけで胸キュンですな。そのイントロに導かれて、リリシズム溢れるMilesのミュートを思う存分堪能できマス。Red Garlandの美しいカクテル・プレイもサイコーですね。

本作にはColtraneが参加しておらず、Milesのワン・ホーンとなっていマス。確かにこの曲にはColtraneは居ない方がいいかも?

「'Round Midnight」とセットで聴き、男のリリシズムの世界に一人浸るの好きな僕なのでシタ(笑)

「Blues By Five」
Miles作のブルース。この曲からColtraneも加わり5人勢揃いとなりマス。Milesのリラックスしたソロに対して、続くColtraneの気難しいカンジで面白いですね。

「Airegin」
Sonny Rollins作品。タイトルは「Nigeria(ナイジェリア)」を逆に読んだものデス。Milesのアルバムでいえば、『Bag's Groove』にも収録されているので、そちらと聴き比べてみるのも楽しいのでは?

本作のバージョンはスピーディーでスリリングな演奏が魅力だと思いマス。本曲の聴きどころは何といってもColtraneのソロなのでは? いよいよサックスの神がColtraneに舞い降りてきたカンジですな。Philly Joeのドラミングもエキサイティングでグッド!

「Tune-Up/When Lights Are Low」
Milesのオリジナル「Tune-Up」とBenny Carter作品「Lights Are Low」のメドレー。この2曲ともに初演は1954年録音の『Blue Haze』に収録されていマス。

「Tune-Up」はMilesの軽やかでメロディックなソロがいいですねぇ。MilesとPhilly Joeの絡みのパートも目茶カッチョ良いですね。「Lights Are Low」は全体的にリラックスしたムードがいいですね。この手の曲ではGarlandのカクテル・ピアノがいい味を出してくれますね。

他のING四部作であれば、『Workin'』『Relaxin'』がオススメです。
posted by ez at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする