2007年08月05日

Ray Harris & The Fusion Experience『Ray Harris & The Fusion Experience』

この“ニュー・フュージョン”こそが現時点での2007年マイベスト☆Ray Harris & The Fusion Experience『Ray Harris & The Fusion Experience』
レイ・ハリス&ザ・フュージョン・エクスペリエンス
発表年:2007年
ez的ジャンル:ニュー・フュージョン系クラブジャズ
気分は... :現時点での2007年マイベストかも?

今日は最近の新譜の中からお気に入り作品を紹介しようと思い悩んだところ...

最初、この一週間の僕のヘビロテだったブラジル人シンガーソングライターPaulo Munizの新作を紹介しようと思ったのですが、3日連続ブラジリアン・テイストのアルバムになってしまうので止めました。特定の年代・ジャンルに偏って紹介するのは僕の主義に反しますので(笑)

Paulo Munizについては次回の2000年代カテゴリーの時に紹介します。

ということで、クラブジャズ系の新譜の中からRay Harris & The Fusion Experience『Ray Harris & The Fusion Experience』をセレクト。実は現時点での2007年マイベスト・アルバムです。

以前にも書いたように、最近僕が一番ハマっているのがクラブジャズ。
そんな中でも最近一番良く聴いているのが本作『Ray Harris & The Fusion Experience』です。

本作の主役Ray Harrisはスコットランドはグラスゴー生まれの29歳のキーボード奏者であり、ソングライティング&ボーカルも手掛けマス。

流行のニュー・ジャズの中心はSchemaレーベルに代表されるヨーロッパですが、そうした中でスコットランドのグラスゴーからこういったアーティストが登場してきたというのは興味深い気がします。

同じクラブジャズでも先日紹介したMario Biondi & The High Five Quintetあたりと比較すると、UKらしくハウスやアシッド・ジャズのテイストもあり、なるほどニュージャズというニューフュージョンという表現の方がピッタリですね。

今一番オシャレな音楽がこの分野ではないかと思いマス。
ホント、探せば探すほどスタイリッシュなアイテムが見つかるのでは?

全曲紹介しときやす。

「Scaramunga(re-edit)」
2005年リリースしたデビュー作。ニュージャズ・ファンにはお馴染みのアーティストGerardo Frisinaも“ファンタスティック!”と大絶賛したアフロラテン・ジャズ・ハウスです。UKではNOKIAのCMにも使われていたみたいですね。

クラブジャズとハウスのいいとこ取りというカンジでクラブ・ミュージック好きにはたまらん1曲なのでは?このre-editバージョン以外にremixバージョンも収録されていマス。

ライナーノーツにFela Kuti+Santanaと説明されていましたが、まさにそんな感じです。偶然にも昨日Santanaをエントリーしたのですが....

「The Sioux」
この曲はSchema好きの人は気に入るアフロ・キューバンなハウス・チューンです。スタイリッシュかつアグレッシヴなカンジがたまりませんね。相当カッチョ良いです!

「Freedom」
ソウルフルなニュー・ジャズというカンジですね。♪High Power〜High Power〜♪という女性コーラスが何ともスピリチュアルですね。この曲も大好き!

「Origin」
サウダージなサンバ・テイストのニュー・ジャズ。この曲あたりはカフェ・ミュージックというカンジですな。かなりオシャレ!

「Tokyo Blue」
クールなジャジー・ハウス・チューン。美しくも儚い鍵盤の音色にかつて大好きだったMr. Fingers(Larry Heard)との共通点をカンジてしまいました。

「One Of A Kind」
Ray Harrisのボーカルを聴けるニュー・ジャズ。無骨なボーカルはMario Biondi & The High Five Quintetあたりとも似ているかも?

「My Last Chance」
メロウなボーカル・チューン。ロマンティックという点ではこの曲が一番でしょうね。暑くて夜に聴くとクールダウンしてくれるカンジですね。

「Interpretation」
ハモンド・オルガンの音色がカッチョ良いラテン・グルーヴ。60年代後半〜70年代前半あたりのオルガン・ジャズが好きな人あたりも気に入るのでは?

「There's Nothing Like You」
哀愁のボーカル・ナンバー。Ray Harrisという人の懐の深さを感じますな。

「Riders On The Storm」
この曲のみグラスゴーでのライブ。70年代クロスオーヴァーっぽい心地良いエレピを聴かせてくれます。

ホント、捨て曲ナシのオススメ作です。

ブラジリアン・テイスト3連発は回避しましたが、よく考えるとジャズ/フュージョン系4連発になってしまいましたね。

でも、アシッド・ジャズ、ノスタルジックなジャズ・ボーカル、ロック系フュージョン、クラブ・ジャズと4作ともかなり毛色の違うものなのでご勘弁を...
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2007年08月04日

Santana『Borboletta』

本当にこのアルバムをSantanaの作品と呼んでいいのだろうか?☆Santana『Borboletta』
Borboletta
発表年:1974年
ez的ジャンル:サンタナ流フュージョン
気分は... :フラフラ〜

徹夜明けと暑さでかなりフラフラ状態っす。

約1年ぶりのSantana登場デス。
きっと僕の中で夏はSantanaは聴かなきゃ!みたいな強迫観念があるんですな。

僕は熱心なSantanaファンではありませんがデビューから70年代後半あたりまでの作品は殆ど持っており、意外とSantana好きなのかもしれません。

前回は『Festival』(1976年)という傍流の作品を紹介しましたが、今回も穴狙いで『Borboletta』(1974年)っす。

『Caravanserai』(1972年)と本作のどっちにするかかなり悩んだのですが...

以前にも書いたとおり、ここ10年くらいは、『Welcome』(1973年)、『Borboletta』(1974年)、『Festival』(1976年)といった評論家がB級作扱いするSantana作品を好んで聴いていマス。

逆に、強烈にラテン・ロックしている初期の作品は、少し濃すぎるカンジで、最近はあまり聴かなくなったかも?

『Borboletta』は一般には低迷期の作品ということになるのでしょうね。
確かに全くラテン・ロックしていないし、商業的にも失敗だし、もはやグループというよりもプロジェクトって感じですからね。

それでも本作はStanley ClarkeAirto MoreiraFlora PurimといったReturn To Forever組など外部ミュージシャンの参加で魅力的なアルバムになっていると思いマス。

そうしたメンバー構成からも察しがつくように、中身はサンタナ流ブラジリアン・フュージョンというカンジです。その意味では、ロック・ファンではなくフュージョン・ファン向けのアルバムですね。

このブラジリアン・フュージョン・サウンドは、クラブ系リスナーの人なんかにもピッタリだと思いマス。逆に、サンタナ=ラテン・ロックという図式の方は決して聴かないでください(笑)

オススメ曲を紹介しときやす。

「Canto de los Flores」
ギターがない、パーカッション、キーボード、ベース、ドラムののみの演奏です!Carlos Santanaもパーカッションで参加。パーカッション好きの僕にはOKですが。SantanaファンにすればNGなのかもしれませんね。

「Life Is Anew」
Leon Patilloの線の細いボーカルがなかなか涼しげなライト・グルーヴ。このライト・グルーヴ感こそが本作の魅力だと思います。Tom Costerのオルガンがいい感じですねぇ。ここではCarlosもちゃんとギターを演奏していマス(笑)

「Give and Take」
フュージョン色が強い本作の中で、ほんのりロック色があるのがこの曲ですかね。それでもChepitoのティンバレスやJules Broussardのサックスなどが聴こえまくっていますが...

「One With the Sun」
B級シティ・ミュージックって感じですね。僕はこのB級感が逆に好きなのですが(笑)

「Aspirations」
スピリチュアルな雰囲気たっぷりの“Coltrane”系フュージョン・チューン。ある意味で本作のハイライトかも?Jules BroussardのサックスはまさにJohn Coltraneっぽいですね。Leon ChanclerとStanley Clarkeによるエキサイティングなサンバ・ビートがサイコーにカッチョ良いです。Carlosは曲作りに参加しているのみで、演奏には参加していません。これを果たしてSantanaの曲と読んでいいのでしょうか?その曲をハイライトかもなんて書いている僕も僕ですが。

ちなみにCarlos Santanaは本作と同じ1974年にJohn Coltraneの妻であったAlice Coltraneとの共演アルバム『Illuminations』を発表し、亡きJohn Coltraneへのリスペクトぶりを示していマス。

「Flor de Canela」
Airto Moreiraのパーカッションが前面に押し出されたブラジリアン・グルーヴ。パーカッション大好き!Airto Moreira大好き!の僕には嬉しい1曲ですね。正直、全然Santanaではありませんが(笑)

「Promise of a Fisherman」
「Flor de Canela」からシームレスに続くこの曲はStanley Clarke、Airto Moreira、Flora PurimというReturn To Forever組が大活躍しています。Return To Foreverが好きな人は気に入るのでは?知らない人にこの曲を聴かせて、“Santanaの曲だよ”と言っても誰も信用してくれないかもしれませんね。

「Borboletta」
最後はAirtoのみのパーカッション演奏で締め括られマス。

このサンタナB級路線シリーズの流れでいくと、次に紹介するのは『Welcome』かな?
posted by ez at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月03日

Joanie Sommers『Softy, The Brazilian Sound』

キュートな“なんちゃって”ボッサ☆Joanie Sommers『Softy, The Brazilian Sound』
ソフトリー、ブラジリアン・サウンド
録音年:1964年
ez的ジャンル:なんちゃってボサノヴァ系ジャズ・ボーカル
気分は... :ちょっとブルーなボッサ気分!

ようやく夏らしい暑さになってきましたね。
でも、気分は相変わらず晴れ晴れせず...

Joanie Sommersは、50年代末から60年代半ばにかけて活躍した女性ジャズ・シンガー。1962年の「内気なジョニー(Johnny Get Angry)」のヒットで有名デス。当時はキュートな魅力でアイドル的な人気があったみたいですね。

そんな当時のJoanie Sommersを知らない世代からも絶大な人気誇る1枚が本作『Softy, The Brazilian Sound』(1964年)です。タイトルの通り、Sommersが当時流行のボサノヴァを歌った作品っす。ブラジル出身のギタリストLaurindo Almeidaがアレンジャー/ミュージカル・ディレクターとして全面バックアップしています。

本作が録音された1964年といえばAstrud GilbertoをフィーチャーしたStan Getz「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」が大ヒットした年ですね。本作もそれに影響を受けてレコーディングされたんでしょうね。

ちなみにLaurindo AlmeidaStan Getzと1963年に『Getz/Almeida』という共演アルバムをレコーディングしており、本作と同じ1964年には「The Girl From Ipanema」を録音し、グラミー賞の最優秀ジャズ演奏賞を受賞していマス。

『Softy, The Brazilian Sound』に話を戻すと、正直本格派ボサノヴァではない“なんちゃって”ボサノヴァなのですが、“シュガー・ヴォイス”と呼ばれたSommersのソフト・ヴォイスと涼しげなボサノヴァ・サウンドがマッチしていて捨て難い魅力がありますね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Meditation」
ボサノヴァのパイオニアAntonio Carlos Jobimの作品(原題「Meditacao」)。トロトロにとろけそうなロマンティック・チューン。甘く気だるいSommersのボーカルが実にいいですね。

「Dear Heart」
Glenn Ford主演の映画『Dear Heart』の主題歌(Henry Mancini作品)。この曲はポピュラー・ボーカルというカンジですね。

「Watching The World Go By」
映画『The Luck Of Ginger Coffey』の主題歌。なかなかエレガントなアレンジがいいですな。

「Quiet Nights」
「Corcovado」の原題でお馴染みのAntonio Carlos Jobim作品。甘く優雅なカフェ・ミュージックってカンジがいいっす。かなりのお気に入り曲です。

「Softly, As I Leave You」
Frank Sinatraのヒットで知られるナンバー。ボサノヴァ・ムードを堪能するにはピッタリの1曲なのでは?

「I Could Have Danced All Night」
Audrey Hepburnの映画で有名なミュージカル『My Fair Lady』のナンバーですね。このスタンダードをなかなか小洒落たボッサ・チューンに仕上げていマス。かなり好きですね!

「You Can't Go Home Again」
以前に紹介したHank Mobley「Recado Bossa Nova」を作曲したDjalma Ferreiraの作品。最もボサノヴァらしい本曲がアルバムのハイライトかもしれませんね。

「Carnival」
「カーニバルの朝」という邦題のこの曲は、フランス映画『Orfeu Negro(黒いオルフェ)』の主題歌ですね(作詞Antonio Maria、作曲Luiz Bonfa)。本ブログではDexter Gordonの絶品バージョンを紹介していますね(アルバム『Gettin' Around』収録)。このSommersバージョンも独特の哀愁感が漂ってきます。

「Old Guitaron」
この曲のみ本作のために書かれた新曲デス。Sommersのキュートな魅力が引き出された1曲。

「That's All」
Nat King Coleのバージョンで有名な曲。個人的にはアルバムの一番のお気に入りです。ソフト&メロウなボッサ・チューンを期待する方には絶対オススメです。魅惑のギターがサイコーですね。

こんなロマンティックなアルバムを聴きながら、ゆっくり眠りたいけれど今日も朝まで寝れそうにもない...
posted by ez at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月02日

D-Influence『Good 4 We』

90年代らしいUKサウンドが凝縮されたアシッド・ジャズ☆D-Influence『Good 4 We』
Good 4 We
発表年:1992年
ez的ジャンル:ソウル/ファンク系Acid Jazz
気分は... :梅雨は明けたけど(; ;)

やっと東京も梅雨明けになりましたね。
梅雨は明けても、心はイマイチ晴れ晴れとしないのですが....

今回はアシッド・ジャズを代表するグループの1つD-Influenceのデビューアルバム『Good 4 We』(1992年)です。

D-InfluenceはEd Baden Powell、Kwame Kwaten、Sarah Anne Webb、Steve Marstonの4人組。1990年にAcid Jazzレーベルからシングル「I'm The One」でデビュー。その後East West Recordsに移籍し、発表したデビューアルバムが本作『Good 4 We』です。

僕の中でD-InfluenceThe Brand New HeaviesIncognitoあたりと同じグループに属しています。女性ボーカルをメインに据えたアシッド・ジャズのグループという共通点になりますかね。

D-Influenceの場合、Incognitoと比較されることが多いと思うのですが、Incognitoほどキャッチーではありませんが、よく練られている分だけ飽きがこないのがD-Influenceのように思います。日本では圧倒的にIncognitoの方が人気あった記憶がありますが。

Sarah Anne Webbのソウルフルなボーカルとファンク、UKソウル、グラウンド・ビート、クラブ・ミュージック等の要素を上手く取り入れたアシッド・ジャズ・サウンドの組み合わせはなかなか絶妙だと思いマス。

アシッド・ジャズに限らず、この頃のUKサウンドが凝縮された1枚に仕上がっていると思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Good Lover」
非常に抜けのいいジャズファンク。梅雨明けにぴったりなサマー・チューンに仕上がっています。このグループらしい骨太さとUKソウルのスタイリッシュさがうまくバランスしていると思います。

「Journey」
オシャレなグルーヴ感がサイコーの1曲。この頃のUKらしいクラブ・テイストのスタイリッシュさを感じられるのがいいですね。

「I'm The One」
前述のデビュー・シングル。この曲なんかはアシッド・ジャズというよりもUKソウルという感じですよね。Sarah Anne Webbのボーカルが魅力的ですね。この頃のUKソウルで僕が一番好きだったMica Parisあたりと一緒に聴きたくなりマス。

「Funny (How Things Change) 」
久々に聴いて一番新鮮に聴こえたのがこのミディアム・スロウ。真夏のクソ暑い夜に聴くとクールダウンしてくれそうなカンジですね。

「Good 4 We」
タイトル曲もクールネスたっぷりのミディアム・スロウ。アレンジが当時のUKクラブ・ミュージックらしくていいですね。

「Instantly」
Steve Marstonのサックスが大活躍のエキサイティングなインスト・ナンバー。Acid Jazzの雰囲気を味わうのであれば案外こうしたインストものがいいのかもしれません。

「No Illusions」
ダンサンブルなミッド・チューン。アレンジに少しハウスっぽい雰囲気がありますね。

「Sweetest Things」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。タイトル通りのスウィート&メロウなグルーヴ・チューンです。ソウルフルなSarahのボーカルとスタイリッシュなバックの一体感がサイコーですね。

「Changes」
アシッド・ジャズ+グラウンド・ビートというカンジですね。Soul II Soulあたり一緒に聴きたくなる1曲。

「Sign」
アフリカン・テイストのナンバー。この頃のUKソウルって結構こうしたアフリカン・テイストのサウンドが聴けましたよね。

「The Classic」
この曲は完璧にクラブ・ミュージックですな。

グループは本作に続き2ndアルバム『Prayer 4 Unity』(1995年)、3rdアルバム『London』(1997年)を発表しています。個人的には『Prayer 4 Unity』が夏向きで好きですね。
posted by ez at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする