2007年08月10日

The Wailers『Burnin'』

オリジナル・ウェイラーズのラスト作☆The Wailers『Burnin'』
Burnin'
発表年:1973年
ez的ジャンル:コーラス・グループ系ルーツ・レゲエ
気分は... :Bob MarleyのみならずBunny、Peterにも注目!

夏といえばレゲエということになるのですが、そんな流れで先週土曜の夜にNHK衛星第二『黄金の洋楽ライブ』でBob Marley & The Wailersの1979年のライブを放送していましたね。久しぶりのBob Marleyの映像を堪能することができました。

本ブログではこれまでBob Marleyの作品として、『Exodus』(1977年)、『Kaya』(1978年)の2枚を紹介してきまシタ。今の僕が聴くBob Marleyは圧倒的にこの2枚の割合が高いですね。

きっと、レベル・ミュージックの担い手としてのBob Marleyよりも、一人の人間として穏やかなBob Marleyを堪能したいからでしょうね。

ただし、Bob Marleyを聴く以上はレベル・ミュージックの担い手としての彼の作品も聴くべきですよね。ということで、今回はThe Wailers『Burnin'』(1973年)をセレクトしました。

本作に辿り着くルートとして以下の2パターンが多いのではと思います。
  1. Eric Claptonの全米No.1ヒット「I Shot the Sheriff」から、そのオリジナルを求めて本作へ
  2. Bob Marley & The Wailersの人気作『Live』(1975年)から、その収録曲のスタジオ録音が多い本作へ
僕も上記2つの理由から興味を持ち、本作を購入した記憶があります。
でも、それ以上に本作はオリジナルThe Wailersの最後の作品というところに意義があるのかもしれません。

ファンの方はご存知のとおり、オリジナルThe WailersのメンバーはBob MarleyBunny WailerPeter Toshの三人。

ちなみBunny、Peterが在籍していたIsland Recordsからの第一弾アルバム『Catch a Fire』(1973年)および第二弾アルバムである本作『Burnin'』(1973年)までは“Bob Marley & The Wailers”ではなく、“The Wailers”と表記されていました。

神様Bob Marleyばかりが目立ってしまいますが、メンバーの中で最もラスタファリズムに傾倒していたBunny Wailer、ゲットー出身の長身男Peter Toshという三人の個性が揃ったコーラス・グループというのがThe Wailersの本質だったのだと思います。

しかし、周囲がBob Marleyばかりを売り出そうしたせいか、あるいは世界進出のためのツアー回りに嫌気がさしたのか、本作発表後のUSツアーを目前にしてBunnyがグループを脱退し、その後Peterもグループを離れることになります。

その意味でオリジナルThe Wailersのコーラスワークを堪能できるアルバムというのが本作『Burnin'』の真髄ではないでしょうか。

三人のメンバーに強烈なリズムを生み出すAstonとCarltonのBarrett兄弟、キーボードのEarl Lindoを加えたジャケの6人が織り成すコーラス&サウンドの一体感が何とも魅力です。

かなりシンプルですが、シンプルだからこそ真髄に触れることができるのでは?

全曲紹介しときやす。

「Get Up, Stand Up」
『Live』にも収録されていたお馴染みのナンバー。♪権利のために立ち上がれ♪というレベル・ミュージックを聴かせてくれます。『Live』の演奏と比較すると、スピード感はありますがサラッとした仕上がりかもしれません。

Public Enemy「Party for Your Right to Fight」、Pharcyde「Bullshit」などのサンプリング・ネタにもなっています。

「Hallelujah Time」
Bunny Wailerのリード・ボーカルを堪能できるナンバー。メンバーの中で最も厳格だったラスタファリアンだったBunnyのスピリチュアルな側面に触れることができるのがいいですね。穏やかな雰囲気が大好き!

「I Shot the Sheriff」
説明不要の名曲ですね。Eric Claptonのカヴァーや『Live』のバージョンを聴き慣れている人が聴くと、かなりあっさりとした演奏に物足りなさを感じる人がいるかもしれませんが、オリジナルWailers独特の浮遊感のあるコーラスワークを引き立てることを考えると、このあっさりしたバックがいいのだと思います。

「Burnin' and Lootin'」
この曲も『Live』に収録されていました。Hip-Hopファンは50 Cent「Window Shopper」のサンプリング・ネタとして有名ですね。Barrett兄弟によるリズムセクションがグイグイと全体を引っ張ってくれるカンジがいいです。

「Put It On」
Bob、Bunny、Peterの三人がルードボーイだった60年代からのレパートリー。♪俺の運命は自分で決めるさ♪と高らかに歌っています。

「Small Axe」
かなり好きな曲。♪大きな木(バビロン・システム)を俺たち小さな斧(Small Axe)が切り倒してやる♪という挑発的なレベル・ミュージックです。三人のコーラスとバックの三人が一体化した素晴らしい演奏だと思います。

「Pass It On」
Bunny Wailerがリード・ボーカルをとるナンバー。アルバムの中で一番メロウなナンバーかもしれませんね。僕が好きな『Exodus』『Kaya』のメロウネスと同じ肌触りをBunny主導のナンバーに感じるのは不思議な気がしますね。

「Duppy Conqueror」
レゲエらしいゆったり感のあるリズム&ボーカルを楽しめるメンバー。200%レゲエという感じがいいですね。Beastie Boys「Funky Boss」のサンプリング・ネタにもなっています。

「One Foundation」
アルバムで唯一Peter Toshがリードをとるナンバー。BobやBunnyのように洗練されていないヘタウマな感じが逆に個性的です。

「Rasta Man Chant」
ラスタファリズムの色彩が前面に出たナンバー。ラスタファリアンの宗教的な集会であるナイヤビンギ (Nyahbinghi) の雰囲気が伝わってくる1曲です。

Bob Marleyに興味があるのであれば、『Catch a Fire』と本作『Burnin'』の2枚は避けて通れない作品かもしれませんね。
posted by ez at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする