2007年08月19日

The Slits『Cut』

真のニューウェイヴだったガール・グループ☆The Slits『Cut』
Cut
発表年:1979年
ez的ジャンル:ダブ/スカ系ニューウェイヴ
気分は... :ロックの本質って何だろうね☆

耳障りの良いメロウな作品の紹介が続いたので、そろそろ自分でも飽きてきました(笑)
ここらガツンとインパクトのあるアルバムを!

ということで全てがアヴァンギャルドな存在であったニューウェイヴ・ガール・グループThe Slitsのデビューアルバム『Cut』(1979年)です。

今年ロック・ファンの間で話題だった某雑誌の「●●年代ロックのベスト100」
ロック離れが著しい僕はさほど興味がなかったのですが...
遅まきながら、『70年代ロックのベスト100』をたまたま見る機会がありました。

ざっと見たところ、全100枚のうち80枚以上はうちのCD棚にもある作品でした。
うちのロック・コレクションって案外まともなんじゃん(笑)

普通に70年代ロック全般を聴いていた人であれば、かなり妥当なセレクトであったように思います。あまりに真っ当すぎて逆に面白くなかったですね。もっと変化球があっても良かったのでは?

人によっては、70年代ベスト100の第1位Sex Pistols『Never Mind the Bollocks Here's the Sex Pistols』、80年代ベスト100の第1位Talking Heads『Remain In The Light』を変化球と受け取るみたいですが、それはあまりにパンク/ニューウェイヴがロックシーンに与えたインパクトに対する認識が低すぎると思いますね。

きっと、そういった人たちには今日紹介するThe Slits『Cut』も理解できないでしょうね。ちなみに本作も某雑誌『70年代ロックのベスト100』の87位に見事ランクインしています。

The Slitsは1976年ロンドンで結成された女性のみのパンク/ニューウェイヴ・バンド。

メンバーがClashのJoe StrummerやMick Jonesの親交があったおかげで、1977年にClashのツアーの前座を務めます。1979年にDennis Bovellをプロデューサーに迎え、衝撃のデビューアルバムである本作『Cut』を発表。ジャケ写真と共に、パンクとダブを融合させたサウンドは後続のグループに影響を与えました。

1981年にCBSとメジャー契約を交わし、2ndアルバム『Return of the Giant Slits』を発表しましが、その後あっけなくグループは解散してしまいマス。

僕自身はレコードは持っていませんでしたが、このアルバムをリアルタイムで聴く機会には恵まれました。当時の僕にはこの作品の良さはわかりませんでしたが、ジャケも含めて相当インパクトがあったことは確かでしたね。

このアルバムの特徴といえば、The Pop Groupのプロデューサーでも知られるDennis Bovellの生み出すダブ・サウンドとパンクの融合ですね。ちなみにDennis BovellプロデュースThe Pop Group『Y』も先の某雑誌『70年代ロックのベスト100』で38位にランクインしています。

とてもスカスカな音ですが、実にアヴァンギャルドかつ開放的な魅力に溢れています。
このアルバム発表時点のメンバーは、Ari Up(vo)、Viv Albertine(g)、Tessa Pollitt(b)、Budgie(ds)の4人。

正直、アマチュア・グループのような演奏&歌です。でも、だからどうした!ってカンジですね。あまりの下手さにClashのメンバーが楽器の手ほどきをしようとしたら、ひじ鉄食らわしたなんてエピソードがあるみたいですね。

この全くヒットもせず、演奏もアマチュアっぽいアルバムが、なぜ28年後にベスト100に選ばれるのか?ということを考えれば、ロックの本質とは何かがわかりますよね!

この時代に女性のみの自立したグループが、自由奔放なアヴァンギャルド・サウンドを、あっけらかんと開放的に演奏するという事実のみでロックな生き方じゃありません?

オススメ曲を紹介しときやす。
と言っても、個々の楽曲云々ではなく、全体の雰囲気を楽しむべきアルバムだとは思いますが。

「Instant Hit」
いつ聴いてもこのオープニング・ナンバーのスカスカな開放感は格別ですね。過激ではないサウンドで、ここまでインパクトを与えるのは逆にスゴイと思うなぁ。

「So Tough」
実にニューウェイヴらしいスカ・ナンバー。少しコミカルな雰囲気が漂うのもグループの魅力ですね。

「Spend, Spend, Spend」
Dennis Bovellによるダビーなサウンドが実にいいですね。

「Shoplifting」
実にパンキッシュなナンバー。弾けているのがサイコーですね。

「Newtown」
ジャケのようなエスニックな開放感を感じる1曲。

「Ping Pong Affair」
軽快なスカ・ナンバー。いろんな表情を見せるAri Upのボーカルが面白いですね。

「Love Und Romance」
この曲が一番パンキッシュかもね。とぼけた疾走感がいいですね。

「Typical Girls」
シングルカットされ全英チャート第60位となったナンバー。ちなみにB面はMarvin Gaye「I Heard It Through The Grapevine」でした。シングルになっただけあって、アルバム中一番キャッチーかもね。

「Adventures Close To Home」
「Instant Hit」と並ぶお気に入り。この自由奔放なカンジが実に楽しそうでいですね。

同じDennis BovellプロデュースのThe Pop Group『Y』もそのうち紹介しますね。
アヴァンギャルドとは何かがよくわるアルバムだと思いマス。

昔は先進的リスナーであったあなたが、知らず知らずのうちに保守的リスナーになっていませんか?まぁ、先進的リスナーであれば今時ロックは聴かないかぁ...(笑)
posted by ez at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする