2007年08月22日

Leon Russell『Will O' The Wisp』

試行錯誤するLeonが逆に面白い!☆Leon Russell『Will O' The Wisp』
Will O' the Wisp
発表年:1975年
ez的ジャンル:スワンプ大将の試行錯誤
気分は... :チャレンジする姿勢は評価すべき!

久々のLeon Russellです。
『Leon Russell』(1970年)以来2回目の登場ですが、今回は1975年の作品『Will O' The Wisp』です。

ロック界のスワンプ親分Leon Russellの全盛期は、客観的には見て『Leon Russell』(1970年)、『Leon Russell And the Shelter People』(1971年)、『Carney』(1972年)、『Leon Live』(1973年)あたりまでだったと思います。

『Leon Live』の後にHank Wilsonの変名でナッシュビルでレコーディングしたカントリー・アルバム『Hank Wilson's Back』(1973年)は一種の企画モノだし、(意外なことに)後の人気ファンク・グループThe Gap Bandを起用した『Stop All That Jazz』(1974年)は見事にコケ、本作『Will O' The Wisp』(1975年)を最後に自身が設立したレーベルShelterを去ってしまいます。これ以降もLeonは活動を続けますが、正直かなり地味な印象を受けますね。

さて、本作『Will O' The Wisp』(1975年)は、スワンプ好きの本格的なLeonファンにとってみると、中途半端なアルバムに映るかもしれません。でも、僕はスワンプの次を睨み、あれこれ試行錯誤するLeonのあがき具合いが実に楽しいです。しかも、メロウ好きの僕の嗜好にピッタリの名曲「Lady Blue」も収録されていますしね。

メンバー的には、Steve Cropper、Donald "Duck" Dunn、Al Jackson, Jr.といったThe MG'sのメンバーの参加が目を引きますね。

良くも悪くも新しいLeonの一面に出会えるアルバムです。
シンセの導入、日本の邦楽奏者との共演...正直やりすぎの感もありますが、無難に過去をなぞる臆病なアルバムよりはよっぽどマシだと思います。その点だけは絶対に評価したいですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Will O' the Wisp」
オープニングがLeonのワンマン演奏。シンセを交えた哀愁のオープニングです。

「Little Hideaway」
「Will O' the Wisp」からシームレスに続くナンバー。クラビネットを使った意欲的なサウンドはStevie Wonderの影響でしょうね。決して成功しているとは言えないけど、面白いと思います。

「Can't Get over Losing You」
きっと賞賛よりも批判の方が多いであろう邦楽奏者との共演。1973年の来日の際にセッションしたマテリアルを使用しています。イントロの琵琶&尺八の邦楽な展開から、一転してブルージーなカントリーへ豹変します。正直笑ってしまいますが、オススメというよりも話題曲ですね。これはご愛嬌ということで!Shelter所属だったJ.J. Caleがギターで参加しています。

「My Father's Shoes」
Steve Cropper、Dunn、Al Jackson参加の感動的なバラッド。しみじみ胸に染み入ります。なかなかの聴きものですよ!

「Stay Away from Sad Songs」
The MG'sのメンバーをバックに従えたStevie Wonderといったサウンドですね。これが案外悪くないんですよ。

「Back to the Island」
この曲は人気曲ですね。シングルカットもされました。The MG'sのメンバーを従え、のんびりとしたバカンス気分のサウンドを聴かせてくれます。Mary McCrearyのバックコーラスがサイコーですね。「Lady Blue」と並ぶ僕のお気に入り曲です。

「Bluebird」
この曲もLeonを代表する曲ですね。従来からのLeonの土臭い魅力と、新しい試みが一番うまく融合している曲だと思いますね。なんか小瓶のビールをがぶ飲みしながら聴きたい1曲ですね。そう言えば、数年前にORIGINAL LOVE(田島貴男)がカヴァーしていましたね。

「Laying Right Here in Heaven」
このポップさはCarpentersに歌わせたらピッタリかも?Captain & Tennilleでもいいけど..なんて書くとCarpentersファンに怒られますね。ゴメンナサイ。

「Lady Blue」
何と言っても、僕の本作のハイライトはこの激シブのメロウ・チューン。Leonのダミ声が苦手な方もこのメロウな曲を聴けば、少しは見方が変わるのでは?Jim Hornのアルトサックスがロマンティック・ムードを盛り上げてくれます。シングルカットされ全米チャート第14位となりました。

本作の邦題は『鬼火』
あまり買う気がしないタイトルですよね。案の定売れませんでしたが(笑)
posted by ez at 05:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする