2007年09月30日

Ramsey Lewis Trio『The In Crowd』

アルバム、シングル共にポップチャートで大ヒットした異例のジャズ・アルバム☆Ramsey Lewis Trio『The In Crowd』
The In Crowd
録音年:1965年
ez的ジャンル:モッズ系ジャズ・ロック
気分は... :もう9月も終わり...

9月もラストですね。
もう明日からラスト四半期、良い年末を迎えることができるように、いろいろエキサイティングな事を今から仕込みたいですね。

大物ジャズ・キーボード奏者Ramsey Lewisの2回目の登場です。

前回はEarth,Wind & FireMaurice Whiteプロデュースによる裏EW&F的なJazzファンク/フュージョン・アルバム『Sun Goddess』でしたが、今回はRamsey Lewisが大ブレイクしたアルバム『The In Crowd』(1965年)です。

本作『The In Crowd』は、シングル「The"In" Crowd」の全米ポップチャートの第5位、R&Bチャートの第2位という大ヒットを含み、全米アルバムチャートの第2位、R&Bアルバムチャートの第1位というジャズ・アーティストとしては異例の大ヒットとなった作品として有名ですよね。

Ramsey Lewis(p)、Eldee Young(b)、Red Holt(ds)の3名でRamsey Lewis Trioが結成されたのが1955年前後あたりだと思うので、苦節10年目の大ヒットといったカンジでしょうか。

ただし、当時はコアなジャズ・ファンからはそっぽを向かれたアルバムみたいですね。きっと余計なうん蓄など必要としない、そのキャッチーさがコアなジャズ・ファンの反感を買ったのでしょうね。今でもきっとジャズ・ファンよりも、モッズ系の音なんかが好きな方の方がしっくりくるアルバムなのではと思いマス。

内容は1965年のワシントンD.C.にあるThe Bohemian Cavernsでのライブを収録したものです。

個人的には『Sun Goddess』の印象があまりに強いので、その印象とのギャップを楽しめるアルバムでもありマス(笑)

全曲紹介しときヤス。

「The"In" Crowd」
まずは前述の大ヒット・シングルとなったタイトル曲ですね。観客の手拍子に合わせてスタートする出だしが何といってもカッチョ良いですね。モッズ達が好きそうなクールなジャズ・ロックといった仕上がりでしょうか。

本曲はR&BシンガーDobie Grayの1963年のヒットのカヴァーですが、オリジナルの方もサイコーにカッチョ良いR&Bナンバーとしてモッズ定番曲になっています。ぜひDobie Grayの方もチェックしてみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=AzXFZkvY0Q0

「Tennessee Waltz」
古くは江利チエミ、最近は綾戸智絵がCMで歌っているお馴染みの曲(P.W.King/R.Stewart作品)ですね。ここではボッサなようなディキシーのような(?)軽快なテンポで聴かせてくれます。Eldee Youngのピチカートで大活躍です。

「Since I Fell for You」
「You Been Talkin' 'Bout Me Baby」
ソウルフル&ブルージーな演奏の2曲。共に落ち着きのあるホッとする2曲ですね。

「Love Theme from "Spartacus"」
タイトルの通り、Stanley Kubrick監督、Kirk Douglas主演の映画『Spartacus』の曲ですね。憂いたっぷりの前半から途中軽快なタッチで聴かせ、後半は再び哀愁モードの演奏となりマス。

本曲はRamsey Lewis以外にもさまざまなアーティストがカヴァーしていますね。若いリスナーの方であれば、Nujabes「The Final View」の元ネタとなったYusef Lateefのバージョンが有名かもしれませんね。個人的にはBill EvansTerry Callierあたりのバージョンも気になりマス。

「Felicidade (Happiness) 」
この曲はフランス映画『Orfeu Negro(黒いオルフェ)』のサントラにも収録されたAntonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作の有名なボッサ・ナンバーですね。ここでも軽快なボッサ・チューンとして聴かせてくれマス。個人的にはアルバムで一番好きな演奏ですね。

「Come Sunday」
最後はDuke Ellington作品です。どことなくエレガントかつミステリアスな演奏ですね。

さらにCDにはボーナス・トラックとして「Motherless Child」「The Party's Over」の2曲が収録されています。
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2007年09月29日

Roni Size & Reprazent『New Forms』

ドラムンベースの金字塔☆Roni Size & Reprazent『New Forms』
New Forms
発表年:1997年
ez的ジャンル:ブリストル系ドラムンベース
気分は... :スリリングな音楽はいかが?

今日はドラムンベース(Drum'n Bass)です。

ドリルンベースの作品は以前にSquarepusher『Feed Me Weird Things』を紹介しましたが、ドラムンベースの作品を紹介するには初めてかもしれませんね。

1990年代半ばから後半にかけて、ドラムンベースおよびドリルンベースがかなり脚光を浴びていましたね。高速かつ複雑なリズムと低いベース音を特徴としたサウンドは、USにはないUKならではのフューチャー・ダンス・ミュージックってカンジで僕も結構ハマりました。

現在は殆どフォローできていませんが、当時はLTJ BukemGoldie4 HeroRoni SizePhotekといったシーンの中心アーティストの作品は一通り購入していました。

そんな中から今回はドラムンベースの金字塔的アルバムRoni Size & Reprazent『New Forms』(1997年)をセレクト。

Roni Size & Reprazentは、ドラムンベース・シーンを象徴するDJ/プロデューサーRoni Sizeを中心に、DJ KrustDJ DieSuvMC DynamiteOnalleeが集まったユニット。

Roni Sizeはブリストル出身です。ブリストルと言えばMassive AttackTrickyPortisheadといったトリップ・ホップの代表的なアーティストを輩出した街ですね。ブリストルならではのダブ/レゲエに大きく影響を受けたハイブリッドでダークなダンス・ミュージックといった要素は、Roni Sizeのクリエイトする音楽にも反映されていると思いマス。

本作『New Forms』を聴いて思うのは、とてもフューチャー・ジャズ的なアルバムだということですね。生音をうまく使っているということもありますが、反復するリズムを聴きながら脳内が覚醒してくるカンジがジャズを聴いて得られる高揚感と似ている気がしますね。アルバム・タイトル通りニューフォームのジャズという気がします。

本作が発表されてから10年が経過しましたが、未だに本作を超えるインパクトと影響力を持ったドラムンベース作品は発表されていないと思います。その意味でも本作はドラムンベースの金字塔と呼べる作品なのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Brown Paper Bag」
本作のハイライト曲の1つですね。Steve Grahamがギター、Si Johnがベースで参加していマス。高速リズムとSi Johnの低音ベースが夜の街を切り裂くように疾走します。大音量で聴きたいドラムンベースらしい名曲ですね。

オリジナル以外にも竹村延和やPhotekによるリミックスがあります。また、最近ではME&YOUがレゲエ・カヴァーを披露してくれまシタ。

「New Forms」
タイトル曲にはGang StarrGuruに発掘された女性ラッパーBahamadiaが参加しています。フューチャー・ソウル的な仕上がりで、ドラムンベースをあまり聴かない人でもとっつきやすいのでは?個人的には当時のUKクラブシーンで活躍していたナイジェリア系英国人シンガーNicoletteあたりと一緒に聴きたい気分の曲ですね。

「Heroes」
紅一点のメンバーOnalleeのボーカルをフィーチャーしたこの曲が僕の一番のお気に入りデス。実にメロディアスなOnalleeのボーカルと突っ走るリズムのバランスが絶妙のフィーチャー・ソウル。途中のパーカッシヴな展開もサイコー。

「Share the Fall(Full Vocal Mix)」
この曲も本作のハイライト。アゲアゲ・モードのフューチャー・ジャズといったカンジでしょうか。Moloko 「Boo」をサンプリングしていマス。Disc2にオリジナル・バージョンも収録されていマス。

「Watching Windows」
この曲も有名ですね。ブリストルらしいダークなブレイクビーツに仕上がっていマス。トリップ・ホップが好きな人にオススメ。

「Morse Code」
モールス信号のようなリズムが印象的ですね。ここでもSi Johnのベースが大活躍していマス。

「Destination」
この曲もフューチャー・ジャズ的なナンバーですね。Everything But the Girl「Each And Every One」をサンプリングしています。FBG好きの僕の場合、それだけでこの曲が好きなのですが(笑)

「Hi-Potent」
この曲からDisc2です。 Steve Grahamがギターのループが印象的な前半のミニマルな展開から、一転して一気にドラムンベースらしい疾走感に包まれます。かなりカッチョ良いですね。

「Trust Me」
うまく説明できませんが、他の楽曲よりもアヴァンギャルドなカンジがする1曲ですね。気に入った人はなかなかクセになる1曲なのでは?

「Jazz」
タイトルの通りジャズです。70年代のMiles DavisWeather Reportといったジャズ/フュージョンのアプローチとダブらせて聴いてしまいますね。

「Hot Stuff」
幻想的でコズミックなドラムンベースといったカンジでしょうか。どこか柔らかい雰囲気があるのもいいですね。

たまに聴く分にはドラムンベースはいいですね。
まぁ、年中聴いていると疲れてしまいますが(笑)
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2007年09月27日

Joni Mitchell『Blue』

Joniのキャリアを代表する私小説的なアルバム☆Joni Mitchell『Blue』
Blue
発表年:1971年
ez的ジャンル:赤裸々&自由系女性シンガー・ソングライター
気分は... :シンプルだけどインパクトはすごい!

独創的なシンガー・シングライターJoni Mitchellの3回目の登場っす。

これまで紹介してきた『Court and Spark』(1974年)、『Hejira』(1976年)の2枚は、ジャズ/フュージョンへのアプローチを一気に強めた作品でしたが、今回はアコースティックなアルバム『Blue』(1971年)デス。

『Blue』『Court and Spark』と並ぶJoniの代表作といえるのでは?

ちなみにRolling Stone誌が以前に発表した『500 Greatest Albums of All Time』でも『Blue』が30位、 『Court and Spark』が111位にランクされています。

今年発売されたJoniへのトリビュート・アルバム『A Tribute to Joni Mitchell』でも全12曲のうち、『Blue』からの楽曲が3曲も選ばれていマス。

『Blue』は、自らの恋愛を赤裸々に語った私小説的なアルバムです。そんな内容をギターまたはピアノの弾き語りというシンプルなスタイルで聴かせてくれマス。

しかしながら、単なる弾き語りのアルバムで片付けられないのが本作です。
僕はこれほどユニークでインパクトのある弾き語りのアルバムを他に知りません。

変則オープン・チューニングによるギターの響き云々はよく言われることですが、本作での彼女の歌い方やギターを聴けば、一般的なフォークシンガーやシンガーソングライターの枠には収まりきらないことがよくわかると思います。

本作が発表された1971年はJames Taylor『Mud Slide Slim and the Blue Horizon』(1971年)、Carole King『Tapestry』(1971年)などシンガーソングライターの名盤が続々と発表されたSSW当たり年だと思いますが、その中でも『Blue』というアルバムの存在感は群を抜いている気がします。

最近の僕の気分としては『Court and Spark』『Hejira』(1976年)、『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)、『Mingus』(1979年)といったジャズ/フュージョン系ミュージシャンとの交流による作品群が好みですが、Joniのアルバムを1枚選べ!と言われれば、やっぱり『Blue』を選ぶかもしれませんね。

Joni Mitchell のギター、ピアノ以外は何曲かでJames TaylorStephen Stills、Sneaky Pete、Russ Kunkelがサポートしているのみです。特に、プライベートでも噂になったJames Taylorのサポートは特筆ものですね。

ジャケ写真のJoniのようにアルバム全体からオーラを感じるアルバムですね。

全曲紹介しておきマス。

「All I Want」
オープニングはノリノリのラブラブすぎるラブ・ソング。自由で恋多き女Joniらしさが溢れている1曲ですね。そんなラブ・ソングの(おそらく)お相手であるJames Taylorがギターで参加し、ギタリストとしての腕前を存分に披露してくれマス。

この曲を初めて聴いた時には、歌とギターだけでこんなにパワフルで自由で表情豊かな音楽が作られていることに驚きました。僕がJoni Mitchellというアーティストの凄さを実感した1曲です。

Nick DeCaroが名作『Italian Graffiti』 (1974年)でカヴァーしていますね。 以前にも書きましたがPrince殿下の「If I Was Your Girlfriend」(アルバム『Sign O' The Times』収録)の歌詞の一部は本曲からの引用です。

「My Old Man」
この曲はピアノの弾き語りです。タイトルの通り、恋人が去って行った後の寂しさを歌っていマス。Joniのユニークな唱法を堪能できマス。

「Little Green」
この曲は包容力のある優しい子守歌ですね。心の芯から癒されるカンジで大好きな曲です。

「Carey」
Stephen Stills参加のフォーキー・グルーヴ。シングル・カットもされました。どちらかと言えば、モノクロ・イメージの曲が多い中でこの曲は一番カラフルがありますね。あなたは好きなんだけど....自分の求めている場所ではない!と言いきってしまうJoni姉さん。相手の男はむちゃむちゃヘコむよねぇ。

「Blue」
タイトル曲は♪Blue, songs are like tattoos♪という印象的な歌詞で始まるピアノの弾き語り。僕は長い間Blueは色のブルーだと勘違いしていましたが、このBlueとはかつての恋人でフォーク・シンガーDavid Blueのことです。『A Tribute to Joni Mitchell』ではSarah McLachlanがカヴァーしていマス。

「California」
♪カリフォルニア最高!早く戻りたい!♪みたいなカリフォルニア賛歌。Joniは1970年に活動拠点を東海岸から西海岸に移しています。この曲にはJames Taylorが参加、また、Sneaky Peteのペダル・スティールが実に印象的です。

「This Flight Tonight」
夜間飛行時のブルーな気分を歌ったもの。この曲でもSneaky Peteのペダル・スティールがいいアクセントになっていマス。一般的なシンガーソングライターの枠に収まらないはみ出したカンジが大好き。

「River」
この曲は名曲の風格がありますね。『A Tribute to Joni Mitchell』ではJames Taylorがカヴァーしています。Joniをよく知るJTがこの曲をセレクトしたことだけでも、この曲の素晴らしさがわかるのでは?クリスマス間近に恋人と別れてしまった悲しい歌ですけどね...最後に悲しげな「シングル・ベル」のメロディが聴こえてきます(泣)

「A Case of You」
この曲も名曲ですね。「あなた1ケース」なんてJoniの恋人への愛情がどんなに大きいものかわかりますね。愛情が深すぎるから、失恋の痛手が大きいのかもしれませんな。この曲にもJames Taylorが参加しています。『A Tribute to Joni Mitchell』ではなんとPrince殿下がカヴァー。殿下のJoniへの傾倒ぶりを改めて確認することができます。

「Last Time I Saw Richard」
よく知りませんが、最初の夫でフォーク・シンガーだったChuck Mitchellのことを歌ったものらしいです。

このアルバムを聴くと、新たな表現を求めてJoniがジャズ/フュージョン系のミュージシャンとの交流へ向かったのがわかる気がします。
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2007年09月26日

Bryan Ferry『Boys And Girls』

ヨーロッパ的ダンディズムとダンス・サウンドを融合させたFerryならではの1枚☆Bryan Ferry『Boys And Girls』
ボーイズ・アンド・ガールズ
発表年:1982年
ez的ジャンル:ダンディズム系UKロック
気分は... :大人のダンディズムって?

今回は70年代のUKロックシーンを代表グループRoxy MusicのフロントマンBryan FerryによるRoxy Music解散後の初のソロ・アルバム『Boys And Girls』(1985年)です。

以前紹介した『Avalon』(1982年)を最後にRoxy Musicはその歴史に幕を閉じます。
*厳密には『Avalon』の後にライブ・ミニ・アルバム『The High Road』(1983年)を発表していマス。

『Avalon』は80年代を代表するロック・アルバムの1つと呼べるほどの名盤ですが、Bryan FerryPhil ManzaneraAndy Mackayの3人となったRoxy Musicの実態はグループというよりも、Bryan Ferryのソロ・プロジェクトでした。なので、解散は自然な流れであったといえます。

そして、Roxy Music解散後に発表した最初のソロ・アルバムが本作『Boys And Girls』(1985年)です。

Roxy Music在籍時から、『These Foolish Things』(1973年)、『Another Time, Another Place』(1974年)、『Let's Stick Together』(1976年)、『In Your Mind』(1977年)、『The Bride Stripped Bare』(1978年)と5枚のソロ・アルバムを発表していたFerryですが、Roxy Musicという本籍がなくなり本当の意味でのソロ・アーティストとなった本作『Boys And Girls』はそれまでのソロ作とはその位置づけがかなり異なると思います。

基本的には『Avalon』で昇華させたヨーロッパ的感性によるメロウ・グルーヴの完成度をさらに高めようとしたアルバムと言えると思います。ヨーロッパ的感性のアルバムですが、サウンド自体はとてもNY的な“The Power Station”サウンドになっているのが面白いですよね。

プロデュースはFerry自身とRhett Davies、エンジニアBob Clearmountainという制作陣は『Avalon』と同じです。

レコーディング・メンバーは、Neil Hubbard(g)、Alan Spenner(b)、Guy Fletcher(key)、Andy Newmark(ds)、Jimmy Maelen(per)、Fonzi Thornton (back vo)といった『Avalon』のサポート・メンバーに加え、Pink FloydのDavid Gilmour(g)、Dire StraitsのMark Knopfler(g)、ChicNile Rodgers(g)、King CrimsonのTony Levin(b)、それにジャズ/フュージョン界の腕利きミュージシャンMarcus Miller(b)、Omar Hakim(ds)、David Sanborn(sax)といった豪華布陣です。

完成度の高さを追求するために、続々と腕利きミュージシャンを投入するというやり方はSteely Dan的ですね。

個人的には『Avalon』以上にダンサンブルになった印象を受けますね。しかもNY的なアプローチで!本作にも参加しているNile RodgersがプロデュースしたDavid Bowie『Let's Dance』あたりの肌触りに近いものを感じます。

Bryan Ferryによるヨーロッパ的ダンディズムの完成形が本作なのではと思います。

ダンサブルなサウンドはChicあたりが好きなR&Bリスナーにもオススメだし、スタイリッシュで大人のダンディズムに溢れたサウンドはAORリスナーにも聴いて欲しいですね。聞いたことがないけどヨーロピンAORなんていうのがあってもいいのでは?

個人的には未だにBryan Ferryという人がカッコ良いのか、悪いのかよくわからないのですが、少なくとも本作『Boys And Girls』では、大人の男の色気溢れるFerryが全開になっていマス。

全曲紹介しときやす。

「Sensation」
オープニングはChic好きは絶対に気に入るNY的なダンス・チューン。ミュージシャンの詳細がわからないのですが、Nile Rodgersの貢献が大きいのでは?この時期のNile Rodgersプロデュース作と共通する硬質なダンス・サウンドを聴くことができマス。個人的にはアルバムで一番のお気に入りデス。

「Slave To Love」
アルバムからの1stシングル。『Avalon』のタイトル曲「Avalon」をダンサンブルにしたようなミッド・チューン。ヨーロッパ的ダンディズムを堪能できる1曲です。最もFerryらしい曲かもしれませんね。

伝説のジャズ・シンガーJimmy Scottによる激シブ・カヴァーもチェックしてみてください。この曲の新たな魅力を発見できるはずデス。
http://www.youtube.com/watch?v=WTD8ww6G-dk

「Don't Stop The Dance」
アルバムからの2ndシングルとなったヨーロッパ的感性とNYダンス・サウンドが見事に融合したダンス・チューンです。アルバム中一番スタイリッシュでキャッチーな曲なのでは?きっとFerryはこういったサウンドを作りたかったんでしょうな。サックスがAndy Mackayではなく、David Sanbornというのが妙に新鮮ですね(笑)

「A Waste Land」
インタルード的な幻想的ムードに包まれたナンバー。

「Windswept」
アルバムからの3rdシングル。ヨーロピアンな憂いが何ともいいですね。ストリングス・アレンジがいいカンジです。タキシードを着たFerryの姿が浮かんできます。

「The Chosen One」
この曲もNYらしいリズム隊とヨーロピアンなサウンドが合体したというカンジですね。Ferryならではの仕上がりで個人的には大好きですね。

「Valentine」
この曲はおそらくサウンドのカンジからしてバハマのコンパスポイント・スタジオでのレコーディングだと思いマス。レゲエ・テイストのリズムにのる哀愁のメロディが印象的ですね。

「Stone Woman」
Ferry流ファンク・サウンドといったところでしょうか。個人的にはここまでやるとやり過ぎのような気がしますが...

「Boys And Girls」
タイトル曲は重苦しいムードに包まれていマス。Ferryの場合は憂いや重く苦しさが似合っているのでいいのでは?ヘンに明るい曲なんてやられると調子が狂ってしまう(笑)

アルバムはUKチャートではNo.1の大ヒット、USチャートでは最高位63位止まりということで、Roxy Music時代と同様に本国イギリスでは絶大な人気を誇るものの、アメリカではさっぱりなFerry様なのでした。

『Avalon』と本作『Boys And Girls』Bryan Ferryの魅力を堪能できる2枚ですが、グループとしてのRoxy Musicの魅力とは必ずしもリンクしません。

Roxyの魅力を堪能するには初期から中期のアルバムを聴くべきだと思います。
そのうち、それらの作品も紹介しますね!
posted by ez at 00:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月25日

Kanye West『Graduation』

蟹江さんは何から卒業したのだろう?☆Kanye West『Graduation』
Graduation
発表年:2007年
ez的ジャンル:スーパーHip-Hopクリエイター
気分は... :きゃわゆいナリ!

既に多くのブログでレビューされまくっているので今さらかもしれませんが、Kanye Westの話題の新作『Graduation』です。

いわゆる大物アーティストの話題作というヤツに抵抗感がある僕ですが、迷わず発売日に購入していました(笑)

必要以上にKanye Westを持ち上げるつもりはありませんが、それでも『The College Dropout』(2004年)、『Late Registration』(2005年)の2枚は素直にいい作品だと思いましたし、本作『Graduation』も期待していなかった分、期待以上の作品をドロップしてくれた気がしマス。

本国では中身以上に50 Cent『Curtis』との売上・チャート争いが注目されていましたが、結果は蟹江さんの圧勝でしたね(50 Centが約69万枚、蟹江が約96万枚)。

「蟹江 vs. 50 Cent」という対決をイメージした場合、僕の感覚で言えば、50 CentはHip-Hop好きしか聴かないHip-Hopだけど、蟹江はHip-Hop好き以外も聴くHip-Hopだから蟹江が勝つのが当たり前だろ!なんて思っていたのですが、どうなんでしょうかね。それとも自民党総裁選の麻生氏の如く50 Centが善戦したのでしょうか?

ちなみに僕の場合、50 Cent『Curtis』を購入することはまずありません。せいぜいMTVでPVを観るくらいかなぁ。僕のようなオヤGリスナーは蟹江はOKだけど、50 Centはちょっとねぇ...みたいな人が多いのでは?

さて、その『Graduation』ですが、これからのHip-Hopの進む方向に一石を投じたアルバムと言えるのでは?

話題性十分の村上隆デザインのジャケがHip-Hopらしからぬ可愛さですよねぇ。
このジャケも含めて、Kanyeが本作で狙ったのはHip-Hopのネクスト・レヴェルへの引き上げ、すなわち従来型Hip-Hopからの脱却だったのでは?
『Graduation(卒業)』というアルバム・タイトルも含めてそんな気がします。

そう考えると、先の50 Centとの比較で書いた“Hip-Hop好き以外も聴くHip-Hop”という視点はそんなに的外れではないように思います。Hip-Hopの裾野を広げると説明した方がより適切かもしれませんが。

それを裏付けるように、中身の方はかなりバラエティに富んだ内容になっていますね。
新たなアプローチも含めて、様々な角度からHip-Hopを楽しめる構成はさすがというカンジですね。結果として、ポピュラー・ミュージックとしてのHip-Hopの枠組みを広げることに成功していると思いマス。

前作『Late Registration』のようなソウルフル路線を期待した人は多少肩透かしを食ったかもしれませんが、僕などは『The College Dropout』『Late Registration』以上に楽しめた!というのが感想です。

Kanyeは何から卒業したのか?
そんな視点からKanyeのアプローチを考えると、楽しめるアルバムだと思いマス。

全曲紹介しときやす。

「Good Morning」
卒業の朝の目覚めといったカンジでしょうか。静かですが強い決意を感じるオープニングですね。Elton John 「Someone Saved My Life Tonight」をサンプリングしています。Jay-Zも「The Ruler's Back」ネタで参戦しています。

「Champion」
個人的には一番のお気に入り曲。カラフルで疾走感のあるトラックが実にキャッチーでいいですよね。しかもサンプリング・ネタが大好きなSteely Danの「Kid Charlemagne」とくれば、もう堪りませ〜ん。オッパッピーですっ☆

「Stronger」
既にシングルヒットしているのでお馴染みですね。Daft Punk「Harder, Better, Faster, Stronger」をサンプリングしたHip-Hopらしからぬトラックは本アルバムを象徴するものですよね。まさに新たな領域に踏み込んだHip-Hopの裾野を広げる曲ですね。わけのわからん日本語テロップが流れるPVには笑ってしまいましたが(笑)ちなみにTimbalandがプログラミングで参加しています。Edwin Birdsong 「Cola Bottle Baby」ネタ。

「I Wonder」
Labi Siffre 「My Song」ネタのこの曲は『Late Registration』からの流れを汲む叙情的な曲ですね。

「Good Life」
「Stronger」の次のシングルになるのがこの曲。旬のシンガーT-Painをフィーチャーし、バック・コーラスにはNe-YoJohn Legendが参加という豪華布陣です。KanyeとDJ Toompの共同プロデュースでドラム・プログラミングでTimbalandが参加していマス。T-Painらしいボコーダー使いのボーカルと重厚なトラックのバランスが絶妙ですな。こちらも大ヒット間違いナシ!といったカンジでしょうか。Michael Jackson 「P.Y.T.」ネタ。

「Can't Tell Me Nothing」
アルバムからの先行シングル。この曲もKanyeとDJ Toompの共同プロデュースです。Young JeezyとSneaky Sound SystemのボーカルConnie Mitchellがバック・ボーカルで参加していマス。いかにもサウスってカンジの仕上がりですね。僕はこの手はあまり得意ではありませんな(笑)それよりも「Flashing Lights」にも参加しているConnie Mitchellの存在が気になりマス。

「Barry Bonds」
Lil Wayneをフィーチャーしたこの曲はKanyeではなくNottzがプロデュースしていマス。MLBホームラン記録を今年塗り替えた“汚れた英雄”バリー・ボンズをタイトルにしたこの曲もサウスしています。♪コンニチハ〜♪なんて日本語が聴けるのは面白いですが、僕には少し退屈かなぁ。Mountain 「Long Red」ネタ。

「Drunk and Hot Girls」
Mos Defをフィーチャー。Can 「Sing Swan Song」をサンプリングなんてあたりが激シブの哀愁トラックが印象的ですな。

「Flashing Lights」
Dweleをフィーチャー。Omarion『21』などを手掛けたことで個人的にかなり注目しているプロデューサーEric Hudsonとの共同制作です。期待を裏切らないエレガントなトラックにニンマリ。前述のConnie Mitchellがバック・ボーカルで参加していマス。

「Everything I Am」
Public Enemy「Bring The Noise」を擦るDJ Premierのスクラッチをフィーチャーしていることで話題の1曲。そんなことを抜きにしてもPrince Phillip Mitchell 「If We Can't Be Lovers」ネタのメロウなトラックにうっとりですね。

「The Glory」
Kanyeお得意の早回し(Laura Nyro「Save The Country」ネタ)が聴ける1曲。アルバム中1曲位はお約束で早回し聴きたいですな。John Legend, Mos Def等がバック・ボーカルで参加していマス。Mountain「Long Red」ネタ。元々はCommonに提供する曲だったみたいですね。そちらも聴きたかったなぁ。

「Homecoming」
ColdplayChris Martin参加で話題の1曲ですね。Chris MartinをうまくKanyeがプロデュースしているという印象ですかね。

「Big Brother」
エンディングはDJ ToompプロデュースのJay-Zへのリスペクト・チューン。スケールの大きな重厚なトラックも含めて見事な仕上がりですね。

国内盤にはJohn Mayerをフィーチャーし、バック・ボーカルにKeyshia Coleを配したボーナス・トラック「Bittersweet Poetry」が収録されています。僕は輸入盤で購入しましたが国内盤の方がいいかも?
posted by ez at 05:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする