2007年09月24日

Weather Report『Sweetnighter』

故Joe Zawinulを偲んで...☆Weather Report『Sweetnighter』
Sweetnighter
発表年:1973年
ez的ジャンル:フュージョン・グループ最高峰
気分は... :アンタは粋なZ(爺)だった!

かなり前の話になりますが、長年ジャズ界で活躍してきたキーボード奏者Joe Zawinulが9月11日にウィーンの病院で死去しました。

Joe Zawinulは1932年ウィーン生まれ(恥ずかしながらオーストラリア人だということを長年知りませんでした)。1960年代の初めにCannonball Adderleyのグループに参加し、本ブログでも紹介したヒット曲「Mercy, Mercy, Mercy!」を作曲するなど約9年間Adderleyを支えていました。

1969年にはMiles Davisに声を掛けられ、『In A Silent Way』『Bitches Brew』といったエレクトリック・マイルスの幕開けとなる歴史的レコーディングに参加します。

そして、1970年には同じくMiles門下生のWayne Shorter(ts)、プラハ生まれのMiroslav Vitous(b)、NY出身のAlphonse Mouzon(ds)と自己のグループWeather Reportを結成し、1986年に解散するまでたフュージョン界のトップ・グループとしてシーンを牽引し続けました。

最近では、シニア世代の枠を提案するメンズファッション誌『Z(ジー)』の表紙を飾っていたりしましたよね。

今回はそんなZawinulを偲ぶ意味でWeather Report『Sweetnighter』(1973年)をセレクト。

Weather Reportの紹介は『Black Market』(1976年)以来2回目となりマス。

『Sweetnighter』『Weather Report 』(1971年)、『I Sing the Body Electric』(1972年)に続くグループ3枚目のスタジオ作となります。

僕がよく聴くWeather Report作品は天才べーシストJaco Pastorius在籍時(1976〜82年)のものなのですが、今回敢えて本作『Sweetnighter』をセレクトしたのは、Joe Zawinulの意向が最も強く反映されたアルバムが本作だと思ったからです。

元々はZawinul、Shorter、Vitousの三頭体制でスタートしたWeather Reportでしたが、本作でZawinul主導のグループへと様変わりしていきます。そして、Zawinulが目指した方向がファンク・ビートの導入と、更なるエレクリック化の強化というものでした。

Shorterは一人のプレイヤーに徹しVitousに到ってはかなり隅のほうへ追いやられてしまっている様子ですね。また、Zawinul自身も本作からシンセサイザーを本格的に演奏するようになっています。

メンバー構成にもZawinulの意向が反映されています。
Josef Zawinul(key)、Wayne Shorter(ts、ss)、Miroslav Vitous(b)、Eric Gravatt(ds)、Dom Um Romao(per)というメンバーに加え、Andrew White III (eb)、Herschel Dwellin(ds)、Muruga Booker(per)といったサポート・メンバーが加わっています。

ファンク導入に伴うエレクトリック・ベースはVitousではなくAndrew White IIIが演奏し、ドラムやパーカッションにもサポートを加えているあたりに注目ですね。

内容的にはファンク・ビート導入という点でMiles Davisの『On The Corner』(1972年)あたりに通じるものがありますね。
Milesから影響受けすぎ!といった本作に対する一部批判もあるようですが、
(小島よしお風に)でもそんなの関係ねぇ!オッパッピー!ってカンジでしょうか(笑)

素直にカッチョ良いものはカッチョ良いと認めて欲しいですな。

全曲紹介しときヤス。

「Boogie Woogie Waltz」
何と言ってもこのファンク・チューンがサイコーですね。この1曲を聴けるだけで、このアルバムを購入する価値があると思いマス。アフリカンなパーカッションをバックに奏でられるZawinulのエレピ・グルーヴが何とスリリングでセクシーなこと!聴いているとテンション上がって鼻血ブーになりそうですっ!

Zawinulはどうしてもこの手の曲をやりたかったのでしょうね。Vitousはアコースティック・ベースを弾きながら、このファンク・グルーヴをどのように感じていたのでしょうね?

この曲をイントロを聴くと、バラエティ番組『はねるのトびら』の人気コーナー「オシャレ魔女アブandチェンジ」の歌を思い出すのは僕だけでしょうか(笑)

「Manolete」
この曲はShorterの作品。本作では控えめなShorterですが、相変わらずの名コンポーザーぶりを見せてくれていマス。ソプラノのソロにもうっとりです。穏やかな表情から徐々にテンションが上がっていく終盤の展開も好きです!

「Adios」
幻想的な演奏です。ファンク・ナンバーの合間に聴く箸休めとしてなかなかいいのでは?。

「125th Street Congress」
「Boogie Woogie Waltz」同様バリバリのファンク・チューンです。ファンク・ビート導入の主体はZawinulですが、Shorterのサックスも違和感なく見事に融合しているあたりがShorterの凄さなんでしょうね。

「Will」
この曲はVitousの作品。本作では陰が薄いVitousですが、かろうじて面目を保っているカンジですね。

「Non-Stop Home」
まさにノンストップの疾走感を持つ演奏ですね。スリリングなリズム隊がいいですね。ちなみに本曲にはVitousは参加していません。

その後のWeather Report作品を考えると、エポック・メイキング的な作品が本アルバムなのでは?

Zawinul爺のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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2007年09月23日

SWV『It's About Time』

90年代を代表する女性R&Bグループの大ヒット・デビュー作☆SWV『It's About Time』
It's About Time
発表年:1992年
ez的ジャンル:美メロ系女性R&B
気分は... :生足目立ちすぎっ(笑)

TLCと並ぶ90年代を代表する女性R&BグループであるSWVの2回目の登場です。前回からはかなり間が空いてしまいましたが...(笑)

今回は「Weak」「I'm So Into You」「Right Here」「Anything」といった名曲がズラリと並ぶデビュー作『It's About Time』(1992年)です。

個人的には以前に本ブログで紹介した2nd『New Beginning』(1996年)が一番のお気に入りアルバムですが、シーンに与えたインパクトという点ではやはりこのデビュー・アルバムですね。

Cheryl "Coko" GambleTamara "Taj" JohnsonLeanne "Lelee" Lyonsという3人組による、ストリート感覚のハジけたフレッシュさを持つ本格的なボーカル・グループというスタイルは、その後登場する女性R&Bグループに大きく影響を与えたのではと思いマス。

本作『It's About Time』TLC『Ooooooohhh - On The TLC Tip』Mary J. Blige『What's The 411?』を加えた、いずれも1992年に発表された3枚のアルバムが90年代女性R&Bの流れを大きく作ったというカンジでしたね。

また、1994年には本作のリミックスを集めたミニ・アルバム『The Remixes』が発表され、こちらも大反響を呼びました。

Remixes
Remixes

これだけ話題になり、かつ内容も濃いリミックス・アルバムは他にないのでは?このうちの何曲は今でもオリジナル以上に人気がありますからねぇ。

その意味では『It's About Time』『It's About Time』は1セットで聴くことをオススメします。

それにしても『It's About Time』のジャケのメンバーの生足がやけに目立ちますよね。やはりピチピチ感を売りにしたかったのでしょうか(笑)

オススメ曲を紹介しときやす。

「Anything」
ジャケ写真からは想像できない(?)しっとり落ち着いたスロウ・チューン。水の滴る音をそのままリズムに使っているのが面白いですね。

本曲はオリジナル以上に『The Remixes』収録のOld School Mixが有名かもしれませんね。Old School Mixは映画『Above The Rim』(1994年)のサントラに収録され、シングルとして全米R&Bチャート第8位となりました。本ブログでも紹介した Freedom「Get Up And Dance」がサンプリングされ、ブレイク前のWu-Tang Clanをフィーチャーしたパーティー・チューンです。ボーカル・アレンジは何とJoeが担当し、バック・ボーカルでも参加しています。

Wu-Tang Clanと言えば、約6年ぶりの再集結アルバム『8 Diagrams』が11月に発売されますね!

「I'm So into You」
シングル・カットされ、全米R&Bチャート第2位、全米ポップチャート第6位となった大ヒット曲。Betty Wright「Clean Up Woman」ネタを使ったスッキリとしたミッド・チューンに仕上がっています。個人的にはこの位のミッド・グルーヴがCokoのボーカルに合っている気がしますねぇ。

『The Remixes』収録のAllstar's Drop Check Dance MixTeddy Rielyが参加しています。Teddyらしいボコーダー使いのよりフロア仕様のダンサブルな仕上がりとなっています。僕のようなTeddy Riely好き!Blackstreet好き!の方は必聴だと思います。Freda Payne「Unhooked Generation」、The Five Stairsteps「Don't Change Your Love」ネタ。

「Right Here」
SWVの記念すべきデビュー・シングル。全米R&Bチャート第16位まで上昇しました。キュートなヒップホップ・ソウルチューンに仕上がっています。スクールガール的なキラキラ感を持った名曲ですね。

この曲もオリジナル以上に『The Remixes』収録のリミックスHuman Nature Duetが有名ですね。Teddy RielyがオリジナルとMichael Jackson「Human Nature」を合体させたマッシュ・アップの先駆けのようなリミックスは90年代好きのマスト・アイテムですな。。このリミックスはシングルカットされ、全米R&Bチャート第1位、全米ポップチャート第2位の大ヒットとなりまシタ。再発の『It's About Time』にはHuman Nature Duetがボーナス・トラックで収録されているみたいですね。

どうしてもHuman Nature Duetばかり聴きがちになってしまいますが、オリジナルもかなりいい仕上がりだと思いますので、忘れないでくださいね!と言いつつ、Human Nature Duetばかり聴いている僕ですが(笑)

「Weak」
全米R&Bチャート第1位、全米ポップチャート第1位となった大ヒット・シングル。ボーカル・グループとしての実力を魅せてくれる正統派スロウ・チューンですね。胸キュン好きにはど真ん中の1曲ですね。

『The Remixes』にはZapp「Computer Love」をサンプリングしたBam Jams Jeep Mixが収録されていマス。Zapp好きの僕には嬉しい限りデス。

「You're Always on My Mind」
この曲もシングルとして全米R&Bチャート第8位となりまシタ。プロデューサーでもあるBrian Alexander MorganとCokoとのデュエットになっていマス。しっとり落ち着いた大人のスロウ・チューンに仕上がっていマス。

「Downtown」
切ないムードがいいカンジのミディアム・スロウ。『The Remixes』にはジャジーな味わいのJazzy Radio Mixも収録されています。

「Coming Home」
密かに好きな美メロのミッド・チューン。ガール・グループらしいキラキラ感に満ちているカンジが大好き!Cokoのボーカルの突き抜けるボーカルが実にキュート☆

「Think You're Gonna Like It」
クールな疾走感がなかなかカッチョ良いダンス・グルーヴ。

「That's What I Need 」
胸キュン好きにはたまらないスロウ・チューン。個人的には「Weak」よりも好きなくらいかも?それにしてもBrian Alexander Morganはいい仕事していますなぁ。

こうやってオススメ曲を眺めてみると「Downtown」、「Coming Home」以外は全てBrian Alexander Morganプロデュース曲。ホント、いい仕事してますなぁ。
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2007年09月22日

John Coltrane『Kulu Se Mama』

フリー・ジャズ宣言前後のColtraneの魅力が凝縮された1枚☆John Coltrane『Kulu Se Mama』
Kulu Se Mama
録音年:1965年
ez的ジャンル:フリー・ジャズ前後のColtrane
気分は... :目を閉じて感性を研ぎ澄ませば...

まずはサッカー・ネタから...
チェルシーのモウリーニョ監督電撃辞任のニュースは衝撃的でしたね。

ある意味、アンリのバルサ移籍以上のインパクトがありましたよねぇ。
これでスーパースター軍団チェルシーは求心力が無くなり、一気に失速しそうですね。いきなり23日にマンチェスターUとの大一番が控えているので、まずはその試合に注目ですな。

個人的には、通訳から欧州制覇の監督まで上り詰めたジョゼ・モウリーニョという人のプロフェッショナリズムが好きですね。ポルトガル人らしからぬ(?)隙のないサッカーはファンタスティックではないかもしれませんがが、実にバランスのとれたサッカーをする知将という印象を持っていました。あとは試合前の言動から駆け引きする策士ぶりも僕好み(笑)

個人的には就任一年目の中央のドログバを中心にロッペン、ダフが左右から切れ込む3トップのシステムの頃が好きでしたね。シェフチェンコ、バラックが加入した昨シーズンから何か歯車が噛み合わなくなってしまいましたねぇ。。

次はどのクラブの監督になるんでしょう。
それとも人材不足のどこかの国(?)の代表監督になるとか?

さて、ジャズの求道者John Coltraneの4回目の登場っす。

『Ballads』(1962年)、『My Favorite Things』(1960年)、『Blue Train』(1957年)に続く4枚目は『Kulu Se Mama』(1965年)です。

これまでの3枚は聴きやすい前期〜中期のColtrane作品をセレクトしてきましたが、今回はついに“難解”な後期作品です。

1962年にJohn Coltrane(ts、ss)、McCoy Tyner(p)、Jimmy Garrison(b)、Elvin Jones(ds)というジャズ史上最強カルテットと呼ばれた布陣が整い、1964年録音の『A Love Supreme(至上の愛)』でカルテットは頂点を極めます。

頂点を極めたColtraneが次に向かったのはフリー・ジャズ!
Ornette Coleman『Free Jazz』(1961年)に影響受けたColtraneは、1965年の『Ascension』で若手ミュージシャンを含めた11名のメンバーによる集団即興を披露します。

これをきっかけにColtraneはフリー・ジャズの道を突っ走りマス。
音楽的な直感に基づき、絶叫するこの時期の作品は、言われているとおり重苦しく難解だと思いマス。ましてや僕のような永遠のジャズ初心者が...といったカンジです。

一方で、ジャズの求道者Coltraneが最後に辿り着いたゴール地点に少しでも触れてみたいと思うのも事実です。そのためには煩悩を捨て去り、無我の境地でColtraneの音楽と対峙せねばならない...なんて心境になってしまいます。

僕が聴くこの時代のColtrane作品は『Om』(1965年)、『Kulu Se Mama』(1965年)、『Live at the Village Vanguard Again! 』(1966年)の3枚が中心です。

今回はその3枚の中から、比較的聴きやすい(??)『Kulu Se Mama』をセレクト。
フリー・ジャズ宣言をした『Ascension』の録音が1965年6月ですが、本作『Kulu Se Mama』にはその数週間前の録音とフリー・ジャズ宣言以降の同年10月の録音が収録されています。

その意味ではフリー・ジャズ宣言前後の録音を聴ける点がなかなか興味深いのでは?
個人的にはフリー・ジャズというよりスピリチュアル・ジャズのアルバムという印象がありますね。
アフリカを意識したタイトル曲の印象が強いからかもしれませんね。

全曲紹介しときヤス。

「Kulu Se Mama (Juno Se Mama) 」
19分近くに及ぶタイトル曲は『Ascension』後の1965年10月の録音です。メンバーはJohn Coltrane(ts)、McCoy Tyner(p)、Jimmy Garrison(b)、Elvin Jones(ds)の最強カルテットに、Pharoah Sanders(ts)、Doanld Garrett(bcl)、Frank Butler(ds、per)、Juno Lewis(per、vo)が加わった編成です。

アフロ・アメリカンの地位向上に努めた打楽器奏者Juno Lewisの作品であり、ボーカルも担当しています。全体としてはパーカッシヴな演奏が印象的なアフロ・スピリチュアルといったカンジですね。

従来のColtrane作品にはないユニークな作品ですね。僕のように60年代後半から70年代前半のPharoah Sandersあたりが好きな方は、その路線の原点と思えばなかなか楽しめるのではと思いマス。

「Vigil」
この曲はなんとColtraneとElvin Jonesによるサックスとドラムのデュオ演奏です(1965年6月の録音)。ColtraneとElvinの緊張感に包まれた白熱のインプロヴィゼーション・バトルが凄まじいですね。感性剥き出しで実に生々しいです。サックスとドラムしかないため、案外集中してインプロに耳を傾けることができます。あっちっちぃ!

「Welcome」
最強カルテットによる演奏です(1965年6月の録音)。あまりに激しい「Vigil」後のこの曲は何とも美しいバラッド。この動と静のコントラストがいいですねぇ。同じリリカルなバラッドでも『Ballads』あたりの演奏と比較すると、こちらの方が悟りの境地のような穏やかさがありますねぇ!

はっきりタイプの異なる3曲のバランスがこのアルバムの魅力ではないかと思います。

本作あたりでまずは肩慣らしをし、さらにColtraneの宇宙に入りたければ、『Om』(1965年)、『Meditations』(1965年)、『Live at the Village Vanguard Again! 』(1966年)あたりに挑戦してみては?
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2007年09月21日

Graham Central Station『Release Yourself』

チョッパー・ベースのパイオニアLarry Grahamによるゴリゴリのファンク☆Graham Central Station『Release Yourself』
Release Yourself
発表年:1974年
ez的ジャンル:チョッパー・ベース系ファンク
気分は... :生々しいファンクが聴きたい!

Larry Graham率いるGraham Central Stationの紹介です。

Larry Grahamといえば、Sly & The Family Stoneのメンバーであったと同時に、エレクトリックベースにおけるスラップ奏法(チョッパー・ベース)のパイオニアとして有名ですね。

Larry Grahamは1946年テキサス生まれ。
両親がミュ−ジシャンという音楽的に恵まれた環境下で育ったLarryは、ドラムレスのバンドでパーカッシブなサウンドを出す必要性から若くしてスラップ奏法をマスターしたようです。

1967年にSylvester Stewart(Sly Stone)との運命的な出会いから、Sly & The Family Stoneへ加入します。そして、Slyと共に独自のファンク・サウンドを生み出していったことは周知のとおりだと思いマス。

Sly & The Family Stoneのカッコ良いサウンドを支えていたのは、Larry Grahamの衝撃的なマシンガン・ベースであったと言っても過言ではないでしょう。

しかし、『There's a Riot Goin' On』(1971年)を最後にSly & The Family Stoneを脱退したLarryは自身のグループGraham Central Stationを結成します。グループ名の由来は、ニューヨークのグランド・セントラル・ステーション(Grand Central Station)からきています。

1973年に1stアルバム『Graham Central Station』を発表すると、以降『Release Yourself』(1974年)、『Ain't No 'Bout-A-Doubt It』(1975年)、『Mirror』(1976年)、『Now Do U Wanta Dance』(1977年)、『My Radio Sure Sounds Good to Me』(1978年)、『Star Walk』(1979年)まで計7枚の作品を残しています。

個人的には、『Graham Central Station』『Release Yourself』『Ain't No 'Bout-A-Doubt It』という最初の3枚が好きですね。Sly & The Family Stone流ファンクをよりブラック・ミュージックとして昇華させたというカンジですかね。後期のアルバムはダンス・アルバムとしては楽しめるかもしれませんが、前述の3枚を聴いた後では違和感を感じますね。

今回はそのお気に入りの3枚の中から『Release Yourself』をセレクト。
グループの生々しいゴリゴリ・ファンクの魅力を一番堪能できるアルバムだと思います。

メンバーはLarry GrahamにPatryce Banks(vo)、Hershall Kennedy(g、clavinet)、David Vega(g)、Willy Sparks(ds)、Robert Sam(key)を加えた6名。あとはTower Of Powerのホーン隊が参加しています。

Sly & The Family Stone好きの方は、ある意味“より黒くなった”Sly流ファンクを楽しめるアルバムなのでは?

全曲紹介しときヤス。

「G.C.S.」
オープニングは、ファンク・ボックス(リズム・ボックス)とクラビネットによるクール・ファンク。このあたりはSlyのアプローチと似ているかもしれませんね。でも、こちらの方がよりブラック・ミュージック的だと思いますが。

「Release Yourself」
アルバムのハイライトと言えるのがこのタイトル曲。Larryのマシンガン・ベースが炸裂しまくるスリリングなファンキー・グルーヴ。Tower Of Powerのホーン隊も大活躍です!初期Sly & The Family Stoneの弾けたカンジがお好きな方は気に入ると思いマス。

「Got to Go Through It to Get to It」
「Hey Mr. Writer」と並ぶお気に入り曲。Larryのカッチョ良いベースを堪能できるミドルテンポのファンク・チューン。生々しくゴリゴリいくカンジが実にいいですね。

「I Believe in You」
どす黒いカンジが最高にカッチョ良いスロウ。ニューソウル的な味わいもあって大好きです。

「'Tis Your Kind of Music」
「おまえの好きなミュージック」という邦題がなんか唐突ですね(笑)“そうです!僕の好きなミュージックです”と答えたくなるクールなファンク・チューン。この曲や「G.C.S.」、「I Believe in You」あたりのサウンドはSly & The Family StoneStevie Wonderってカンジがしますね。

「Hey Mr. Writer」
僕の一番のお気に入り曲。ヤバすぎるカッチョ良さですね。Larryのチョッパーを堪能できるし、スピーディーでスリリングでファンキーなグルーヴ感がたまりませんね。途中のボーカル&コーラス・パートもサイコー!文句無しの出来です☆

「Feel the Need」
シングル・カットもされ全米R&Bチャート第18位となったゴスペル・タッチのポップ・チューン。このあたりのキャッチーさはSly譲りですな。

「Today」
イントロはまるでLed Zeppelin「Stairway to Heaven」ですな(笑)スケール感の大きなゴスペル・タッチの感動的なナンバーです。

1979年のGraham Central Station解散後はLarryはソロに転向し、最初のソロ・アルバム『One in a Million You』からシングル・カットされた「One in a Million You」が全米R&Bチャート第1位、同ポップチャート第9位の大ヒットとなりました。

個人的にはSly & The Family Stone時代および初期Graham Central Station時代のLarry Grahamがサイコーだと思いマス。
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2007年09月20日

Johan Christher Schutz『Passion』

大人気の北欧ボッサ!最近国内盤が発売されました☆Johan Christher Schutz『Passion』
パッション(紙ジャケ仕様)
発表年:2004年
ez的ジャンル:スウェーデン産北欧ボッサ
気分は... :キレキレのメッシは凄い☆

昨日に続き、今朝もUEFAチャンピオンズリーグをTV観戦していました。
昨日も書いたように今日は「バルセロナ対リヨン」、「アーセナル対セビージャ」という超目玉の2試合を集中的にチェック。

「バルセロナ対リヨン」は、バルセロナの一方的な展開でしたね。アンリ、ロナウジーニョは今一歩でしたがメッシはキレキレで凄かったなぁ。リヨンは昨年までの魅力的なサッカーを観ることができず残念でしたね!

「アーセナル対セビージャ」は、セビージャがアウェーでも守備的なサッカーをしない分、なかなか見ごたえのある一戦でしたね。アンリが抜けてどうなるのかと不安視していたアーセナルですが、なかなか楽しいサッカーと底力を見せてくれました。セスクが完全にチームの中心になりましたね。

さて、今回はスウェーデンのストックホルムで活躍するシンガー・ソングライターJohan Christher Schutzのデビュー・アルバム『Passion』(2004年)です。

Johan Christher Schutzの名は、以前にPaulo Muniz『Trying To Fool Destiny』のエントリーでチラッと紹介しましたね。

オシャレな音楽に敏感な方には、すっかりお馴染みのJohan Christher Schutz
最近2ndアルバム『Blissa Nova』も発表し、なかなか旬なアーティストの一人なのでは?

本場ブラジルとは異なる独特の北欧ボッサ・サウンドは、瞬く間に多くのリスナーを虜にしてしまいましたよね。僕も心温まるアコースティックなボッサ・サウンドにハマりまくった一人です。

この素朴だけど実に洗練されているカンジがいいですよね。
ネオアコのボッサ・ナンバーよりは全然手慣れているけど、ボッサなDNAが組み込まれているブラジル人のようなナチュラルな感覚でもない、ボッサ好きが生真面目にボッサ・ナンバー創りました!みたいなところに好感が持てますね。

2ndアルバム『Blissa Nova』ではGilberto GilBaden PowellLuiz Bonfaなどの作品を取り上げていますが、本作『Passion』は全曲オリジナルです。ボッサ・サウンドを強調しすぎると雰囲気だけのアーティストと思われる方もいるかもしれませんが、ソングライティングのセンスもなかなかですよ!

ちなみにアートワークを新たにし、ボーナス・トラックを加えた国内盤が最近発売となりました。今回のジャケ写真も国内盤のものです。

なかなか秋にぴったりのボッサ・アルバムだと思いマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Passion」
アルバムのハイライトは何と言ってもこのタイトル曲ですね。僕もまずはこの曲目当てで購入しまシタ。ネオアコ風味のジェントルなボッサ・ナンバーというカンジですかね。フルートの音色が涼しげでいいですね。浜辺で聴くよりも、渓谷あたりで聴きたいというカンジかなぁ。
http://www.youtube.com/watch?v=EjVUwOdNGwk

「There's Only You」
実際にアルバム1枚聴き終えて、一番気に入った曲がコレ。アコーディオンとピアノの響きが小粋なカフェ・モードのボッサ・チューン。カフェ・ランチでもしながらバックでこんな曲が流れてくるとサイコーですな。

「All Because Of You」
秋の夕暮れが似合いそうな哀愁たっぷりのスロウ・チューン。映画音楽っぽいエレガントなストリングスがいいですね。

「Think Of Me」
シンプルながらもジャジーなアレンジがなかなかいい雰囲気のナンバー。

「So Happy」
ギター一本で情感たっぷりの弾き語りを聴かせてくれます。素朴なカンジがいいですね。

「Pinch My Arm」
落ち着いたvibeの音色が印象的なナイト・モードのボッサ・チューン。

「Prague This Spring」
小鳥のさえずりのような爽やかな1曲ですね。朝の目覚めにいいかも?でも気持ち良すぎて二度寝しちゃいそうかな(笑)

「Reach The Top」
大人のカフェ・ミュージックといった趣きのアレンジがいいですね。読書しながら聴きたい気分の曲かなぁ。

「I'm Here」
「Passion」、「There's Only You」と並ぶ僕のお気に入り。明るく爽やかなサンバ・チューン。MPB系のアコースティック・グルーヴがお好きな方は気に入るのでは?

「Tousled Kitten Samba」
タイトル通り、涼しげなライトタッチのサンバ・チューン。サンバを演奏しても几帳面なカンジがこの人らしいのでは?

「Before You Go Away」
エンディングはジャジーな味わい。途中からパーカッシヴな展開になっていくのが好きですね。

今回発売された国内盤には「Passion」のニューバージョン「Passion (Surprise reprise)」が追加されているみたいです。

『Blissa Nova』はまだ未聴ですがチェックしたいですね。
平日昼間のタワーでも行ってじっくり試聴してこようっと。
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