2007年09月13日

Karla Bonoff『Wild Heart Of The Young』

麗しの女(ひと)の香りはバイオレット?☆Karla Bonoff『Wild Heart Of The Young』
麗しの女~香りはバイオレット(紙ジャケット仕様)
発表年:1982年
ez的ジャンル:ウエストコースト系女性シンガーソングライター
気分は... :●●回目のバースデー☆

今日は小生の●●回目の誕生日です。

世間が安倍首相辞任で大揺れの中、昨晩1日早いお祝いをしてもらい上機嫌です。年を取るのはさすがに素直に喜べませんが、お祝いしてもらえるのはやはり嬉しいですね。

今日はエレガントな大人の女性の歌が聴きたい...
ということでセレクトしたのはKarla Bonoff『Wild Heart Of The Young』(1982年)
いかにも年齢がバレそうなセレクションですが(笑)

Karla Bonoffは1951年LA生まれの女性シンガーソングライター。幼い頃から音楽に親しんできたKarlaは、姉とデュエットを組んでクラブなどへ出演するようになりました。この時Karlaに注目したのが後にKarlaの作品をプロデュースするKenny Edwardsです。

Linda Ronstadtと組んでいたグループStone Ponysが解散したばかりのKenny Edwardsは、Andrew Gold、Wendy WaldmanそしてKarlaを加えた4人組グループBryndleを1969年に結成します。Bryndleはデビュー・シングルを発売したものの、その後はトラブルに巻き込まれグループは解散してしまいます。

グループ解散後、Linda Ronstadtのバックを務めるようになったKenny Edwardsの紹介でKarlaはLindaと交流を持つようになります。そして、ソングライターとしてのKarlaを気に入ったLindaはアルバム『Hasten Down The Wind』(1976年)でKarlaの作品を3曲取り上げました。当時のLindaの人気ぶりが追い風となり、Karlaへの注目は高まります。

そして、LindaとKennyの強力なプッシュのもとにColumbiaとのソロ契約に成功し、Kenny Edwardsプロデュースによるデビュー・アルバム『Karla Bonoff』を発表します。その後もKennyのプロデュースで『Restless Nights』(1979年)、『Wild Heart of the Young』(1982年)といった作品を発表しました。

Karla Bonoffといえば2nd『Restless Nights』をプッシュする人が圧倒的に多いのではと思います。日本のみのシングル「Trouble Again」がヒットし、本国アメリカ以上に日本で人気があったように記憶しています。僕も当時かなりお気に入りの1枚でしたね。というよりもNicolette Larsonと並ぶ美人シンガーという印象が強かったでしょうか(笑)

ただし、今現在の僕の気分としてはキュートな2nd『Restless Nights』よりも、しっとり大人の3rd『Wild Heart of the Young』の方が好きですね。

何と言っても邦題が『麗しの女〜香りはバイオレット〜』ですからね(笑)
さらに“淡き夢かすかに残り、愛が香りにかわる...”というキャッチコピーが続きます。
なかなか期待させるでしょう!

バックには、Kenny EdwardsをはじめRuss Kunkel(ds)、Bob Glaub(b)、Ira Ingber (g)、Andrew Gold (g、key)、Danny Kortchmar (g)、David "Hawk" Wolinski(key)、Bill Payne(key)といったメンバーを中心に、Don Henley、Timothy B. Schmit、Joe Walshといった元Eagles勢、Wendy Waldman、J.D. Souther、Waddy Wachtel、Victor Feldman、David Sanbornなどが参加しています。

まさに麗しの女性SSWといった感じがいいですよぉ〜!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Personally」
アルバムからの1stシングルであり、Karlaのキャリア最大のヒット曲です(全米ポップ・チャート第19位)。このシングルを初めて聴いた時、かなり前作とイメージが変わったなぁという印象を受けましたね。実にしなやかで透明感のあるナンバーですよね。ちなみにこの曲はKarlaの楽曲ではなく、Paul Kellyの作品です。Don Henley、Timothy B. Schmitがバック・コーラスで盛り上げてくれます。

この曲のイントロを聴くと、何故かキャンディーズの「年下の男の子」のイントロを思い出してしまいます。さっき、YouTubeで「年下の男の子」を聴いたら、全然似ていなかったのですが(笑)

「Please Be the One」
アルバムからの2ndシングル。マイナー調の憂いのあるカンジがKarlaらしいですね。

「I Don't Want to Miss You」
ウエストコースト・ロックらしい1曲。甘酸っぱい青春の香り...バイオレットではなくてレモンってカンジかな!

「Even If」
個人的なお気に入り曲。聴いているだけで涙ウルウルになりそうな切ないバラードです。Andrew Gold、Wendy WaldmanというかつてのBryndleの仲間たちがバック・コーラスで好サポートしています。

「Just Walk Away」
「Personally」、「Even If」と並ぶお気に入り。こちらも胸が締め付けられるような切ないラブ・バラードです。David Sanbornのサックスがこれまたサイコーですな。

「Wild Heart of the Young」
タイトル曲も憂いのあるバラード。Karlaのボーカル&ピアノとVictor Feldmanのヴァイヴの絡みがグッドですね。バック・コーラスでJ.D. Southerが参加しています。

「It Just Takes One」
この曲はかなりウエストコースト・ロックしていますね。ここではAndrew Goldのオルガンがなかなかいい味出しています。あとはJoe Walshのスライドがかなり目立っていますね(笑)

「Dream」
最後はしっとり、儚い夢のようなナンバー。前述の“淡き夢かすかに残り”というコピーがぴったりかも?

すっかりホロ酔い気分で電車の乗り過ごしてしまいました。
全くいい歳こいて何やってるんだろうね!

僕の麗しの女サンキュー!
君のおかげでサイコーのバースデーになったよ〜☆
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2007年09月12日

Alicia Keys『Diary Of Alicia Keys』

新作『As I Am』発売の前にAKの旧作をおさらい☆Alicia Keys『Diary Of Alicia Keys』
The Diary of Alicia Keys
発表年:2003年
ez的ジャンル:天才系女性R&B
気分は... :なぜこんなに心に響くんだろう♪

今回は現在一番の旬の女性R&BシンガーであろうAlicia Keys(AK)の紹介です。

10月末に3枚目のスタジオ作『As I Am』を発売予定のAK☆
その新作も楽しみですが、今回はおさらいの意味も含めて『Diary Of Alicia Keys』(2003年)をセレクト。

2001年にデビューアルバム『Songs In A Minor』を発表し、2002年のグラミー賞では5部門を独占するなど瞬く間にシーンのトップに躍り出ましたね。2003年に発表した2ndアルバム『Diary Of Alicia Keys』もシングル「You Don't Know My Name」「If I Ain't Got You」等の大ヒットと共に前作以上の大ヒットを飛ばし、その地位を不動のものにしましたね。

まさにAKには“天才”という形容詞が相応しいのかもしれませんね。

しかし、売れ過ぎのアーティストにどうも抵抗感のある僕は、長い間その天才の作品を素直にアルバムを聴くことができませんでしたね。AKの場合、とりあえず『Songs In A Minor』『Diary Of Alicia Keys』を購入したのですが、それ程のめり込んでは聴かないというカンジでしたかね。まぁAKは聴くようになりましたが、Usherは未だにダメでアルバムも未購入のままですが(笑)

僕がAlicia Keysに目覚めたのは、海外ドラマ「コールドケース」の挿入歌として「If I Ain't Got You」を聴いた時だったかもしれません。「コールドケース」は未解決凶悪犯罪の捜査を描く犯罪ドラマなのですが、ある回のエンディングにふと「If I Ain't Got You」が流れてきました。

♪Some people want it all〜,But I don't want nothing at all♪というAKの歌を聴いた途端、心の中がポッと温まった気がしました。やっぱり、この娘は天才だわぁ!ということで、その時から素直にAliciaの作品に向かい合えるようになりましたかね。

振り返ってみると、本作『Diary Of Alicia Keys』が発表された2003年は、ソウル回帰の動きが顕著になった年と位置づけることができるかもしれませんよね。

Musiq『Soulstar』Kindred The Family Soul『Surrender To Love』Anthony Hamilton 『Comin' from Where I'm From』Joss Stone『The Soul Sessions』等々70年代ソウルの伝統を受け継いだ佳作が続々と発表されたのが2003年だったのではと思います。

そんな流れを象徴する1枚が本作『Diary Of Alicia Keys』なのかもしれませんね。
このアルバムの凄いところは

今さらですが「You Don't Know My Name」「If I Ain't Got You」の2曲は永遠のクラシックとして長く聴き継がれるのではと思います。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Karma」
アルバムからの4thシングル。エキゾチック・ムードの神秘的な1曲ですね。チャレンジ精神は買いますが、僕の好みとは少し違うかなぁ。

「Heartburn」
Timbalandプロデュース。なかなかエッジの効いたカッチョ良いナンバーに仕上がっています。全然Timbalandらしくないのが面白いですね。

「If I Was Your Woman/Walk on By」
Gladys Knight & the Pips「If I Was Your Woman」、Isaac Hayes「Walk on By」(Burt Bacharach/Hal David作品)のメドレー。古き良きソウルへロスペクトしつつも、21世紀風に仕上げているあたりがさすがAKですね。

「You Don't Know My Name」
Kanye Westプロデュースのアルバムからの1stシングル。全米ポップチャート第3位、R&Bチャート第1位というチャートアクションは勿論のこと、時代を越えた普遍的な楽曲の素晴らしさも含めてクラシックに相応しい名曲ですね。秋から冬にかけて聴くと心に深く刻まれますねぇ。The Main Ingredient「Let Me Prove My Love To You」ネタ。バックボーカルにはJohn Legendの名もクレジットされています。

「If I Ain't Got You」
全米ポップチャート第4位、R&Bチャート第1位となった2ndシングル。この曲も「You Don't Know My Name」と並ぶクラシックですね。オーソドックスなソウル・バラッドをこれだけのスケール感で聴かせてしまうところが天才たる所以なのでしょうね。最近の曲なのに何十年も聴いているような懐かしさを感じるが不思議ですよね。よくよくクレジットを眺めてみるとギターにHugh McCracken、ドラムにSteve Jordanの名を見つけてニンマリ。いろんなリミックスもありますが、個人的にはオリジナルがダントツで好きですね。

「Diary」
Tony! Toni! Tone!をフィーチャーした3rdシングル。 全米ポップチャート第8位、R&Bチャート第2位となりました。AKのピアノが結構肝だったりしますね。

「Dragon Days」
アレンジの関係でしょうか、他の楽曲と肌触りが多少異なる感じですね。

「Wake Up」
70年代ソウルマナーな1曲。華麗なストリングス・アレンジがいいですね。ベースはなんとWillie Weeks。

「So Simple」
Dre & VidalプロデュースによるHip-Hopテイストのミッド・グルーヴ。アルバムの中でいいアクセントになっていると思います。

「When You Really Love Someone」
全体的なシリアスなムードがAKらしくていいのでは?

「Nobody Not Really」
実にエレガントなエンディング・ナンバー。軽くラテン・タッチなのもいいですね。

新作『As I Am』にはJohn Mayer、TimbalandFloetry、Linda Perry(Gwen Stefani、Christina Aguilera等へ楽曲提供している注目ライター)らが参加しているようですね。 これまでよりロックやファンクのエッジが効いたサウンドになるとのことですが、僕は一層ソウルフルな路線がいいのですが...(笑)
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2007年09月11日

Michael Franks『Sleeping Gypsy』

秋の訪れとこのボッサ感覚のAORはマッチするのでは?☆Michael Franks『Sleeping Gypsy』
スリーピング・ジプシー <SHM-CD>
発表年:1977年
ez的ジャンル:インテリ系ボッサAOR
気分は... :何となくサウダージ

AORの定番中の定番Michael Franks『Sleeping Gypsy』(1977年)です。

Michael Franksは1944年生まれのシンガー・ソングライター。
文学や音楽を学び、大学で教鞭を取っていたこともあるインテリ派です。ミュージシャンへの道を捨てきれず1973年にアルバム『Michael Franks』を発表するものの不発に終わります。しかし、プロデューサーLenny Waronkerと知り合ったことがきっかけでチャンスをつかみ、1976年に『Art of Tea』を発表します。これが評判となり、新世代のシンガー・ソングライターと目されるようになりました。

『Art of Tea』ではプロデューサーTommy LiPuma、エンジニアAl Schmitt、アレンジNick De Caroというシティ・ミュージック黄金トライアングルが制作に携わり、バックはJoe SampleWilton FelderLarry CarltonというThe Crusaders勢、Michael BreckerDavid Sambornといったジャス/クロスオーヴァー系ミュージシャンが固めるという豪華布陣も話題となりました。

今日紹介する『Sleeping Gypsy』(1977年)は『Art of Tea』に続いて発表された作品です。
ブラジル録音の曲が2曲含まれていることや、ボサノヴァの大御所Antonio Carlos Jobimへ捧げられた人気曲「Antonio's Song (The Rainbow) 」が収録されていることもあり、ブラジル・フレイヴァーが強い作品となっています。

『Art of Tea』の制作陣からアレンジがClaus Ogermanへ代わっています。Claus Ogermanは本ブログでも紹介したAntonio Carlos Jobim『Wave』等でお馴染みの華麗なストリング・アレンジの名手ですね。バック・ミュージシャンは『Art of Tea』のメンバーに加え、Joao Palma(ds)、Joao Donato(p)、Helio Delmiro(g)といったブラジル人ミュージシャンも参加しています。

僕の中ではMichael Franksという人はGino Vannelliなんかと同じで、“AOR好きの人に持ち上げられすぎ!”という印象ですかね。悪くはないけど、特別騒ぐほどでもないというカンジですかね。

僕が本作『Sleeping Gypsy』が好きなのも、Michael Franksへの興味というよりも、プロダクションやバック・ミュージシャンの好サポートによる完成度の高さのためではと思います。

じっくり聴き込むほどのインパクトはないけど、何かをやりながらバックに流しておくと、実に心地良い1枚だと思います。特に僕の中でMichael Franksは秋のイメージがあるので、今聴くのが旬ではないかと思います。

全曲紹介しときやす。

「Lady Wants to Know」
バックの演奏の心地良さに惚れ惚れする1曲。特にLarry Carltonの優しく包んでくれるようなギターが堪らないですね。Franksのソフトなボーカルをよく引き立てていると思います。歌詞にJohn ColtraneMiles Davisの名が出てくるのも好き。

「I Really Hope It's You」
Joe Sampleのフェンダーが気持ちいいワルツ調のナンバー。いかにもシティ・ミュージックってカンジがいいですね。

「In the Eye of the Storm」
正直、歌や曲はイマイチだけどバックの演奏はグッド!Crusaders勢を楽しみましょう。

「B'wana-He No Home」
ブラジル録音1曲目。ブラジル大好きの僕はお気に入りです。Joao Donatoのピアノがサイコーにいいですね。Franksのボーカルはこういったソフトなラテン/ブラジルものに合っているかも?

「Don't Be Blue」
アルバム中一番軽快な曲かもしれませんね。Claus OgermanのアレンジとDavid Sambornのサックス・ソロが冴えています。

「Antonio's Song (The Rainbow) 」
前述の名曲です。Michael Franksの名は知らなくても、この曲は知っている人も多いのでは?素晴らしいアレンジと素晴らしい演奏のおかげでFranksの下手くそボーカルもサウダージ・ムードたっぷりに思えてくるから不思議です(笑)UAもカヴァー(『アメトラ』収録)していますね。

「Chain Reaction」
この曲のみJoe Sample作品です。Crusadersの1975年発表のアルバム『Chain Reaction』のタイトル曲としての方が有名かもしれませんね。

「Down in Brazil」
ブラジル録音2曲目。「Lady Wants to Know」、「B'wana-He No Home」と並ぶ僕のお気に入り曲。この人にはやはりボッサなナンバーが似合いますな。Joao DonatoのラテンタッチのピアノにLarry Carltonの軽やかなソロがいいですねぇ。Clementineがカヴァーしていました。

聴いていて改めて思いましたが、バックの素晴らしい演奏を邪魔しない、Michael Franksのボーカルがナイスです(笑)
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2007年09月10日

Dinah Washington『Dinah Jams』

“ブルースの女王”と豪華ジャズメンの共演☆Dinah Washington『Dinah Jams』
Dinah Jams
録音年:1954年
ez的ジャンル:“ブルースの女王”によるジャズ・ボーカル
気分は... :イルカ軍団黒星スタート...残念!

NFLが開幕しました。
残念ながら、我がドルフィンズは開幕戦黒星スタート...

開幕第1週の注目カード「ジェッツ対ペイトリオッツ」をTV観戦しましたが、今年のペイトリオッツはかなり強そうですね。新加入のモス、ストルワースなどのWR陣が一気に豪華となり、QBブレイディのパス能力をさらに強化することとなりそうですね。同地区のドルフィンズにとっては今シーズンも手強い存在となりそうです。

2ヶ月ぶりの1950年代作品です。
セレクトしたのは“ブルースの女王”Dinah Washingtonの代表作『Dinah Jams』(1954年)。

Dinah Washington(1924-1963年)はアラバマ出身のブルース/R&B/ジャズ/シンガー。
1943年Lionel Hamptonの楽団でそのキャリアをスタートさせ、1946年にマーキリー・レーベルと契約してからはゴスペル、ブルース、ジャズ、カントリーなどさまざまなスタイルの作品をレコーディングしています。“Queen of the Blues(ブルースの女王)”と呼ばれた力強く、エモーショナルな唱法は、その後の黒人女性ヴォーカリストたちに多大な影響を与えました。

今回紹介する『Dinah Jams』はDinahがClifford Brown & Max Roachのクインテットを中心にジャズメンたちと共演した作品です。録音されたのは1954年8月14日。この時にセッションは約20時間にも及ぶマラソン・セッションとなり、その模様は本作以外にClifford Brown名義の『Jam Session』にも収められています。

メンバーは、Dinah Washington(vo)、Clifford Brown(tp)、Maynard Ferguson(tp)、Clark Terry(tp)、Herb Geller(as)、Harold Land(ts)、Richie Powell(p)、Junior Mance(p)、George Morrow(b)、Keter Betts(b)、Max Roach(ds)という布陣。tpでブラウニー(Clifford Brown)に加え、Maynard Fergusonも名を連ねているのが何とも豪華ですね。

Dinah Washingtonのボーカルの魅力を堪能できるのは勿論ですが、彼女ばかりが目立つのではなくブラウニーをはじめとするジャズメンたちの白熱した演奏も聴き迫力満点です。

擬似ライブ形式でスタジオに客を招いており、聴衆の歓声や拍手も雰囲気を盛り上げてくれます。

全曲紹介しときやす。

「Lover, Come Back to Me」
1928年のオペレッタ『The New Moon』で使われたOscar Hammerstein II/Sigmund Romberg作品。多くのアーティストが取り上げるスタンダードですね。収録曲のうち、唯一全メンバーが参加した演奏になっています。各メンバーのソロが一通り聴ける楽しい流れですが、ここではDinahのボーカルの存在感が圧倒的ですね。この1曲でDinah Washingtonというシンガーの虜になるのでは?

ブラウニーは1953年にも本曲をレコーディングしています(『Clifford Brown Memorial』収録)。

「Alone Together」
「Summertime」
「Come Rain or Come Shine」
この3曲は有名なバラードのメドレーです。
「Alone Together」は1932年のミユージカル『Flying Colors』の挿入歌(Arthur Schwartz/Howard Dietz作品)です。ここではHarold Landのテナーサックスをフィーチャーしています。

続く「Summertime」は有名なGershwin作品(ミュージカル『Porgy and Bess』挿入歌)ですね。本ブログではJohn Coltrane『My Favorite Things』収録のバージョンを紹介したことがありますね。ここではMaynard Fergusonがフィーチャーされ、かなり盛り上げてくれます。

「Come Rain or Come Shine」
ミュージカル『St.Louis Woman』挿入歌(Johnny Mercer/Harold Arlen作品)。本ブログではBill Evans Trio『Portrait In Jazz』収録のバージョンを紹介したことがありますね。ここではDinahのボーカルをフィーチャー。抑制の効いた情感たっぷりなボーカルを聴かせてくれます。

「No More」
Salvador Camarata/Bob Russell作品。ブルースの女王Dinahと天才トランペッター・ブラウニーを大きくフィーチャーした作品。ブルージーな雰囲気になるとDinahの本領発揮という感じでしょうか。かなり好きですね。ブラウニーの好サポートぶりもグッド。

「I've Got You Under My Skin」
Cole Porter作品(ミュージカル映画『Born to Dance』挿入歌)。Dinahの歌に続き「Clark Terry→Ferguson→ブラウニー」という三人のトランペッターの共演を堪能できます。

「There Is No Greater Love」
Marty Symes/Isham Jones作品。Dinahの提案によて急遽演奏・録音されたものらしいです。ピアノ、ベース、ドラムのみのバックでエモーショナルなDinahのボーカルを堪能できます。秋にピッタリな感じですね。

「You Go to My Head」
Haven Gillespie/J.Fred Coots作品。この曲もメンバー各自のソロが堪能できる楽しい展開ですね。この曲はブラウニーが『The Memorial Album』(1953年)でもレコーディングしています。

現在のCDには「Darn That Dream」「Crazy He Calls Me」「I'll Remember April」の3曲がボーナス・トラックで追加されているようです。僕の保有するCDには収録されていないのが残念ですが...
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2007年09月09日

A Tribe Called Quest『Beats Rhymes & Life』

The Ummahが全面プロデュース☆A Tribe Called Quest『Beats Rhymes & Life』
ビーツ,ライムズ&ライフ
発表年:1996年
ez的ジャンル:アート系Hip-Hop
気分は... :(石ちゃん風に)マ〜ウ〜!

久々のA Tribe Called Quest(ATCQ)です。

『Midnight Marauders』(1993年)、『The Low End Theory』(1991年)に続く3枚目は4thアルバム『Beats Rhymes & Life』(1996年)です。

ATCQの場合、2nd『The Low End Theory』、3rd『Midnight Marauders』の2枚である意味サンプリングによるHip-Hopを完成してしまった感がありますよね。

なので、この4枚目以降は周囲の期待値が相当高まった分、かなりのプレッシャーだった思いますね。
そのせいか、本作『Beats Rhymes & Life』や続く5thアルバム『Love Movement』に対する評価って辛口のものが多いですよね。僕はミーハー的にATCQが好きなので、全作品どれでもOKなのですが....

本作の特徴は何と言っても、1曲を除いてThe Ummahがプロデュースをしていることですよね。
The Ummahは、Q-TipAli Shaheed MuhammadというATCQメンバー二人に故Jay Dee (J Dilla) を加えたプロデュース・チーム。本作『Beats Rhymes & Life』でその名を初披露したのではと思います。僕も本作を購入した直後は“The Ummahって何者よ!”と思った記憶があります。当時は今みたいに情報が豊富ではなかったし、後の大プロデューサーJay Dee (J Dilla) だって当時は無名の存在でしたからね。

肝心の中身の方は、サンプリング+αのHip-Hopサウンドの構築を目指したThe Ummahの意欲作だと思うのですが、その硬質でクリアなサウンドが批判の対象ともなりましたよね。僕は全然違和感なく『Midnight Marauders』の進化形として聴いていましたが...当時あれこれ文句言っていた人はその後のJay Deeの大活躍はどのように映ったんですかね。

あとはシングルにもなった「Stressed Out」でのFaith Evansのフィーチャリングなどもマイナスのイメージになってましたよね。僕も恥ずかしながら、当時はFaith Evans(というよりその周辺)をウサン臭いと思っていたので、それについては好意的ではありませんでしたが(笑)

あとは苦節10年今年ようやく『Don't Quit Your Day Job!』でメジャー・デビューを果たしたConsequenceの参加曲が6曲と目立っています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Get a Hold」
硬質かつ太めのビートの重量感が印象的ですね。これを無機質と感じるか、クールでカッチョ良いと感じるかで大きく評価は異なりますね。The Cyrlle「The Visit」ネタ。

「Motivators」
おとぼけモードな感じのATCQを楽しめます。彼ら独特の浮遊感も健在です。Michael Urbaniak「Sound Pieces」ネタ。Consequence参加曲です。

「Jam」
かなり好きな1曲。この曲などは従来通りサンプリングを前面に押し出した作りなのですが(笑)Howard Roberts Quartet 「Dirty Old Bossa Nova」ネタのループがとても気持ちいいですね。Consequence参加曲。

「Crew」
2分にも満たない小品ですが、ハイハットの響きと流麗な旋律の絡みがとても好きですね。

「1nce Again」
シングルにもなりました。Heavy D. & The BoyzやTeddy Rileyの「Is It Good to You」へのフィーチャーでお馴染みのTammy Lucasが参加しています。Gary Burton「I'm Your Pal」ネタの気持ちいいヴァイヴのループとTammy嬢のボーカルの組み合わせが実に華やかなムードにしてくれます。素直にこのキャッチーさが大好きです。Cannonball Adderley「Untitled(『Black Messiah』収録)」ネタ。

「Mind Power」
クリアなビートにKool & The Gang「N.T.」のネタの上モノが乗っかっている気持ちいい1曲。Consequence参加。

「The Hop」
シンプルかつクリアなトラックがなんかクセになります。Henry Franklin「Soft Spirit」ネタ。

「Separate/Together」
ATCQらしい浮遊感が好きですね。James Brown「Funky Drummer」からJBの声ネタを使っています。

「What Really Goes On」
「Separate/Together」からシームレスに続くところが好きですね。この硬質なビート感のカッチョ良さがたまりません。個人的には本作で一番好きかもしれません。James Brown「Make it Funky」、Ohio Players「Pain」ネタ。

「Word Play」
真夜中モードの妖しげなメロウHip-Hopって感じでしょうか。基本的にこのタイプの曲は大好きですね。Rodney Franklin「The Watcher」ネタ。Consequence参加曲。

「Stressed Out」
前述のFaith Evansをフィーチャーしたシングル曲。当時は本曲でのFaith Evansの華やかさや曲自体のキャッチーさを素直に“好き”といえませんでしたが、Faithも好きになった現在ではイチオシ曲としてオススメします(笑)

Consequenceに加え、De La SoulのMaseがスクラッチで参加しています。Anita Baker「Good Love」ネタ。

本作の評判の悪さの要因の1つに“ジャケが駄目”という意見も多いみたいですね。僕はあえてB級感を狙ったこのデザインが結構好きだったりしますが...というか要はATCQに関するものは基本的に全てOKなのですが(笑)
posted by ez at 00:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする