2007年09月08日

Herbie Hancock『Thrust』

一番ファンクネスに溢れたHancock作品なのでは?☆Herbie Hancock『Thrust』
Thrust
発表年:1974年
ez的ジャンル:バリバリ・ファンク系ジャズ
気分は... :少しハイテンション

明け方、サッカー「日本対オーストリア」をTV観戦しましたが、相変わらず消化不良気味ですね。ゴール前で点が入る予感が全然しないですよね。松井大輔がもっと見たかったですね。しかも、彼本来の左サイドのポジションでね...

久々のHerbie Hancockです。

『Speak Like A Child』(1968年)、『Sunlight』(1978年)、『Inventions And Dimensions』(1963年)に続く4枚目の紹介は1974年の作品『Thrust』です。

前年に大ヒット作『Head Hunters』を発表し、ジャズ/フュージョンの枠を超えてファンク・ミュージックへ急接近したHancockが、さらにそのファンク路線を推し進めたのが本作『Thrust』です。

聴く前の先入観として、『Head Hunters』はジャズ/フュージョン史に残る名盤というイメージだったのに対して、『Thrust』はジャケのSFチックなジャケも手伝って、B級感漂うフュージョン・アルバムというイメージでしたかね。

そのため、『Head Hunters』『Thrust』をほぼ同時期に購入したのですが、長い間『Head Hunters』ばかり聴いていた気がします。かなり『Head Hunters』を聴き込んだ後に、ようやく『Thrust』を聴いたのですが、逆に新鮮でエラく気に入ってしまいました。

ということで、一般には『Head Hunters』の方が評価も人気も高いと思いますが、僕の気分としては『Thrust』の方が好きですかね。おそらく、ブラック・ミュージックがお好きな方は『Head Hunters』以上にファンク色の濃い『Thrust』を気に入るのではと思います。

ちなみに、『Thrust』『Head Hunters』に続き、ジャズ・アルバム・チャート第1位、R&Bアルバム・チャート第2位に輝いており、その意味ではベストセラー・アルバムですのでご安心を。

メンバーは、Herbie Hancock(key)、Bennie Maupin(ss、ts、fl)、Paul Jackson(b)、Mike Clark(ds)、Bill Summers(per)という布陣です。ドラムがHarvey MasonからMike Clarkへ代わった以外は『Head Hunters』と同じメンバーですね。

1週間前に紹介したQuincy Jones『Body Heat』も、本作と同じ1974年発表で(多少路線は違いますが)ジャズ・サイドからブラック・ミュージックへ急接近したアルバムでしたね。そう考えると、この頃のジャズ、ソウル、ファンク、ラテンって本当の意味で“フュージョン”していた感じですね。

全曲紹介しときやす。

「Palm Grease」
Hancockのアープ・シンセが印象的なコズミック・ファンク。まさに未知の惑星を探索するジャケのイメージそのままの感じですね。ファンキーだけどクールな感じが大好きですね。途中のBill SummersのパーカッションがBob James「Take Me to the Mardi Gras」っぽいのも好きです(コチラの方が先なのですが)。R&Bのシングル・チャートにもランク・インしました。

「Actual Proof」
カッチョ良いファンク・ビートに、Hancockのカラフルなエレピが絡む1曲。全体に漂うミステリアスな雰囲気がいいですね。元々はHancockが担当した1973年の映画『The Spook Who Sat By The Door』のサントラに収録されていた曲です。そちらではタイトルも「The Spook Who Sat By The Door」になています。

「Butterfly」
アルバムで一番有名なのは、ライブでもお馴染みのこの曲かもしれませんね。幻想的な美しさを持った名曲ですね。聴くたびにスーッとHancock達が創り出す小宇宙に吸い込まれてしまいそうです。Hancock本人がバックアップしたKimiko Kasai(笠井紀美子)さんのカヴァーが有名ですよね。それ以外にもNorman Connorsなどがカヴァーしています。

「Spank-A-Lee」
ジャズ・ファンク好きにはたまらんドライヴ感のコズミック・ファンクですね。このゴリゴリ感がたまりません。Paul Jacksonのベースがうねりまくります。

全4曲。昔はジャズ/フュージョン・アルバムの曲数の少なさに物足りなさを感じましたが、最近はノリの良い曲は長尺で聴きたい気分なのであまり気にならなくなってきたかもしれません。

この路線がお好きな方は『Man-Child』(1975年)、『Flood』(1975年)あたりもどうぞ。
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2007年09月07日

Donovan『The Hurdy Gurdy Man』

サイケ&アシッドと英国らしさを見事に融合した作品☆Donovan『The Hurdy Gurdy Man』
The Hurdy Gurdy Man
発表年:1968年
ez的ジャンル:サイケ・ポップ/フォーク
気分は... :イルカ軍団よ今年こそは!

台風9号でかなり大荒れですね。

海の向こうでは、いよいよアメフトの全米プロリーグNFLが今日開幕します。
開幕戦は昨年王者コルツと昨年ミラクルな大躍進を見せたセインツ。なかなか楽しみな対戦です。

ドルフィンズ一筋30年の小生としては、今年こそはイルカ軍団にプレーオフ進出して欲しいものです。LBトーマス、DEテイラーに加え、LBパーカーを加えたディフェンス陣はかなり強力だと思います。QBにグリーンを迎えたオフェンス陣も昨年のようなことはないはず!とかなりの期待です。

NFLに興味ない方は、よくわからないですよね。ゴメンナサイ。

さて、UKフォーク界の貴公子Donovanの2回目の登場です。

前回はサイケデリックに身を投じた出世作『Sunshine Superman』(1966年)を紹介しましたが、今回はその独自のサイケ・フォークを円熟させた快心作『The Hurdy Gurdy Man』(1968年)を紹介します。

僕が頻繁に聴くDonovan作品は『Sunshine Superman』(1966年)、『Mellow Yellow 』(1967年)、『The Hurdy Gurdy Man』(1968年)の3枚。

順序として最初に聴くべきは『Sunshine Superman』と思い、本ブログではそちらを先に紹介しましたが、個人的に一番好きな作品は本作『The Hurdy Gurdy Man』です。

きっと、当時のサイケ&アシッド・モードと英国らしい曇った雰囲気がフォーキーにうまく融合した感じが好きなんだと思います。

ちなみにDavid Fincher監督の最新映画『Zodiac』の中でもタイトル曲「Hurdy Gurdy Man」が使われているようですね。なるほど、この曲の不穏な空気はDavid Fincher向きかもしれませんね。

また、本作収録の何曲かはHip-Hopのサンプリング・ネタにもなっています。
あるいは本作の何曲かはフォーキー・グルーヴとして、若いリスナーの方にもすんなり受け入れられるのではと思います。その意味でDonovanの音楽って意外と現在進行形な気がします。

サイケ&アシッドだけではなく、英国さしさを堪能して欲しい作品ですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Hurdy Gurdy Man」
本作のハイライトと呼ぶべきタイトル・ナンバー。シングルカットされ、全米チャート第5位、全英チャート第4位となりました。ちなみにHurdy Gurdyとは、右手でハンドルを回すと回転する円盤が弦を擦って音が出る中世ヨーロッパの民族楽器のことです。

実にドラッギーでアシッドな雰囲気の曲ですね。完全に別世界へトリップしてしまいそうですね。ボーカルのディレイ処理が不気味で不穏なムードを助長しています。

元々はDonovanがJimi Hendrixに歌って欲しくて作った曲らしいですね。それは実現しませんでしたが、本曲のレコーディングにはJimmy Page、John Paul Jones、John Bonhamという後のLed Zeppelinのメンバー3人にAllan Holdsworthが加わるという豪華な布陣が参加しています。

Steve Hillage等のカヴァーやBeastie Boys「Car Thief」等のサンプリング・ネタとしても知られていますね。

「Peregrine」
サイケ好きの人にはたまらない1曲。サイケ嫌いの人にはわけのわからん曲でしょう(笑)

「The Entertaining Of A Shy Girl」
Paul McCartneyあたりが演りそうなジャグ・バンド風のナンバー。

「As I Recall It」
ブルージーなムードとジャジーなアレンジのバランスがいい感じのナンバー。

「Get Thy Bearings」
King Crimsonがカヴァーしたことでも知られる曲。ジャズとロックを融合して、少しアナーキーなスパイスを加えたこの雰囲気はKing Crimsonのイメージとも符合する気がしますね。Biz Markie「I Told You」等のサンプリング・ネタにもなっています。

「West Indian Lady」
穏やかモードだけどサイケなフォーキー・グルーヴ。陽気なようで陽気ではないビミョーな空気が大好きです。

「Jennifer Juniper」
シングルカットされ、全米チャート第26位、全英チャート第5位となりました。実にフラワー・ムーヴメントしているプリティなポップ・チューン。

「The River Song」
哀愁のフォーキーのナンバーと思いきや、途中からタブラがパカポコと入っていて、サイケ・モードに突入します。「West Indian Lady」と並ぶ僕のお気に入り曲。

「Tangier」
タブラとシタールが入り乱れるインド趣味丸出しのナンバー。George Harrisonと双璧なのでは(笑)少し前に紹介したBeach BoysのMike Loveと同じで相当Maharishi Yogiにハマっていたのかもしれませんね。

「A Sunny Day」
英国らしい曇った物悲しいムードのフォーク・チューン。全然サニー・デイな感じがしない(笑)でも、それがいい感じです。

「The Sun Is A Very Magic Fellow」
ソフト・ロック好きの人が好きそうな、ストレンジなポップ・フォーク。

Donovanについては未聴の作品も機会があれば是非聴いてみたいですね。
まずは『A Gift from a Flower to a Garden』(1967年)、『H.M.S. Donovan』(1971年)あたりかなぁ。
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2007年09月05日

Skyy『Skyy the Best』

再評価が高まるファンク・グループのサルソウル時代のベスト☆Skyy『Skyy the Best』
スカイ・ザ・ベスト
発売年:2003年
ez的ジャンル:サルソウル系ファンク
気分は... :サルソウルはいいねぇ└(^^*)┐ ┌(*^^)┘

久々にサルソウル系のアーティストの紹介です。
Instant Funk以来になりますかね。

ということで近年再評価が高まるファンク・グループSkyyの登場です。

SkyyはN.Y.で結成されたファンク系のボーカル&インスト・グループ。

リーダーのSolomon Roberts Jr.(g、vo)を中心にAnibal Anthony "Butch" Sierra(g)、Larry Greenberg(key)、Gerald LeBon(b)、Tommy McConnell(ds)、Bonnie Dunning(vo)、Delores Dunning(vo)、Denise Dunning(vo)という8人組です(『Skyyjammer』(1982年)よりLarry Greenbergに代わりWayne Wilentzが加入)。

さらにグループのプロデューサーRandy Mullerの存在も欠かせません。
Randy Mullerは、こちらも再評価されているファンク・グループBrass Constructionのリーダーだった人であり、Brass ConstructionSkyyはある意味兄弟グループといった関係だったのではと思います。

Randy MullerSolomon Roberts Jr.の発案によって、1978年にSkyyが誕生しました。グループ結成後にRandy人脈でSalsoulとの契約が成立し、1979年にはデビュー・アルバム『Skyy』を発表します。シングル「First Time Around」がR&Bチャートの第20位となるなど、まずまずのスタートとなりました。

その後、『Skyway』(1980年)、『Skyyport』(1980年)、『Skyy Line』(1981年)、『Skyyjammer』(1982年)、『Skyylight』(1983年)、『Inner City』(1984年)といった作品をSalsoulで発表ます。その後、Salsoulを離れ何枚かの作品を発表しますが、1992年の『Nearer to You』がグループ最後の作品となりました。

オリジナル・アルバムで言えば、R&BチャートNo.1となった大ヒット・シングル「Call Me」を収録し、アルバム自体もR&Bアルバム・チャートNo.1となった『Skyy Line』(1981年)が最重要作といえますが、今回はSalsoul時代の主要作をまとめて聴けるベスト盤『Skyy the Best』をセレクトしました。

僕とSkyyとの出会いは、晩年の作品『Start of a Romance』(1989年)をリアルタイム購入したときでした。正直前述のようなSkyyの歴史などあまり知らず、「Start of a Romance」「Real Love」という2曲のR&BチャートNo.1ヒット収録に惹かれて購入したと記憶しています。

それでSkyyというグループへの興味が高まったのですが、当時は過去のSkyyの作品を入手することは困難だったので、ずっと聴く機会を得られませんでした。なので、ベスト盤でやっとSkyyというグループの全貌が見えてきました。

やっぱりSalsoul時代がサイコーですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「First Time Around」
前述の『Skyy』からのデビュー・ヒット(R&Bチャート第20位)。伝説のDJであるLarry Levanのプレイ・リストにも入っていたクラシックですね。サルソウルらしいディスコ・サウンドとヨーロピアンなテイストが融合したセクシーなダンス・チューンに仕上がっています。。

「Let's Turn It Out」
『Skyy』から「First Time Around」に続きシングル・カットされたナンバー(R&Bチャート第65位)。70年代らしいファンク・テイストのディスコ・チューンに仕上がっています。Dunning3姉妹のコーラスはディスコ・サウンドと実にマッチしますね。

「High」
「Skyyzoo」
『Skyway』からの1stシングル「High」(R&Bチャート第13位)と2ndシングル「Skyyzoo」(R&Bチャート第32位)。2曲共にLarry Levanのプレイ・リストにも入っていたクラシックですね。どちらもChicあたりが好きな人は間違いなく気に入るスタイリッシュなダンス・チューンに仕上がっています。「High」はToo $hort「Short But Funky」の元ネタにもなっていますね。

「Here's to You」
『Skyyport』からの1stシングル(R&Bチャート第23位)。この曲もLarry Levanがプレイしていたクラシックです。サルソウルらしいニューヨークのアーバン・ナイトの雰囲気ムンムンの仕上がりです。サルソウル好きの人はまず気に入るでしょう。Emelee「Head Over Heels」のサンプリング・ネタにもなっていますね。

「Superlove」
『Skyyport』からの1stシングル(R&Bチャート第31位)。ヨーロピアン・テイストの洒落たダンス・チューンに仕上がっています。

「Call Me」
『Skyy Line』からの1stシングルであり、R&BチャートNo.1となったグループ最大のヒット曲。ディスコ・ヒットしようなアーバンなダンス・チューンに仕上がっています。Teddy Riley好きの方はBlackstreet「Fix」ネタとしても知られていますね。

「Let's Celebrate(Francois Kevorkian Mix)」
『Skyy Line』からの2ndシングル(R&Bチャート第16位)。本盤ではFrancois Kevorkianのミックスが収録されています。僕の一番のお気に入りです。クールでスタイリッシュなグルーヴ感がカッチョ良いダンス・チューンですよ。

「When You Touch Me」
『Skyy Line』からの2ndシングル(R&Bチャート第43位)。本作収録曲の中では数少ないスロウです。胸キュン好きにはたまらないスウィートま仕上がりです。

「Let Love Shine」
『Skyyjammer』からの2ndシングル(R&Bチャート第39位)。結構地味な存在ですが、なかなか小粋なアーバンなダンス・チューンに仕上がっていますね。

「Show Me the Way」
『Skyylight』からの2ndシングル(R&Bチャート第35位)。この頃になると、かなりエレクトリック・ファンクしていますね。僕の好きなB級のチープ感が漂うのがいいですね。

サルソウル好き、Larry Levan好きは勿論のこと、Chicあたりが好きな人にもオススメです。
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2007年09月04日

Boston『Don't Look Back』

産業ロック嫌いな僕だけど、なぜかBostonは好き!☆Boston『Don't Look Back』
Don't Look Back
発表年:1978年
ez的ジャンル:アメリカン・プログレ・ハード・ロック
気分は... :これは素直に好き!

若い洋楽リスナーの方はピンと来ないかもしれませんが、
1970年代後半から1980年代にかけて、アメリカで人気を博した売れ筋のポップなロックは“産業ロック(商業ロック)”と呼ばれていました。

JourneyStyxForeignerTotoBostonREO SpeedwagonAsiaあたりが典型と言えるでしょう。

元々は雑誌『ロッキング・オン』創刊者でロック評論家の渋谷陽一氏が使い始めた言葉です。人によって、この言葉の解釈はかなり異なると思いますが、「ロック本来の批判精神を忘れて、“売れること”を主目的に制作されたロック」と僕は解釈していました。

渋谷氏がこの言葉を使い始めた1970年代後半はパンク/ニューウェイヴが台頭してきた時期と重なります。

パンク/ニューウェイヴは決して、ヒットチャートの上位に決して顔を出すことはありませんでしたが、そのラディカルなスタンスは音楽シーンにインパクトを与え、若者たちから確実に大きな支持を得たといえます。そうしたパンク/ニューウェイヴの動きと対比するように、ヒットチャート上位に名を連ねる売れ筋ロックを表した言葉が“産業ロック”という言葉だったのではと思います。

当時僕自身はパンク/ニューウェイヴも好きだったし、ヒットチャートも良く聴いていたので“産業ロック”もそれなりに好きだった、という状況でしたかね。

まぁ、Journey、Styx、Asiaなどのグループは昔から何が良いのか、さっぱりわかりませんでしたが(笑)

でもって現在の僕の気分はと言えば、当時聴いていたパンク/ニューウェイヴは今でも聴きたくなるけど、当時の“産業ロック”は積極的には聴く気にならないというのが本音ですね。

ただし、幾つかの例外もあって、今でも積極的に聴きたいと思うグループが2グループだけあります。それが以前に紹介したTotoと今日紹介するBostonです。

ということで、本日は産業ロック嫌いの僕が珍しく紹介する産業ロック、Boston『Don't Look Back』(1978年)です。

BostonはリーダーのTom Scholz(key、g、b)を中心としたロック・グループ。実態はTom Scholzのソロ・プロジェクトと説明した方が適切かもしれませんね。

幼少の頃からクラシックを学び、マサチューセッツ工科大学を卒業したTom Scholzは、ポラロイド社の研究スタッフとして働きながら、たった一人でデモ・テープを作り、それをベースに制作されたデビュー・アルバム『Boston』(1976年)もBrad Delpのボーカル以外は殆どScholzが一人で楽器を担当した。

そして、デビュー後のライブ活動のために、初めてバンド・メンバーが集められ、Tom ScholzにBrad Delp(vo)、Barry Goudreau(g)、Fran Sheehan (b)、Sib Hashian (ds)の4名を加えた5人組バンドの体裁を整えました。

結果として、デビュー・アルバム『Boston』はシングル「More Than A Feeling」(全米チャート第5位)と共に大ヒット(全米アルバム・チャート第3位)を記録し、評論家からも絶賛され、一躍アメリカン・ロックのトップ・グループに躍り出ることになります。

そして、その大ヒット・デビュー作の2年後に発表されたのが今日紹介する2ndアルバム『Don't Look Back』です。

本作も全米アルバム・チャート第1位となると同時に、「Don't Look Back」(全米チャート第4位)等のシングル・ヒットを生みました。

デビュー・アルバム『Boston』と比較するとインパクトは小さかったのかもしれませんが、個人的には『Boston』以上に『Don't Look Back』を愛聴しています。後追いで聴いた『Boston』よりも、リアルタイムで聴けた『Don't Look Back』に愛着があるのかもしれませんね。

Bostonの魅力は、大味な印象が強いアメリカン・ロックを緻密な作品に昇華させた点にあるように思います。メロディ、ボーカル&ハーモニー、ギター・オーケストレーション等々、何度聴いても飽きがこない作りなんですよね。

ラーメンでいえば、産業ロックは“こってり系”ラーメンだと思います。

こってり味なんだけれども、意外と繊細でスープも全部飲めちゃうというがBostonTotoなのに対して、僕が苦手なJourney、Styx、Asiaは味のくどさと脂っぽさで、あまりスープを飲む気がしないという印象ですかね。
*もし、Journey、Styx、Asiaファンの方が読んでいたらゴメンナサイ。ラーメンの好みと同じで、あくまで僕個人の好みの話なのでお許しください。

本作では各メンバーも一応楽器をプレイしています(笑)
まぁ、Scholzからガチガチの指示があったのでしょうが。

全曲紹介しときやす。

「Don't Look Back」
タイトル曲はBostonらしい、メロディアスで、スペイシーで、ハードなノリのいいロック・チューン。アルバムからの1stシングルとして全米チャート第4位となりました。

リアルタイムで聴いていた頃は、このタイトル曲のイントロを聴いただけで、アドレナリンが出まくっていたような気がします。厚みのあるギター・オーケストレーションとBrad Delpのハイトーン・ボーカルがいいですね。厚みあるけど、展開の巧さでくどくさせないのが職人Scholzの技だと思いますね。

「The Journey」
前の「Don't Look Back」と次の「It's Easy」の橋渡しのようなインスト。各種エフェクトによる幻想的な世界を聴かせてくれます。

「It's Easy」
「Don't Look Back」と同タイプのノリのいいナンバー。こちらの方が少しアコースティックなテイストですかね。

「A Man I'll Never Be」
個人的にはアルバムというかBostonの楽曲の中で一番のお気に入りですね。同意見の方は結構多いのではと思います。3rdシングルとしてシングルカットもされました。全米チャートでは第31位止まりでしたが、日本では洋楽Top10系の番組でかなり上位にランクされていたような記憶があります。

まさに美メロのロック・バラッドですね。アコースティックな味わいとハードなエレクトリック・ギターのバランス感覚がサイコーですね。ノー・シンセサイザーということでハモンド・オルガンが活躍しています(笑)情感たっぷりのBrad Delpのボーカルもサイコーです。

僕がこの手のロック・バラッドにこれだけ愛着を持つのはかなり珍しいですね。それくらいの名曲だと思います。

「Feelin' Satisfied」
アルバムからの2ndシングル(全米チャート第46位)。この曲あたりを聴いていると初期Doobie Brothersとの共通点も感じますね。初期Doobiesがプログレ・ハードを演奏すると、こんな感じになっていたのでは?

「Party」
これは正統派“産業ロック”???僕には少しくどく、もたれ気味ですが大目に見ましょう(笑)

「Used To Bad News」
この曲もかなりのお気に入り。スペイシーなテイストの中にも、アコースティックな味わいが織り交ぜられているのが好きですね。そして、後半のハモンド・オルガンとギターの絡みがかなりカッチョ良いですよね。

「Don't Be Afraid」
この曲も正統派“産業ロック”なのですが、メリハリのある展開なので飽きがこないゴキゲンな1曲だと思います。Barry Goudreauのワウワウ・ギターが目立っていますね。

本作の後、3rdアルバム『Third Stage』が発表されるまでには8年の歳月を要することになります。長いブランクにも関わらず『Third Stage』およびシングル「Amanda」は共に全米No.1となり健在ぶりを示しました。

ちなみにその頃僕の興味は既にロックではなくブラック・ミュージックへ移行しており、個人的には全く聴こうともしませんでしたが(笑)

その後も『Walk On』(1994年)、『Corporate America』(2002年)と8年周期でアルバムを出し、“次作は2010年か”と期待されていたファンの方も多かったと思うのですが、ボーカルのBrad Delpが今年の3月に死去してしまいましたね。今後どうなってしまうのですかね?
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2007年09月03日

Margaret Bell『Over And Over』

ハート&ウォームなゴスペル・アルバムの佳作☆Margaret Bell『Over And Over』
Over & Over
発表年:1991年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・ゴスペル
気分は... :今年のバルサは期待できる!

深夜期待せずにWOWWOWのリーガ・エスパニョーラにチャンネルを合わせると、予定を急遽変更して「バルセロナ対ビルバオ」戦を放映。ラッキー!やっと新シーズンのバルサを観ることが出来ましたぁ☆

結果は3対1でバルサの勝利☆
今シーズンのバルサは本来の観ていて楽しいサッカーが戻ってきたようですね。
後半のバタつきはいただけませんでしたが、前半は最高の出来でしたね。

ロナウジーニョ、メッシ、アンリの3トップにデコ、シャビが絡む攻撃陣は、球回しを観ているだけで楽しかったですね。アンリは馴染むまでもう少し時間が掛かりそうですが、バルサのサッカーにうまくハマりそうですな。

さらには期待の18歳ドス・サントスも途中出場し、天才の片鱗を見せてくれました。
新加入のアビダル、ヤヤ・トゥレも実にチームにフィットしていましたし、新加入DFガブリエル・ミリートも途中出場したし、いやぁ大満足でしたね。

これでこの日欠場のエトーやプジョルが戻ってきたら...なんて考えるとワクワクですね。
いやぁ、今年のバルサは絶対にやってくれるでしょう!

そのバルサ戦に引き続き、宿敵レアルの戦いを観戦。
ビジャレアル相手に完勝しましたが、サッカー自体はあまり面白いとは思いませんでしたね。

レアルでは、調整が遅れて試合に出ていませんが、新加入のロッペンに注目ですね。彼がチームに馴染んで本来の突破力を発揮すれば、チーム全体の破壊力が相当アップするのではと思っています。

今年のリーガはかなり楽しめそうです。

さて、今回はなかなかマニアックなゴスペル・アルバムMargaret Bell『Over And Over』(1991年)の紹介です。

ゴスペル・アルバムといえば、今年発表された女性ゴスペル・シンガーSunny Hawkinsのデビューアルバム『More Of You』をここ数ヶ月結構愛聴しています。本ブログでも紹介したいのですが、Amazonにジャケ写真がないので保留中っす。

それで同じようなコンテンポラリーな女性ゴスペル・シンガーとしてセレクトしたのがMargaret Bell『Over And Over』(1991年)です。

Margaret Bellは偉大な女性ゴスペル・シンガーVanessa Bell Armstrongを姉に持つゴスペル・シンガー。本作『Over And Over』がデビュー・アルバムとなります。

1998年に発売され、日本でヒットしたゴスペルのオムニバス・アルバム『Healing Gospels』Margaret Bellの名を知った人も多いのではと思います。

僕自身は発売後間もなく本作『Over And Over』を購入したのですが、なのでMargaret Bellがゴスペル・シンガーだなんて全く知りませんでした。CDショップでアルバムのオープニング曲「Any Day Any Minute Now」聴き、“カッチョ良いファンク・チューンじゃん”と衝動買いをした記憶があります。

でもって、購入後にアルバム全体を聴いてみると、ゴスペル・アルバムであることに初めて気付き、びっくり!今でこそゴスペル・アルバムも購入する僕ですが、当時はゴスペル・アルバムを購入するという意識はあまり無かったので...

でも、とてもR&Bテイストのコンテンポラリーな仕上がりだったので、それほど違和感は感じませんしたね。あとはMargaretの伸びやかで温かみのあるボーカルに惹かれましたねぇ。

プロデュースはゴスペル・ファンにはお馴染みBeBe Winans等が務めています。CeCe WinansをはじめとするWinansファミリー、姉Vanessa Bell Armstrong等も参加し、Margaretを盛り上げています。

これから秋にかけて聴くにはピッタリのハート&ウォームなゴスペル・アルバムあと思います。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Any Day Any Minute Now」
オープニングは全くゴスペル・アルバムとは思えないファンク・テイストのアップ・チューン。前述のように僕が本アルバムを購入したのは試聴して本曲を気に入ったからです。今聴いても実にスタイリッシュなファンク・チューンだと思います。

「Holding on to You」
力強く伸びやかなMargaretのボーカルを堪能できるバラッド。ゴスペル・ナンバーと意識せずに聴いても実に感動的なナンバーです。僕は大好きなRegina Belleあたりと一緒に聴いていましたね。

「What to Do」
ポップなミッド・グルーヴ。こうしたゴスペルを意識しなくていいキャッチーな曲が全体の中でいいアクセントになっていると思いマス。

「Over and Over」
タイトル曲は先に紹介した『Healing Gospels』にも収録されていたのでお馴染みですね。内容的にも本作のハイライトだと思います。

秋にピッタリのハート&ウォームなナンバーです。いつ聴いても心が洗われますね。個人的にはディープに熱唱しすぎず、伸びやかなボーカルを堪能できる本曲のようなタイプの曲が一番Margaretに合っていると思います。

「I Choose to Be a Believer」
ゴスペルらしいホーリーなムードを堪能できるナンバー。「Over and Over」同様ハート&ウォームなカンジが実にいいですね。

「I Trust in You」
コンテンポラリー・ゴスペルらしいスタイリッシュなミッド・グルーヴ。気分が下げモードの時に聴くと、優しく励ましてくれるような気分になる1曲ですね。

「Here With You」
「Lay It All on Him」
正統派ゴスペルしている2曲。思わず神に祈りたくなりマス。特に「Lay It All on Him」の壮大なスケール感が好きですねぇ。

「Crazy When It Comes to You」
これはR&Bテイストのミッド・グルーヴ。90年代初めらしいR&Bサウンドをバックに徐々に高揚してくるMargaretのボーカルがいい感じですね。

Sunny Hawkins『More Of You』もAmazonにジャケ写真が用意され次第紹介しますね。最近、紹介したいけどAmazon待ちの作品が多くて困ります(泣)
posted by ez at 05:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする