2007年09月02日

Lee Morgan『The Rumproller』

ジャケも最高!MorganとHendersonの相性も最高!☆Lee Morgan『The Rumproller』
ザ・ランプローラー+1
録音年:1965年
ez的ジャンル:キザ男系天才肌Jazz
気分は... :バルサの試合が観たい!

相変わらず、WOWWOWのリーガ・エスパニョーラはバルセロナの試合が観れないようですね。早くバルサの試合が観たぁ〜い!

まぁ、これを機会に普段きちんと観戦することが少ない中位チームをチェックするのも面白いかもしれませんが。今朝は「サラゴサ対ラシン・サンタンデール」を観戦中。

よくよく考えると、サラゴサって、アイマール、ダレッサンドロ、ディエゴ・ミリートとアルゼンチン代表クラスのタレントが揃っており、これにブラジル人FWのリカルド・オリヴェイラが絡む攻撃陣は、かなり魅力的ですね。

あとは先日死去したセビージャのプエルタ選手への哀悼の意を込めて、両チームの選手全員がプエルタの名が入ったシャツを着て入場したのは感動的でした。

日本ではあまり大きく報道されていませんが、スペインを初めとするヨーロッパでは、今回の事件の衝撃はかなり大きなものだったと思います。

久々に天才ジャズ・トランペッターLee Morgan(1938-1972年)をセレクト。

『Lee Morgan Vol.3』(1957年)、『Candy』(1958年)に続く3枚目は『The Rumproller』(1965年)です。

僕が本作が好きな大きな理由は、Reid Milesデザインによるジジャケのカッチョ良さですね。

“ジャケ買いかよ〜!”と怒られそうですが、Lee Morganの場合は作品によってジャケの出来・不出来の差が激しいので...まぁ、Morgan自身が作品によって演奏の好不調の波が激しい人という評価のようですが(笑)

ちなみに、本作と『Here's Lee Morgan』(1960年)、『Expoobident』(1960年)の3枚が僕が選ぶLee MorganのジャケBest3です。ちなみワースト・ジャケは『Charisma』(1966年)。あのジャケをMorganのキザでカッチョ良いイメージを著しく損なう気がしますね。

さて、中身は『The Sidewinder』(1963年)の成功を受けたジャズ・ロック路線のタイトル曲に加え、モーダルな曲有り、ラテン/ボッサな曲有り、リリカルなミュートによるバラッドあり、とやや小粒ですが飽きの来ない構成だと思います。

メンバーは、Lee Morgan(tp)、Joe Henderson(tp)、Ronnie Mathews(p)、Victor Sproles(b)、Billy Higgins(ds)の5人。個人的には先日も『In 'N Out』を紹介したばかりのJoe Hendersonの参加が嬉しいですね。MorganとHendersonの相性の良さは『The Sidewinder』で証明済みですからね。MorganとHenderson共に大好きな僕としてはサイコーですな。

全曲紹介しときヤス。

「The Rumproller」
オープニングは「The Sidewinder」路線のファンキーなジャズ・ロック(Andrew Hill作品)。「The Sidewinder」が好きな人は絶対に気に入ると思いマス。Morganのキザなくらいカッチョ良すぎるソロを堪能できます。MorganとHendersonの2管のバックで小粋なピアノを聴かせるMathewsもなかなかグッド!

「Desert Moonlight」
なんと日本人にはお馴染みの童謡「月の沙漠」がベースになっています。蛇足ですが「砂漠」ではなく「沙漠」という表記がなんですね。初めて知りました。どっから、どう聴いても「月の沙漠」ですが、作者はMorganの名がクレジットされています。それでいいのでしょうか? 正直、アルバム中特にいいと思うわけではありませんが、やはり日本人としてはかなり気になってしまいます。

「Eclipso」
「Eclips(皆既日食)+calypso(カリプソ)」の造語か?ラテン/ボッサなMorganのオリジナルです。和テイストの月夜の次にラテンな皆既日食が来るとは何か興味深いですね。プレイヤーの魅力を引き出す演奏かどうかはビミョーですが、全体のテイストは好きですね。

「Edda」
アルバムで一番のお気に入り曲がコレ。Wayne Shorter作のアップテンポのワルツです。名コンポーザーShorterの作品だけあって曲もいいし、モーダルな演奏もエラくカッチョ良いですね。ジャケのイメージにピッタリな洗練されたムードの仕上がりです。特にHendersonのソロがいいですねぇ。

「The Lady」
Rudy Stevenson作のバラッド。Morganの情感たっぷりのミュートがいいですね。Morganのミュートって、Milesのミュートとは異なる魅力を持っていますよね。

「Venus Di Mildrew」
この曲はCDのボーナス・トラック。「Edda」に続きWayne Shorter作品を取り上げているというのが興味深いですね。全体的にリラックスした雰囲気がいいですねぇ。

欧州サッカーの開幕でウキウキの僕ですが、間もなくアメフトのNFLも開幕!欧州サッカー&NFLが始めると、僕の場合は家で引きこもり状態となってしまうのですが(笑)
posted by ez at 05:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月01日

Quincy Jones『Body Heat』

Quincyの転機となったブラック・ミュージックの傑作☆Quincy Jones『Body Heat』
ボディ・ヒート
発表年:1974年
ez的ジャンル:Quincy流ブラック・ミュージック
気分は... :やっと紹介できましたぁ!

もう9月ですね。
9月生まれの僕としては、やはり特別な月ですねぇ。
別に何か特別なイベントがあるわけではないのですが。

今日は最初The Brothers Johnsonを紹介しようと思って、エントリーを書きかけたのですが...書きはじめてから“この兄弟ってQuincy Jonesの肝煎りだよなぁ”と思い出し、“そろそろQuincyに行かないとねぇ”と方向転換へ

でもって、セレクトし直したのがQuincy Jones『Body Heat』(1974年)です。

これまで何度かQuincyを紹介しようと思ったのですが、たまたまその時の気分が『Big Band Bossa』(1963年)や『The Dude』(1981年)あたりだったので断念してしまいました。個人的にQuincyを紹介するとすれば、最初の1枚は絶対『Body Heat』しかないと思っていたので。

僕が最初にQuincy Jonesの音楽に出会ったのは、米TVドラマ『Roots』(1977年)の音楽でした。

Alex Haleyが黒人奴隷だった自らの祖先を描いたベストセラー長編小説をドラマ化です。日本でTV放映された時は確か小学生だったと思いますが、かなり感動して観ていました。その感動を盛り上げていたのがQuincyの音楽でした。当時の僕はQuincy Jonesという名は知りませんでしたが、その音楽は今でも鮮明に憶えています。

Quincy Jonesの名を明確に認識したのは、やはりMichael Jackson『Off The Wall』『Thriller』の2枚ですね。後はこの2枚の間に発表されたQuincy自身の『The Dude』(1981年)がリアルタイムで聴いた最初のアルバムでした。アルバムというよりも「Ai No Corrida」の♪愛のコォ〜リ〜ダァ♪の印象が強すぎましたが(笑)

あとは、スーパースターが一同に会した「We Are The World」のプロデュースのインパクトも大きかったですね。このあたりでQuincy Jones=米ポピュラー音楽のボスみたいなイメージが僕の中で出来上がりましたかね。

この固定的なイメージに支配されていたため、長い間Quincy Jonesの音楽と一定の距離を置いていた気がします。

そんな僕の固定イメージを払拭してくれた作品が本作『Body Heat』です。
とてもソウル/ファンクといったブラック・ミュージックというものを意識した作品ですね。
それまでジャズ的なイメージが強かったQuincyが、前作『You've Got It Bad Girl』(1973年)あたりからブラック・ミュージック的なアプローチを打ち出し、さらにそれを全面に推し進めたのが本作『Body Heat』ということですかね。

一言でいうと、この頃のソウル/ファンクのトレンドをうまく取り入れたブラック・ミュージック・アルバムというカンジですかね。全9曲中8曲がボーカル入りというのがは嬉しいですね。

個人的には、この頃ミラクルな作品を発表し、最盛期だったStevie Wonderの一連の作品に近い肌触りを感じますね。

参加ミュージシャンが凄いですね。主なところだけでも、Herbie HancockBob James、Richard Tee、Dave Grusin、Billy Preston、Wah Wah Watson、David T. Walker、Eric Gale、Phil Upchurch、Chuck Rainey、Bernard Purdie、James Gadson、Paul Humphrey、Hubert Laws、Leon Ware、Al Jarreau、Minnie Riperton等の豪華さです。

「Body Heat」「One Track Mind」「If I Ever Lose This Heaven」の3曲を提供し、ボーカルも務めているLeon Wareがかなりの存在感を示していると思いマス。Leon Ware大好きの僕としては、そのあたりが最大の聴きどころなのですが。

このQuincyのアプローチはリスナーにも受け入れられ、ジャズとR&Bのアルバムチャートで第1位、ポピュラーチャートでも第6位の好結果を残しました。

ちなみに本作のレコーディング終了の直後に脳内血管が破裂したQuincyは2度の大手術をし、奇跡の生還を果たしたそうです。

いろんな意味でQuincyのターニング・ポイントなった1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Body Heat」
タイトル曲はQuincy/Bruce Fisher/Leon Ware/Stan Richardson作品。Leon WareとBruce Fisherがボーカルを務めています。スタイリッシュなソウル・チューンといった感じですね。

Leon Wareは本ブログで紹介した自身のアルバム『Musical Massage』(1976年)でも本曲を取り上げています。Quincyも自身がプロデュースしたRufus & Chaka Khan『Masterjam』(1979年)の中で再演していますね。Leon WareChaka Khan共に大好きな僕としてはこれらも大のお気に入りです。

「Soul Saga (Song of the Buffalo Soldier) 」
黒さという点でいえば、黒人ばかりの騎兵隊 Buffalo Soldierをテーマにした本曲は強烈に黒いですね。とてもニューソウル的なものを感じる仕上がりですな。本アルバムの中でも重要な1曲のように思います。

「Everything Must Change」
ボーカルを務めるBernard Ighnerの作品。Stevie WonderDonny Hathawayの作品あたりに感じる崇高さを持ったバラッド。サウンド的にもからりStevie風ですね。 本曲とは別に「Boogie Joe, the Grinder」の後に約1分のRepriseも収録されています。

「Boogie Joe, the Grinder」
Quincy/Dave Grusin/Tom Babler作品。ファンク的なカッチョ良さで言えば、この曲が一番カッチョ良い気がします。IsleysとStevieが合体したような雰囲気が好きですね。

「One Track Mind」
QuincyとLeon Wareの共作。Leon Wareがボーカルも務めています。Curtis Mayfieldあたりが好きな人向けの、ユル〜い感じがカッチョ良いファンキーなミッド・グルーヴです。

「Just a Man」
カナダ人SSWのValdyの作品をコンテンポラリーなソウルで聴かせてくれます。

「Along Came Betty」
本作唯一のインスト・ナンバー。オリジナルはArt Blakey & The Jazz Messengersの名盤『Moanin'』に収録されていますね(Benny Golson作品)。(多分)Hubert Lawsのフルートが涼しげな爽快フュージョンに仕上がっています。

「If I Ever Lose This Heaven」
シングルカットもされた本作のハイライト。Leon Ware & Pam Sawyer作品。Leon WareはAl Jarreau、Minnie Ripertonと共にボーカルも務めています。この官能グルーヴはまさにLeon Wareワールドですね。この官能グルーヴの導入こそがQuincyの本作の大きな狙いとしてあったのでは?

本ブログでも紹介したAverage White Bandの大ヒット・カヴァーをはじめ、Sergio Mendes、Maxine Nightingale、Coke Escovedo、Nancy Wilsonなど多数のカヴァーがありますね。サンプリング・ネタとしても使われています。

『Smackwater Jack』(1971年)、『Mellow Madness』(1975年)あたりも未入手なので欲しいですね。
posted by ez at 07:40| Comment(2) | TrackBack(2) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする