発表年:1974年
ez的ジャンル:バリバリ・ファンク系ジャズ
気分は... :少しハイテンション
明け方、サッカー「日本対オーストリア」をTV観戦しましたが、相変わらず消化不良気味ですね。ゴール前で点が入る予感が全然しないですよね。松井大輔がもっと見たかったですね。しかも、彼本来の左サイドのポジションでね...
久々のHerbie Hancockです。
『Speak Like A Child』(1968年)、『Sunlight』(1978年)、『Inventions And Dimensions』(1963年)に続く4枚目の紹介は1974年の作品『Thrust』です。
前年に大ヒット作『Head Hunters』を発表し、ジャズ/フュージョンの枠を超えてファンク・ミュージックへ急接近したHancockが、さらにそのファンク路線を推し進めたのが本作『Thrust』です。
聴く前の先入観として、『Head Hunters』はジャズ/フュージョン史に残る名盤というイメージだったのに対して、『Thrust』はジャケのSFチックなジャケも手伝って、B級感漂うフュージョン・アルバムというイメージでしたかね。
そのため、『Head Hunters』と『Thrust』をほぼ同時期に購入したのですが、長い間『Head Hunters』ばかり聴いていた気がします。かなり『Head Hunters』を聴き込んだ後に、ようやく『Thrust』を聴いたのですが、逆に新鮮でエラく気に入ってしまいました。
ということで、一般には『Head Hunters』の方が評価も人気も高いと思いますが、僕の気分としては『Thrust』の方が好きですかね。おそらく、ブラック・ミュージックがお好きな方は『Head Hunters』以上にファンク色の濃い『Thrust』を気に入るのではと思います。
ちなみに、『Thrust』も『Head Hunters』に続き、ジャズ・アルバム・チャート第1位、R&Bアルバム・チャート第2位に輝いており、その意味ではベストセラー・アルバムですのでご安心を。
メンバーは、Herbie Hancock(key)、Bennie Maupin(ss、ts、fl)、Paul Jackson(b)、Mike Clark(ds)、Bill Summers(per)という布陣です。ドラムがHarvey MasonからMike Clarkへ代わった以外は『Head Hunters』と同じメンバーですね。
1週間前に紹介したQuincy Jones『Body Heat』も、本作と同じ1974年発表で(多少路線は違いますが)ジャズ・サイドからブラック・ミュージックへ急接近したアルバムでしたね。そう考えると、この頃のジャズ、ソウル、ファンク、ラテンって本当の意味で“フュージョン”していた感じですね。
全曲紹介しときやす。
「Palm Grease」
Hancockのアープ・シンセが印象的なコズミック・ファンク。まさに未知の惑星を探索するジャケのイメージそのままの感じですね。ファンキーだけどクールな感じが大好きですね。途中のBill SummersのパーカッションがBob James「Take Me to the Mardi Gras」っぽいのも好きです(コチラの方が先なのですが)。R&Bのシングル・チャートにもランク・インしました。
「Actual Proof」
カッチョ良いファンク・ビートに、Hancockのカラフルなエレピが絡む1曲。全体に漂うミステリアスな雰囲気がいいですね。元々はHancockが担当した1973年の映画『The Spook Who Sat By The Door』のサントラに収録されていた曲です。そちらではタイトルも「The Spook Who Sat By The Door」になています。
「Butterfly」
アルバムで一番有名なのは、ライブでもお馴染みのこの曲かもしれませんね。幻想的な美しさを持った名曲ですね。聴くたびにスーッとHancock達が創り出す小宇宙に吸い込まれてしまいそうです。Hancock本人がバックアップしたKimiko Kasai(笠井紀美子)さんのカヴァーが有名ですよね。それ以外にもNorman Connorsなどがカヴァーしています。
「Spank-A-Lee」
ジャズ・ファンク好きにはたまらんドライヴ感のコズミック・ファンクですね。このゴリゴリ感がたまりません。Paul Jacksonのベースがうねりまくります。
全4曲。昔はジャズ/フュージョン・アルバムの曲数の少なさに物足りなさを感じましたが、最近はノリの良い曲は長尺で聴きたい気分なのであまり気にならなくなってきたかもしれません。
この路線がお好きな方は『Man-Child』(1975年)、『Flood』(1975年)あたりもどうぞ。