2007年09月15日

Gil Scott-Heron『Pieces Of A Man』

ジャンル分け不能のオリジナリティ☆Gil Scott-Heron『Pieces Of A Man』
Pieces of a Man
発表年:1971年
ez的ジャンル:ビートニク詩人系ニューソウル
気分は... :肝臓がヤバそー!

最近の手のひらのツボを押すとかなり痛い!
肝臓が相当ヤバい気がする。休肝日を作らねば...とか言って今日も飲んでしまうのですが(笑)

今回は紹介するのが遅れていた“黒いBob Dylan”ことGil Scott-Heronの登場です。

Gil Scott-Heronは1949年生まれの詩人/ミュージシャン。13歳からNYで過ごしグリニッジ・ヴィレッジ周辺のビートニク文化から影響を受けて誌を書くようになります。何冊かの本・詩集を出版した後、Flying Dutchmanレーベル(Lonnie Liston Smithなどでお馴染みのジャズレーベル)と契約し、1970年にポエトリー・リーディングのデビュー・アルバム『Small Talk at 125th and Lenox』を発表します。

1971年の2ndアルバム『Pieces Of A Man』からは、リンカーン大学に在学中に出会ったミュージシャンBrian Jackson等のバックアップを受けながら、より音楽的な作品を発表するようになります。

その後もコンスタントに作品を発表し続けると同時に、若いHip-Hopアーティストにも影響を与えたと思われます。また、90年代に入りレア・グルーヴ方面からの再評価も高まりました。

ポエトリー・リーディング/ジャズ/ファンク/ソウル/ラテン等が融合した、その音楽スタイルは非常にジャンル分けが難しいですね。

個人的には『Pieces Of A Man』(1971年)、『Winter in America』(1974年)、『The First Minute of a New Day』(1975年)、『It's Your World 』(1976年)、『Bridges』(1977年)、『Secrets』(1978年)あたりがオススメ作ですかね。

音楽的には『It's Your World 』(1976年)あたりが一番面白いのかもしれませんが、最初に聴くべき作品ということでは今回紹介する『Pieces Of A Man』(1971年)が良いのではと思います。

Gil Scott-Heronの痛烈なメッセージはニューソウルの動きとも連動するものであり、そんな流れを代表する作品が本作『Pieces Of A Man』です。個人的にはこのジャケ写真の表情だけで名盤という気がします(笑)

音楽的にもニューソウル的なジャズ/ファンク/ソウルの融合を堪能できます。決して上手くはないGil Scott-Heronの歌を、盟友Brian Jacksonをはじめ、Ron CarterBernard PurdieHubert Laws等といった凄腕ミュージシャンが好サポートしています。

全曲紹介しときやす。

「The Revolution Will Not Be Televised」
この曲のみポエトリー・リーディングです。Ron Carter、Bernard Purdieのリズム隊とHubert Lawsの少し不気味なフルートが響くバックと、アジテーションしまくりGil Scott-Heronの詞が絡む具合いのカッチョ良いこと!というか今聴くと完全にラッパーですよね。

あとはこのタイトルにピンと来る人もいるのでは?そうです!本ブログでも紹介したCommonの名曲「The 6th Sense」の最初の1節♪The Revolution Will Not Be Televised...♪はこの曲からの引用です。Commonは最新作『Finding Forever』からの1stシングル「The People」もGil Scott Heron「We Almost Lost Detroit」ネタだし、かなり影響を受けているのかもしれませんね。

Common以外にもMasta Ace「Take a Look Around」、Professor Griff「Real African People Rap pt 2」、Queen Latifah「The Evil That Men Do」、Salt-N-Pepa「Whatta Man(Luvbug Remix 1)」等の元ネタです。

「Save the Children」
タイトルだけ見ると、発表年も同じMarvin Gaye『What's Going On』(1971年)収録の同名曲のカヴァーだと思ってしまいますが同名異曲です。とってもピースフルな気持ちになる曲ですね。

「Lady Day and John Coltrane」
タイトルがBillie Holiday(Lady Dayは彼女の呼称)とJohn Coltraneなんて意味深ですよね。Brian Jacksonのエレピ・サウンドが心地良い曲も含めて実にニューソウル的なナンバーだと思います。かなりカッチョ良いですよ〜っ!

「Home Is Where the Hatred Is」
少しイナたいカンジが味があるミッド・グルーヴ。Kanye West feat.Common「My Way Home」の元ネタ曲としても知られていますね。

「When You Are Who You Are」
アルバムで一番のお気に入り曲。フリーソウル/レア・グルーヴ好きの人は絶対に気に入ると思う軽快なグルーヴ・チューン。心地良さ満点ですな。

「I Think I'll Call It Morning」
この曲も絶品。メロウ&ピースフルなバックの演奏がサイコーですね。気持ちが穏やかになりますねぇ。アルバム中一番ソウルを感じます!

「Pieces of a Man」
タイトル曲には深い深い祈りのようなものを感じてしまいますねぇ。一音一言がゆっくり、じんわりと胸に刻まれていきます。

「A Sign of the Ages」
ジャジーな味わいが印象的ですね。Hocus Pocus「Signe Des Temps」のサンプリングソース。

「Or Down You'll Fall」
Gil Scott-Heronの歌をナビゲートするような哀愁たっぷりのHubert Lawsのフルートが印象的ですね。特に中盤以降のリズム隊との絡みはなかなかエキサイティングです!

「Needle's Eye」
かなり僕向きのハート&ウォームなメロウ・グルーヴ。聴いていると、自由に羽ばたきなるような開放感に溢れています!

「The Prisoner」
最後はズッシリ重い9分半の大作です。実に重厚なスピリチュアル・ジャズといったカンジですかね。Pharoah Sandersなんかと一緒に聴くといいかも?KMD「What a Niggy Know」の元ネタ。

本作を聴いたら、次はGil Scott-Heron & Brian Jackson名義の『It's Your World 』(1976年)あたりを聴くのがいいと思います。
posted by ez at 06:59| Comment(4) | TrackBack(1) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする