2007年10月24日

The Velvet Underground『White Light/White Heat』

ノイジーでアヴァンギャルドな2ndアルバム☆The Velvet Underground『White Light/White Heat』
White Light/White Heat
発表年:1968年
ez的ジャンル:元祖パンク/ガレージロック
気分は... :あぁ、怖い怖い(汗)

ふとしたことである過去エントリーでえらい勘違いをしていることに気付き、慌てて修正しました。長年の思い込みというやつですね。あぁ、怖い怖い(汗)

このブログを書くようになってから、そうした自分の思い込みに気付くことが度々あります。まぁ、僕の持っている知識なんて高が知れているので、そういったことがあって当然なのですが...たまにとんでもない大嘘が書いてあるかもしれないのでお気を付けください(笑)

個人的には本ブログを自分の保有しているCDに関する一人Wikiのようなものと位置づけており、誤りに気付いたら都度修正していけばいいや!くらいに考えているのですが、知らぬ間に閲覧いただいている方の数も増えてきており、誤った情報でご迷惑をお掛けしてしまうことがあるかもしれません。申し訳ありません。まぁ、素人の趣味ブログということで何卒ご容赦願います。

さて、年を重ねるごとにロック離れが進行している僕ですが、年に何度かノイジーなロックを聴きたくなることがあります。今日はそんな気分みたいです。ノイジーなサウンドで自分の大勘違いを忘れてしまいたいのかも(笑)

ということでVelvet Undergroundをセレクト!
Velvet Underground(VU)の紹介はデビュー作『The Velvet Underground & Nico』(1967年)に続き、2回目となります。

今回紹介するのはノイジーでアヴァンギャルドな2ndアルバム『White Light/White Heat』(1968年)です。

インパクト大の退廃的な1st『The Velvet Underground & Nico』、ノイジーな2nd『White Light/White Heat』、メロディアスな3rd『The Velvet Underground』とVUのアルバムはどれも個性的ですが、きっとVUからの影響が大きい人ほど『White Light/White Heat』の支持が高いのでは?

デビュー作『The Velvet Underground & Nico』(1967年)ではポップアートの巨匠Andy Warhol、謎の女性Nicoとのコラボ、およびインパクト満点のバナナ・ジャケットという話題性が満載でしたが、結果は商業的成功とは程遠いものでした。

結局グループはWarhol、Nicoと袂を分かち、Lou ReedJohn CaleSterling MorrisonMaureen Tuckerという4人のメンバーの個性を全面に押し出した作品が本作『White Light/White Heat』(1968年)です。

どうしてもLou Reedに注目しがちですが、本作ではJohn Caleの頑張りが目立っています。John Caleは本作を最後にグループを脱退してしまうため、Lou ReedJohn Caleという二つの才能を堪能できるできる作品というという意味でも本作の価値はあるものと思います。

メロウな音楽、オシャレな音楽、ハッピーな音楽を最近は好んで聴く僕が、本作のような狂気の音に今も惹かれる理由は何か?

全然ジャンルが違いますが、本ブログでも紹介したPink Floyd『Dark Side Of The Moon(邦題:狂気)』に惹かれる理由と同じだと思います。狂気の音を聴き発散することで日常における正気の自分が保たれているのかもしれませんね。まぁ、僕に限らずあらゆる人間にはそうした側面が潜んでいるのではないでしょうか。

単に騒がしいというだけではなく、そこにアヴァンギャルドな知性が見え隠れするのがVUの魅力でもありますが...

全曲紹介しときヤス。

「White Light/White Heat」
タイトル曲は、終盤少しノイジーな側面が出てきますが、比較的ポップなLou Reedらしいロックン・ロール・チューンに仕上がっています。サウンド以上に詞がインパクトがありますね。白色光が僕の心を狂わせていくのか。David BowieやGary Numanがカヴァーしています。

「The Gift」
これはポエトリー・リーディングですね。淡々と読み上げられる詞とノイジーなギター・サウンドのコントラストがなかなか面白いですね。John Caleらしいアヴァンギャルドな仕上がりだと思います。

「Lady Godiva's Operation」
ぶっきらぼうで一本調子なカンジが嵐の前の静けさのような曲ですね。まぁ、軽く準備体操といったところでしょうか。

「Here She Comes Now」
叙情的なんだけども殺伐としているという変な感覚も持った曲ですね。Nirvana、Galaxie 500がカヴァーしています。

「I Heard Her Call My Name」
レコードではこの曲からB面となります。このB面こそが本アルバムのハイライトだと思います。まず本曲はアドレナリンがガンガンに分泌してくる攻撃的なナンバーです。この歪みまくったギターに快感を感じてしまいますな。酒も飲んでいないのに、かなりハイテンションになります。

「Sister Ray」
そして、本作のハイライトと呼べる17分超の問題作です。多くの人がVUに求めている格好良さが、この曲に凝縮されているのではないでしょうか。この狂気のオルガンとギターを聴いているとまさに頭の中がWhite Light/White Heatになってきてしまいますね。インプロヴィゼーション的な展開もサイコーです。

こんなノイジーな音楽を聴きながら恍惚の表情をしている自分が怖い!きっとこの曲に続けてDoors「The End」を聴いたら、あっちの世界へ行ってしまいそうです(笑)Joy Divisionがカヴァーしています。

本作を聴いてから、続けざまにNirvanaを久々に聴いてしまいました。さらに続けてJoy Divisionも...なんて一瞬思いましたが、ヤバくなりそうなのでメロウなR&Bへ変更し、やっといつもの僕に戻ってきたのでした(笑)
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月23日

Cassandra Wilson『New Moon Daughter』

現代最高の女性ジャズ・シンガーの代表作☆Cassandra Wilson『New Moon Daughter』
New Moon Daughter
発表年:1995年
ez的ジャンル:ミステリアス系女性ジャズ・ボーカル
気分は... :和食と冷酒が合いそうな気がする...

秋らしくなってくるとCassandra Wilsonが聴きたくなります。
このダークだけれどもピュアなムードは秋にピッタリだと思いますねぇ。

Cassandra Wilsonは1955年ミシシッピ州ジャクソン生まれのジャズ歌手。80年代にミシシッピからNYへ進出し、Steve Colemanらの先鋭ジャズ集団M-BASEと共に活動していました。

90年代に入りBlue Noteへ移籍し、その第1弾アルバム『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)で世界的な注目を集め、第2弾アルバム『New Moon Daughter』(1995年)でグラミー賞最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を受賞し、その地位を確固たるものにします。

現在の女性ジャズ・ボーカルの頂点に立つシンガーがCassandra Wilsonであることは多くの人が認めるところだと思います。そのディープかつミステリアスな低音ボーカルにはまるで精霊が宿っているようであり、ジャズ・ファンのみならずともその魅力に引き込まれてしまいますよね。僕もそんな一人です。

そんな彼女の代表作と言えば、まずは『New Moon Daughter』(1995年)ということになると思います。

『New Moon Daughter』で聴けるCassandraの世界は、決して明るいものではありません。むしろ深海のように深く、翳りのある世界です。実際、“生と死”がアルバムの大きなテーマとなっており、タイトルにDeathという言葉が含まれる曲も何曲か収録されています。一方で、そうした翳りのある世界の中から尊いピュアなものを感じ取ることができます。

変な言い方ですが、たまに都会から田舎へ行った時に空の青さや空気の美味しさといった単純なことに感動することがありますよね。それに似た感動を味わえるのがCassandra Wilsonの歌だと思います。

中身としては、Cassandra自身のオリジナルやジャズ/ブルース/カントリーのスタンダードに加えて、U2MonkeesNeil Youngをカヴァーするという懐の深さを見せてくれます。アーバンながらも土の匂いもほんのり香るサウンドもグッドですね。

“ジャズは聴かない!”なんて偏見を持たずに、ぜひ聴いて欲しい作品ですね。特に、オーガニック・ソウルやNorah Jonesあたりが好きな人が聴くとハマるのではと思います。最近紹介した女性R&BシンガーLedisiあたりを気に入った人にもオススメです。

またまた変な表現ですが、このアルバムには和食と冷酒がよく合うような気がします。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Strange Fruit」
Billie Holidayのレパートリーとしてお馴染みの曲ですね(邦題「奇妙な果実」)。1939年、Lewis Allanによって書かれた当時のアメリカ南部の人種差別による黒人リンチの光景を描いた歌です。このようなショッキングな歌を1995年にミシシッピ出身のCassandraが歌うところに何か深いものを感じてしまいますね。ダークかつクールなムードの中で淡々と歌うCassandraにある種の凄味を感じます。

「Love Is Blindness」
U2のカヴァー(オリジナルはアルバム『Achtung Baby』収録)。U2のオリジナルも持っていますが、正直オリジナルはそれ程いい曲だと思っていなかったので、憂いと同時に“わび・さび”を感じてしまう、このカヴァーの仕上がりは驚きでしたね。

「Solomon Sang」
Cassandraのオリジナル。和やかな雰囲気を持つフォーキーなナンバー。力強さと優しさに包まれていくような気がする1曲。

「Death Letter」
伝説のデルタ・ブルース・マンSon House作品のカヴァー。勿論どディープなブルースに仕上がっています。こういった曲を歌わせたら、ドスの効いたCassandraはハマりすぎですな。バックのアーシーな味わい満点の演奏もサイコーです。この只ならぬ臨場感は絶対聴くべし!

「Skylark」
「Star Dust」でお馴染みの作曲家/歌手/俳優Hoagy Carmichaelの作品。ペダル・スティールの響きが何ともムーディーなロマンティック・チューンに仕上がっています。それでも甘すぎず、ビタースウィートなのがCassandraらしいところです。

「I'm So Lonesome I Could Cry」
カントリーの大御所Hank Williamsのカヴァー。オリジナルに対してはカントリー特有のイモ臭さを感じてしまう僕ですが、この美しく感動的なカヴァーの仕上がりにただただうっとりしてしまいます。ビューティフル!

「Last Train to Clarksville」
なんとMonkeesの大ヒット曲をカヴァー。あの曲がこんな仕上がりになるなんて...Monkeesファンの方に大変失礼ですが、初めてこの曲が名曲だと思えるようになりました。マーベラス!(だんだんルー語になってきている???)

「Until」
Cassandraのオリジナル。この翳りが実に雰囲気があっていいですなぁ。メランコリックなアコーディオンとパカポコと響き渡るボンゴのリズムがいいカンジです。

「A Little Warm Death」
Cassandraのオリジナル。小粋でソフィスティケイトされた仕上がりの少しボッサなフォーキー・チューン。個人的にはアルバムで一番のお気に入りです。

「Harvest Moon」
Neil Youngのカヴァー。このカヴァーはオリジナルに割と近い仕上がりとなっています。先に述べたようにCassandraのボーカルには精霊が宿っているかのようです。

僕の持っている盤にはボーナス・トラックとしてRobert Johnsonのカヴァー「32-20」が収録されていますが、「32-20」の代わりにHenry Manciniの名曲「Moon River」が収録されている盤(多分、日本盤だと思います)もあるみたいですね。

さて今夜は本アルバムと塩辛を肴に一杯やろうっと...
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月22日

Jim Capaldi『Oh How We Danced』

マッスル・ショールズ録音の初ソロ・アルバム☆Jim Capaldi『Oh How We Danced』
Oh How We Danced
発表年:1972年
ez的ジャンル:マッスル・ショールズ系ブリティッシュ・ロック
気分は... :野人ではありません(笑)

今回は元TrafficのドラマーJim Capaldiの初のソロ・アルバム『Oh How We Danced』(1972年)です。

Jim Capaldiは1944年英国ウースターシャー州イヴシャム生まれ。1966年後半にバーミンガムでSteve WinwoodDave MasonChris WoodTrafficを結成します。Trafficは度重なるメンバー交代、一時解散などもありましたが1974年まで活動を続け、ブリティッシュ・ロック史に軌跡を残しました。

1972年に本日紹介するソロ・アルバム『Oh How We Danced』を発表後はコンスタントにソロ作を発表し続けます。1994年にはTraffic再結成にも参加しますが、2005年に癌のためロンドンで死去。享年60歳。

Trafficといえば、どうしてもSteve Winwoodが目立ってしまいますが、個人的にはDave MasonJim Capaldiといったメンバーのソロ作が結構好きだったりします。特に、Jim Capaldiについてはドラマーというよりもシンガーとしての印象が強いですね。

僕が持っているJim Capaldiのソロは『Oh How We Danced』(1972年)、『Whale Meat Again』(1974年)、『Short Cut Draw Blood』(1975年)の3枚です。個人的には『Short Cut Draw Blood』が一番好きなのですが、紹介する順序としては『Oh How We Danced』が先かなという気がします。

ということで『Oh How We Danced』です。この初のソロ・アルバムは、Steve Winwoodの体調不良によるTrafficアメリカ・ツアー一時中断の合間にレコーディングされたものです。

何といっても目玉は大半の曲がアメリカ南部のMuscle Shoals Studioで録音されている点ですね。David Hood (b) 、Roger Hawkins (ds) 、Jimmy Johnson (g) 、Barry Beckett(key)、Muscle Shoals HornsといったMuscle Shoalsの精鋭たちが参加し、泥臭くかつリズミックな南部サウンドを聴かせてくれます。

Muscle Shoals Studio録音以外はロンドン録音です。Steve WinwoodDave MasonChris WoodRick GrechJim GordonRebop Kwaku BaahといったTraffic勢も参加し、 Capaldiをサポートしています。さらにはFreeのPaul Kossof(g)や元MoveのTrevor Burton(b)、当時売れっ子だったバック・ボーカル・チームSue and Sunny等が参加しています。特にPaul Kossofが目立っていますね。

個人的には後期Trafficで一番好きなアルバムが『Shoot Out At The Fantasy Factory』(1974年)なのですが、本作はその『Shoot Out At The Fantasy Factory』への流れを作ったアルバムと位置づけられると思います。

実際、『Shoot Out At The Fantasy Factory』ではRick Grech、Jim Gordonが抜けた後釜として、David Hood 、Roger Hawkins の二人がパーマネント・メンバーとしてTrafficに加わり、Barry Beckettも参加するなどMuscle Shoals色の強いアルバムとなっています。

Traffic『The Low Spark of High Heeled Boys』(1971年)からドラムを捨て、ボーカル、ソングライティングに専念するようになったCapaldiですが、本作にもそのあたりの成果が十分に反映されていると思いマス。1曲を除き、Capaldiの作品です(1曲はDave Masonとの共作)。

野人のようなジャケ同様、中身もファンキーです(笑)

全曲紹介しときヤス。

「Eve」
オープニングはシングル・カットもされたメロディアスなミッド・チューン。Muscle Shoalsのメンバーによる泥臭いサウンドとCapaldiのジェントルな歌声がうまく溶け込んでいると思いマス。Jimmy JohnsonのギターとMuscle Shoals Hornsがいいですね。体調を取り戻したWinwoodのハモンド・オルガンも聴けます。

「Big Thrist」
Dave Masonとの共作。穏やかながらも味わい深い1曲。Muscle Shoalsならではのソウル・テイストがいいですね。そんな曲で印象的なギター・ソロを聴かせるのがPaul Kossofというあたりが面白いですね。Sue and Sunnyのコーラスもかなりグッドです。共作者のDave Masonもハーモニカで参加。

「Love Is All You Can Try」
Barry Beckettのピアノをはじめ、これぞMuscle Shoals!という雰囲気のファンキーな仕上がり。南部サウンド好きにはたまらない1曲なのでは?

「Last Day of Dawn」
個人的にはアルバムで一番好きな曲がリズミックかつメロディアスなこのミッド・グルーヴです。Muscle Shoals勢の演奏もグッドですが、実はRebop Kwaku Baahのパーカッションが好きだったりします。

「Don't Be a Hero」
ブルージーな憂いに満ちた1曲。Dave Masonのギター・ソロが泣かせます!

「Open of Your Heart」
Steve WinwoodDave Mason、Chris Wood、Rick Grech、Jim Gordon、Rebop Kwaku BaahといったTraffic勢が勢揃いの1曲。これはもはやTrafficのナンバーと呼んでも良いのでは(笑)なかなか軽やかなノリが気持ち良い1曲。。

「How Much Can a Man Really Take」
Muscle Shoals録音ではないこの曲におけるCapaldiのボーカルが一番ソウルフルだったりするのが面白いですね。Chris Woodのフルートが実にいいアクセントになっています。

「Oh How We Danced」
タイトル曲はAl Jolson/Saul Chaplinによるスタンダードのカヴァー。「Last Day of Dawn」と並ぶお気に入り曲です。Muscle Shoals勢の生み出すファンキーなグルーヴに、Paul Kossofのカッチョ良すぎるギター・ソロでかなりハイテンションになりますね。

Traffic『Shoot Out At The Fantasy Factory』(1974年)やソロ第3弾『Short Cut Draw Blood』(1975年)も改めて紹介したいと思います。
posted by ez at 05:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月21日

Rahsaan Patterson『Wines & Spirits』

相変わらずその才能を見せつけてくれます!☆Rahsaan Patterson『Wines & Spirits』♪
Wines & Spirits
発表年:2007年
ez的ジャンル:セクシー系ネオ・ソウル
気分は... :ブ〜ンシャカラカ!ブ〜ンシャカラカ!

Rahsaan Pattersonの新譜『Wines & Spirits』が出ましたので紹介します。

Rahsaan Pattersonは2ndアルバム『Love In Stereo』(1999年)に続き2回目となります。

本ブログで何度となく書いてきたように、D'AngeloEric BenetMaxwellらと並び、90年代後半に僕を心を惹きつけた男性R&Bアーティストの一人がRahsaan Pattersonです。

この4人ともに魅惑のネオ・ソウルを聴かせてくれるのですが、特にRahsaan Pattersonの場合はセクシーなファルセット・ヴォイスが魅力ですね。男との僕でも虜になるくらいですから、女性ならば秒殺なのでは(笑)

デビューアルバム『Rahsaan Patterson』(1997年)、2ndアルバム『Love In Stereo』(1999年)、3rdアルバム『After Hours』(2004年)と常に上質のR&Bアルバムを発表しているものの、商業的には成功しているとは言い難いRahsaanです。本作も前作同様に彼自身のレーベルからの発売です。

きっと本作も商業的に大きな成功を収めるのは難しいと思いますが、中身はRahsaan品質を保証してくれる佳作に仕上がっています。

プロデュースにはRahsaan自身以外に、1st『Rahsaan Patterson』以来のタッグとなるKeith CrouchBrandy「Baby」をRahsaanらと共作しています)、盟友Jamey Jaz、ジャズ・べーシストBrian Bromberg等が担当しています。今回はVan Huntが不参加なのが残念ですね。

内容は、妖しげなファンク・チューン、ポップなミッド・ファンク、メロウでセクシーなスロウ・チューン、パワフルなソウル・チューン、退廃的なロック・チューン等々Rahsaanらしいバラエティに富んだ内容になっています。久々のタッグとなったKeith Crouchの貢献が大きいのでは?

これだけの才能が自身のレーベルから地味に作品を発表せざるを得ないという状況に音楽業界の厳しさを感じてしまいますね。

全曲紹介しときヤス。

「Cloud 9」
Sly Stone風のリズムにStevie Wonder風のシンセが絡むRahsaanらしいファンク・チューン。この少し妖しげな雰囲気がサイコーですね。♪boomshakalaka〜♪boomshakalaka〜♪のフレーズが耳に残りますな。

「Delirium (Comes and Goes)」
メランコリックな雰囲気が印象的な四打のファンク・チューン。最初はイマイチな感じがしたのですが、何度も聴いているうちにクセになってくる曲ですね。

「Feels Good」
まったりとしたネオ・ソウルらしいメロウ・チューン。メロウ好きの僕としては、もう少しこういった正統派の曲があってもいいのかなぁと。Jamey Jazらによるプロダクションもグッド!

「No Danger」
ポップなメロディと浮遊感のあるサウンドがいいカンジのミッド・チューン。

「Pitch Black」
Prince殿下風の退廃的なロック・チューン。不気味なベースの響きがいいですね。Van Huntなんかもそうだけど、こうしたロック・チューンが収録されているのも魅力ですね。

「Time」
Johnny Onyxのラップをフィーチャーしたミッド・ファンク。メロウネスと妖しげなムードのバランスが絶妙!まさにRahsaanらしい1曲ですね。

「Stop Breaking My Heart」
アルバムで一番好きな美メロ・チューン。Rahsaanの魅惑のファルセットに秒殺されてしまいます(笑)アコースティックな仕上がりもサイコー!

「Water」
少しストレンジだけどピュアなムードが漂うメロウ・チューン。聴けばきくほどストレンジな感覚になる曲ですね。

「Deliver Me」
この曲は雰囲気がありますね。Rahsaanの伸びやかなボーカルが印象的ですね。Rahsaanらしい美学が貫かれている曲だと思います。

「Oh Lord (Take Me Back)」
パンチの効いたオールド・ソウル仕立てのソウル・チューン。Rahsaanのボーカルもパワフルです。

「Higher Love」
先行シングルにもなったミッド・チューン。シングルになるのも頷けるキャッチーさがあります。ゴスペル・タッチのスケールの大きさがいいですね。

「Stars」
女性シンガーソングライターJanis Ianのカヴァー。どうゆう経緯でこの曲を取り上げたのかは知りませんが、意外な選曲ですね。美しく感動的なスロウに仕上がっています。クレジットを見るとJeff Lorberの名前もあります。

Rahsaan Pattersonが地味ながら頑張っているのだから、D'AngeloMaxwellあたりにも頑張って欲しいですね。
posted by ez at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月20日

Rickie Lee Jones『Pirates』

第2作もRickie姉さん絶好調!☆Rickie Lee Jones『Pirates』
Pirates
発表年:1981年
ez的ジャンル:ストーリーテラー系女性シンガーソングライター
気分は... :でもキュートだよ!

頼れる姉御系シンガーソングライターRickie Lee Jonesの2回目の登場です。

前回のデビュー作『Rickie Lee Jones』(1979年)に続き、今回は2ndアルバム『Pirates』(1981年)の紹介です。

デビュー作『Rickie Lee Jones』は全米アルバム・チャート第3位となり、そこからのシングル「Chuck E.'s in Love」も全米ポップ・チャートの第4位となりました。さらにグラミーで最優秀新人賞を受賞し、瞬く間にアメリカ音楽シーンを代表する女性シンガーソングライターとなりました。

そんな大きな成功を収めたRickie姉さんが発表した2ndアルバムが『Pirates』(1981年)です。

大ヒット・デビュー作に続く第2弾アルバムって、前作以上の大ヒットを!ということでアーティストの個性が薄れた売れ線狙いのつまらないアルバムとなるケースも多く見受けられますが、Rickie姉さんは大丈夫です。

プレッシャーなんて全く感じていないようなリラックスした2ndアルバムです。
自由奔放で色っぽくて、しかも案外可愛いというRickie姉さんの魅力はそのままに、さらにシブく成熟して仕上がりというカンジですね。逆に、こんなにシブいと商業的にマズいんじゃない!とコチラが心配してしまうほどです(笑)

音楽的には1st『Rickie Lee Jones』よりもジャズ色が強まった気がしますね。デビュー前にはジャズ・コンボをバックにスタンダードを歌っていたというRickie姉さんですが、そんな姉さんの原点が色濃く反映された作品だと思います。

本作も『Rickie Lee Jones』同様に豪華ミュージシャンがバック・アップしています。主なところはBuzz Feiten(g)、Steve Lukather(g)、Dean Parks(g)、Chuck Rainey(b)、Neil Larsen(key)、Donald Fagen(syn)、Michael Boddicker(syn)、Steve Gadd(ds)、Victor Feldman(per)、Lenny Castro(per)、David Sanborn(sax)、Tom Scott(sax)、Randy Brecker(tp)、Jerry Hey(tp)Sal Bernardi(vo、hca)、Nick DeCaro(orc arr)といったメンバーです。

プロデュースは『Rickie Lee Jones』同様にRuss Titelman、Lenny Waronkerが担当しています。

ジャケに写っている(多分)労働者階級のカップル。
こんなカップルを主人公にした恋の物語をアレコレ思い浮かべながら聴くと楽しいアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「We Belong Together」
Rickie姉さんらしいリアリティのあるラブ・ソング。こうやって聴いているとRickie姉さんのと自由奔放な歌いまわしって“女性版Bruce Springsteen”ってカンジもしませんか?切々と歌う前半からジャズ・テイストの後半への展開がいいですねぇ。

「Living It Up」
Rickie姉さんのキュートな魅力が堪能できる1曲。個人的にはアルバムで一番好きですね。気丈な女性に見える姉さんに子猫のような可愛い声に歌われてしまってはもう降参です(笑)聴くたびに思春期の懐かしい思い出が甦ってきそうですね。このスケール感のある展開はLaura Nyroあたりにも通じますね。

「Skeletons」
シリアスな内容の歌を悲しいほど美しく聴かせてくる感動のバラッド。あまり歌の内容に入り込むと少しへヴィーなので、純粋に音と歌を楽しむ方がいいかも?

「Woody and Dutch on the Slow Train to Peking」
明るく陽気なジャズ・テイストのアコースティック・グルーヴ。実に小粋でカッチョ良いですね。フリーソウル的な視点で聴くのも楽しいかも?

「Pirates (So Long Lonely Avenue) 」
タイトル曲は「Chuck E.'s in Love」をよりジャズ・テイストにしたようなスタイリッシュな仕上がり。時たまSteely Danっぽいところがあったりして面白いですね。Nick DeCaroのオーケストラ・アレンジが見事です。

「Lucky Guy」
シングルカットされた曲ですが、そのわりには実に地味です(笑)でも、姉さんの歌声を聴いていると自分がラッキー・ガイになったように癒されます(笑)。

「Traces of the Western Slopes」
Sal Bernardiとのデュエット。8分を超える力作です。派手な曲ではありませんがクロスオーヴァー感覚もあって、なかなか聴き応えのある1曲です。

「Returns」
ラストはただただ美しいバラッド。まるでジャズのスタンダードを聴いているような1曲ですね。『Rickie Lee Jones』収録の大好きなバラッド「Company」あたりに通じるものがあります。

この後もコンスタントに作品を発表するRickie姉さんですが、僕にとっては『Rickie Lee Jones』『Pirates』の2枚における姉さんがサイコーに魅力的でした。
posted by ez at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする