発表年:1981年
ez的ジャンル:Jay Graydon系AOR
気分は... :Mr. Misterは全然良いとは思わないけど...
今回はAORファンにはお馴染みのグループPagesです。
PagesはリーダーのRichard PageとSteve Georgeを中心としたグループ。
アリゾナ州フェニックス出身のRichard Pageは、ミュージシャンを目指して高校卒業後に単身L.A.へと向かいます。
L.A.のクラブシーンで地道な活動を続けながら、Pageは1977年に自身のグループを結成しようと決心します。その時真っ先に声を掛けたのが高校時代の後輩Steve Georgeであり、こうしてPagesが結成されます。
そして、当時売り出し中だったAndy Gibbのバック・バンドを経て、1977年末にシングル「I Get It From You」でデビューします。その後1978年にデビュー・アルバム『Pages』、 2ndアルバム『Future Street』(1979年)、3rdアルバム『Pages』(1981年)という3枚のアルバムを発表します。
しかし、その充実した内容のわりには商業的な成功には恵まれず、グループは一旦解散します。しかし、再起をかけたRichard PageとSteve Georgeは1983年に新グループMr. Misterを結成します。そして、1985年に発表したMr. Misterの2ndアルバム『Welcome to the Real World』から「Broken Wings」と「Kyrie」という2曲の全米No.1ヒットが生まれ、よくやく成功を手にしました。
僕の場合、Pagesについてはリアルタイムでは殆ど記憶がありません。雑誌で名前を見かけたくらいだったかなぁ。一方のMr. Misterは「Broken Wings」、「Kyrie」といったヒット曲やそのPVをよく見聴きしましたが、正直全然良いとは思いませんでした(笑)
ということでPagesについては、CD時代に後追いで、しかもMr. Misterとは全く切り離したかたちで聴いたパターンですね。
僕がよく聴くのは2nd『Future Street』(1979年)、3rd『Pages』(1981年)の2枚です。本当は2nd『Future Street』が一番好きなのですが、AORという観点からは3rd『Pages』の方がJay Graydonプロデュースという目玉がある分、興味を持つ方が多いと思いコチラ『Pages』にしました。
結成以来メンバー・チェンジを繰り返してきたPagesですが、本作『Pages』制作時点のメンバーはRichard PageとSteve Georgeの二人に作詞担当のJohn Langを加えた3名です。
プロデュースは全9曲中7曲をJay Graydonが担当し、残り2曲を1st、2ndをプロデュースしたBobby Colombyが担当しています。
元メンバーのCharles Johnson以外にJeff Porcaro、Steve Khan、Paul Jackson Jr.、Paulinho Da Costa、Tom Scott、 Al Jarreauといった腕利きミュージシャンも参加しています。
正直僕はDavid Foster、Jay Graydonの名があるだけでトキメクような“Airplayサイコー”系リスナーではないので、Jay Graydonプロデュースというだけで“AORの名盤”として扱うことはありませんが、それでも本作は“AORの名盤”と呼ぶのに相応しい1枚だと思いマス。
全曲紹介しときやす。
「You Need A Hero」
この曲はBobby Colombyプロデュース。シングルカットもされました。AORらしいアーバン・ナイトなキーボード・サウンドが心地良いミッド・チューン。純粋にAOR度ということで言えば、この曲が一番高いのでは?
「Tell Me」
Jay Graydonプロデュース曲の中ではこの曲が一番好きですね。単純に一番メロディアスでメロウネスが高いという理由ですが。あとは暑苦しくないのがいいですね。僕の場合、David Foster、Jay Graydonといった人のプロデュース作に暑苦しさを感じことがあるので(笑)
「O.C.O.E. (Offical Cut Of The Eighties) 」
この曲はかなりSteely Dan的ですね。緻密に作られた完成度の高い1曲だと思います。このあたりは、さすがJay Graydonというカンジですかね。
「Come On Home」
シングルカットされたBobby Colombyプロデュース曲。AOR好きにはたまらないロマンティックなスロウ・チューンに仕上がっていマス。Tom Scottのサックスがムードを盛り上げてくれマス。Jay Graydonプロデュースが話題のアルバムですが、実は「You Need A Hero」、「Come On Home」というBobby Colombyプロデュースの2曲がシングル・カットされているのが面白いですね。僕もそのシングル2曲が一番好きだったりします。
「Sesatia」
「Automatic」
ロック色の強いハード・ポップ・チューン2曲。きっとAirplay系が好きな人はこういった曲が好きなんでしょうけど、先に述べたように僕的には少々暑苦しいですかね(笑)
「Only A Dreamer」
AORらしい小粋なミッド・チューン。音は結構ソリッドですが、全体の仕上がりは涼しげでいいカンジです。
「Fearless」
この曲もいいですね。ウエストコーストらしい盛り上がり方や、Jay Graydonのギターが堪能できるなど、なかなか聴きどころが多い曲なのでは?
「Midnight Angel」
ファンの間で人気の高いただただ美しいバラッド。スケール感の大きさがいいですね。Al Jarreauが参加しています。
こんなに素晴らしい作品を発表したPagesが売れず、僕にはさっぱり良さがわからないMr. Misterが大ヒットを飛ばず!不思議なものですね。