発表年:1971年
ez的ジャンル:UKルーツロック
気分は... :素朴なカンジがいいねぇ...
UKを代表する国民的な男性ロック・シンガーRod Stewartの登場です。
1960年代はJimmy Powell & the Five Dimensions、The Hoochie Coochie Men、Steampacket、Shotgun Expressといったグループを渡り歩いたRod Stewartでしたが、1968年にスーパーギタリストJeff Beckが結成したJeff Beck Groupへ参加し、注目を集めるようになります。
Jeff Beck Groupで『Truth』(1968年)、『Beck-Ola』(1969年)という2枚のアルバムを発表した後、Jeff Beck Groupの同僚Ron Woodと共にFacesへ参加します。また、1969年には1stソロ『An Old Raincoat Won't Ever Let You Down』を発表しています(USでは『The Rod Stewart Album』として発表)。1975年末にFacesが解散するまで、Facesとソロの活動を並行させていました。
ソロ一本となった1970年代後半からはスーパースターの地位を確立し、現在でも国民的歌手として勢力的に活動しています。
若いリスナーの方は、Rod Stewartに対してスタンダードナンバーをカヴァーするオヤジ歌手くらいの印象しかないかもしれませんね。でも、僕が洋楽を聴き始めた70年代後半は男性ロック歌手の頂点に立っていた存在がRod Stewartでした。
僕が最初にリアルタイムで聴いたRodのヒット曲は全米No.1となったディスコ路線の「Da Ya Think I'm Sexy?」だったと思います。そのせいか、セックス・シンボル的な男性ロック歌手というイメージでしたね。そこには軟派で助こましというマイナスの要素が多分に含まれていたのですが...
という訳で、僕のRod Stewartに対するイメージは決して良いものではなかったのですが、そんなイメージを一変させられたのが本作『Every Picture Tells a Story』(1971年)です。
ソロ3作目となる『Every Picture Tells a Story』はUS、UK共にアルバム・チャートNo.1となったソロ・アーティストRod Stewartの地位を確立した作品です。シングル「Maggie May」もUS、UK共にポップ・チャートNo.1の大ヒットとなりました。
中身の方は、アコースティックなテイストを強調したUKらしいトラッド感覚満載のルーツ・ロックに仕上がっています。派手ではないけど、力強く、エキサイティングな演奏と歌を聴き、やっとRod Stewartの真髄に触れることができたような気がしました。
参加ミュージシャンは、Ron Wood(g、b)、Ian McLagan(org)、Kenny Jones(ds)といったFaces勢に、「Maggie May」も共作した盟友Martin Quittenton(g)、Jeff Beck Groupでの同僚Mick Waller(ds)、後にJefferson Starshipへ加入するPete Sears(p)等が加わっています。
フォーキーかつR&Bな仕上がりは、今聴いてもかなりカッチョ良いと思います。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Every Picture Tells a Story」
タイトル曲はRodとRon Woodの共作。アルバムで一番のお気に入り曲ですね。アコースティック・テイストながらもタイトでエキサイティングなロック・ナンバーに仕上がっていマス。Rodのハスキーなボーカルの魅力が堪能できるのがいいですね。バック・コーラスのMaggie Bellも素晴らしいですね。
「Seems Like a Long Time」
ソウルフルな仕上がりが素晴らしい1曲。Sam Cookeに影響を受けたというが頷けますな。バック・コーラスは本ブログでも紹介したフリーソウル好きにはお馴染みの女性R&BシンガーMadeline Bellが務めています。最近まで知らなかった!
「That's All Right」
ブルース歌手Arthur Crudupの作品。Elvis Presleyの1stシングルになった曲として有名ですね。Rodはアーシー&ブルージーな仕上がりでカヴァーしていマス。
「Tomorrow Is a Long Time」
Bob Dylanのカヴァー。ヴァイオリンが印象的なUKらしいフォークに仕上がっていマス。
「Maggie May」
シングルとしてUSチャート、UKチャート共にNo.1となったRodのキャリアを代表する大ヒット曲。RodとMartin Quittentonの共作です。フォーキーかつR&Bテイストのルーツ・ロックに仕上がっていマス。マンドリンの音色も印象的ですね。Rod Stewartというアーティストの原点を感じることができる名曲ですね。
「Mandolin Wind」
この曲もマンドリンとペダル・スティールの絡みがいいカンジのフォーク・ロック。
「(I Know) I'm Losing You」
Temptationsの1966年のヒット曲のカヴァー。Rare Earthも前年(1970年)にカヴァーし、ヒットさせていました。Facesのライヴでも演奏されていましたね。そのせいかFacesのようなブルージーでハードな仕上がりになっています。シングルカットもされました。
「Reason to Believe」
Tim Hardinのカヴァーです。「Maggie May」同様にフォーキーかつR&Bな仕上がりが実に味わい深く良いですね。
他の作品では『Never A Dull Moment』(1972年)、『Atlantic Crossing』(1975年)、『A Night on the Town』(1976年)あたりが愛聴盤です。