2007年10月06日

Horace Silver『The Cape Verdean Blues』

“ファンキー・ジャズの教祖”による小粋でソフィスティケイトされた1枚☆Horace Silver『The Cape Verdean Blues』
The Cape Verdean Blues
録音年:1965年
ez的ジャンル:脱ファンキー・ジャズ試行中
気分は... :クラブ・ジャズ好き向けの1枚でっせ!

今日は“ファンキー・ジャズの教祖”ピアニストHorace Silverです。

僕もあまり詳しくありませんが、Art Blakey(ds)、Horace Silver(p)、Cannonball Adderley(as)という三人がファンキー・ジャズ三大巨頭という存在になるそうですね。

Horace Silverは1928年生まれ。Stan Getzのグループに加わった後に、1951年にニューヨークへ進出します。そして、Art Blakeyと出会い、1952年には初リーダー作を録音しています。1954年には本ブログでも紹介したArt Blakey Quintet『A Night at Birdland, Vol.1』を録音しています。

その後、Art Blakeyと双頭リーダーとしてJazz Messengersの名を交互に使い合っていましたが、1956年に自己のグループを結成します(Jazz Messengersの名はArt Blakeyが継承)。50年代後半から60年代前半にかけてはファンキー・ジャズをリードする存在として活躍し、『Finger Poppin'』(1959年)、『Blowin' the Blues Away』(1959年)、『Doin' The Thing』(1961年)、『The Tokyo Blues』(1962年)、『Song for My Father』(1964年)などの名盤をBlue Noteに残しています。

1970年代には宗教色の強いスピリチュアルな方向へ大幅な方向転換を図ったり、1980年第二は自己のレーベルSilvetoを作ったりもしました。1990年代に入るとImpulseと契約し、その健在ぶりを示してくれました。

僕にとってHorace Silverはまだまだ未開拓のピアニストです。
コレクションしているのも『The Cape Verdean Blues』(1965年)、『The Jody Grind』(1966年)等数えるほどしか持っていません。でも、かなり興味のあるジャズ・ジャイアントの一人ですね。

しかしながら、僕の興味は50年代〜60年代のファンキー・ジャズ作品ではなく、ジャズ・ファンからは見向きもされず、クラブ系リスナーの関心が高い70年代のスピリチュアルな作品です。何とかコレクションに加えたいですね。

さて、今回紹介するのは数少ないSilverコレクションの中から一番のお気に入り『The Cape Verdean Blues』(1965年)です。ジャズ聴き始めの頃に訳もわからずジャケ買いした1枚なのですが、隠れた佳品というカンジでなかなか好きです。

1965年の録音ですがファンキー・ジャズから一歩抜け出したカンジの作品なのでは?結構、クラブ・ジャズ好きの人が聴いても気に入る作品なのでは?

メンバーは、Horace Silver(p)、Woody Shaw(tp)、Joe Henderson(ts)、Bob Cranshaw(b)、Roger Humphries(ds)というクインテットに大物J.J. Johnson(tb)が加わっています。Woody ShawJoe HendersonJ.J. Johnsonが並ぶ三管はなかなか魅力的なメンバー構成だと思いマス。

アルバム・タイトルのCape Verdeanとは、大西洋の北に位置する元ポルトガル領のアフリカの小さな島国のことです。Silverの父親はこの島の出身なのだとか。そんな彼のルーツが本作にもラテンやアフリカンなテイストとして反映されています。

Reid Milesによる魅惑のジャケのイメージとピッタリというカンジですね。「Mo' Joe」Joe Hendersonの作品である以外は全てHorace Silverの作品です。

全曲紹介しときやす。

「Cape Verdean Blues」
ラテン・タッチの軽快なナンバー。Silverの軽やかなピアノが気持ちいいすでね。この小粋でソフィスティケイトされた演奏はクラブ系のリスナーの人が聴いても気に入るのでは?ラテン・アフリカンなノリがジャケ写真あたりとダブってきます。

「African Queen」
モーダルでブルージーな味わいがいいカンジですね。Woody Shawのソロがカッチョ良いですな。

「Pretty Eyes」
ワルツ調の軽やかなナンバー。全体的に実にスマートでプリティな演奏ですね。Joe HendersonとWoody Shawのソロがそれぞれらしくていいですね。

「Nutville」
クラブ・ジャズ好き必聴の1曲ですね。このスタイリッシュさはとても30年以上前の作品とは思えませんね。 ここではJ.J. Johnsonも加わり、豪華な三管を聴くことができます。

「Bonita」
なかなかムーディーな1曲。ここでのSilverのソロは実にオシャレですね。永遠のジャズ初心者である僕ような人間は、こういうのにコロっと心奪われてしまうのかも?

「Mo' Joe」
Joe Hendersonの作品です。ここでもJ.J.→Henderson→Shawと続く三管がなかなか楽しいですね。Joe Henderson自身のリーダー作としてのの演奏は『The Kicker』(1967年)に収録されていマス。

Horace Silverについては、とりあえずスピリチュアルな『The United States of Mind』三部作あたりをコレクションに加えたいなぁ。
posted by ez at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする