発表年:1973年
ez的ジャンル:リズミック・ウエストコースト・ロック
気分は... :ジャック・バウワーは...
3回目のThe Doobie Brothersです。
これまで『Livin' On The Fault Line』(1977年)、『Minute by Minute』(1978年)というMichael McDonaldがフロントマンであった後期の作品ばかり紹介してきたので、今回はTom Johnstonがフロントマンだった前期の代表作である3rdアルバム『The Captain And Me』を紹介します。
本作『The Captain And Me』はDoobiesにとって初の全米アルバム・チャートTop10入りアルバムであり、本作からシングルカットされた「Long Train Runnin'」はグループ初の全米ポップ・チャートのTop10ヒットとなりました。その意味でDoobiesをウエストコースト・ロックを代表するグループに押し上げた作品といえると思います。
僕の場合、リアルタイムで後期Doobiesを聴いてから、後追いで前期Doobiesを聴いたというパターンでしたが、前期作品で初めてLPを購入したのが本作『The Captain And Me』でした。確か高校生になって間もないあたりだったかなぁ。
後期のスタイリッシュなAOR的サウンドを聴きなれていた僕にとって、前期作品の初体験はなかなか鮮烈でした。同じグループでこうも雰囲気が変わってしまうのか!というが第一印象でしたかね。でも、新たなDoobiesの魅力に出会えた気がしてエキサイトした記憶がありますね。
本作時点のメンバーはTom Johnston(g)、Patrick Simmons(g)、Tiran Porter(b)、John Hartman(ds)、Michael Hossack(ds)の5名。さらにゲストとして、Little FeatのBill Payne(key)と後にメンバーとなる当時Steely DanだったJeff Baxter(g)が参加しています。そして、プロデューサーはお馴染みTed Templemanが務めています。。
何と言っても、この前期DoobiesのリーダーTom Johnstonがソングライティングに、歌に、演奏に大活躍しているアルバムですね。全11曲中7曲がTom単独の作品です。残り3曲がPatのペン、1曲がメンバー全員による作品です。Doobiesのフロントマンと言えば、どうしてもMichael McDonaldの印象が強いと思いますが、本作を聴けばDoobiesというのは本来Tom Johnstonのグループであったことがよくわかると思います。
サウンド的には前作となる2ndアルバム『Toulouse Street』(1972年)からツイン・ドラムとなり、ダイナミックかつリズミックなカリフォルニア・ロックを聴かせてくれます。いわゆるドゥービー節が全開していますね。
フリーソウル系リスナーやディスコ音楽好きにも受け入れられるノリの良さがサイコーですね。なので、きっと若いリスナーの方に「Long Train Runnin'」あたりを聴かせても十分受け入れられるのではと思います。
勝手に想像すれば、EaglesはオヤG世代のみが盛り上がるいにしえのウエストコースト・ロックであるのに対して、Doobiesは世代超えて受け入れられる鮮度抜群のウエストコースト・ロックという気がしますね(Eaglesファンの方が読んでいたらゴメンナサイ)。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Natural Thing」
僕が本アルバムを思い浮かべるとき、真っ先に脳内再生されるのがこのオープニング曲です。初めてレコードを聴いたとき、シンセ・サウンドがやけに新鮮でしたね。Tom Johnstonの魅力全開の1曲だと思いマス。
「Long Train Runnin'」
前述のグループ初のTop10ヒット。「Listen To The Music」、「China Grove」と並ぶ前期Doobiesの代表曲ですね。イントロのギター・カッティングを聴いただけでアドレナリンが出まくる曲ですね。ディスコでも重宝されるダンサブルなグルーヴ感がサイコーです。汽車ものソングにお決まりのハーモニカもバッチリ!
かなり前にSpencer Davis Groupのエントリーで書きましたが、Spencer Davis Group「I'm a Man」と一緒に聴くとなかなか楽しいですよ。これら2曲がオールド・ファンのみならず若いリスナーからも人気があるのが頷けますね!
「China Grove」
ハードな仕上がりが印象的な「Long Train Runnin'」と並ぶ本作のハイライト。この曲もシングルカットされ全米ポップチャート第15位のヒットとなりました。この曲もイントロのギター・リフを聴いただけでアドレナリンが出てきますな。
「Dark Eyed Cajun Woman」
冒頭の3曲で飛ばしまくったので、少しクールダウンできるブルージーなナンバー。タイトルの通り南部テイストに仕上がっています。Nick DeCaroによるストリングス・アレンジもばっちりっす!
「Clear as the Driven Snow」
Patのペンによるアコースティックなナンバー。カントリー・テイストの前半とテンポアップする後半のメリハリがいいですね。
「Without You」
グループ全員による作品。ツイン・ドラムをはじめDoobiesらしいダイナミックなサウンドを堪能できる王道アメリカン・ロックといった楽曲ですね。かなり好きな曲の1つです。
「South City Midnight Lady」
この曲もPatの作品です。ウエストコーストらしい爽快感となハート・ウォームな温もり感が何とも魅力的なアコースティック・チューン。Patはこの手の曲が得意ですね。アルバムに1、2曲こういう曲があるとホッとします。
「Evil Woman」
アルバムの中では一番ハードな楽曲ですね。この曲もPatの作品ですが前曲「South City Midnight Lady」との落差がなかなか面白いですね。こういったハードな楽曲でもDoobiesらしく聴かせてしまうところが好きですね。
「The Captain and Me」
タイトル曲はバンジョーなども交えたアコースティック・チューン。前半は少し退屈だけど、後半のグルーヴィーな展開はかなりカッチョ良いです!
もうすぐ『24』第5シーズンの最終話。今回もついつい観てしまいました。いつも思うのですが、ジャック・バウワーや登場人物たちは徹夜で眠くなることはないのかなぁ。なんて...野暮ですな(悪)