2007年11月29日

Curtis Mayfield『Back To The World』

子供達に明るい未来を!社会派Curtisを象徴する作品☆Curtis Mayfield『Back To The World』
Back to the World
発表年:1973年
ez的ジャンル:社会派Curtis
気分は... :ランクよりも感性が大事!

初版12万部が3日間で完売した「ミシュランガイド東京2008」ですが、その賛否両論さまざまですね。

個人的にはレストラン本に限らず、こうした個人の嗜好が分かれる分野のガイド本は、あくまで1つの目安として利用すれば役立つものだと思いますが、それを絶対的な権威として振りかざすのであれば、そんなもの不要だと思います。

重要なことは、星の有無や数といったランク付けは、あくまで特定人物の主観によるもので、あらゆる人に当てはまる客観的なものではないという認識だと思います。

これは音楽ディスクのガイド本にも言えることですよね。

例えば、今年に入り主にオールド洋楽ファンをメイン・ターゲットとする某雑誌が、3ヶ月連続で60年代、70年代、80年代のロックベスト100を特集して話題になりましたよね。個人的には各年代妥当なセレクションだと思いましたが、それが妥当か否かということはどうでもいいことで、それよりも自分の感性に合ったものか否かという判別が大切なのではと思います。

自分の感性に合ったセレクションを見つけることが出来れば、その人の音楽ライフがさらに楽しいものになるはずですからね。逆に、ガイド本に縛られて、自分の好みに合わないディスクを名盤として聴く必要は全くないと思います。ガイド本を利用して通常聴かない分野のディスクを試しに聴いてみるということも、自分の世界を拡げる意味では大切なのかもしれませんが。

まぁ、個人の嗜好に左右されるものにランクをつけることの功罪に留意しましょうというお話でした。

久々にCurtis Mayfieldです。

今回はベトナムから帰還をタイトルにした社会派アルバム『Back To The World』(1973年)です。

Curtisは『Curtis/Live!』(1971年)、『Superfly』(1972年)、『Curtis』(1970年)に続く4回目の登場となりマス。

タイトル曲「Back To The World」は、地球の裏側で地獄を経験し、やっとの思いで帰国を果たしたベトナム帰還兵が、祖国でも辛い日々を過ごさねばらない現実を歌ったものです。

また、アルバムには収録曲「If I Were Only a Child Again」の歌詞に絡めて、“私が子供に戻ったならば、大人達にいつ世の中は平和になるのか尋ねるだろう”というCurtisのメッセージが記されています。

子供達の明るい未来のためにも、アメリカ社会が抱える現実に警鐘を鳴らした社会派Curtisらしい1枚に仕上がっていると思います。

Impressions時代から公民権運動に呼応したメッセージ・ソング等を歌ってきたCurtisですが、ソロ作品の中でそういった側面が最も強調されたアルバムが本作『Back To The World』(1973年)と『There's no place like America Today』(1975年)の2枚です。

僕自身、メロウでグルーヴィーなサウンドを聴かせてくれるCurtisが好きなのですが、これら2枚のアルバムを通じてCurtisの放ったメッセージを感じ取ることも、Curtis Mayfieldというアーティストを知るうえで大切ですよね。

Marvin Gaye『What's Going On』(1971年)、Donny Hathaway『Extension of a Man』(1973年)あたりと一緒に聴かれるべき作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Back to the World」
タイトル曲は前述の通り、ベトナムからの帰還兵の苦しみを歌ったCurtisのキャリアを代表する社会派ソングです。よく言われるようにMarvin Gaye「What's Going On」に呼応したものでしょうね。

美しいストリングスとホーンの響きをバックに、♪こんな世間に戻ったところで...♪つらいんだ、つらいんだ♪と歌うCurtisのファルセット・ヴォイスに鋭く胸をえぐられる思いです。曲のラストに入っているベトナムからアメリカへ帰還する飛行機の音が実に虚しいですね。。

De La Soul「Ghetto Thang」のサンプリング・ネタになっています。

「Future Shock」
シングルにもなったCurtisらしいワウ・ワウ・ギターが鳴り響くシカゴ・ファンク・チューン。曲調的には「Superfly」と一緒に聴くと合うカンジですよね。途中で♪Superfly〜♪とか♪What's Going On〜♪なんてフレーズを聴くこともできます。Cypress Hill「Something for the Blunted」のサンプリング・ネタになっています。

「Right on for the Darkness」
泣きそうなCurtisのファルセットが炸裂する1曲。抑え気味のカッティング・ギターの音がいつまでも脳裏に残りますね。最後に美しくも不穏に響くストリングスもインパクトがあります。ニューソウルらしいメッセージにも注目です。

Eric B. & Rakim「Don't Sweat the Technique」、Gang Starr「Take A Rest」 、Mase Feat.Total「What You Want」等のサンプリング・ネタになっています。

「If I Were Only a Child Again」
前述のように「Back to the World」と並び本作においてCurtisが伝えたい重要なメッセージを持った1曲です。シングルにもなりました。未来ある子供達のように、生き生きと躍動感のあるグルーヴに仕上がっています。純粋に曲のキャッチーさで言えば、この曲が一番なのでは?

「Can't Say Nothin'」
ファンキーなミディアム・ファンク。いいカンジのホーン・アレンジが盛り上げてくれマス。

「Keep on Trippin'」
個人的にはアルバムで一番好きなメロウ・グルーヴ。バックでキラキラ駆け巡るキーボードの音色もメロウネスを高めてくれますね。。

「Future Song (Love a Good Woman, Love a Good Man) 」
哀愁ソウル・チューンな仕上がり。歌詞をよく読むと、いろいろと反省してしまいます。♪Take care a good woman〜♪そうだよねぇ(笑)

社会派アルバムのもう1枚『There's no place like America Today』(1975年)もぜひ本ブログで紹介したいと思います。
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2007年11月28日

Keith Jarrett Trio『Somewhere Before』

僕が唯一CDを持っているKeith Jarrettリーダー作☆Keith Jarrett Trio『Somewhere Before』
Somewhere Before
録音年:1968年
ez的ジャンル:個性派ジャズ・ピアノ・トリオ
気分は... :くよくよするな!

今回はジャズを枠には収まらないクリエイティブなピアニストKeith Jarrettの紹介です。

Keith Jarrettは1945年ペンシルバニア生まれ。3歳からピアノを始め、バークリー音楽院に学んだ後、1965年にArt BlakeyのJazz Messengersに入団し、ます。その翌年にテナーサックス奏者Charles Lloydのカルテットに参加し、注目を浴びるようになります。

1968年に初リーダー作『Life Between The Exist Signs』を発表し、1969年にCharles Lloydのグループを退団すると、エレクトリック時代に突入したMiles Davisのグループに参加し、『Miles Davis At Fillmore』、『Live Evil』、『Get Up With It』等の作品にその演奏を残しています。

その後、ECMレーベルへ活躍の場を移すと、『Facing You』(1971年)、『Solo Concerts』(1973年)、『The Koln Concert』(1975年)といったピアノ・ソロ作品でその名声を確立します。

80年代に入ると、 Gary Peacock(b)、Jack DeJohnette(ds)と共にThe Standards Trioを結成、名トリオとして20年以上にわたって活動しています。また、ジャズの枠に収まらず、クラシック作品なども数多く残していますね。

と書いていますが、僕も詳しい部分は全然知りません。

Return To Foreverのエントリーでも書きましたが、ロック少年だった中学生・高校生の頃、聴いてもいないくせにジャズ・ピアニストと言えば、Chick CoreaKeith JarrettHerbie Hancockの3人の名前が思い浮かびました。

僕がこれらのピアニスト/キーボード奏者の作品をきちんと聴くようになったのはCD時代になってから。コレクション枚数でいうと、ダントツでHerbie Hancock、続いてChick Corea(殆どがReturn To Foreverですが)、そしてKeith Jarrettは今回紹介する『Somewhere Before』1枚しか持っていません。

実はこの3人の中で唯一Keith Jarrettだけは学生時代にLP(『The Koln Concert』)を購入したことがありました。ピアノ・ソロという点に惹かれて購入しましたが、何か近寄り難い雰囲気があって当時の僕にはこのクリエイティビティを理解することができませんでした。

その影響でCD時代になっても無意識にKeith Jarrettの作品を避けていたのかもしれません。

そんな僕が唯一持っているKeith JarrettのCDが『Somewhere Before』(1968年)です。
HollywoodのShelly's Manne-Holeでのライブ録音です。

僕がこの作品を購入した理由はたった1つ、大好きなBob Dylanの名曲「My Back Pages」が収録されていたためです。

という1曲狙いで購入した作品だったのですが、聴いてビックリ!
アルバム全体を通じて、『The Koln Concert』の近寄り難い印象を払拭してくれるような、聴きやすさがありますね。

メンバーはKeith Jarrett(p)、Charlie Haden(b)、Paul Motian(ds)というメンバー。

コアなジャズ・ファンの方が、この聴きやすさをどのように評価するのかは不明ですが、僕のような永遠のジャズ初心者にとっては打って付けの作品かもしれません。

「My Back Pages」、「Dedicated to You」以外はKeith Jarrettのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「My Back Pages」
僕が一番好きなDylan作品のカヴァー。Bob Dylanのオリジナルは1964年発表の『Another Side Of Bob Dylan』に収録されています。あとはオリジナル以上に本ブログでも紹介したByrdsのカヴァー(『Younger Than Yesterday』)が人気があるかもしれませんね。

Byrdsのカヴァーが好きな人は、このソウルフルかつロック・テイストの演奏も気に入るのではと思います。メロディの美しさと温もりを感じるJarrettのピアノがたまりません。聴いているとサビ部分は思わず、♪Ah, but I was so much older then〜♪I'm younger than that now〜♪と歌ってしまいますね。イントロのHadenのベース・ソロも印象的です。

「Pretty Ballad」
「My Back Pages」に劣らぬくらい好きなのがこの演奏。このリリシズム溢れる美しさはBill Evansに通じるものがありますね。わび・さびがありますな。

「Moving Soon」
「Pretty Ballad」の美しさから一転、フリーフォームの前衛的な演奏に圧倒されます。

「Somewhere Before」
ジャケ写真のイメージがピッタリのラグライム風の演奏が実に雰囲気があっていいですね。古き良き時代の香りが漂います。

「New Rag」
スインギーで軽快な演奏ですね。Hadenのベースがえらくカッチョ良いですね。後半の盛り上がり方がゴキゲンです!

「A Moment for Tears」
「Pretty Ballad」同様の静寂と美しさを持った1曲。タイトルの通り、涙なしには聴けない感動的な演奏ですね。

「Pout's Over (And the Day's Not Through) 」
「My Back Pages」と同タイプのロック・テイストの演奏を聴かせてくれます。僕が知らないだけかもしれませんが、ジャズ・ロックとも違うこうしたロック的な演奏のジャズって、あまりない気がします。

「Dedicated to You」
Sammy Cahn/Saul Chaplin/Hy Zaret作品。Jarrettの美しいタッチにうっとりします。心に落ち着きを取り戻すことができまる演奏ですね。

「Old Rag」
最期はノリノリのラグ・タイム風の演奏です。それまで席に座ってとしたら、思わず立ち上がって手拍子したくなる気分ですね!

本作には、今回使っている1920年代風の雰囲気たっぷりのジャケ以外に、ピアノを弾くJarrettの写真を使ったジャケもありますね。僕が持っているのは前者なのですが、どちらがオリジナルなのか僕も知りません。でも、断然こっちの方がいいですな。
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2007年11月27日

Luscious Jackson『Fever In Fever Out』

Beastie BoysのレーベルGrand Royalの第1号アーティストの2ndアルバム☆Luscious Jackson『Fever In Fever Out』
Fever in Fever Out
発表年:1996年
ez的ジャンル:グランド・ロイヤル系女性オルタナ・ロック
気分は... :時には冷ややかに...

今日はローファイなアルバムが聴きたい気分...
ということでLuscious Jackson『Fever In Fever Out』(1997年)をセレクト。

Luscious Jacksonは、Jill Cunniff(vo、b)、Gabrielle "Gabby" Glaser(vo、g)、Vivian Trimble(key、vo)、Kate Schellenbach(ds)という女性4人で結成されたグループ(Vivianは1998年に脱退)。Kate SchellenbachはBeastie Boysのオリジナル・メンバーとしても知られていますね。ちなみにLuscious Jacksonというバンド名は、かつてのNBAのプロ・バスケットボール選手Lucious Brown "Luke" Jacksonからとったものです。

Luscious Jacksonといえば、Beastie Boysがかつて運営していたレーベルGrand Royalの第1号アーティストとして有名ですね。Grand Royalには、Atari Teenage RiotやSean Lennon、さらにはCibo Matto、Buffalo Daughterといった日本人のグループも所属していました。

1992にミニ・アルバム『In Search of Manny』でデビューすると、1994年に1stアルバム『Natural Ingredients』、1996年に2ndアルバム『Fever In Fever Out』、1999年に3rdアルバム『Electric Honey』という3枚のアルバムを発表しますが、2000年にグループは解散してしまいます。奇しくもGrand Royalが経営難で2001年にレーベルを閉鎖しているので、まさにGrand Royalと共に生まれ、Grand Royalと共に幕を閉じたという感じですね。

また、JillとVivianはKostarsという別プロジェクトでも活動し、Grand Royalからアルバム『Klassics With A "K"』(1996年)を発表しています。

デビュー作『In Search of Manny』を聴くと、Hip-Hopのセンスを持ったガレージ・バンドというイメージでしたが、今回紹介する『Fever In Fever Out』ではガレージ・バンドのザラツキ感はあまり感じられず、かなり整理されたサウンドになっています。

昔からのファンは、そのガレージ・バンド的な魅力が薄れた点に物足りなさを感じるかもしれないし、そういった先入観のない方はこの時代らしいローファイ・サウンドとして楽しめるのではと思います。その意味でははっきり好き/嫌いが分かれる作品でしょうね。個人的には本作の冷めた雰囲気が大好きですね。

こうした本作の印象に大きな影響を与えているのが、共同プロデューサーとして参加しているDaniel Lanoisの存在です。

当時のDaniel Lanoisは、U2、Peter Gabrie、Robbie Robertson、Neville Brothers、Bob DylanRon Sexsmith等の作品でその手腕を発揮したトップ・プロデューサーの一人でしたよね。U2『The Joshua Tree』(1987年)あたりに代表されるように、聴けばすぐにわかる独特の音空間で、良くも悪くもこの時代を象徴していましたよね。

U2、Peter Gabrie、Neville Brothers、Ron Sexsmith等のDaniel Lanoisプロデュース作品を何枚か持っていますが、正直U2『The Joshua Tree』などは今聴くと多少退屈に聴こえてしまいます(『Achtung Baby』はかなり好きなのですが)。

なので、あまりDaniel Lanois色が強すぎるとダメなのですが、本作はその手前で踏みとどまり、よく練られたチープ感(意味不明ですな)が魅力だと思います。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Naked Eye」
グループ唯一の全米Top40入りシングル。軽快なポップ・チューンだけど、少し冷めた感じの温度感が魅力なのでは?

「Don't Look Back」
Bostonのカヴァーじゃありません(笑)レイジーかつメランコリックなローファイ・サウンド。インディーズ映画のサントラとかにありそうな雰囲気がいいですね。

「Under Your Skin」
シングルにもなった曲。なかなかカッチョ良いダンス・サウンドと乾いたボーカルの組み合わせがいいですね。

「Electric」
タイトルの通り、エレクトロニカな仕上がりの1曲。このあたりは従来のLuscious Jacksonのイメージとは大きくかけ離れた1曲かもしれませんね。

「Water Your Garden」
いい感じのローファイ感が魅力の曲ですね。砂漠の中の寂れた町の光景が頭の中に浮かんでいますね。聴いているうちの、口の中が渇いてきます。

「Soothe Yourself」
カッチョ良さで言えばアルバムで一番かも。Gabbyのギターがいい感じでシャカシャカ鳴っています。バック・コーラスにはかつての美人女性シンガーEmmylou Harrisが参加しています。

Luscious JacksonとEmmylou Harrisというのは意外な組み合わせかもしれませんが、前年に発表されたEmmylouのアルバム『Wrecking Ball』をDaniel Lanoiがプロデュースしているので、その関係での参加だと思います。

「Why Do I Lie?」
この曲もシングルになりました。Earth,Wind & Fire「Fantasy」にそっくり!と思うのは僕だけでしょうか(笑)「Fantasy」を少しレイジーなアコースティック・チューンに仕上げたってカンジですかね。この曲にもEmmylou Harrisが参加。

「One Thing」
個人的にはアルバムのハイライトはこの曲。Emmylou Harrisに加えて元Brand New Heaviesの女性ヴォーカリストN'Dea Davenportが参加しています。ローファイかつクールな魅力はそのままにパーカッシヴかつファンキーな仕上がりになっています。

「Stardust」
あまり起伏のない淡々とした流れがいいですね。なんかこのどん詰まったクールネスがたまらなく好きです!

今年、『Greatest Hits』が発表され、再結成の噂もあるみたいですね。
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2007年11月25日

Brian Auger's Oblivion Express『Straight Ahead』

90年代のAcid Jazzブームを予見していたかのような作品☆Brian Auger's Oblivion Express『Straight Ahead』
ストレイト・アヘッド(紙ジャケット仕様)
発表年:1975年
ez的ジャンル:クロスオーバー系ジャス・ロック
気分は... :エル・カネックの仮面ってどんなだったっけ?

Brian Auger率いるBrian Auger's Oblivion Expressの2回目の登場です。

前回は4thアルバム『Closer to It!』(1973年)を紹介しました。また、The Trinity時代の作品『Streetnoise』(1969年)も以前に紹介しています。

今回は1975年の作品『Straight Ahead』です。

『Straight Ahead』は、『Oblivion Express』(1970年)、『A Better Land』(1971年)、『Second Wind』(1972年)、『Closer to It!』(1973年)に続くOblivion Express5枚目のアルバムです。

ブリティッシュ・ロックを代表するオルガン/キーボード奏者であるBrian Augerについては、60年代のTrinity時代に熱狂するモッドな方と、70年代のOblivion Expressを愛聴するフリーソウル好きの人に分かれるのかもしれませんね。

僕の場合、Trinity、Oblivion Express両時代の主要作品は大体コレクションに揃っているのですが、1:4くらいの割合でOblivion Express時代の作品を聴くことが多いですね。

僕がBrian Augerに最初に出会った作品が本作『Straight Ahead』です。
というよりもフリー・ソウルのコンピ『Free Soul Visions』に収録されていた「Straight Ahead」を気に入り、同曲が収録されている本作を購入しました。そして、他のOblivion Express時代の諸作品を揃えてから、Trinity時代へ遡っていったというのが僕のBrian Auger購入履歴ですかね。

『Straight Ahead』の大きな特徴は、オルガンのイメージが強いBrian Augerが本格的にエレピを導入したという点です。あとは全体的にパーカッシヴな仕上がりになっているのが好きですね。

本作のメンバーは、Brian Auger(key)、Jack Mills(g)、Barry Dean(b)、Mirza Al Sharif(per)、Lennox Langton(congas)、Steve Ferrone(ds)といった布陣です。

あとはジャケが印象的ですよね。列車を人間の顔に模しているものの、一つ目で怖い!なんてお馬鹿なことを思ったのですが、正面ではなく横顔を模しているんですよね(笑)そう思って眺めていると、なぜか懐かしの覆面レスラー“仮面の魔豹”エル・カネックを思い出してしまいました。こんな感じじゃなかったっけ???

Acid Jazzがお好きな方も気に入る1枚だと思います。

全曲紹介しときヤス。

「Beginning Again」
アルバムで一番のお気に入りが疾走感がたまらないこのフュージョン・テイストのオープニング曲。本作を象徴するパーカッシヴなエレピ・グルーヴに仕上がっています。僕の場合、パーカッション類がパカポコ鳴り響く中でフェンダーの心地良い音色が駆け巡るというパターンにはすぐハマってしまうようです(笑)

「Bumpin' On Sunset」
ジャズ・ギタリストの巨匠Wes Montgomeryの作品のカヴァー。この曲はハモンド・オルガンでキメてくれます。不穏な空気とメロウネスが同居するミッド・グルーヴに仕上がっています。10分以上もあるインストですが、実に雰囲気があって最後まで飽きずに聴けます。

「Straight Ahead」
タイトル曲は前述のようにフリー・ソウルのコンピ収録の人気曲ですね。90年代のアシッド・ジャズの流れを予見していたかのようなレア・グルーヴですね。Jack Millsのワウワウ・ギターとAugerのフェンダーの絡みがいいカンジです。

「Change」
カッチョ良さで言えば、このファンキー・ロック・チューンが一番かもしれませんね。チカーノ・ロックに通じるカッチョ良さを持っていますよね。Augerのハモンドは勿論のこと、パーカッション隊が大いに盛り上げてくれます。

「You'll Stay In My Heart」
穏やかさ雰囲気にホッとするメロウ・チューン。Augerの頼りないヴォーカルが逆にいいカンジだと思います。

今、サッカーのイングランド・プレミア・リーグを観ながらエントリーを書いているのですが、強豪チームのレギュラーは外国人のスター選手ばかり。だからこそ世界最高峰のリーグなわけですが、その代償がイングランドのユーロ予選敗退だとしたら少し複雑な思いになりました。
posted by ez at 01:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月24日

Jagged Edge『Baby Makin' Project』

スロウ尽くしのR&Bを渇望していた☆Jagged Edge『Baby Makin' Project』
Baby Makin' Project
発表年:2007年
ez的ジャンル:王道男性R&Bグループ
気分は... :どんなプロジェクトじゃ!

今回は早くもデビューから10年が経った男性R&BグループJagged Edgeの新作『Baby Makin' Project』です。

Jagged Edgeは双子の兄弟Brian Casey (Case Dinero)、Brandon Casey (Brasco)とKyle Norman (Quick)、Richard Wingo (Wingo)の4人組。大物プロデューサーJermaine DupriのレーベルSo So Defからデビューを飾っています。

これまで『A Jagged Era』(1998年)、『J.E. Heartbreak』(2000年)、『Jagged Little Thrill』(2003年)、『Hard』(2003年)、『Jagged Edge』(2006年)という5枚のアルバムを発表し、「He Can't Love You」(ポップチャート第9位、R&Bチャート第1位)、「Let's Get Married」(ポップチャート第11位、R&Bチャート第1位)、「Promise」(ポップチャート第9位、R&Bチャート第1位)、「Where the Party At」(ポップチャート第3位、R&Bチャート第1位)、「Walked Out Of Heaven」(ポップチャート第6位、R&Bチャート第2位)といったシングル・ヒットを誇る中堅R&Bグループです。

なんといっても「Let's Get Married」「Promise」のような胸キュンのスロウに持ち味を発揮するグループですよね。ちなみに「Let's Get Married」はアメリカの結婚式定番ソングの1つになっていますね。

そんな彼らの最新6thアルバムが本作『Baby Makin' Project』です。

何とも凄いタイトルですよね。本ブログでも紹介したIsley Brothers『Baby Makin' Music』と双璧といったところでしょうか。

そんな内容を反映してか、全11曲アップなしのスロウで貫かれています。
プロジェクトを完遂するためには、全曲スロウが必須条件なのかもしれませんな(笑)

プロデュースにはJermaine Dupriと彼の片腕Manuel Seal、それにCasey兄弟らのプロデュース・ユニットSick Centsが担当しています。

ネット上で全曲スロウの物足りなさを指摘するレビューをいくつか拝見しましたが、胸キュン・スロウ好きの僕などは全然飽きずに1枚聴けました。というか、こういった全編ロマンティックなアルバムの登場を渇望していたのかもしれません。

メンバーは、レコーディングに際してKeith SweatR. Kellyを意識したようです。僕が本作を気に入っているのも大好きだった90年代R&Bのロマンティックなテイストが、うまく取り入れられているからかもしれません。

「Let's Get Married」「Promise」のような超目玉はないかもしれませんが、アルバム全体の完成度は高いと思います。

まぁ、踊るばかりが能じゃない、たまにはスロウ尽くしのR&B作品を聴くのもいいかもしれませんよ。

全曲紹介しときヤス。

「Intro」
「Where the Party At」、「Let's Get Married」、「Promise」、「Walked Out Of Heaven」、「He Can't Love You」という彼らの大ヒット曲の数々のメドレーです。といっても1分強ですが...もっと長尺でこのメドレーを聴きたいですね(笑)

「Put A Little Umph In It」
アルバムのリードシングル。Ashantiをフィーチャーしています。JEらしいセクシーなミディアム・スロウです。

「Whole Town Laughing」
ここからの3曲がアルバムのハイライトだと個人的には思っています。勿論、胸キュンのロマンティックなスロウです。Keith SweatR. Kellyを意識したというのが納得の出来栄えです。

「Me That's Who」
冬の夜に寒さに凍える手をこすりながら、ロマンティックな夜を思い描きたくなるような曲ですね。クリスマスのイルミネーションの眺めながら、ロンリーナイトを過ごすというカンジかなぁ。

「Get This」
「Whole Town Laughing」で胸がトキメキ、「Me That's Who」でトキメキが高鳴り、この曲で高鳴りすぎた胸が張り裂けそう!といったカンジですね。僕の胸キュン計はこの曲で限界を超えてしまいました(笑)

「I'll Be Damned」
コーラス・グループとしてのJEを堪能できる1曲ですね。この曲を聴いていたら、Jodeciとか聴きたくなってきますな。

「Can't Get Right」
しみじみとした哀愁スロウですね。安定した実力が裏打ちする1曲。

「Way To Say I Love You」
この曲も胸キュン好きは昇天しますね。アコースティックな仕上がりとコーラスワークが絶妙です。個人的にはJodeci「Good Luv」を思い出してしまいました。

「Sunrise」
タイトルに反してアーバン・ナイトに聴きたいスロウですね。

「Round And Round」
この美メロ・チューンも僕の胸キュン計がかなり上昇しますね。ソロ・アーティストにはないコーラス・グループならではのロマンティズムが実にいいですね。

「Turn U On」
ボコーダー使いの1曲。ボコボコ好きの僕ですが、これだけの実力のあるグループなのだからボコらなくてもいい気もしますね。途中、Zapp「Computer Love」のような部分もあって楽しめますが...

昨日のエントリーで、イングランドのマクラレーン監督の解任とモウリーニョの新監督就任なんて無責任な予想をしましたが、実際マクラレーンは解任され、モウリーニョはメディアのオッズで一番人気みたいですね。カペッロだけにはなって欲しくないなぁ(笑)彼が代表監督を務めるべき国はイングランドではなく母国イタリアだと思います。
posted by ez at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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