2007年11月07日

Lou Donaldson『Mr. Shing-A-Ling』

Boogalooの次はShing-A-Ling!☆Lou Donaldson『Mr. Shing-A-Ling』
Mr Shing-A-Ling
録音年:1967年
ez的ジャンル:グルーヴィー・ソウル・ジャズ
気分は... :NFLが面白くなってきた...

今週はNFLが熱かったので、少しそんなお話を...

まずはNFLファンにはたまらない「コルツ対ペイトリオッツ」の全勝対決がありました。

同カンファレンスであるためスーパーボウルで対決することはありませんが、間違いなく現在NFL最強の2チームによる対決は、ある意味スーパーボウル以上の組み合わせと言えるかもしれませんね。解説の後藤完夫さんが、この試合を“ウルトラ・ボウル”と表現していました、まさにピッタリの名称ですね。

でもって、実際の試合内容も“ウルトラ・ボウル”の名に相応しい好ゲームでしたね。
マニングとブレイディというNFLを代表する両QBを観ているだけでワクワクしました。

結果はペイトリオッツの鮮やかな逆転勝利!いやぁ、興奮しました。それにしても試合終了の瞬間、ペイトリオッツのヘッドコーチであるベリチックが大喜びしていたのが印象的でした。彼がシーズン中にあれほどはしゃいだ表情を見せることは、あまり見たことがありませんね。

きっとAFCのカンファレンス・チャンピオンシップで両者は再び対戦することになると思いますが、今から楽しみですね。

一方のNFCでは以外にもパッカーズが絶好調ですね。
出来れば、QBファーヴには引退前にもう一度スーパーボウルに出場でして欲しいですね。その意味では今シーズンは奇跡が起こる予感もしますね。

あと今週は296ヤードという1試合のラッシング新記録を樹立した、バイキングズの新人RBピーターソンに驚かされましたね。1試合100ヤードで大活躍と評価されるNFLの世界で300ヤードまであとわずかという記録には、ただただ驚くのみです。僕はまだ彼のプレーする姿をハイライト映像以外で観たことがないので、一度試合でじっくり観てみたいですね。

さて、今日はジャズ・アルトサックス奏者Lou Donaldsonの2回目の登場です。

Lou Donaldsonの代表作と言えば、ジャズ・ファンのみならず、R&B/ソウル・ファンからも支持されたベスト・セラー『Alligator Bogaloo』(1967年)ですね。

今回は紹介する『Mr. Shing-A-Ling』(1967年)は『Alligator Bogaloo』の次に発表された作品であり、前回紹介した『Midnight Creeper』(1968年)の1つ前の作品に当たります。

ちなみにShing-A-Ling (Shingaling) とは、1960年代のNYで流行したラテン・ソウル・ミュージックの1つなのだそうです。Boogalooのバリエーションの1つといった位置づけみたいですね。前回がBoogalooだったので、今回はShing-A-Lingといったノリだったのでしょう。安易な気もしますが、その軽さが良いのでは(笑)

『Mr. Shing-A-Ling』も基本的には『Alligator Bogaloo』同様に、グルーヴィーなソウル・ジャズに仕上がっています。『Alligator Bogaloo』『Mr. Shing-A-Ling』『Midnight Creeper』といった作品は、プレイヤーの技量云々ではなく、全体のノリの良さで聴けてしまうところが、僕のような永遠のジャズ初心者にとってはツボですね。

メンバーは、Lou Donaldson(as)、Blue Mitchell(tp)、Jimmy Ponder(g)、Lonnie Smith(org)、Leo Morris(Idris Muhammad)(ds)という布陣です。『Alligator Bogaloo』からはギターがGeorge BensonからJimmy Ponderへチェンジしています。

僕的には『Alligator Bogaloo』に続いてジャケ写真に登場するモデルPeggy Moffittのファッショナブルなイメージと、サウンドが符合するカンジですね。『Alligator Bogaloo』でのPeggyはエキゾチックなイメージが強かった気がしますが、本作のPeggyはファッション・イコンとしてのイメージが強調されている気がします。

全曲紹介しときやす。

「Ode to Billie Joe」
Bobbie Gentryによる1967年の全米ポップ・チャートNo.1のカヴァー。オリジナルは、南部テイストながらも爽やかな雰囲気を持ったフォーキー・チューンに仕上がっていましたね。ここではテンポを落として、ソウルフルな味わいの全く異なった印象の曲に仕上げています。

もしかしたら、ジャズ・ファン以上にHip-Hopファンにお馴染みの曲ですね。定番ドラム・ブレイクとして、Beatnuts「World's Famous」、A Tribe Called Quest「Clap Your Hands」Mary J. Blige「You Don't Have To Worry」、The Roots「Good Music」、Warren G.「This Is The Shack」、De la Soul「View」、Nice & Smooth「Old to the New」等さまざまな曲で使われています。

「The Humpback」
Louの本作唯一のオリジナル曲がアルバムで一番のお気に入り曲です。オルガン・ジャズらしいグルーヴ感が何ともオシャレですねぇ。踊りまくれるカンジが...なんて書いていたら、同じルーでもドナルドソンではなく、大柴の方を思い出してしまいましたぁ。しかもタートルネック姿でクネクネしてるっ(笑)

「Shadow of Your Smile」
アカデミー賞歌曲賞も受賞した映画「いそしぎ」の主題歌のカヴァー。ジャス・カヴァーという点では、本ブログでは以前にJohn Pattonのカヴァーを紹介しましたね。MitchellやDonaldsonの軽めのさりげないソロがいい感じのボッサなカヴァーに仕上がっています。。

「Peepin'」
Lonnie Smithの作品。「Alligator Bogaloo」がお好きな方にとっては、同タイプの曲なので気に入るのではと思いマス。このユルいグルーヴ感がいいですねぇ。僕的には先に述べたファッション・イコンとしてのPeggy Moffittのイメージとピタっと符合する曲ですね。

「The Kid」
モノクロ・フィルムが似合うカンジのノスタルジックなスタイリッシュさがいい感じの1曲に仕上がっています。Lonnie Smithのオルガンが実にカッチョ良いですね。自分のオルガン・ジャズ好きを再認識できます。

本作を聴いていたら、Lonnie Smithのリーダー作も紹介したくなりました。そのうち『Turning Point』(1969年)あたりを紹介しますね。
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2007年11月05日

The Allman Brothers Band『Eat A Peach』

“スカイドッグ”最期の輝き☆The Allman Brothers Band『Eat A Peach』
Eat a Peach
発表年:1972年
ez的ジャンル:奔放系サザンロック
気分は... :桃を食べましょ!

先週はTVで印象的なサスペンス映画をたまたま2本観ました。

『Ascenseur pour I'Echafaud(死刑台のエレベーター)』(1957年)と『The Usual Suspects』(1995年)の2本です。どちらも何度も観ているのですが、何度観ても惹かれる映画ですね。

Louis Malle監督、Maurice Ronet、Jeanne Moreau主演の『Ascenseur pour I'Echafaud(死刑台のエレベーター)』は、パリを舞台に完全犯罪を試みた犯人が運悪くエレベーターに閉じこめられ、そこからさまざまな男と女の運命が変わっていくというヌーヴェルヴァーグを代表する映画です。モノクロ・フィルムの何とも言えない味わいと、Miles Davisによる音楽が実に印象的な1本ですね。

Bryan Singer監督、Kevin Spacey出演の『The Usual Suspects』は、謎の男“カイザー・ソゼ(Keyser Soze)”を巡る犯罪サスペンス。真実と嘘が交錯する中での大どんでん返しには何度観てもゾクゾクしますね。『Saw(ソウ)』シリーズが好きな方なんかは絶対ハマると思います。

ちなみにKevin Spaceyは本作でアカデミー助演男優賞を受賞し、スター俳優への道を歩み始めます。確かに本作でKevin Spaceyはその演技力を存分に見せつけてくれます。ただ、僕にはどう見ても助演ではなく主演に見えるのですが...

どうやら、僕はこの手のサスペンス映画が異常に好きみたいです。きっと、どんでん返しで映画の雰囲気がガラッと変わる瞬間のゾクゾク感や、どんでん返しを先読みして的中させた時に快感がたまらないのでしょうね。

ということで、サスペンス映画に全く関係ないThe Allman Brothers Bandの紹介です。本ブログ2回目の登場です。

前回はロック史上屈指のライブアルバム『At Fillmore East』(1971年)でしたが、今回はバイク事故で急逝した“スカイドッグ”Duane Allmanの遺作となったアルバム『Eat A Peach』(1972年)です。

遺作と言っても、Duane存命時のスタジオ録音、Duane死去後のスタジオ録音、『At Fillmore East』のアウトテイクが混在した変則的なアルバムです。

アルバムは当然ながら、“Dedicated to A Brother Duane Allman”というかたちでDuane Allmanへ捧げられています。

メンバーの中心人物が突如としていなくなった悲しみと混乱の中で制作されたアルバムですが、個人的にはAllman Brothers Bandのアルバムの中で一番好きかもしれません。

“スカイドッグ”の遺作であると同時に追悼作であり、しかも名ライブ盤『At Fillmore East』のアウトテイクが聴けて、さらにDickey Betts(g)、Gregg Allman(key)、Berry Oakley(b)、Jai Johanny "Jaimoe" Johanson(ds)、Butch Trucks(ds)という残った5人のメンバーによる新生Allman Brothers Bandのサウンドが聴けるという、不謹慎な表現ですが“1粒で4度美味しい”アルバムになっていると思います。

ちなみにアルバム・タイトルの“Eat A Peach”とは、グループの本拠地であるジョージア州の別名“Peach State”と呼ばれることから付けられたらしいです。

全曲紹介しときやす。

「Ain't Wastin' Time No More」
最初の3曲(LP時代のA面)は、残ったメンバー5名によるレコーディングです。「Ain't Wastin' Time No More」は新生Allman Brothersのお披露目的なナンバー。「時はもう無駄に出来ない」という邦題のごとく、Duane Allmanの死という大きな悲しみを必要以上に引きずらず、新たなグループの方向性を示そうとするグループの決意が感じられるオープニングです。Greggのヴォーカルを中心に据えたキャッチーなスワンプ・チューンに仕上っています。Greggのヴォーカルに絡み付くDickey Bettsのギターも印象的です。

「Brers in A Minor」
Dickey Betts作のインスト。Dickey Bettsのギターを中心にスピリチュアルな展開の前半から一転し、後半はエキゾチックなグルーヴ感がカッチョ良い豪快なバンド・アンサンブルを堪能できます。実はこのエキサイティングな後半部分がアルバムで一番好きだったりします。

「Melissa」
Gregg Allmanらしいレイドバック感覚に溢れた人気曲。この哀愁メロディとルーズなヴォーカルが何とも味わい深いですね。Dickey Bettsのギターも泣かせてくれますね。翌年に発表されるGreggの1stソロ『Laid Back』に通じる仕上がりですね。

「Mountain Jam」
本曲はDuane存命時のFillmore Eastでのライヴです。まぁ、本アルバムのハイライトということになると、Donovan「There Is a Mountain」をベースにした30分を超えるこのジャム・セッションになるのでしょうね。普通ならば、30分を超えるジャム・セッションなんて退屈して途中でスキップしてしまう僕なのですが、意外と飽きずに聴けてしまうのは不思議ですね。重すぎず、軽すぎず、適度にリラックス、適度にエキサイティングみたいなさじ加減が絶妙なのでしょうね。

「One Way Out」
この曲もFillmore Eastでのライヴ。ブルース・ハーピストSonny Boy Williamsonのカヴァー。DuaneのDickey Bettsのギターの絡みも含めて、実に軽快な仕上がりですね。

「Trouble No More」
この曲もFillmore Eastでのライヴ。こちらはMcKinley MorganfieldことMuddy Watersのカヴァー。Duaneのギターを堪能するには、こうしたブルース・ナンバーが持って来いかもしれませんね。

「Stand Back」
Duane存命時のスタジオ録音。Gregg AllmanとBerry Oakleyの作品です。Berry Oakleyも次作『Brothers And Sisters』のレコーディング中に、Duane同様にオートバイで事故死してしまうわけですが、そんな思いでDuaneおよびOakleyのプレイを聴いていると切なくなりますね。中身自体はAllman Brothersらしい土臭さが立ち込めてくるスワンピーな仕上がりになっています。「Brers in A Minor」と並ぶ僕のお気に入り。

「Blue Sky」
Dickey Bettsがソングライティングのみならず、初めてリード・ヴォーカルにも挑戦したナンバー。なんでもBlue Skyとは、後にDickey Bettsの奥方となるカナダ人女性のことなのだとか。朗らかなムードとどことなく頼りないDickeyのボーカルが印象的なカントリー・ロックに仕上がっています。

次作『Brothers And Sisters』から生まれた全米ポップ・チャートNo.1に輝いた大ヒット曲「Ramblin Man」の登場を予感させる曲ですね。個人的には、このホンワカ路線はイマイチ好きではありませんが(笑)

「Little Martha」
DuaneとDickeyのアコースティック・ギターのみのインスト曲。実に温かみのある演奏を聴きながら、Duane Allmanという不世出のミュージシャンを偲びましょう。

そう言えば桃を最近あまり食べていない気がするなぁ。
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2007年11月04日

Angie Stone『The Art Of Love & War』

名門Staxへの移籍第1弾は、愛と戦争のアートなのだ!!☆Angie Stone『The Art Of Love & War』
The Art of Love and War
発表年:2007年
ez的ジャンル:姉御系ダイナマイト・ソウル
気分は... :愛と戦争のアートって何だぁ??

今回は大好きなAngie Stoneの4thアルバムとなる新作『The Art Of Love & War』を紹介します。

これまでAngie Stoneの作品は、3rdアルバム『Stone Love』(2004年)、2ndアルバム『Mahogany Soul』(2001年)を紹介してきたので、今回で3回目になります。

本ブログで2000年カテゴリーで3回紹介するのはAngie Stoneが最初です。その意味で2000年以降一番のお気に入り女性R&BシンガーはAngie姉さんなのかもしれません。ジャケ写真同様の存在感の大きさがいいですなぁ。

その新作『The Art Of Love & War』ですがJ Recordsを離れ、新生Staxに移籍しての新作発表です。邦題『愛と戦争のアート』はインパクトのあるタイトルですね。

さて、内容ですが前作『Stone Love』と比較すると、少し落ち着いた感じですかね。

軽快なアップ・チューン少なめ、じっくり聴かせるミッド〜スロウ・チューン多めといったところでしょうか。

『Stone Love』Snoop DoggMissy ElliottAnthony HamiltonBetty Wright、娘Diamond Stone等のゲストも話題豊富でしたが、今回目立ったゲストは連続参加のBetty WrightJames Ingramくらいです。

といったところで、一見地味なカンジなのですが、その分姉さんの歌で真っ向勝負といった作りになっています。まぁ、このあたりがStaxらしいかもしれませんね。

プロデュースは前作に続き、強固なパートナーシップのJonathan Richmondをはじめ、Co-T & 5 Star、The Designated Hitters、Dris & MJ McClain 等が担当しています。

個人的には『Stone Love』の方が好みですが、それでも最近発表された大物女性R&Bシンガーの新作の中ではかなり好きですね。

ちなみに、本作はCDショップで数曲聴き即買いしましたが、Chaka Khan『Funk This』Jill Scott『Real Thing: Words & Sounds 3』あたりはCDショップで何度か試聴したものの、未だ購入に至っていません。2枚とも悪くないし、いずれはコレクションに加えると思うのですが、何かが足りない気がしてCDに手が伸びないといったところでしょうか。2枚共に絶賛のレビューが多いので怒られそうですが(笑)

その意味で、そんな迷いを全く感じさせない姉さんはさすがという気がします。

それにしても姉さんのスベスベ肌は、いつ見ても惚れ惚れしますね!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Take Everything In」
オープニングは美しいピアノの響きと憂いを帯びた姉さんのヴォーカルがいい感じのソウル・チューン。こういった姉さんの余裕たっぷりの歌いっぷりはいいですね。

「Baby」
先行シングルはマイアミソウルの女王Betty Wrightをフィーチャー。Betty Wrightとは前作『Stone Love』でも「That Kind of Love」で共演していましたね。確かに相性バッチリな共演だと思いマス。Curtis Mayfield「Give Me Your Love」をサンプリングした、なかなかキャッチーなミッド・グルーヴに仕上がっています。Co-T & 5 Starプロデュース。

「Here We Go Again」
Jonathan Richmondプロデュースの正統派スロウ。姉さんにこの手のスロウを歌わせれば、間違いないでしょうね。姉さんのスベスベ肌のような滑らかなボーカルをたっぷりに堪能できます。

「Sometimes」
この曲は姉さんらしいダイナミックなソウル・チューンに仕上がっているのでは?Jonathan Richmondプロデュース。

「Go Back To Your Life」
なんと姉さん一人で全てのボーカルを担当しているアカペラです。なかなかいい感じ!

「Half A Chance」
新人Chinoをフィーチャー。Chinoについては詳しく知りませんが、姉さんのツアーのバック・コーラスも務める男性シンガーソングライターなのだとか。なかなか味のあるヴォーカルを聴かせてくれます。

「My People」
James Ingramとのデュエットの本曲も注目ですね。ジャズ・ジャイアントDuke Ellington「My People」をサンプリングしたEllingtonの声からスタートするカッチョ良いグルーヴ感がグッドなアップ・チューン(Dris & MJ McClainプロデュース)。黒人の政治家、スポーツ選手、映画監督、俳優、ミュージシャンなどの名が続々と登場するのも面白いですね。あなたは何人わかりますか?

「Sit Down」
しっとり落ち着いたミッド・チューン。歌詞にMarvin Gayeの名が出てきたりするのも興味深いところですね。ちなみに本アルバムがレコーディングされたのは、かつてMarvin Gayeが所有していたHollywoodのMarvin's Roomです。Elijah“Vato”Harris プロデュース。

「Play Wit It」
姉さん自身がプロデュースしたファンキーなアップ・チューン。個人的にはこうした軽快なノリの曲がもう少し多めに欲しかったかなぁ!というところですね。やっぱり、ノリのいい姉さんが好きだなぁ。Patrice Rushen「Hang It Up」ネタ。

「Pop Pop」
まさにポップに弾けたイントロが印象的な1曲。でも仕上がりは意外と妖しげなムードのミッド・グルーヴに仕上がっています。

「Wait For Me」
ソングライティングに僕のお気に入りGordon Chambersが参加しています。Gordon Chambersと言えば、姉さんのソロ・デビュー・ヒット「No More Rain (In This Cloud)」の作者の一人ですよね。今回も美メロのロマンティックなラブソングを提供してくれています。なんかラブラブな姉さんがいい感じです。名曲の予感がしますな。Gordon ChambersはChinoと共にバック・コーラスでも参加しています。Jonathan Richmondプロデュース。

「Happy Being Me」
Pauletta Washington(俳優Denzel Washingtonの奥方)をフィーチャーした爽快なメロウネスがいい感じのアコースティック・ソウル。ハーモニカの響きと姉さんのヴォーカルの馴染み具合いがいい感じです。かなり好きですね!The Designated Hittersプロデュース。

本作を引っさげて、もうすぐBlue Note Tokyoで来日公演ですね。
チケットも完売状態みたいですな。う〜ん、行きたかった!
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2007年11月03日

Todd Rundgren『The Ever Popular Tortured Artist Effect』

B級感漂う黄金のモダン・ポップを堪能あれ!☆Todd Rundgren『The Ever Popular Tortured Artist Effect』
トッドのモダン・ポップ黄金狂時代(紙ジャケット仕様)
発表年:1983年
ez的ジャンル:ワンマン・レコーディング系偏屈ポップ
気分は... :なんで、あの時あんなことをしたのだろう??

ここ数日、日本シリーズでの采配をめぐり、中日の落合監督への批判記事が目立ちますね。

僕は中日ファンでもないし、日本のプロ野球にも落合監督にも興味がありませんが(むしろ嫌いなタイプです)、批判記事を読むたびに落合監督に同情してしまいます。

まぁ、山井投手が自ら交代を申し出たのであれば議論の余地はないし、仮に監督自身が交代を決断したのだとしても、1対0の場面で53年ぶりの日本一、地元ファンの前で胴上げを見せることができる唯一の機会(次戦は北海道)、最小得点差(走者ナシでも本塁打で同点)等のさまざまな条件を考慮すれば、当然の采配だったと思います。

あるスポーツ新聞にデーブ・スペクターの「シラけてしまったね。野球全体でいうと絶望的です。落合監督の評価も下がったと思う。」というコメントが出ていました。“絶望的なのはオメエのコメントじゃ、このどアホ!”と一人で思わず記事に突っ込んでしまいました(笑)

結果論で批判する“後出しジャンケン”的なコメントは本当に気分が悪くなりますな。

さて、Todd Rundgrenの約一年ぶりの登場です。

3回目の紹介となる今回は80年代以降のTodd作品で一番好きなアルバム『The Ever Popular Tortured Artist Effect』(1983年)です。

邦題『トッドのモダン・ポップ黄金時代』と名付けられた本作は、ジャケからして60年代ロックへの傾倒ぶりがうかがえるToddらしいものですね。

個人的にはToddの最高傑作は、『Run.The Ballad Of Todd Rundgren』(1971年)、『Something/Anything』(1972年)、『Hermit Of Mink Hollow』(1977年)の3枚のいずれかだと思っています。

その意味で本作『The Ever Popular Tortured Artist Effect』は名盤の類ではなく、思い切りB級感が漂うアルバムです。でも、このB級感もToddの大きな魅力だと思います。このアルバムが大好き!というToddファンは案外多いのではと思います。

同じ偏屈ポップでも70年代のToddとは、また異なる味わいがあるのがいいですね。全体としてはUKのニューウェイヴやエレポップの影響が強いのかなぁという気がします。ワンマン・レコーディングのスタイルがそれらと実にマッチして、極上のB級感を生み出している気がしますね。

全曲紹介しときヤス。

「Hideaway」
本作の目玉はこのポップなアップ・チューンでしょうね。まさに黄金のモダン・ポップという気がします。個人的には80年代以降のToddの全楽曲の中で一番好きですね。リアルタイムで聴いたのは高校生の頃でしたが、FMラジオのエア・チェックで録音した本曲のカセットを磨り減るほど聴き返していた記憶があります。ポップ好きのかゆいところに手が届いてくれた感じです!Todd好きならばマストな1曲ですな。

「Influenza」
エレポップ感覚のこの曲も大好き!いかにもワンマン・レコーディングっぽい感じが逆にいいですね。Toddらしいどこかもの寂しいポップさが満喫できます。

「Don't Hurt Yourself」
前作『Healing』(1981年)収録の名曲「Compassion」と同タイプの哀愁バラッド。「Compassion」大好きの僕はもちろん大のお気に入りです。この独特の切ないカンジが胸にグッとくるんですよね。「Compassion」や本曲を聴くと、今でも胸が苦しくなってきます。何でだろう?昔の恋愛の悲しい思い出あたりが呼び起されてくるのかも(笑)

「There Goes Your Baybay」
『Something/Anything』あたりを彷彿させる小粋なポップ・チューン。こうして聴いてみると、ほんのりボッサなテイストもあっていいですね。

ここまでの1〜4曲目(LP時代はここまでがA面)の流れは、Toddワールド全開なカンジで完璧ですね。

「Tin Soldier」
本アルバム唯一のカヴァーはSmall Facesのカヴァーです。ソリッドながらもToddらしいポップな味付けがなされた仕上がりです。Small Facesのこの曲がヒットしていた頃(67年末から68年頭にかけてのヒット。最高位全英チャート第9位)、Toddは本ブログでも紹介したNazzを結成して間もない時期でした。そんなことを意識してNazzを聴いてみると面白いのでは?

「Emperor of the Highway」
Toddお得意のわけのわからないオペラ風ナンバー。正直、余計な曲に思えるのですが、逆にこの手の曲が1曲は入っていないと、Toddのアルバムらしく思えないのも確か(笑)

「Bang the Drum All Day」
シングルにもなったノリのいいアップ・チューン。なんとスカに挑戦しています。アルバム自体ニューウェイヴ的な匂いも感じる作品ですが、本作などはその代表格ですね。

「Drive」
アコースティックな味わいがイイ感じのロック・チューン。パワー・ポップ好きの人向けの曲ですね。

「Chant」
チープなエレポップ感覚がたまらない1曲。ビミョーに外しているところが好きですね。

やはりToddは僕にとって特別なアーティストなんでしょうね。
Toddを聴いていると、今から20年以上前のどうでもいいことが急に思い出されてきます。

なんで、あの時俺はあんなことをしたのだろう?
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2007年11月02日

The Chi-Lites『A Lonely Man』

スウィート・ソウルの名曲「Oh Girl」収録☆The Chi-Lites『A Lonely Man』
A Lonely Man
発表年:1972年
ez的ジャンル:シカゴ系スウィート・ソウル
気分は... :甘いもの大好き!

今回はシカゴ・ソウルを代表するグループChi-Litesの紹介です。

グループは1959年に2つのヴォーカル・グループが合体してHi-Litesとして活動を始め、1964年にレコード会社を移籍する際に、シカゴの灯を意味するChi-Litesというグループ名に変更しました。

1968年のBrunswickレコードとの契約を転機に、グループは成功を収めるようになります。1969年の「Give It Away」のヒットを皮切りに、「Have You Seen Her」(全米R&Bチャート第1位、全米ポップチャート第3位)、「Oh Girl」(全米R&Bチャート第1位、全米ポップチャート第1位)をはじめとするヒット曲を次々と発表しました。若いリスナーの方にはBeyonce「Crazy In Love」のサンプリング・ネタ「Are You My Woman (Tell Me So)」(全米R&Bチャート第8位)あたりも有名ですね。

順調な活動を続けたグループですが、脱税問題のゴタゴタなどが重なり、中心メンバーのEugene Recordが1976年にグループを脱退すると、グループも下降線を辿りました。なお、Eugene Recordは2005年に死去しています。

今回は「Have You Seen Her」「Oh Girl」という2大名曲のうち、「Oh Girl」を収録したアルバム『A Lonely Man』(1972年)を紹介します。R&Bアルバム・チャート第1位、ポップ・アルバム・チャート第5位となり、チャート・アクション的には最も成功したアルバムといえます。

僕の場合、Chi-Litesの2大名曲「Have You Seen Her」「Oh Girl」を知ったのは、いずれもカヴァーでした。「Oh Girl」は実力派ソウル・シンガーGlenn Jonesのカヴァー(1987年のアルバム『Glenn Jones』収録)、そして「Have You Seen Her」は一世を風靡した(?)M.C. Hammerのカヴァー(1990年のアルバム『Please Hammer Don't Hurt 'Em』収録)で知りました。

これらの大ヒット曲に代表されるように、Chi-Litesといえば大甘のスウィート・ソウルというイメージですよね。僕もそんなイメージだし、そういった曲をこのグループには欲しています。ただし、それはグループの1つの側面であり、軽快なアップ・チューンもChi-Litesの魅力であると気付かせてくれたのがBeyonce「Crazy In Love」だったかもしれませんね。

Beyonceのエントリーでも書きましたが、一時期Chi-Litesを知らない「Crazy In Love」大好きの若い子たちに「Are You My Woman」を聴かせて、“マジっ!”、“大ウケ!”みたいな反応を楽しんでいる時期がありました(笑)

その意味では、案外いろんな楽しみ方ができるグループかもしれませんね。

とにかく聴き終わると、ロマンティック&幸せモードになるアルバムだと思います。

全曲紹介しときヤス。

「Oh Girl」
前述のグループ最大のヒット曲。甘茶ソウル好きには文句なしの王道スロウですね。僕の場合、Glenn Jonesのカヴァーを先に聴いてしまったので、その印象がどうしても強いのですが、やはりこのオリジナルは味がありますね(Glenn Jonesのカヴァーも好きですが)。ハーモニカの懐かしい響きとスウィートなコーラスのバランスがサイコーですね。

「Living in the Footsteps of Another Man」
名アレンジャーTom Tom Washington(Tom Tom 84)のアレンジが冴えまくっている軽快かつドリーミーなミッド・チューン。人によっては「Oh Girl」以上にハマるのでは?と思わせる完璧な出来栄えですね。僕も今の気分ならばアルバムで一番好きかも?Pasadenasがカヴァーしています。

「Love Is」
この曲も甘茶好きにはたまらない極上スロウ。魅惑のファルセットを聴いているうちに、トロトロに溶けてしまいそうです(笑)

「Being in Love」
爽快なこの曲も込み上げ感一杯のアレンジが魅力のミドル・チューン。なんか聴いているだけでハッピー・モードになってきますね。

「A Lonely Man」
タイトル曲も極上スロウ。ライナーノーツに“「Have You Seen Her」の二匹目の●●狙い”みたいなことが書いてありましたが、僕的にはそれで全然OKというカンジですね。

「Man and the Woman (Boy and the Girl) 」
これはTemptations「My Girl」を70年代風に味付けしたような楽曲ですね。歪んだギターの音色が異質で逆に面白いです。

「Ain't Too Much of Nothin'」
アルバムで一番地味な存在な曲かな?粒揃いの楽曲のなかで分が悪いだけで、全然イケてるスロウです。

「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)」
Marvin Gayeの大名曲カヴァー(アルバム『What's Going On』収録)。オリジナルが好きな人は気に入ると思います。でも、全体的にハッピー・ムードが漂うなかで、シリアス・ムードのこの曲はかなり異質な印象を受けますね。

「The Coldest Days Of My Life」
イントロで波音が聞こえてくるロマンティック・ムード満点の美しすぎるスロウ。ストリングス・アレンジとエコーのかかったヴォーカルが独特の雰囲気を醸し出してくれます。日本盤CDにはボーナス・トラックとしてR&Bチャート第8位となったシングル・ヴァージョンも収録されています。

今回久々に1枚通して聴いてみて、「Oh Girl」だけではない捨て曲ナシの充実アルバムだということを再認識しました。オリジナル・アルバムは本作のみで、あとはベスト盤で済ませていたのですが、他のオリジナル・アルバムにもトライしてみたくなりました。
posted by ez at 10:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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