2007年12月25日

The Isley Brothers『Givin' It Back』

全曲カヴァーですが中身は100%Isleys☆The Isley Brothers『Givin' It Back』
Givin' It Back
発表年:1971年
ez的ジャンル:フォーキー&ニューソウルIsleys
気分は... :現在進行形でいこう!

ここ1週間ほどのアクセス・ログを解析したら、検索ワード“Roger Nichols & The Small Circle Of Friends”で当ブログへ訪問される方が非常に多いという結果が得られました。

以前に書いた1stアルバム『Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』(1968年)のエントリーがGoogleで上位表示されているためでしょう。その検索ワードで訪問された方の多くは、最近発売された約40年ぶりの新作『Full Circle』に関する記事を期待されていることと思います。

しかし、そんな期待を裏切るようで大変申し訳ありませんが、僕が『Full Circle』を購入することはまず無いでしょう。

これから書くことは、『Full Circle』を既に愛聴されている方にとっては気に障る内容かもしれません。ゴメンナサイ!先に謝っておきますね。ただし、あくまで僕自身の作品に対する思い入れの問題であり、作品のクオリティや愛聴されている方を云々言う意図は全くありませんので、どうぞご勘弁願います。

僕は『Full Circle』を未聴ですが、それなりに良質な内容に仕上がっているのだろうと推察しています。

それでも僕が『Full Circle』へ食指が動かないのは、2007年にRoger Nichols & The Small Circle Of Friendsが新作をリリースする意義を感じないからです。

僕もブログで大絶賛した彼らの1stは、時代を越えた普遍的な魅力に溢れており、今聴いても鮮度十分だと思います。でも、それはあくまで1968年という時代に創られた音楽であるという前提での話です。僕にとって大切なのは1968年という時間軸と作品の内容がリンクしており、しかもそこから未来方向へベクトルを放っているという点です。
*追記
この部分の書き方がわかりづらいので、補足しておきます。僕が書きたかったのは、本作が数多くのソフト・ロック作品が輩出された1960年代後半の作品であり、それを何十年後に何の予備知識もない若いリスナーが聴いても新鮮に聴こえるという点です。

簡単に表現すると、1stは1968年時点の現在進行形であったと同時に未来にも目を向けていた作品、今回の新作は2007年という時代とは全く無関係に過去へ逆戻りした作品といった印象を受けます。従って、新作を1stの延長線上で聴きたいという思いにならないのが僕の心境です。

2007年に新作アルバムを購入するならば、2007年らしい現在進行形、未来形の作品を購入したいというのが僕の新作購入スタンスです。

まぁ僕の場合、『Full Circle』に限らずEaglesの新作、Led Zeppelinの再結成ライブといった「●●年ぶりの▲▲」といったニュースに対しては、大抵ネガティブな見方から入ってしまうのですが...性悪なのかなぁ(笑)

さて、今回は「●●年ぶりの▲▲」といったニュースとは無縁に1950年代から今日までコンスタントに活躍し続ける、“生涯現在進行形”のモンスターR&BグループThe Isley Brothersの6回目の登場です。

『Between The Sheets』(1983年)、『The Heat Is On』(1975年)、『Baby Makin' Music』(2006年)、『The Isleys Live』(1973年)、『Winner Takes All』(1979年)に続いて紹介する作品は『Givin' It Back』(1971年)です。

1969年の『It's Our Thing』の頃からIsleysは独自のファンク・サウンドを追求しはじめ、バック・バンドにErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの3名が参加します。

O'Kelly Isley、Rudolph Isley、Roland Isleyのボーカル隊にこれら楽器隊3名が加わった「3+3」体制の6人組Isleysが正式にスタートするのは1973年のアルバム『3+3』からですが、その基盤を確立したアルバムが今回紹介する『Givin' It Back』(1971年)と次作『Brother, Brother, Brother』(1972年)の2枚です。

特に本作『Givin' It Back』は全曲カヴァーという異色作です。
全曲カヴァーのアルバムと聴くと、それだけで興味を失う方もいるかもしれませんが、本作におけるカヴァー作品はかなり興味深いセレクトだと思います。

カヴァーしているのはBob Dylan、Neil Young、James TaylorStephen Stillsといったフォーク/シンガーソングライターの作品に、WarBill Withersといったニューソウル、そしてロックの革命児Jimi Hendrixといったアーティスト達です。

このカヴァー・アーティスト名が本作の特徴を如実に表していると思います。
つまり、フォーキーで、ニューソウルで、ロック感覚を導入したIsleysサウンドを聴くことができます。

先に書いた表現を用いれば、1971年という時代の現在進行形をカヴァー曲によって見事に表現したアルバムだと思います。

全7曲のうち、「Ohio/Machine Gun」「Lay Lady Lay」「Love the One You're With」は以前に紹介した『The Isleys Live』(1973年)にも収録されています。

全曲紹介しときやす。

「Ohio/Machine Gun」
Neil Young(CSN&Y)のカヴァー「Ohio」とJimi Hendrixのカヴァー「Machine Gun」のメドレーです。共にベトナム戦争絡みの曲であり、こうしたメドレーをオープニングに持ってくるあたりに1971年という時代性を感じますね。

「Fire and Rain」
James Taylorの名曲(アルバム『Sweet Baby James』収録 )カヴァー。オリジナルよりも重々しいムードが漂っています。

「Lay Lady Lay」
Bob Dylanの名曲カヴァー。アルバムからの3rdシングルとしてR&Bチャート第29位のヒットとなりました。

個人的にDylan作品の中でも特に大好きな曲の1つであり、Dylan自身のライブ・バージョン(アルバム『Hard Rain』収録)も本ブログで紹介しました。

本家Dylanヴァージョンも大好きなのですが、それ以上にコンガのリズムが心地良いIsleysバージョンの方はさらにお気に入りです。僕は今でも本アルバムを聴くときには、まずこの曲を最初に数回リピートで聴いてから他の曲へと流れます。

「Spill the Wine」
Eric Burdon & Warによる1970年のヒット曲のカヴァーは、「Lay Lady Lay」に次ぐお気に入り曲です。アルバムからの2ndシングルとしてR&Bチャート第14位のヒットとなりました。Isleysには珍しいラテン・グルーヴに仕上がっています。個人的には、こういったタイプの演奏はもっとアリだと思っています。

「Nothing to Do but Today」
Stephen Stillsのカヴァー。この曲はオリジナルに近い雰囲気のリズミックな演奏ですね。Rolandのヴォーカルがあるので全体的にはIsleysらしくなっています(笑)

「Cold Bologna」
Bill Withers作品のカヴァー。Bill Withers自身もギターで参加しています。ジャケ写真のイメージがピッタリのフォーキー・ソウルに仕上がっています。

「Love the One You're With」
一般には本アルバムのハイライトはこの曲だと思います。アルバムからの1stシングルとしてR&Bチャート第3位、ポップ・チャート第18位のヒットとなりました。

Stephen Stillsのカヴァー(オリジナルはアルバム『Stephen Stills』収録)です。Aretha Franklin、The Meters、Luther Vandrossなど数多くのアーティストがカヴァーしている名曲ですね。

「Nothing to Do but Today」もそうですが、フォーキーなグルーヴ感が魅力のStephen Stills作品とIsleysの相性の良さを感じますよね。

本作を気に入った方は、続編と言うべき次作『Brother, Brother, Brother』(1972年)もセットでどうぞ!
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2007年12月24日

CeCe Winans『Alabaster Box』

イヴの夜は神聖な気持ちでゴスペルに耳を傾ける...☆CeCe Winans『Alabaster Box』
Alabaster Box
発表年:1999年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・ゴスペル
気分は... :メリー・クリスマス!

昨日も触れたサッカーのクラシコ「バルセロナ対レアル・マドリード」の話題から書きたいと思います。

戦前の予想に反して、ロナウジーニョ、デコはしっかり先発でした。前半は、レアルのペースでしたね。僕の嫌な予感が的中し、バティスタのゴールで先制されてしまいました。バルサはボールは保持するもののイマイチ有効な崩しになっていなかった気がします。特に、ロナウジーニョ、イニエスタが殆ど機能していなかったですね。

後半に入り、ドス・サントス、ボージャンと攻撃陣を投入しますが状況は変わらず、大した見せ場もないままカンプノウで完敗というバルサにとって屈辱的な結果に終わってしまいました。残念!

レアルのカウンター中心の試合運びにバルサがまんまと引っ掛かったという感じでしたね。カンナバーロ、ぺぺのDF陣が完璧でした。特にカンナバーロの凄さを改めて感じた一戦でしたね。

バルサ・ファンとしては消化不良のまま試合が終わってしまった感じですねぇ。

こんなイヴの日にはやっぱりゴスペルを聴いてホーリーな気持ちになりましょう(笑)

ということで、CeCe Winans『Alabaster Box』(1999年)をセレクト。

CeCe Winans(本名Priscilla Winans )は、父Pop、母Momを両親に持つ有名なゴスペル・ファミリーWinans一家の長女(でも10人兄弟の8番目)として1964年デトロイトで生まれました。

Winans一家と言えば、次男Ronald、三男Carvin、四男Marvin、五男Michaelの四人が結成したThe Winansをはじめ一家の多くがゴスペル界で活躍していますね。

また、R&Bファンには2004年の大ヒット・シングル「I Don't Wanna Know」(P. Diddyをフィーチャー)を放ったMario Winansがお馴染みかもしれませんね。Marioは四男Marvin Winansの元妻Vickieの息子さんです。

そんな中で、CeCeは七男BeBeと組んだ兄妹デュオBeBe & CeCe Winansとして1987年デビューし、兄弟の中で最も商業的な成功を収めました。その後1995年からソロに転じ、今日までコンスタントな活動を続けています。

今回紹介する『Alabaster Box』(1999年)は、『Alone In His Presence』(1995年)、『Everlasting Love』(1998年)に続くソロ第3作となるアルバムです。また、本作はCeCe自身が立ち上げたレーベルWellSpring Gospel(その後PureSprings Gospel)の第1弾アルバムでもあります。

コンテンポラリー・ゴスペル作品ですが、全体としては神聖なムードが歌詞のみならず、サウンドにも反映された非常にホーリーなアルバムです。

CeCe自身に加え、Fred Hammond、Christopher Harris、Cedric Caldwell/Victor Caldwell等がプロデュースを務めています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「King of Kings (He's a Wonder)」
シングル曲にもなったポップな仕上がりの1曲。コーラス隊と一緒にみんなで大合唱すると盛り上がる雰囲気のコンテンポラリー・ゴスペルらしい1曲です。

「It Wasn't Easy」
この曲もシングルになりました。CeCeの歌が聴き手を優しく包んでくれるイヴにぴったりな1曲です。

「Alabaster Box」
タイトル曲は、新約聖書中福音書に登場するマグダラのマリア(雪花石膏の香油壺=Alabaster Boxを手にする姿で知られていますね)について歌ったものです。

「Comforter」
僕の一番のお気に入り曲。聖なる夜に敬虔な気持ちになるにはピッタリの1曲です。さらにこの曲にはスペシャルなコーラス隊としてBrooklyn Tabernacle Choirが参加し、感動的なコーラスを聴かせてくれます。

辛かったことや、苦しかったことがあったとしても、きっとあなたには慰めてくれる人がいる...そんな希望が湧いてきます!

Brooklyn Tabernacle Choirも大好きなゴスペル・コーラス・グループです。実は今日紹介するアルバムも本作かBrooklyn Tabernacle Choir『High & Lifted Up』(1999年)のどちらにするか最後まで迷っていました。『High & Lifted Up』は改めて紹介しますね。

「Love of My Heart」
アルバム中最も軽快でリズミックなミッド・グルーヴです。この曲ならば、あまりゴスペルを意識せずに聴くことができます。

「Without Love」
「Comforter」と並ぶお気に入り。なかなかのメロウ・チューンに仕上がっています。
♪Love is the key(It's the greatest gift)♪
♪Love is the key(If forgive all things)♪
やっぱり愛がなくっちゃね!

「He's Not on His Knees Yet」
荘厳なゴスペルらしい1曲です。ただただ素晴らしいCeCeのヴォーカルと美しいストリングスに聴き入ってしまいます。

「One and the Same」
ア・カペラ・グループのTake 6がゲスト参加しています。シングルにもなりました。Take 6の清らかで美しいコーラスをバックに、CeCeが高らかに神への感謝を歌い上げます。

「Higher Place of Praise」
アコースティックな仕上がりが心地良いR&Bテイストの楽曲です。アコースティック・ソウルが好きな人は気に入ると思います。

「Blessed, Broken & Given」
敬虔なゴスペル・ソング。神に感謝し、神に祝福されるように祈りましょう!

個人的にはWinansのメンバーの子供たちが結成したグループWinans Phase 2のアルバム『We Got Next』(1999年)もオススメ!Bee Geesの全米No.1ヒット「Too Much Heaven」のカヴァーが超お気に入りです。
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2007年12月23日

Daryl Hall & John Oates『Voices』

80年代最高のポップ・デュオの快進撃は、ここから始まった☆Daryl Hall & John Oates『Voices』
Voices
発表年:1980年
ez的ジャンル:ロックン・ソウル系モダン・ポップ
気分は... :いよいよ明日はクラシコ!

いよいよ明日はサッカー・ファン必見の伝統のクラシコ「バルセロナ対レアル・マドリード」ですね。今回はバルサのホーム、カンプノウでの一戦ですが、今からワクワクしてます。

バルサ・ファンの僕としては、先週ケガで離脱したメッシの欠場が残念でなりませんが、バルサがどのような布陣で大一番に臨むのか注目しています。

ロナウジーニョ、デコ、アンリというスーパースターはベンチ・スタートとなるみたいですね。代わって、ドス・サントス、エトー、グジョンセンというのが予想スタメンです。ドス・サントス、エトー、イニエスタと並ぶ3トップが、どの程度機能するのかは???ですが、観たことがないの組み合わせなので、それはそれで楽しみですね。

レアルの方は最近はメンバー固定しているので、いつもの布陣で臨んでくるものと予想しています。個人的にはミリート、マルケスといったバルサDF陣がFWファン・ニステルローイをいかに封じ込めるかがポイントだと思います。あとは中盤の二人、スナイデル、バティスタあたりも要注意ですね。

試合の感想などは明日のエントリーで触れたいと思います。

さて今回はHall & Oatesの3回目の登場です。

『Private Eyes』(1981年)、『Abandoned Luncheonette』(1973年)に続いて紹介するのは、『Voices』(1980年)です。

後にDaryl Hall自身が“本当のHall & Oatesの始まり”と語ったように、Hall & Oatesの歴史において大きなターニング・ポイントとなった作品が本作『Voices』です。

80年代のHall & Oatesは、本作を皮切りに『Private Eyes』(1981年)、『H2O』(1982年)、『Big Bam Boom』(1984年)といったヒット・アルバムと「Kiss on My List」「Private Eyes」「I Can't Go for That (No Can Do)」「Maneater」「Say It Isn't So」「Out of Touch」等のヒット・シングルを連発し、80年代最高のポップ・デュオとして快進撃を続けました。

そんな快進撃の幕開けを飾ったアルバムが本作『Voices』です。
初めてセルフ・プロデュースに取り組んだあたりに、二人の本作に対する自信が窺えますね。

改めて聴いてみて、結構ニュー・ウェイヴやテクノ・ポップの影響を受けたアルバムという印象を持ちました。次作『Private Eyes』が完成されたHall & Oates流モダン・ポップを楽しむ作品となっているのに対して、本作はHall & Oates流モダン・ポップ完成に向けて、あれこれ試している楽しさがありますね。

本作からは、「How Does It Feel to Be Back」「You've Lost That Lovin' Feelin'」「Kiss on My List」「You Make My Dreams」という4曲のシングル・ヒットが生まれ、アルバムも初のミリオン・セラーとなりました。

オススメ曲を紹介しときやす。

「How Does It Feel to Be Back」
キャッチーなパワー・ポップに仕上がっているオープニング・ナンバーは、アルバムからの1stシングルにもなりました。リード・ヴォーカルはJohnです。80年代の全盛期は、どうしてもDarylのヴォーカルが目立ってしまいましたが、Johnのヴォーカルも魅力的であることを実感できる1曲ですね。

「Big Kids」
なかなか凝った小粋なモダン・ポップに仕上がっていますね。彼らのセンスの良さを感じます。

「Hard to Be in Love With You」
個人的にはかなりのお気に入り曲です。聴いているとワクワクしてくるポップなロックン・ソウルに仕上がっています。

「Kiss on My List」
本作のハイライト。3rdシングルとして全米ポップ・チャートNo.1となりました。いつ聴いても完璧なモダン・ポップ・ソングですね。アルバムで一番というより、80年代の彼らのヒット曲の中で一番のお気に入りですね。80年代の快進撃の原点がここにあると思います。

「Gotta Lotta Nerve (Perfect Perfect) 」
この曲もニューウェイヴしています。Devoあたりを意識した演奏に聴こえますね。この曲までがロック・サイドです。

「You've Lost That Lovin' Feelin'」
ソウル・サイドのトップを飾るのは、The Righteous Brothersの1965年のNo.1ヒット「ふられた気持ち」のカヴァー。本ブログでは以前にIsaac Hayesのカヴァーも紹介しました。

多くのアーティストがカヴァーしている名曲ですが、その中でも名カヴァーに入るヴァージョンだと思います。JohnとDarylのヴォーカルのコントラストが最高ですね。オリジナルの雰囲気に近いJohnのヴォーカルでベースをつくり、DarylのヴォーカルでHall & Oatesならではの独自性を打ち出しているって感じかなぁ。アルバムからの2ndシングルにもなり、全米ポップ・チャート第12位となりました。

「You Make My Dreams」
アルバムからの4thシングルとして全米ポップ・チャート第5位となったヒット曲。少しニュー・ウェイヴのスパイスの効いた軽快なロックン・ソウルに仕上がっています。「Private Eyes」のPVのプロトタイプって感じのPVでしたね。

「Everytime You Go Away」
1985年に全米ポップ・チャートNo.1に輝いたPaul Youngがカヴァーでご存知の方も多いかもしれませんね。Paul Youngヴァージョンも本格的なブルー・アイド・ソウルでしたが、オリジナルはそれ以上にソウルフルで味わい深いDarylのヴォーカルを堪能できます。

「Diddy Doo Wop (I Hear the Voices) 」
アルバム・タイトルはこの曲の歌詞からとられたものです。ニュー・ウェイヴとドゥーワップが合体した面白い肌触りの1曲ですね。

本作のオリジナル・ジャケはモノクロの別写真を使ったものでしたが、1981年に今回紹介しているジャケに変更となりました(僕が所有しているCDもコレです)。2004年にリマスター盤CDが発売されましたが、そちらのジャケはオリジナル・ジャケを一部修正し、Darylの写真が差し換えになっています。
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2007年12月22日

Pat D & Lady Paradox『Kind Of Peace』

ひたすら美しい英国産のアングラ・ジャジーHip-Hop☆Pat D & Lady Paradox『Kind Of Peace』
カインド・オブ・ピース
発表年:2007年
ez的ジャンル:英国産ジャジーHip-Hop
気分は... :紅茶が似合うHip-Hop

今回は英国産のアンダーグラウンドHip-Hopを紹介します。

登場するのは、自身のレーベルA Bridge Too Far Recordingsを立ち上げたトラックメイカーPat Dと20歳の女性MCであるLady Pardoxの二人からなるユニット、Pat D & Lady Paradoxのデビュー・アルバム『Kind Of Peace』です。

Pat Dは、米国ペンシルバニア出身のMCであるMelodiqとPat D & Melodiq名義で12インチEP 「This Is The Time」もリリースしています。

二人はMySpaceを通じて意気投合し、アルバムを制作する運びとなったようですね。

中身は、アングラHip-Hopファンにはたまらない、ひたすら美しくジャジーな仕上がりです。特にピアノのループの使い方が絶品ですね。二人は好きなジャズ・ピアニストとして、Ahmad Jamal、Herbie Hancockといった名を挙げています。

僕の中では英国産のアンダーグラウンドHip-Hopと聞いてもあまりピンと来なかったのですが、US産のアンダーグラウンドHip-Hopとはひと味違った感触がありますね。紅茶が似合うHip-Hopって感じでしょうか。

この美しさは、特に日本人好みかもしれませんね。
読書しながらBGMで聴けるような、落ち着きがたまりません。

Hip-Hopを普段あまり聴かない方でも、すんなり聴ける作品だと思います。

ダージリン・ティーでも飲みながら、大人のHip-Hopを聴くなんていうのも優雅な時間の過ごし方なのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Perspectives」
僕の一番のお気に入り曲。吸い込まれそうなくらい美しいピアノのループに秒殺されてしまいます。塞ぎ込んだ友人のために書いたというLady Pardoxのライムにも励まされます。♪アールグレイを飲みながら〜♪なんて一節は英国らしいですね。まさに紅茶が似合うHip-Hopです。

「Step Off」
おそらくアルバムで一番人気はこの曲なのでは?Ramsey Lewisネタのピアノ・ループが至極のジャジー気分へと誘ってくれます。この曲も“勇気を持って、一歩前へ踏み出せ”といった感じの励まし系の1曲です。レスター出身の女性シンガーLauren Jadeがゲスト参加。

きっと「Perspectives」と「Step Off」の2連発で昇天してしまう人も多いのでは?僕もそんな一人です。

「Dreams」
♪ナイキのデザインなどない、あるのは私の詩だけ〜♪というLady Pardoxの詩にインテリジェンスを感じる1曲です。

「Tick Of Time」
ピアノに加えて、ハーモニカの音色が気持ちいいですね。ゲストMCとしてSam Sureが参加。途中で♪sick of life passin' me by like bizarre ride♪なんて一節が出てきます。Hip-Hop好きの方ならお気づきですよね。 本ブログでも紹介したPharcydeのHip-Hopクラシック「Passin' Me By」と同曲収録のアルバム『Bizarre Ride II』のタイトルを引用したものです。

「Train Stations And Playstations」
今度はジャズ・ギターのループにうっとりのメロウ・チューン。Lady Pardoxの元カレのことを歌ったもの。

「Hip-Hop Quotables」
「Perspectives」と「Step Off」という2トップに続いて好きな曲。Vibeのループに思わずニンマリです。新進MCのLoganがゲスト参加。

「Escapism」
英国らしい曇ったテイストがいい感じですね。ライムの内容はかなりシリアスで際どいですね。ロンドン出身のシンガーSeloneとMCのKarizmaが参加。このKarizmaって、ハウス/Nu Jazzシーンで知られるDJと同じ名前ですけど別人ですよね?

「Train Of Thought」
これはUSのアングラ・ジャジーHip-Hopのテイストに近いですよね。ある意味、この曲がアルバムのテーマ・チューンであり、アルバム・タイトル『Kind Of Peace』の根本的な意味が歌われています。この曲にもLauren Jadeがゲスト参加。

「Summertime」
タイトル通りサマータイムな仕上がりです(季節外れですが...)。オリジナルに加えて、SpecificsのThink Twiceによるリミックスが収録されています。これがなかなかの逸品です!ジャジーHip-Hop好きには嬉しいボーナス・トラックですね。

美しいジャケ写真の風景は、Pat Dの住んでいる英国東部のハルの街なのだとか。こんな環境で過ごしているからこそ、こんな美しいアルバムをクリエイトできるのでしょうね。
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2007年12月21日

Elton John『A Single Man』

僕が唯一持っているEltonのオリジナル・アルバム☆Elton John『A Single Man』
A Single Man
発表年:1978年
ez的ジャンル:国民的UKポップ・ミュージック
気分は... :ワン・ハート...

英国を代表する国民的スーパースターElton Johnの登場です。

1970年の「Your Song」のヒット以来今日まで第一線で活躍し続けるElton Johnですが、振り返るとあまりElton作品ときちんと向き合わずに今日まで来てしまった気がします。特に、90年代以降のEltonはキャラ自体がどん引きなので(笑)

僕の場合、70年代前半〜半ばの全盛期のヒット曲を網羅した『Elton John's Greatest Hits』『Elton John's Greatest Hits Volume II』という2枚のベスト盤で、殆どEltonに対するニーズが充たされてしまいます。なので、全盛期のオリジナル・アルバムにはあまり食指が動きません。

最初に聴いたElton Johnのレコードがこの2枚だったのが悪かったのかもしれませんね。その2枚を録音したカセット・テープを相当聴き込み、大ヒット・シングル・オンパレードの印象が強い状態でオリジナル・アルバムを聴いたため、それらのアルバムの印象が薄れてしまったのかもしれません。今きちんと聴けば、また違った印象を受けるのかもしれませんが...

このため、現在僕が所有しているEltonのCDは前述2枚のベスト盤とオリジナル・アルバム1枚の僅か3枚のみです。ということで、今回は唯一所有するオリジナル・アルバム『A Single Man』(1979年)です。

Elton Johnの長いキャリアの中で、あまり語られることが少ない地味なアルバムかもしれませんね。語られたとしても、70年代半ばまでの圧倒的な人気ぶりから下降線を辿っていた時期のアルバムといった評価が多いのように思います。

僕がこのアルバムを購入した理由はただ1つ、シングルになった「Part-Time Love」をゲットしたかったからです。この曲は僕がリアルタイムで聴いた最初のElton Johnのシングルであると同時に、僕が最も好きなElton Johnの楽曲です。

FMラジオで「Part-Time Love」をエア・チェックしたカセットを何度も繰り返し聴いた記憶があります。イントロのピアノを聴いただけで、胸トキメク思いでしたよね。その感動は今聴いても変わりません。

『A Single Man』は前作『Blue Moves』(1976年)から2年のブランクを空けてリリースされたアルバムです。

1972年から1976年までの4年間で8枚のアルバムをリリースするという驚きのハイペースで突っ走ってきたEltonにとって、2年というのはかなり長いインターバルだったと思います。

でも、その分それまでのプレッシャーから開放されたようで、ステージ衣装モードではなく普段着モードのElton作品といった趣です。僕がこの作品に惹かれるのも、そのあたりのさり気なさにあるのかもしれません。

また、長年のパートナーであるBernie Taupinに代わり、Gary Osborneが全曲作詞を手掛けているのも本作における大きな変化と言えますね。

個人的にはパーカッション等で参加のRay Cooperの存在が気になります。
基本的に彼の演奏が目立っている曲ほど、僕のお気に入り度合いが高くなります(笑)

オススメ曲を紹介しときやす。

「Shine on Through」
Eltonらしいピアノマン・モードの1曲。「Your Song」に代表される日本人が好きなシンガーソングライター・スタイルのElton Johnを堪能できます。

「Return to Paradise」
スパニッシュとカリビアンが融合した雰囲気のトロピカルな仕上がり。スパニッシュなギターとRay Cooperのマリンバの音色に惹かれます。

「I Don't Care」
60年代R&Bモードな仕上がり。黒人女性コーラス隊と共にノリノリなEltonの姿を創造してしまいます。

「Big Dipper」
ニューオリンズ風の演奏が雰囲気があっていいですね。肩の力が抜けて、純粋に音楽を楽しんでいる雰囲気がいいですね。“スーパースター”ではない“単なる音楽好き”のElton Johnに出会えます。

「It Ain't Gonna Be Easy」
ソウル・シンガーがカヴァーしてもハマりそうなテイストを持った1曲ですね。Ray CooperのVibeがいいアクセントになっています。

「Part-Time Love」
前述の僕がEltonの全作品の中で一番好きな曲。シングルとして全米ポップチャートの22位となりました。ポップなメロディもさることながら、Ray Cooperのコンガによるパーカッシヴなリズムが、昔から僕を虜にしているのだと思います。案外、フリーソウル系が好きな人は気に入る1曲なのでは?

「Georgia」
まさにジョージアなイナたい雰囲気の味わい深い1曲です。Ray Charles「Georgia on my Mind」あたりと一緒に聴くといいかも?

「Shooting Star」
アーバン・ナイトにぴったりなロマンティックな1曲。でも、どことなくブルーな雰囲気が漂っているのが英国ポップらしくて好きですね。

「Madness」
タイトル通りマッドネス・モードのご機嫌なアップ・チューン。この曲もRay Cooperのコンガが目立っているリズミックな展開がいいですね。

「Song for Guy」
ラストはシングルにもなったただただ美しいインスト曲。17歳で事故死したRocket Recordsのメッセンジャーボーイに捧げられたものです。

こうやって聴き返すと、案外R&B/Soulテイストな味わいが魅力のアルバムかもしれません。
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