2007年12月09日

Smokey Robinson『One Heartbeat』

今日はどうしても「Just to See Her」が聴きたい気分☆Smokey Robinson『One Heartbeat』
One Heartbeat
発表年:1987年
ez的ジャンル:ソウル・レジェンド
気分は... :必ずまた会えるさ!

今回は本ブログ初登場のソウル・レジェンドSmokey Robinsonの紹介です。

Smokey Robinsonは1940年デトロイト生まれ。1955年にMiraclesを結成し、1957年にはMotownの創始者Berry Gordy, Jr.と運命の出会いをします。そして、1959年にGordyが立ち上げたTamla/Motownの第1号アーティストとしてMiraclesが契約を結ぶことになりました。

そして1960年に発表した「Shop Around」がポップ・チャート第2位、R&Bチャート第1位の大ヒットとなったのを皮切りにMiraclesの快進撃が始まり、その後も「You've Really Got A Hold On Me」「Mickey's Monkey」「Ooo Baby Baby」「The Tracks Of My Tears」「Going To A Go-Go」「(Come 'Round Here)I'm The One You Need」等のヒットを連発することになります。尚、途中でグループ名がMiraclesからSmokey Robinson & The Miraclesとなり、よりフロントマンとしてのSmokeyをフィーチャーするかたちになりました。

また、Mary Wells「My Guy」Temptations「My Girl」Marvin Gaye「Ain't That Pecullar」Marvelettes「Don't Mess With Bill」等数々の大ヒット曲のソングライティングを手掛け、ソングライターとしてもMotownへ多大な貢献を果たしました。さらには1988年までMotownの副社長も務め、まさにMotownを屋台骨を支えた最大の功労者と言える存在がSmokey Robinsonだと思います。

Smokey自身は、1970年の「The Tears Of Crown」のヒットを置き土産にMiraclesを脱退し、ソロ活動を開始しています。そして、70年代、80年代も多少不振な時期もありましたがコンスタントにヒットを飛ばし続けました。

今回紹介するのは1980年代最後のアルバムとなった『One Heartbeat』(1987年)です。

コアなソウル・ファンの方からは、“Smokeyの紹介するのにそれはないでしょ!”と怒られる作品かもしれませんね(笑)

確かにSmokeyのキャリアを考えれば、最初に紹介するのはMiracles作品かもしれませんし、ソロ作品にしても80年代初めの作品あたりの方がSmokeyらしいのかもしれません。

それでも今日の僕の気分は『One Heartbeat』(1987年)なんですよね。
というよりも、本作からの大ヒット「Just to See Her」が聴きたくて仕方がないというのが正確ですね。

僕がリアルタイムでSmokeyのヒット曲を聴き始めたのは、80年代からだと記憶しています。多分、「Being With You」あたりが最初かもしれませんね。「Tell Me Tomorrow」なんかもかなり好きでしたね。今でもたまに鼻歌で歌っているいます!

そんな中、Smokeyのヒット曲で一番胸キュンになるのが「Just to See Her」なんですよね。
80年代ならではのメロウ・サウンドとSmokeyのハスキー・ヴォイスが実にマッチしている名曲だと思いマス。Smokey自身のペンではないのが少し残念ですが...

もしかしたら、昔からのSmokeyファンはこのアルバムに多少の違和感を感じるかもしれません。それはサウンドが思い切り80年代後半ならではの音になっているためだと思います。この時代のサウンド全般が苦手という方は案外多いですからね。

それが気にならなければ、全般的になかなか良く出来たアルバムだと思います。

TemptationsSyreeta WrightKenny Gといったゲスト陣がアルバムに華を添えています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Just to See Her」
1stシングルとしてR&Bチャート第2位、ポップ・チャート第8位となったヒット曲。前述の通り、僕にとっては文句無しの名曲です。

いつもはこの曲を聴いて、ラブリー・モードになるのですが、今日の僕のモードは♪I would do anything ..... I would go anywhere♪There's nothin' I wouldn't do ..... just to see her again♪という歌詞に切なくて涙目になりそうですっ!

「One Heartbeat」
タイトル曲も2ndシングルとして、R&Bチャート第3位、ポップ・チャート第10位のヒットとなりました。「Just to See Her」同様メロウネスたっぷりの絶品スロウに仕上がっています。この冒頭のヒット曲2連発でクラクラになる人も多いのでは?

「It's Time to Stop Shoppin' Around」
昔ながらのソウル・ファンの方が喜ぶTemptationsとの共演です。全体的には80年代サウンドと60年代ソウルの融合といった趣のアップ・チューンに仕上がっています。

「Why Do Memories Hurt So Bad」
Kenny G参加曲。冒頭のKenny Gのソプラノ・サックスにまずはウットリしてしまいます。続く、Smokeyのセクシーなヴォーカルも絶品ですね。「Just to See Her」を除けば、このロマンティック・スロウが一番好きという方も多いのでは?

「What's Too Much」
アルバムからの3rdシングルです。80年代らしいピコピコ・サウンドが印象的なライト感覚のミッド・チューン。枯れたカンジのSmokeyの哀愁ヴォーカルがいいカンジです。人によって好き/嫌いが分かれるタイプの音ですが、僕は好きです。

「Love Brought Us Here Tonight」
Syreeta Wrightとの共演曲。ラブリー・ムードのミディアム・スロウに仕上がっています。艶やかなSyreetaの声質とハスキーなSmokeyの声質の対比がなかなか面白いですね。

「Love Don't Give Go Reason」
少し哀愁モードのアップもの。この頃にありがちな打ち込みダンス・チューンですが、なかなかキャッチーでグッドだと思います。

「Keep Me」
エンディングは落ち着いた大人のラブソングといったカンジですね。メロウなスロウがお好きな方は気に入ると思います。

必ずまた会えるさ、待っててね!
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2007年12月08日

Thelonious Monk & Gerry Mulligan『Mulligan Meets Monk』

Monkに挑んだMulligan..その結果は?☆Thelonious Monk & Gerry Mulligan『Mulligan Meets Monk』
Mulligan Meets Monk
録音年:1957年
ez的ジャンル:個性派ピアニストvs.バリトン・サックス
気分は... :.個性と個性のぶつかり合い..

久々に50年代カテゴリーの紹介です。

今回選んだのは個性派大物ピアニストThelonious Monkとバリトン・サックス奏者の代表格Gerry Mulliganの共演アルバム『Mulligan Meets Monk』(1957年)です。

Thelonious Monkは、『Thelonious Himself』(1957年)、『Brilliant Corners』(1956年)に続き3回目の登場です。一方のGerry Mulliganの紹介は今回が初めてとなります。

Gerry Mulligan(1927-1996年)は、1950年代のパシフィック・ジャズを代表するミュージシャンです。何よりモダン・ジャズにおいてバリトン・サックスという楽器の地位を確立した第一人者といえますね。

元々はニューヨーク出身であり、東海岸でGil Evans、Miles Davisとの共演で才能を開花させていったMulliganでしたが、1952年に拠点を西海岸に移し、Chet Bakerらとピアノレス・カルテットを結成したことが大きな転機となり、ウエストコーストを代表するミュージシャンと位置づけられるようになります。

永遠のジャズ初心者の僕が説明できるMulliganのキャリアはこの程度です。
正直、Mulligan作品はそれほど聴いていない僕ですが、Chet Bakerと並んでウエストコーストを代表するキマっている白人ジャズ・ミュージシャンというイメージがありますね。

そんなGerry Mulliganが超個性派ピアニストのMonkと共演したアルバムが『Mulligan Meets Monk』(1957年)です。

ピアノレス・カルテットで注目されたMulliganがMonkという超個性派ピアニストと組むということ自体が興味深いですよね。

基本的にはMonk(p)、Wilbur Ware(b)、Shadow Wilson(ds)というMonkのグループにMulligan(bs)が加わったというかたちです。楽曲もMulligan作品は「Decidedly」の1曲のみで、あとは全てMonk作品です。その意味ではMonkのアルバムと言えるのかもしれませんが、Mulliganの代表作として本作を挙げる人も多いように思います。

Monkの場合、共演者をMonkワールドへ引きずり込み、飲み込んでしまうことが多いと思います。その点、本作ではMonkのグループに殆どがMonk作品という、完璧Monk主導のアウェー状態にも関わらず、Mulliganがなかなか健闘している気がします。そのあたりが評価され、Mulliganの代表作として挙げられるのかもしれませんね。

全曲紹介しときやす。

「'Round Midnight」
説明不要のMonkの名曲中の名曲。控えめに弾いても目立ってしまうMonkのピアノをバックにしつつ、Mulliganのバリトン・サックスが前に出ていていいカンジだと思います。こうやって聴いていると、この曲自体バリトン・サックスが似合う気がしますね。

個人的にはMonkのソロ(『Thelonious Himself』収録)、Miles Davisの名演(『'Round About Midnight』収録)と並んで好きな演奏ですね。

「Rhythm-A-Ning」
『Art Blakey's Jazz Messengers With Thelonius Monk』等でお馴染みの曲ですね。個人的にはこの曲を最初に聴いたのが、Dexter Gordon主演の映画『Round Midnight』(1986年)のサントラだったので、映像と共にその印象が強いのですが。

このテンポの良さがいいですね。ノリノリなカンジのMulliganのソロがグッドですね。それに続くMonkのソロもらしさ十分!そして最後の両者の絡みがカッチョ良いですな。

「Sweet and Lovely」
この曲も『Thelonious Monk Trio』等でお馴染みのMonk作品。個人的には『Solo Monk』(1964年)のヴァージョンも聴いております。ここではMonkのピアノに耳を奪われてしまうので、多少Mulliganが分が悪いかも?それでもなかなか雰囲気のあるソロを聴かせてくれます。

「Decidedly」
本作唯一のMulligan作品。ということでMulligan主導なのですが、他の曲と比較するとエラくフツーに聴こえてしまいますね。やはり、Monk作品にMulliganが挑むという構図の方が面白い気がします。ここではMonkは脇役に徹して控えめの演奏か...なんて思っていたら、ソロではやっぱりMonkしてますね(笑)

「Straight, No Chaser」
「'Round Midnight」と並ぶ説明不要の名曲ですね。このブルージーな雰囲気満点のMonk作品にMulliganがどう挑んだのかという観点で、最初のMonkとMulliganの絡みとMulliganのソロを聴くと楽しいですね。

オリジナルはTake3ですが、CDにはボーナス・トラックでTake1が入っています。対比して聴いてみるとなかなか面白いですよ(特に最初の部分)。

「I Mean You」
個人的にはMonkとMulliganの個性が一番いいバランスで聴こえますね。なかなか聴き応え十分の演奏だと思います。

そう言えば、WOWOWの「JAZZ FILE」で約1ヶ月半くらい前にMonkの1966年の演奏を放送していましたね。Monkの演奏をあれだけまとめて観たのは初めてだったので、なかなか興味深かったですね。映像で観ると、余計に奇才ぶりが際立ってインパクトがありました(笑)
posted by ez at 06:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月07日

Odyssey『Odyssey』

フリーソウル人気曲「Battend Ships」収録☆Odyssey『Odyssey』
オデッセイ
発表年:1972年
ez的ジャンル:白人黒人混成ファンキー・ロック&ヤングソウル
気分は... :エビフライ付き刺身定食??

本日、サッカー日本代表の岡田監督が正式決定しますね。

サッカー・ファンの間では、岡田氏でオシム流を継承できるのか云々の議論で賛否両論がありますが、状況を考えれば岡田氏の選択は妥当なものだし、オシム流にこだわる必要はなく岡田流でいけばいいと思います。

個人的にはオシム流サッカーは好きだったし、間違った方向ではないと思いましたが、その代役を次期監督に求めると逆におかしな方向に進んでしまうように思います。岡田氏が監督になるのならば、岡田氏の指導者としての個性・資質を最大限発揮できることを重視すべきで、その結果としてオシム流とガラリと変わってしまうのならば、それはそれで仕方がないという気がします。

今回はフリーソウル・ファン必聴アルバムOdyssey『Odyssey』(1972年)の紹介です。

Odysseyは白人黒人混成の7人組グループ。1972年にモータウンから今回紹介する唯一のアルバム『Odyssey』を発表しています。

僕がこのグループについて知っているのはこれだけです(笑)

おそらくこのグループを知っている方の殆どはフリーソウルのコンピがきっかけだと思います。

『Free Soul Parade』収録の「Battened Ships」『Free Soul Lights』収録の「Our Lives Are Shaped by What We Love」という2曲がOdysseyの名を一躍有名にしましたね。僕もこれらのコンピが無ければ、このグループの存在を知ることは永遠になかったかもしれません。

特に「Battened Ships」はフリーソウル好きの間でもかなり人気が高い1曲なのでは?
僕自身もこの曲を聴くと、脳内からオキシトシン、セロトニンといった幸せホルモンがバンバンに分泌してくる気がします(笑)

ということで、それら2大人気曲を含むOdyssey唯一のアルバムが『Odyssey』です。

アルバムの方は前述の2曲に代表されるフリーソウル・ファン向けのヤングソウルのみならず、ファンキー・ロックあり、ソフト・ロックあり、ラテン・グルーヴあり、思い切りカントリーありと雑多な音楽性が混在している1枚となっています。

統一感はありませんが、刺身定食を頼んだら、なぜかエビフライが1本ついてきた!みたいなお得感が楽しめるアルバムだと思います。特に僕のようなジャンル不問で節操無くいろんな音楽を聴く人間にとっては、アルバム1枚にそうした嗜好が凝縮されており、嬉しい限りですね。

まずは「Battend Ships」「Our Lives Are Shaped by What We Love」の2曲を堪能し、そこから他の曲へ流れて雑多な雰囲気を楽しむという聴き方が良いのでは?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Home of the Brave」
オープニングはこの時代らしくスワンプ・ロックしています。でも、土臭いながらも男女混声ボーカルのおかげで、マイルドになっているあたりが好きですね。

「Georgia Song」
あまり取り上げられることがない曲ですが、なかなか捨て難い1曲です。白人黒人混成グループらしいヤングソウルに仕上がっています。

「Country Tune」
この曲は思い切りカントリーですね。でも、変なイモ臭さがないので僕のようなカントリー苦手の人でも、とりあえずは聴いてみようという気になります(笑)

「Our Lives Are Shaped by What We Love」
「Battend Ships」と並ぶフリーソウル人気曲。フォーキーかつソウルフルな感じが魅力のこみ上げ系チューン。夜遅く帰って、ぐったり疲れた体を落ち着かせたい時あたりに聴きたく1曲ですね。ギターにDavid T. Walkerが参加し、渋くサポートしています。ヴァイヴのソロも心地良いですね。

「Battend Ships」
やっぱり本作のハイライトはこのヤングソウルになるんでしょうね。イントロのドラム、ホーンセクション、フルートの絡みを聴いただけで幸せな気分になります。

『Free Soul Parade』冒頭のSpinners「It's A Shame」〜Jane Birkin「Lolita Go Home」〜Coke Escovedo「I Wouldn't Change a Thing」〜Odyssey「Battend Ships」という流れは、フリーソウルのコンピの中でも特に好きな流れの1つかもしれません。

あとこの曲を聴いていると、何故かTom Jones「It's Not Unusual」をやたら聴きたくなるのですが、そんなの僕だけなのかな?

「Sunny California Woman」
60年代へのノスタルジーを感じるフォーキーなポップ・チューンに仕上がっています。 ソフト・ロックがお好きな方は気に入る1曲だと思います。

「Black Top Island (Of The West) 」
ブルージーな仕上がりがいい感じのファンキー・ロック。「Battend Ships」等とは全く異なるこのグループの魅力を感じる1曲ですね。初期Doobie Brothersなんかが好きな人が気に入る曲なのでは?

「Broken Road」
「Battend Ships」、「Our Lives Are Shaped by What We Love」に続いて人気がある曲かもしれませんね。パーカッシヴなラテン・チューンに仕上がっています。妖しく響くフルートの音色もいいカンジですね。

脱線しますが、若い時のTom Jonesの映像をYouTubeで観ていたら、ジローラモさんがテキトーに歌っているように見えて一人で大ウケしてしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=SGf0sZEB6Pc

なんか面白くありません?
posted by ez at 08:23| Comment(2) | TrackBack(1) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月06日

Rahsaan Patterson『After Hours』

昨晩、ビルボードライブ東京でライブを観てきました☆Rahsaan Patterson『After Hours』
After Hours
発表年:2004年
ez的ジャンル:セクシー系ネオ・ソウル
気分は... :へぎそば食べて、Rahsaanのライヴを観る...乙だねぇ!

昨晩はビルボードライブ東京Rahsaan Pattersonのライブを観てきました。

本ブログでも今年発表された最新アルバム『Wines & Spirits』を約1ヵ月半前に紹介しましたね。

近くのへぎそば屋にて、アルコール&のっぺ&へぎそばで軽く腹ごしらえした後に会場へ!

席がステージに向かって中央やや左寄り最前列だったので、約2メートル前でRahsaanが歌っているという、なかなかの臨場感を味わうことができました。

メンバーはRahsaan以外にキーボード、ギター、ベース、ドラム、女性コーラス二人という編成。キーボードのKenneth Crouch『Wines & Spirits』にも参加した有名プロデューサーKeith Crouchの兄弟)がミュージック・ディレクターとしてバンドをまとめていました。女性コーラス二人の巨漢ぶりもかなりインパクトがありましたね(笑)

ポロシャツにジーンズ、スニーカーという、エラくフツーな服装で登場したRahsaanでしたが、ステージの方もリラックス・モードで入れ込みすぎない普段着のRahsaanに出会えたような気がしました。

全8曲、約80分強のステージ。ということは1曲平均10分、しかも全曲ミドル〜スロウ系ということで、やや起伏の乏しい構成でしたが、その分じっくりとRahsaanの歌を堪能できましたね。 Sade「Love Is Stronger Than Pride」をカヴァーしたり、ラストの「Stop Breaking My Heart」では途中でSly & The Family Stone「If You Want Me To Stay」を披露するあたりも楽しかったですね。

体、手足でリズムを取りながら、あの特徴的なファルセット・ヴォイスで歌うRahsaanの姿は、なかなか観察しがいがありましたね。すぐにモノマネができそうです(笑)

ということで今回はRahsaan Pattersonの3rdアルバム『After Hours』(2004年)の紹介です。

本作『After Hours』は所属レーベルであったMCAの解体という苦しい状況下で、本ブログでも紹介した前作『Love In Stereo』(1999年)以来5年ぶりに発表されたアルバムです。

ということで、ジャケにはマイナー感が漂っていますが、中身の方は逆に開き直ったのか自分のやりたい音楽を存分にやっているようで、新たなRahsaanの魅力に出会える作品になっています。
*ちなみにこのジャケは輸入盤、国内盤は別のジャケです。

プロデューサーには、Rahsaan自身と盟友Jamey JazVan Hunt等が名を連ねています。ハウス・ファンにはお馴染みのSteve 'Silk' Hurleyという意外な人選もありますが。

先のライブでは本作より「The One for Me」「The Best」の2曲が披露されました。

オススメ曲を紹介しときやす。

「The One for Me」
オープニングは今回のライブでも披露されたミディアム・スロウ。個人的にもアルバムで一番好きな曲です。どこかStevie Wonderを連想させる浮遊感が魅力ですね。ライブでも手でリズムをとる様が印象的でしたね。

「I Always Find Myself」
ファンキーなグルーヴ感の中に魅惑のファルセットが溶け込んだミッド・チューン。

「So Hot」
Rahsaanの新境地開拓と言えるのがJamey Jazプロデュースのこの曲。80年代テイストのファンキーなアッパー・チューンに仕上がっています。Rahsaan自身が本アルバムで80年代サウンドを意識しているという記事を読んだことがありますが、そんな雰囲気を最も感じさせるのがこの曲なのでは?ホントはライブでもこういったアップものを1曲くらいやって欲しかったのですが...

「Burnin'」
Van Huntプロデュースのミディアム・スロウ。Rahsaanらしいセクシーな仕上がりがグッド!

「The Best」
この曲もライブでやってくれました。じっくり聴かせてくれる感動的なスロウです。今回のライブでRahsaanって歌うこと自体が本当に好きな人なんだなぁと実感しましたが、この曲からもそんな歌う喜びが伝わってくる気がします。Van Huntプロデュース。

「You Make Life So Good」
リラックスした雰囲気がなんとも心地良いメロウ・チューン。控えめのバックと女性コーラスとの絡みが何ともいいカンジです。

「Yeah Yeah Yeah」
Steve "Silk" Harleyプロデュース。ハウスのイメージが強いこの人との組み合わせは意外な気もしますが、フツーにうねりのあるR&Bグルーヴに仕上がっています。まさにイェー!イェー!イェー!な1曲(意味不明)。

「April's Kiss」
ラストは僕好みのメロウ・グルーヴ。どちらかと言えば、寒い季節よりも暖かい季節に聴きたい曲ですが、ノリノリの雰囲気がいいですね。こういった曲もライブでやると盛り上がるように思うのですが。

一応、「April's Kiss」でアルバム終了なのですが、シークレット・トラックとして「Straighten It Out」という曲が収録されています。これがなかなか抜群のアーバン・ソウルに仕上がっており、フツーにアルバムに収録して欲しかった気がします。

僕の中でRahsaan Pattersonと言えば、D'Angeloのようなオーラ出まくりの近寄り難いイメージがあったのですが、実際に見たRahsaanはライブ終了後にファンに気さくにサインしたり、一緒の写真撮影に応じてくれるフレンドリーな歌好き兄ちゃんというカンジでした。服装があまりにカジュアルだったせいか、即席サイン会に応じているRahsaanに気付かなかった人もいたのでは(笑)
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2007年12月05日

Bee Gees『Bee Gees 1st』

Bee Geesって、こんなにサイケだったんですよ!☆Bee Gees『Bee Gees 1st』
Bee Gees' 1st
発表年:1967年
ez的ジャンル:サイケ/ソフト・ロック系男性ボーカル・グループ
気分は...:意外ですな...

今回は70年代に最も成功した男性ボーカル・グループといえるBee Geesの紹介です。

という説明の通り、Bee GeesといえばJohn Travolta主演の映画『Saturday Night Fever』(1977年)のサントラに収録されていた「How Deep Is Your Love」「Stayin' Alive」「Night Fever」という大ヒット3曲の印象が相当強いですよね。

僕の場合、ちょうど洋楽を聴き始めた時期と、これらの曲が大ヒットしていた時期がピッタリ符合するので、「Bee Gees=サタデー・ナイト・フィーバー=ジョン・トラボルタ」みたいなイメージが余計に強いのかもしれません。

Bee Geesは、英国王領マン島生まれのオーストラリア人であるBarryRobinMauriceGibb三兄弟によって結成されたグループです。1963年に一家の移住先オーストラリアでデビューを飾ると、一躍人気ティーンエイジ・ポップ・グループとして成功を収めました。1967年には拠点をイギリス・ロンドンへと移します。

そして、60年代後半から70年代初頭にかけて「Massachusetts」「I've Gotta Get a Message to You」「I Started A Joke」「First Of May」「Lonely Days」「How Can You Mend a Broken Heart」等のヒットをUK、USチャートを送り込み、第1期黄金期を迎えます。

その後一時低迷しますが、心機一転マイアミへと渡り、大物プロデューサーArif Mardinとの出会いが、「Jive Talkin'」のヒットを皮切りとしたソウル/ダンス・ミュージックへの接近という新境地開拓を導きました。そして、1977年には前述のとおり『Saturday Night Fever』からの大ヒット・シングル3連発で第2の黄金期を迎えることとなります。

その後も節目節目にヒットを飛ばしますが、2003年のMauriceの死と共にグループの歴史に終止符が打たれました。

Elvis Presley、Beatles、Michael Jacksonといったビッグネームに迫るレコード・セールスを記録していた彼らの軌跡は、ポピュラー音楽史に残るものでしょうね。

さて、今回はそんな長い歴史を誇る彼らのUK、USでのデビュー・アルバム『Bee Gees 1st』(1967年)です。

本作から2nd『Horizontal』(1968年)、3rd『Idea』(1968年)、4th『Odessa』(1969年)あたりまでが初期Bee Geesを代表するアルバムといえるのではないかと思います。

ジャケ写真のように、初期はGibb三兄弟にVince Melouney(g)、Colin Petersen(ds)を加えた5人編成になっています。ちなみにこのサイケなジャケ・デザインはBeatlesファンにはお馴染みのKlaus Voormanです。

ジャケのイメージの通り『Bee Gees 1st』は、サイケでソフト・ロックな仕上がりの印象を受けます。実際、当時はBeatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を意識し、ポスト『Sgt. Pepper's〜』的な唄い文句でプロモしたみたいですね。

僕の場合、初期Bee Geesと聞くと映画『小さな恋のメロディ』の主題歌だった「Melody Fair」あたりのイメージが強かったのですが、本作を最初聴いた時には自分がイメージしている初期Bee Geesとのギャップにかなり驚きました。

それ以降のアルバムと比較しても、本作は少し異質な気がします。
正直言ってBee Geesらしいアルバムとは言えないのかもしれません。
その意味でBee Geesのアルバムを楽しむというよりも、この時代ならではの『Sgt. Pepper's〜』的なサイケ/ソフト・ロック作品を楽しむという感覚で聴くとフィットするアルバムだと思います。

Zombies『Odessey And Oracle』Hollies『Butterfly』あたりと一緒に聴くとピッタリな1枚ですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Turn of the Century」
ストレンジな雰囲気に包まれたこの曲を聴けば、『Sgt. Pepper's〜』を意識せずにはいわれませんね。

「Holiday」
全米チャート第16位となったヒット曲。本作の中では比較的知られた曲なのでは?僕も本作を初めて聴いた時に唯一知っていた曲がコレでした。この美しくも儚いムードがたまりませんね。

「Red Chair, Fade Away」
この曲はモロにBeatles「Strawberry Fields Forever」の影響を受けた曲ですね。このアルバムを象徴する1曲だと思います。僕のように『Sgt. Pepper's〜』的なものを求めている人にとっては、まさにドンピシャな1曲。

「One Minute Woman」
Barryのヴォーカルが前面に出た初期Bee Geesらしいスタイルに仕上がっていますね。

「In My Own Time」
この曲も思い切りBeatlesしていますね。他サイトでBeatles「Taxman」のBee Gees版というレビューを拝見しましたが、まさにピッタリの表現だと思います。

「Every Christian Lion Hearted Man Will Show You」
サイケでストレンジな世界が全開の1曲です。トリップしたサイケな世界で教会のミサを聴いているような異様な雰囲気があります。サイケなものを求めている人のニーズにフィットした1曲です。

「New York Mining Disaster 1941」
彼らのUS、UKでの成功の第一歩となったシングル(全英チャート第12位、全米チャート第14位)。哀愁のメロディの中でBee Geesらしいコーラス・ワークが光ります。

「To Love Somebody」
全米チャート第17位となったヒット曲。サイケ・テイストのアレンジですが、Bee Geesらしい感動的な仕上がりになっているキャッチーな1曲。

「Please Read Me」
Bee Geesらしいとは言えないかもしれませんが、なかなかキャッチーな仕上がりだと思います。

「Close Another Door」
「Red Chair, Fade Away」と並ぶ僕のお気に入り曲。Bee Geesらしい美しいコーラス・ワークと、このアルバムならではのサイケ・ワールドが上手くバランスしている1曲だと思います。

このアルバムから「Stayin' Alive」、「Night Fever」は全く想像できないですね(笑)
posted by ez at 08:11| Comment(2) | TrackBack(1) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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