発表年:1977年
ez的ジャンル:ダサ格好いい系ダンディ・ロック
気分は... :この際どさがいいねぇ!
今回は元Fleetwood MacのメンバーBob Welchの初のソロ・アルバム『French Kiss』(1977年)です。
Bob Welchは1946年カリフォルニア生まれ。イタリア、フランスなどヨーロッパで活動した後にイギリスへ渡り、Fleetwood Macのメンバーと出会います。そして、1971年にグループ唯一のアメリカ人としてFleetwood Macへ加入します。
イギリスを代表するブルース・ロック・バンドだったFleetwood Macでしたが、Bob Welchの加入を機に活動拠点をイギリスからアメリカへ移します。そして、アメリカ・マーケットを意識したせいか、それまでのブルース一辺倒からより幅広い音楽性を追求するようになります。
こうしたグループのポップ路線への方向転換はBob WelchがFleetwood Mac脱退後、Stevie Nicks、Lindsey Buckinghamというに2人のアメリカ人の加入後に開花し、皆さんご存知の『Fleetwood Mac』(1975年)、『Rumours』(1977年)という大ヒット・アルバムを生むことになります。
Bob Welch自身はグループの成功を経験することなく、『Heroes Are Hard to Find』(1974年)を最後にグループを脱退しています。その後Parisというハード・ロック系のトリオを結成しますが、アルバム2枚を残して解散してしまいました。
そんなBob Welchにソロ活動を薦めて、マネジメントを含めてサポートしたのがかつて同僚Mick Fleetwoodでした。そして発表されたのが本作『French Kiss』です。
Mick Fleetwood(ds)以外にChristine McVie(key、vo)、Lindsey Buckingham(g、vo)といったFleetwood Mac勢がサポートしています。
そのおかげか、アルバムは全米アルバム・チャート第12位、シングル「Sentimental Lady」が全米ポップ・チャート第8位、「Ebony Eyes」が同14位というヒットとなり、同年リリースされたFleetwood Macのモンスター・アルバム『Rumours』の大成功には遠く及ばないものの、一定の成功を収めました。
僕自身はリアルタイムではなく、数年後追いで聴いた記憶があります。
今はそうは思いませんが、当時はかなりオシャレなアルバムという印象がありましたね。
本作をAORアルバムと位置づける人もいますが、個人的にはAORアルバムと言われると違和感がありますね。それなりに大人のダンディズムを感じますが、ビミョーにひねりを効かせて外しているあたりがこの人らしいのでは?
Todd Rundgrenあたりに通じるB級感の魅力をこのアルバムにも感じます。
ただし、Toddと違うのはこのアルバムはいかにもオールド・ファンが喜ぶ作品という気がしますね。若いリスナーの方には加齢臭が鼻につくのでは(笑)
オススメ曲を紹介しときやす。
「Sentimental Lady」
アルバムからの1stシングル。前述のように全米ポップ・チャート第8位のヒットとなりました。この曲のみLindsey BuckinghamとChristine McVieがプロデュースしています。ファンの方ならばご存知の通り、元々はWelchがFleetwood Mac時代に書いた曲ですね(アルバム『Bare Trees』収録)。
この頼りないWelchのボーカルがポップながらも悲しげなメロディと実にマッチしていますね。
「Easy to Fall」
ドライヴ感の効いたロック・チューン。これでヴォーカルが上手すぎると少し暑苦しくて嫌なのですが、Welchの下手くそヴォーカルが逆にマイルドな味わいを出してグッド!だと思います。
「Hot Love, Cold World」
アルバムからの3rdシングル。個人的にはアルバムで一番好きですね。なかなかグルーヴ感のあるハードなナンバーに仕上がっています。特に後半の演奏はスリリングで盛り上がりますな。
「Lose My Heart」
2分足らずの曲ですが、なかなか歯切れの良い軽快なポップ・チューンに仕上がっています。
「Outskirts」
少しハードなDoobie Brothersってカンジがしますね。ハードな要素とポップな要素とファンキーな要素のバランスが実に良いカンジですね。
「Ebony Eyes」
アルバムからの2ndシングル。頼りないWelchのボーカルの魅力全開といったところです(笑)ギター・リフとストリングス・アレンジが印象的ですね。とても印象に残る特別な雰囲気を持った1曲だと思います。
「Carolene」
ディスコ的な要素も垣間見ることができるハードなポップ・チューン。思わずハンド・クラッピングしたくなる曲ですね。
「Dancin' Eyes」
ブラック・フィーリング溢れる1曲。きっと僕がこのアルバムに惹かれる理由の1つに、Welchの持つブラック・フィーリングがあるのだと思います。
「Danchiva」
ドライヴ感のあるカッチョ良さが魅力の曲ですね。適度にブラック・フィーリングもあって、「Hot Love, Cold World」と並んで好きな1曲です。
「Lose Your Heart」
「Lose My Heart」に続き、今度は「Lose Your Heart」です。なかなかメロディアスな仕上がりです。爽快だけど寂しさが残るカンジがいいですね。
このエロいジャケもいいですね。ちなみに次作『Three Hearts』(1979年)では、さらにお姉さまを一人増員したジャケで勝負しましたが、こちらは見事にコケました(笑)