2008年01月15日

Lisa Keith『Walkin' In The Sun』

Jam & Lewisお抱えの白人女性シンガー唯一のソロ・アルバム☆Lisa Keith『Walkin' In The Sun』
ウォーキン・イン・ザ・サン
発表年:1993年
ez的ジャンル:Jam & Lewis系白人女性R&B
気分は... :意外な展開...

昨日に続きNFLディビジョナル・プレーオフの話から...

昨日カンファレンス・チャンピオンシップはAFCが「ペイトリオッツ対コルツ」、NFCが「カウボーイズ対パッカーズ」と勝手に予想してしまいましたが、今日のディビジョナル・プレーオフ2試合でコルツ、カウボーイズが相次いで敗れてしまいました。

結局、AFCが「ペイトリオッツ対チャージャース」、NFCが「パッカーズ対ジャイアンツ」という組み合わせになりました。昨日の記事で書いたように、ジャイアンツが勝ったことでパッカーズのホームであるランボー・フィールドでの試合となり、パッカーズが俄然有利となったことは嬉しい限りです。

ファーヴをスーパーボウルへ!

今回はJam & Lewis好きにはお馴染みの白人女性シンガーLisa Keith唯一のソロ・アルバム『Walkin' In The Sun』(1993年)です。

Lisa Keithは人気プロデューサーJimmy Jam & Terry Lewisお抱えのセッション・シンガー。Lisa Keithの名は、Janet JacksonAlexander O' NeilCherrelleKaryn WhiteNew Edition等Jam & Lewisが手掛けた作品のクレジットでしばしば発見することができます。また、Herb Alpert「Making Love In The Rain」(1987年)、MC Lyte「Ice Cream Dream」(1993年)といったヒット曲でもフィーチャリングされています。

ちなみに、Flyte Tyme Productionsのスタッフとして長い間Jam & Lewisを支えていたプロデューサー/ソングライターSpencer BernardがLisaの旦那様です。

彼女のプロフィールについては殆ど情報がないのですが、セッション・シンガーになる前はミネアポリスでファンク・グループのヴォーカルをやっていたようです。Jam & Lewisとの人脈もそのあたりで築いたのかもしれませんね。

そんなLisa Keith唯一のソロ・アルバムが今回紹介する『Walkin' In The Sun』(1993年)です。

僕自身は本作を購入するまでLisa Keithの存在を強く意識することはありませんでしたが、Perspective(Jam & Lewisのレーベル)の作品で、エグゼクティブ・プロデューサーとしてJam & Lewisの名を発見できたので購入した記憶があります。

中身はJam & LewisFlyte Tyme好きの人ならば、かなりど真ん中な出来だと思うのですが、当時も今も殆ど評価されていないですね。僕の中ではJam & Lewis好きは外せないマスト・アイテムくらいの位置づけなのですが(笑)

特に「Love Is Alive and Well」「I'm in Love」「Closer」の3曲はマイ・クラシックとして今でも大好きな3曲ですね。3曲ともイントロを聴いただけで、僕の胸キュン・メーターが急上昇してくるのがわかります。

プロデュースにはJam & Lewis、旦那様Spencer BernardといったFlyte Tymeメンバーに加えて、Narada Michael Waldenも名を連ねています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Love Isn't Body...It's Soul」
Jam & Lewisプロデュース。Soul II Soul「In the Heat of the Night」をサンプリングしたクラブ仕様のクールなミッド・グルーヴです。

「Better Than You」
アルバムからのリード・シングルとして全米チャート第36位となったスマッシュ・ヒット。Lisa Keith自身のペンによるヒューマン・タッチなポップ・チューンに仕上がっています。

「Love Is Alive and Well」
マイ・クラシック1曲目は、Lisa Keith & Spencer Bernardという夫婦作品です。そんな夫婦パワーを反映した感動的なバラードに仕上がっています。都会の夜景が似合うロマンティック・ムードがモロに僕のツボですね。シンガーとしてのLisaの実力も十分に認識できる仕上がりです。

「I'm in Love」
マイ・クラシック2曲目はJam & Lewisプロデュース作品です。Jam & Lewisらしいクールなダンス・チューン。聴いているだけでウキウキ&ハッピー・モードになってきます。Karyn Whiteの大ヒット曲「Romantic」が好きな方ならば気に入ると思います。

「Days Like These」
Narada Michael Waldenプロデュース曲。Flyte Tyme勢に負けない素晴らしい出来ですね。楽曲の良さと90年代らしいメロウ・サウンドがうまく噛み合っていると思います。

「A Love for All Seasons」
この時代らしいハネハネしたダンス・チューンです。この手の曲はFlyte Tymeはお得意ですからね。

「Sunshine Daydreamin'」
Narada Michael Waldenプロデュース曲。Flyte Tyme風のサウンドですが、Naradaらしいアーバン・メロウな味付けがいいですね。

「Closer」
マイ・クラシック3曲目もJam & Lewisプロデュース作品です。メロウ好きにはたまらないメロメロのスロウ・チューンです。基本的に楽曲が良いのと、しっとり感のある仕上がりが絶妙です。

「Love Me Like You Do」
3大マイ・クラシックに続いてのお気に入りがこの曲です。Flyte Tymeならではのメロウ・グルーヴに仕上がっていると思います。

「Free as You Wanna Be」
Jam & Lewisプロデュース曲。成熟してきたJam & Lewisサウンドを堪能できるミッド・チューンです。サラッとクールな感じがいいですな。

「Walkin' in the Sun」
タイトル曲はRufus & Chaka Khanのカヴァー(オリジナルはアルバム『Rags to Rufus』収録)。アコースティックな味わいがいいですね。Perspectiveの同僚であったSounds Of Blacknessがバック・コーラスで参加しています。

見逃されがちですが、侮れない1枚だと思います。
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2008年01月14日

Dexter Gordon『Dexter Calling...』

Kenny Drewのトリオを従えたBlue Note復帰第2作☆Dexter Gordon『Dexter Calling...』
Dexter Calling...
録音年:1961年
ez的ジャンル:ワンホーン系男気ジャズ
気分は... :ファーヴの男気に惚れるね!

昨日は早朝からNFLディビジョナル・プレーオフ2試合を生放送でテレビ観戦!
僕の場合、サッカーとアメフトだけは生放送で観ないと気が済まない性分なもので(笑)

パッカーズ、ペイトリオッツが順当勝ちしましたが、序盤14点のリードを奪われ、劣勢に陥ったパッカーズのあっという間の逆転劇は見事でしたね。チームを牽引するベテランQBブレッド・ファーヴのリーダーシップぶりに、ただただ感心してしまいました。

本来ドルフィンズ・ファンの僕ですが、今年のプレーオフに残ったチームの中ではパッカーズ(というよりもファーヴ)を応援したいと思います。

次戦のNFCカンファレンス・チャンピオンシップは、今日行われる「カウボーイズ対ジャイアンツ」の勝者ということになります。ジャイアンツが勝ってパッカーズのホームであるランボー・フィールドで次試が行われるパターンが理想ですが、おそらくカウボーイズが順当勝ちし、ファーヴが苦手な敵地テキサス・スタジアムでの試合になることでしょう。

かなり不利な一戦になると思いますが、ファーヴの底力を見せて欲しいですね。

もう一方のAFCカンファレンス・チャンピオンシップは、今日コルツが順当勝ちして「ペイトリオッツ対コルツ」の試合になるでしょうね。まぁ、ある意味この組み合わせがNo.1決定戦ですからね。

ファーヴの勇姿を観ていたら、男気溢れる音楽を聴きたくなりました。

ということで、今回は男気溢れるテナー・サックス奏者Dexter Gordonにしました。

Dexter Gordon(Dex)の紹介は、『Our Man In Paris』(1963年)、『Gettin' Around』(1965年)、『Go』(1962年)に続き4回目となります。

今回セレクトしたのは、『Dexter Calling...』(1961年)♪

1952年から1960年まで麻薬中毒のため引退同然の状態だったDexは、1960年に入ると活動を再開し、1961年に5月6日には初のBlue Noteリーダー作『Doin' Allright』のレコーディングを行います。本作『Dexter Calling...』は、その『Doin' Allright』の僅か3日後の5月9日に録音された作品です。

『Doin' Allright』Freddie Hubbard(tp)を伴った2管であったのに対して、本作はDexter Gordon(ts)、Kenny Drew(p)、Paul Chambers(b)、Philly Joe Jones(ds)というKenny DrewのトリオにDexが加わったかたちのワンホーン作品になっています。やはり、この人にはワンホーン作品が似合っている気がしますね。

この人のアルバムには常に大人の色気、男の色気が漂っていますね。
そこに僕は惹かれているのだと思います。

特に本作においては、Blue Noteで復調した絶好調ぶりが、大人の軽快さに溢れた演奏というかたちで表れている気がします。

ジャケのDexは誰に電話しているのでしょうね?

全曲紹介しときヤス。

「Soul Sister」
Dexter Gordon作のその名の通りソウルフルなブルース。Dexの余裕のサックスが何とも小粋ですね。それに続くDrewのピアノもブルージーです。聴いていると思わずニヤリとしてしまう1曲です。

「Modal Mood」
Kenny Drew作品。個人的には疾走感溢れるこの演奏が一番のお気に入りです。“モーダルなムード”のハード・バップに仕上がっています。DexのエモーショナルなサックスとPhilly Joe Jonesの豪快なドラミングは思い切りハード・バップですね。Drewの繊細なピアノとの対照的で面白い気がします。

「I Want More」
Dexter Gordon作品。Dexの絶好調なサックスにつられて、続くDrewもノリ具合もなかなかです。Dexは何ももっと求めていたのでしょうか?

「Soul Sister」〜「Modal Mood」〜「I Want More」と続く冒頭のこの3曲だけでも、かなり聴き応え十分というカンジです。ここまでで元が取れた気分になると思いますよ(笑)

「End of a Love Affair」
Edward Redding作のスタンダード。イントロのPhilly Joe Jonesのドラムソロが印象的ですね。このスピード感とわかりやすさは、僕のような永遠のジャズ初心者向けの曲かも?

「Clear the Dex」
Kenny Drew作品。軽快なリズムと豪快なDexのテナーを堪能できます。気持ち良く一気に聴けてしまうカンジがいいですね。

「Ernie's Tune」
Dexter Gordon作の美しいバラード。映画『Round Midnight』(1986年)での俳優Dexter Gordonの印象が強い僕にとって、Dex=男の哀愁感みたいな図式が出来上がっているので、そんなイメージにピッタリです。ミステリアスな雰囲気もありますね。

「Smile」
Chaplinの名作映画『モダン・タイムズ』で使われた名曲(作曲もCharlie Chaplin本人です)。というより、明石家さんま、木村拓哉、深津絵里主演のフジTVドラマ『空から降る一億の星』のエンディングでElvis Costelloが歌っていたアノ曲と説明した方が通りがいいかもしれませんね(笑)

ここではスウィング感たっぷりの軽やかな演奏を披露してくれます。フットワーク軽い感じのDexがいいカンジです。

CDにはボーナス・トラックとして「Landslide」(Dexter Gordon作)が追加されています。
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2008年01月13日

Mary J. Blige『Growing Pains』

現状突破のその先に見えたものとは?☆Mary J. Blige『Growing Pains』
Growing Pains
発表年:2007年
ez的ジャンル:R&Bクイーン
気分は... :それでも前進し続ける!

昨年末に発売されたR&BクイーンMary J. Bligeの新作『Growing Pains』です。

MJBの紹介は、『My Life』(1994年)、『Mary』(1999年)、『The Breakthrough』(2005年)に続き4枚目になります。

現状突破を試み見事に成功した前作『The Breakthrough』(2005年)から、ベスト盤『Reflections(A Retrospective)』(2006年)を挟んでの新作となる本作『Growing Pains』ですが、今回のテーマは“現状突破した後の状況を更に維持する方法”ということらしいです。

そんなテーマに挑むためのパートナーとして抜擢されたのが、世界中でNo.1に輝いたRihannaの大ヒット曲「Umbrella」で知られるプロデューサーC."Tricky" StewartとソングライターThe-Dreamの二人。C."Tricky" StewartはJazze Phaとのコンビも含めて全16曲中4曲(国内盤ならば全20曲中7曲)のプロデュースを手掛け、The-Dreamも全16曲中6曲でソングライティングに参加しています。

それ以外はThe Neptunes、Bryan-Michael Cox、Dre & Vidal、Sean "The Pen" Garrett、Stargate、Eric Hudson、Ne-Yo、Theron Otis Feemster、Dejion、Syienceという新旧様々なプロデューサーが腕を振るっています。ゲスト参加はLudacrisとUsherのみという控えめな布陣になっています。

購入してから約2週間聴きこんだ感想として、フツーの女性R&B作品として聴けば十分合格点クリアですが、R&Bクイーン基準で聴くともっと出来たのでは?って気もします。1曲1曲は悪くはないけど、アルバム全体として何かが足りないという印象ですね。個人的には前作『The Breakthrough』の方が好きです。

先行シングル「Just Fine」がかなり良かったので、事前の期待値が大きすぎたせいかもしれませんが、もう少し全体でのメリハリがあると良かった気がします。

また、切れ間なくアルバム全体を聴かせたいという意図からか、曲間が短く設定されていますが、iTunesで編集すると曲のエンディングが切れてしまい使いづらいですね。

なんて文句ばかり書いてしまいましたが、基本的には本作を支持したいと思います。内容はサイコーではないけど、トップ・ランナーとして前進し続ける姿はさすがMJBという気がします。

良い作品程度では賞賛されず、最高の作品をリリースしなければならない...R&Bクイーンって辛い立場ですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Work That」
iPodのCMソングにも起用された2ndシングル。もはや“Queen Of Hip-Hop Soul”なんて形容詞は不要なMJBですが、この曲はHip-Hop Soulしていますね。昔のMJBを思い出します。Theron Otis Feemster、Sean "The Pen" Garrettがプロデュースに関与しています。

「Grown Woman」
「Runaway Love」での共演も記憶に新しいLudacrisをフィーチャー。哀愁ムードだった「Runaway Love」とは大きく異なり、ハードなバウンス・チューンに仕上がっています。新人Dejoinがプロデュースし、The-Dreamらがソングライティングを手掛けています。

「Just Fine」
前述のアルバムからの1stシングル。プロデュースC."Tricky" Stewart & Jazze Pha、ソングライティングThe-Dreamという強力トリオが関与している、フラメンコ・フレイヴァーのリズムが新鮮なアッパー・チューン。思わず一緒に手拍子したくなるイケイケ・ムードがサイコーですね!この勢いがアルバム全体にも欲しかった気がします。

「Feel Like a Woman」
この曲もシングル候補になっているみたいですね。個人的にはあまりシングル向きではない気がしますが。Theron Otis Feemsterがプロデュースし、The-Dreamらがソングライティングを手掛けています。

「Hurt Again」
スロウものではDre & Vidalプロデュースによるこの曲が一番好きですね。楽曲が抜群にいいですね。切ないムードのサウンドとMJBのヴォーカルとの相性もバッチリですね。

「Shakedown」
Usherをフィーチャーしています。この曲もC."Tricky" Stewart & Jazze Pha、The-Dreamという強力トリオによるものです。Usherがイマイチ好きではない僕は、あまり入り込めないのですが(笑)

「Till the Morning」
The Neptunesプロデュース曲。いかにもNeptunes(というかPharrell)らしい展開のライト&メロウな仕上がりで、かなり好きですね。Pharrell自身をフィーチャーしてもハマったように思います。

「Fade Away」
「What Love Is」
Stargateプロデュースの2曲(共にNe-Yoも関与)。悪くはないけど、Stargateプロデュースと期待しただけに少し肩透かし気味かも?

「Work in Progress (Growing Pains) 」
「Smoke」
Ne-Yo絡みでは、この2曲が好きですね。タイトル曲はChuck Harmonyプロデュースによる美メロ・スロウです。「Smoke」はSyienceプロデュースによる独特のピュアネスを感じる1曲です。

「Talk To Me」
個人的に期待しているEric Hudsonのプロデュース曲。渋めですがじっくりしっかり聴かせてくれる1曲です。

「If You Love Me?」
前作『The Breakthrough』からの大ヒット「Be Without You」をプロデュースしたBryan-Michael Coxの制作です。もう1曲「Stay Down」もプロデュースしていますが、個人的にはコチラがオススメです。胸キュン・美メロ好きにはピッタリの1曲ですね。

「Come To Me (Peace) 」
ラストはC."Tricky" Stewart & Jazze Pha、The-Dreamトリオによるスケール感の大きな1曲。名曲の雰囲気が漂うバラッドです。

僕が持っているのは輸入盤ですが、国内盤にはBrook Lynn名義の「Nowhere Fast」(C."Tricky" Stewart & Jazze Phaプロデュース)、Todd Rundgrenの名曲カヴァー「Hello It's Me」(Mark Ronsonプロデュース)等のボーナス・トラック4曲が追加されています。そこまでテンコ盛りにする必要はない気がしますが...
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2008年01月12日

Norman Connors『This Is Your Life』

美学を貫くメロウ・ワールドへようこそ!☆Norman Connors『This Is Your Life』
This Is Your Life
発表年:1978年
ez的ジャンル:Buddah系メロウ・グルーヴ
気分は... :これこそ俺の生き方だよね!

今回はメロウ・グルーヴ好きには外せないNorman Connorsの紹介です。

Norman Connorsは1947年フィラデルフィア生まれのジャズ・ドラマー。1960年代半ばからプロのジャズ・ドラマーとしての活動を開始し、Archie SheppJack McDuffPharoah Sanders等と共演したり、レコーディングへ参加したりしています。特にPharoah Sandersとの活動は、その後の彼に大きな影響を与えたようです。その後1970年代から80年代初めにかけて数多くのリーダー作を残しています。

Norman Connorsという人に対してジャズ・ドラマーのイメージは殆どありません。でも自分の持っているPharoah Sandersなどの作品のクレジットを眺めてみると、確かにドラマーNorman Connorsの名を確認することができます。

そもそも僕とNorman Connorsの出会いは、Barbara Mason『Transition』Michael Henderson『In The Night-Time』The Futures『Castles In The Sky』The Trammps『Legendary Zing Album』といったBuddah作品と一緒に彼の最大のヒット・アルバム『You Are My Starship』(1976年)を購入したことが最初でしたね。そこから、『Romantic Journey』(1977年)、『This Is Your Life』(1978年)といった作品へ流れていったというカンジでしたね。

僕の中でのNorman Connorsは、多くのミュージシャンを集めてそれらを束ねるまとめ役ってカンジですかね。本作が厳密にはNorman Connors & The Starship Orchestraとなっているように、Norman Connorsというミュージシャンのソロ・アルバムというよりも、彼がタクトを振るオーケストラのアルバムという印象が強いですよね。

一般的に彼の最高傑作といえば、全米R&Bチャート第4位となったタイトル曲を含むアルバム『You Are My Starship』(1976年)だと思うのですが、個人的に一番お気に入りなのが今回紹介する『This Is Your Life』(1978年)です。曲数およびヴォーカルものが多いというのも大きな要因なのですが...彼の美学が最も色濃く出ているアルバムのように思います。

そんな美学が最も顕著なのがカヴァー曲のセンスかもしれません。本作でもPharoah SandersやStylisticsといった定番ものからHerbie Hancock、Jimmy Webbまでなかなか興味深いセレクトになっています。

Pharoah Sanders、Gary Bartz、Ernie Watts、Jay Graydon、Lee Ritenour、David T. Walker、Wah Wah Watson、Richard Tee 、Bobby Lyle、Michael Boddicker、James Gadson、Jean Carn、Eleanor Mills、James Robinson等といったバック陣の豪華さも魅力かもしれませんね。

全曲紹介しときやす。

「Stella」
人気ダンス・チューンにもなっているこのメロウ・グルーヴがアルバムで一番のお気に入り!Jean CarnとJames Robinsonのヴォーカルがフィーチャーされています。Jean Carnの♪パッパラ・パッパ〜♪というヴォーカルがウキウキ気分になってしまいますね。Buddah音源のコンピ・アルバム『Free Soul Essence』にも収録されています。

「This Is Your Life」
タイトル曲はThelma HoustonやThe 5th Dimensionのヴァージョンで知られているJimmy Webb作品のカヴァーです。Eleanor Millsのヴォーカルをフィーチャーています。Paul Riserのアレンジが絶品のドラマチックな仕上がりです。ジャケ写真のイメージとピッタリです。

「Wouldn't You Like to See? 」
この曲もEleanor Millsのヴォーカルをフィーチャーしたメロウ・ソウル。メロウ好きの僕には嬉しい1曲ですね。

「Listen」
James Robinsonのヴォーカルをフィーチャーしたロマンティックなスロウ・チューン。アーバン・メロウな雰囲気がいいですね。

「Say You Love Me」
アルバムで最もファンキーなミディアム・チューン。Connors本人の下手くそヴォーカルがクセになり脳裏から離れません(笑)

「Captain Connors」
クロスオーヴァーらしいグルーヴ感が心地良いインストです。僕が持っているCDにはボーナス・トラックで12"ヴァージョンも収録されています。

「You Make Me Feel Brand New」
説明不要のStylisticsの名曲カヴァー。『You Are My Starship』(1976年)でも「Betcha By Golly Wow」をカヴァーしているので、その流れですかね。Stylisticsのオリジナルに近い雰囲気のEleanor MillsとConnors本人によるデュエットです。オリジナルに敵うはずもありませんが、Eleanorのヴォーカルがグッドです。

「Butterfly」
笠井紀美子さんのヴァージョンでお馴染みのHerbie Hancock作品。Eleanor MillsとJames Robinsonのヴォーカルをフィーチャーしています。このミステリアスなメロウネスがたまりませんね。笠井ヴァージョンがお好きな方はセットで聴くと楽しいと思います。本曲も『Free Soul Essence』に収録されています。

「The Creator」
Pharoah Sanders「The Creator Has a Master Plan」のリアレンジ・ヴァージョンです(オリジナルは1969年のアルバム『Karma』収録)。『You Are My Starship』(1976年)で本曲のインスト・カヴァーを演奏しているにも関わらず、さらに本作でも取り上げたということは、余程お気に入りの曲なのでしょう。

本ヴァージョンではEleanor MillsとConnors本人のヴォーカル入りです。Pharoah Sanders本人がテナー・サックスで参加しており、スピリチュアルなブロウを披露してくれます。スピリチュアルとスムース&メロウが合体した面白い仕上がりになっています。

『Romantic Journey』(1977年)でもPharoahの「Thembi」をカヴァーしているし、Norman ConnorsにとってPharoah Sandersというアーティストは特別な存在なのでしょうね。Pharoah Sanders大好きな僕としては嬉しい限りです。

本作を気に入った方は、『You Are My Starship』(1976年)、『Romantic Journey』(1977年)あたりも合わせてどうぞ!
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2008年01月11日

Ron Sexsmith『Whereabouts』

“90年代のJackson Browne”という気がするSSW☆Ron Sexsmith『Whereabouts』
Whereabouts
発表年:1999年
ez的ジャンル:慎まし系シンガーソングライター
気分は... :自分に正直に...

カナダ人シンガーソングライターRon Sexsmithの2回目の登場です。

前回は2ndアルバム『Other Songs』(1997年)でしたが、今回はそれに続く3rdアルバム『Whereabouts』(1999年)です。

ファンの方はご存知の通り、郵便配達などの仕事をしながらコツコツと曲をストックし、30歳過ぎてから1stアルバム『Ron Sexsmith』(1995年)を発表した遅咲きのSSWです(それ以前にも自主制作盤やRon Sexsmith & The Uncool名義でアルバム『Grand Opera Lane』をリリースしています)。

90年代半ば〜後半の僕はR&B/Hip-Hop/クラブ・ミュージック中心の音楽ライフで、SSWの新譜作品など殆ど聴く機会がありませんでしたが、唯一心奪われたのがこのカナダの“歌う郵便配達屋さん”かもしれません。

この人の魅力は“歌う郵便配達屋さん”という形容がピッタリな実直さと、Elvis Costelloが“今後20年は聴き続けられる”と絶賛した楽曲の良さにあると思います。

僕の場合、Ronの歌を聴いていると、70年代のJackson Browne作品から受けた感動と同じものを感じます。(見た目の印象ですが)不器用ながらも真っ正直な姿勢に共感してしまうのかもしれません。青春時代にJackson Browneの諸作から影響を受けた僕にとっては、Ronは“90年代のJackson Browne”的な存在なのかもしれませんね。

今回紹介する『Whereabouts』も1st『Ron Sexsmith』、2nd『Other Songs』同様に90年代を代表するプロデュースチームMitchell Froom & Tchad Blakeがプロデュースしています。彼らの関与で90年代ならではのSSW作品に仕上がっています。Ronの少し籠り気味のヴォーカルと彼ら独特のサウンド処理が実にマッチしていますね。

前2作と比べてストリングスなど全体的な音数が増えている分、ファンの間でも賛否両論分かれる本作ですが、僕はかなり好きです。基本的に楽曲の良さは変わっていないし、相対的に音が派手になったといっても他のアーティストと比較すれば圧倒的に地味なので(笑)

R&B中心の音楽ライフを過ごしている僕にとっては、忘れかけてしまっているものを思い出させてくれるアルバムです。

70年代SSW好きの方にもぜひ聴いて欲しいアーティストですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Still Time」
いきなりオープニングからアルバムで一番好きな曲。というよりもRonの作品の中で一番好きな曲かもしれません。この飾り気なく淡々と歌われる本曲を聴いていると、純粋に感動のみで涙腺がユルユルになります。先に書いた実直な歌と良い楽曲という魅力が存分に伝わってくる名曲だと思いますね。

以前にキリンジの高樹氏(堀込兄弟のお兄さん)が本作をイチオシしている記事を読んで嬉しく思った記憶があります(J-POPはあまり聴かない僕ですが、キリンジはかなり好きだったりします!)。

「Right About Now」
ブルージーな雰囲気に仕上がっています。この少し頼りないカンジがいいんですよね。

「Must Have Heard It Wrong」
アルバムの中ではかなりポップでキャッチーな仕上がり。メロディメイカーとしてのRonの才能の豊かさを実感できる曲ですね。

「Riverbed」
この曲も大好き!冬の寒い朝にひっそりと聴きたいタイプの曲ですね。Mitchell Froomのキーボードとスリングスががいいカンジです。

「Feel for You」
アルバムの中では一番ロックしているかもしれませんね。この手の曲を演奏しても青臭いカンジが残っているのが好きです。

「In a Flash」
シンプルな弾き語りが好きな人はコチラをどうぞ。やっぱりこの手の弾き語りを1曲は聴きたいですね。

「Beautiful View」
従来のアルバムには無かった厚めのアレンジの曲です。このあたりが賛否が分かれるところなのでしょうね。僕はメリハリがあって良いと思いマス。

「Doomed」
思わず聴き入ってしまう曲ですね。思い切りブルーな気分になりたい時に聴くといいかもしれません(笑)

「Every Passing Day」
明るい雰囲気ながらも少しひねりの入ったフォーキー・チューン。この曲を聴いていると、RonがRay Davies(Kinks)好きというのが何となくわかります。

いつ聴いても心洗われ、穏やかな気持ちになるカナダからのソングレターです。

「カナダからの手紙」と書くと、平尾昌晃&畑中葉子→畑中葉子「後から前から」→にっかつロマンポルノ...と善からぬ方向へ連想してしまう僕ですが(笑)
posted by ez at 04:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする