2008年01月09日

Woods Empire『Universal Love』

80年代R&B/Funkファン待望の初CD化☆Woods Empire『Universal Love』
ユニヴァーサル・ラヴ
発表年:1981年
ez的ジャンル:ファミリー系アーバン・ファンク/R&B
気分は... :NFLが盛り上がってきました!

アメリカン・フットボールNFLのポストシーズンがいよいよ始まりましたね。

先週末にワイルドカードプ・レーオフ4試合が行われましたが、 応援していたレッドスキンズ、タイタンズが敗れてしまい残念でした。特に、レッドスキンズについてはシーズン途中に自宅で強盗に射殺されたショーン・テイラーのためにも勝ち進んで欲しかったですね。

結局、今週末のディビジョナルプレーオフはNFCが「カウボーイズ対ジャイアンツ」、「パッカーズ対シーホークス」、AFCが「ペイトリオッツ対ジャガーズ」、「コルツ対チャージャース」の組み合わせ。レギュラーシーズンの成績そのままにカウボーイズ、パッカーズ、ペイトリオッツ、コルツが順当勝ちすると予想していますが、結果はいかに?

さて、今回は昨年後半に待望の初CD化が実現し、多くのR&B/ブラコン・ファンが狂喜したWoods Empire『Universal Love』(1981年)です。

年末の記事でも書いたとおり、昨年の自分のクリスマス・プレゼントとして、Chapter 8『This Love's For Real』The S.O.S. Band『S.O.S. Band III』と共に購入した1枚です。

Woods Empireは、男性リード・シンガーTommy WoodsをLinda Renee、Rhonda Maria、Iris Yvonne、Judith Annという4人姉妹がサポートするカリフォルニア出身のファミリー・グループです。

本作『Universal Love』(1981年)はグループ唯一のアルバムであり、今回が初のCD化となります。アナログ市場ではレア&人気盤として価格高騰していた作品であったため、R&Bファンにとっては朗報でしたよね。

アナログでのA面がダンス・サイド、B面がスロウ〜ミディアム・サイドという構成になっています。メロメロ好きの僕としては、やはり後半のスロウ〜ミディアムに惹かれますね。

ファミリー・グループによるメロウR&BということでDeBargeが引き合いに出されるみたいですが、アーバン・メロウな雰囲気が魅力であることや、ファンクネスたっぷりのアップものといった点でDeBargeとは大きく異なる印象を受けます。

David T.Walker(g)、Paul Jackson Jr.(g)、Nathan Watts(b)、James Jamerson Jr.(b)、Ollie Brown(ds)、Ed Greene(ds)、Clarence McDonald(key)、Michael Boddicker(syn)、John Barnes(syn)、Paulinho Da Costa(per)、Tom Tom 84等のサポート陣の豪華さも嬉しいですね。

また、僕のようなJam & Lewis好きにとっては、Jam & Lewisプロデュースの諸作でお馴染みのThe S.O.S. BandAlexander O'NealCherrelleと同じTabu Recordsからのリリースというのも興味深いです。本作はJam & Lewisとは全く無関係ですが。

全曲紹介しときやす。

「Party Down」
ここから4曲はダンス・サイドです。オープニングはブリブリのファンク・チューンです。腕利きミュージシャンでバックを固めた効果が表れていますね。

「Sweet Delight」
メロウなスロウ〜ミディアムのみだけではなく、アップものも十分イケるところを聴かせてくれる1枚。姉妹による女声ヴォーカル隊がナイスです!アップものでは一番好きですね。

「So Hot」
グルーヴ感が思い切り腰にくるカッチョ良く決まったファンク・チューン。「Sweet Delight」と並びアップもののオススメです。

「The Boogie's Gonna Get You」
ヴォコーダー使いが印象的なディスコ・チューン。ノリの良さが命ってカンジの1曲です。

「In Your Ear With It」
この曲からスロウ〜ミディアム・サイド。この曲はアーバンな疾走感がいい雰囲気のメロウ・ダンサー。Tommyの甘くセクシーなヴォーカルが上手くハマっています。「Destiny」と並ぶ僕のお気に入りです。

「Destiny」
本作のハイライトはこの曲でしょうね。メロウ好きは一発KO間違いなしのミディアム・フロウです。この1曲のためだけでも購入した価値があったと納得してしまう名曲だと思います。僕の場合、聴いていると何故かRockie Robbins「You and Me」を続けて聴きたくなります。

「Misty Eyes」
この曲は女性ヴォーカルがリードの正統派スロウ・チューン。ロマンティックなアーバン・ナイトのお供にどうぞ。

「In The Night Air」
じっくり聴かせるスロウ。Tommyの甘く切ないヴォーカルがいいですな。ラ・ラ・ラ〜という姉妹のコーラスも印象的ですね。

「Universal Love」
タイトル曲は男女リードのデュオが実にハマっていますね。サウンドも80年代ブラコンらしいアーバン・メロウな仕上がりが何ともグッドです。初めて聴くのに懐かしさが込み上げてきますね。

オリジナルはここまでですが、ボーナス・トラックとして「I Don't Wanna Fall In Love(Extended Remix)」「Come On Give Me Love」の2曲が収録されています。
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2008年01月08日

Fela Kuti『Ikoyi Blindness/No Buredi』

アフロビートの創始者Fela Kuti、絶頂期作品の2in1CD☆『Ikoyi Blindness/No Buredi』
IKOYI BLINDNESS/NO BUREDI
発表年:1976年
ez的ジャンル:元祖アフロビート
気分は... :闘い抜くぞ!

アフロビートの創始者Fela Kutiの本ブログ初登場です。

欧米以外の第三世界で、新しい音楽ジャンルを開拓したと同時に、ミュージシャンという存在を越えた熱狂的な支持を得たという点では、レゲエの神様Bob Marleyと並ぶヒーローですよね。

Fela Kuti(1938-1997年)は、ナイジェリア出身のミュージシャン。伝統的なアフリカ音楽にジャズ、ソウル/ファンクなどの要素を取り入れた独自の音楽スタイルを確立し、自ら“アフロビート”と命名して後世のミュージシャンに多大な影響を与えました。

また、腐敗したナイジェリア政府や富裕層を痛烈に批判する政治的メッセージでも知られ、彼と彼のバンドAfrica '70の活動拠点Afrika Shrineは聖地化し、ナイジェリアの一般市民からはBlack President(黒い大統領)の呼び名と共に高い支持を得ました。

そんな危険人物Fela Kutiに対してナイジェリア政府は弾圧を強め、1974年には大麻所持と未成年者誘拐の容疑で不当逮捕されます、拘置から2週間で釈放されますが、これに抗議したFelaは自宅を有刺鉄線で囲み、「カラクタ共和国(Kalakuta Republic)」と命名したコミュニティを形成し、政府との対立を一層深めます。

1977年には約1,000名の軍隊によってカラクタ共和国が襲撃され、多数の怪我人が発生しました。Fela自身も傷を負い、拘留されて裁判にかけられました。なお、この襲撃時のケガの影響でFelaの母Funmilayoは翌年死去しています。

1980年代に入ると、ナイジェリア国内に止まらず国際的にFelaの存在が知られるようになり、この間不当な実刑判決を受けるものの国際的な支援のもとにその活動を継続しました。1997年にエイズで死去。現在ではFelaの息子Femi Kutiが父の遺志を継ぎ、音楽活動を続けています。

政治的な姿勢のミュージシャンは数多く存在しますが、ここまで徹底的に自国政府と対決したミュージシャンはそれ程いないでしょうね。また、Fela Kutiの凄いところはそうした弾圧のもとでも、アフロビートのパイオニアとしてクリエイティブな作品をコンスタントに発表し続けたところですね。彼のオリジナル・アルバム全体をきちんと把握しているわけではありませんが、50枚は軽く超えるのでは?

中でも特筆すべきは、Fela Kutiが音楽的な頂点を極めたのが1976〜1977年であり、これはカラクタ共和国を通じて政府と真っ向から対立していた時期と見事にリンクしている点です。この2年間で少なくとも15枚以上のオリジナル・アルバムをリリースしていると思います。

現在、僕が持っているFela Kuti作品を眺めても、『Na Poi』(1972年)、『No Buredi』(1976年)、『Ikoyi Blindness』(1976年)、『Before I Jump Like Monkey Give Me Banana』(1976年)、『Excuse-O』(1976年)、『Zombie』(1976年)、『Opposite People』(1977年)、『I.T.T. (International Thief Thief)』(1979年)、『Original Sufferhead』(1981年)、『Perambulator』(1983年)の10タイトル(全て2in1CDなので実質は5枚)のうち、半数が1976年の作品です。

1976年はキリスト教の洗礼で受けたミドルネームRansomeを自らAnikulapo(“死を制御する者”の意味)と改名した年でもあり、自らのアイデンティティにさらに目覚め、闘争心と創造力に溢れていた時期なのかもしれませんね。

今回はその1976年のアルバム2枚をセットにした2in1CD『Ikoyi Blindness/No Buredi』を紹介します。

Fela Kutiの場合、大体アルバム全体で1〜2曲のパターンが多く、本2in1もアルバム2枚で全4曲という構成です。一般的には『Ikoyi Blindness』の方が有名だと思いますが、個人的には『No Buredi』もなかなか魅力的な作品だと思います。

驚くのは、まるで予見していたかのように、90年代以降のダンス・ミュージックと見事にリンクしている点ですね。このあたりが、クラブ・ミュージック好きの若いリスナーの方からも支持される要因なのでしょうね。

僕がアフリカのミュージシャンの作品を始めて聴いたのは、Felaと同じナイジェリア出身のKing Sunny Adeのアルバム『Syncro System』(1983年)であり、その後Youssou N'Dourなどを聴くようになりました。

King Sunny Ade、Youssou N'Dour等がアフリカンなワールド・ミュージックという印象を受けるのに対して、Fela Kutiはアフロなブラック・ミュージックって印象ですね。Fela Kutiの音は黒さの濃さが違うってカンジですかね。

そんな濃厚な黒さを堪能できるのが本作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Ikoyi Blindness」
前半の2曲はアルバム『Ikoyi Blindness』収録曲。このタイトル曲では、はラゴス(ナイジェリアの首都)の上流階級を痛烈に批判しています。そんな攻撃的な姿勢が強烈なアフロビートに反映され、結果としてクラブ・ミュージック好きも喜ぶ極上のダンス・ミュージックに仕上がっています。アフロ・ハウスの原型を聴いているような気がしてきます。煽るようなフリーキーなサックスを聴いていると、自然とハイテンションになりますね。

「Gba Mi Leti Ke N'Dolowo(Slap Me Make I Get Money)」
“俺の顔を叩くと高くつくぜ!”ってタイトルからして、Felaの闘う姿勢が明らかですよね。ベースラインが決まりすぎのアフロビートらしいファンクチューンに仕上がっています。Felaのいい加減だけどアシッドなキーボードの音色が印象的ですね。エレクトリック時代のMiles Davisのキーボードに共通するものを感じます。こんな至極のグルーヴは高くつくぜ!(笑)

「No Buredi(No Bread)」
後半の2曲はアルバム『No Buredi』収録曲。このタイトル曲はスゴすぎです。前述のように90年代以降のダンス・ミュージックと見事にリンクしているってカンジですね。14分強の曲ですが、この曲だけで1時間くらい聴いていたい気分になりますね。あとはこの曲に限らないことですが、FelaのアフロビートはドラムのTony Allen抜きには語れませんね。彼のリズムがあってこそのアフロビートって気がします。

「Unnecessary Begging」
これまでの3曲は高速アフロビート連発でしたが、この曲はレゲエとの共通点も見出すことができるメランコリックなミッド・チューンに仕上がっています。Bob Marley & The Wailersの「Get Up, Stand Up」(『Live』収録ヴァージョン)あたりと一緒に聴くと相性バッチリってカンジですね。

現在では2in1の組み合わせが異なり、『Ikoyi Blindness』『Kalakuta Show』(1976年)との2in1、『No Buredi』『Unnecessary Begging』のタイトルで『J.J.D.』(1977年)との2in1で発売されているようです。

他の作品も素晴らしいものばかりなのでボチボチ紹介していきたいと思います。

また、昨年再発されたトリビュート・アルバム『Red Hot + Riot〜Tribute To Fela Kuti』(2002年)あたりからFelaワールドに入る方法もあるかも?SadeD'angelo、Macy Gray、Common、Meshell Ndegeocello、Nile RogersTalib Kweli、Money Mark、Archie Shepp、Jorge Ben、Baaba Maal、Manu Dibango、Cheikh Lo等のジャンルを越えた豪華メンバーが参加しています。
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2008年01月06日

Lupe Fiasco『Lupe Fiasco's The Cool』

年末の『ezが選ぶ2007年の10枚』でもセレクトした話題の2nd☆Lupe Fiasco『Lupe Fiasco's The Cool』
The Cool
発表年:2007年
ez的ジャンル:最も旬なHip-Hop
気分は... :クールでっせ!

年末の『ezが選ぶ2007年の10枚』でもセレクトしたLupe Fiascoの2ndアルバム『Lupe Fiasco's The Cool』の紹介です。

Lupe Fiasco(本名Wasalu Muhammad Jaco)は、1982年シカゴ生まれのMC。高校卒業後に地元シカゴでDa Pakというグループを結成し、シングルもリリースしています。Da Pakは短期間で解散してしまいますが、Lupe自身は彼の才能に早くから注目していたJay-Zのバックアップを受けるという好運に恵まれました。

さらにKanye Westの大ヒット・アルバム『Late Registration』(2005年)からの3rdシングル「Touch The Sky」でフックアップされ、広くLupe Fiascoの名が知られるようになります。

そして、満を持して2006年にデビュー・アルバム『Lupe Fiasco's Food & Liquor』をリリースします。Jay-Zがエグゼクティブ・プロデューサーとなり、Kanye WestThe NeptunesMike Shinoda(Linkin Park)等がプロデュースを務め、Jill Scott等がゲスト参加するという豪華布陣でした。

そんな豪華布陣を前にしても、Lupeの巧みなラップが際立つというあたりに、彼のただならぬ才能を感じとることができます。

リリース前にネット流出してしまうという不運もありましたが、逆に言えば、それだけ注目されていた証でしょうね。そんな不運もはね退けて、『Lupe Fiasco's Food & Liquor』からは「Kick Push」「I Gotcha」「Daydreamin」がシングル・カットされ、アルバムもポップ・アルバム・チャート第8位、R&B/Hip-Hopアルバム・チャート第2位という成功を収めます。

この成功を受けて、2007年のグラミー賞のBest Rap Song、Best Rap Solo Performance、Best Rap Albumの3部門にノミネートされ、今度のグラミー賞でもBest Urban/Alternative Performanceにノミネートされています。

さらには、Kanye WestPharrell Williamsという超ビッグ・ネーム二人と共に話題のユニットCRS (Child Rebel Soldiers)を結成するなど現在のHip-Hopシーンで最も旬なラッパーと言えるかもしれませんね。。

他のアーティストの作品への客演も多く、本ブログでも紹介したJoy Denalane『Born & Raised』DJ Deckstream『Deckstream Soundtracks』等でも彼のフロウを聴くことができます。

そんなLupe が自信を持ってドロップした新作が『Lupe Fiasco's The Cool』です。

順序としては先にデビュー作『Lupe Fiasco's Food & Liquor』を紹介すべきだと思うのですが、タイミング的にこうなってしまいました。

この2ndではSoundtrakkChris & DropPatrick Stump(Fall Out Boy)らがプロデュースを務め、Snoop DoggUnkleらがゲスト参加しています。正直メンツ的にはデビュー作と比較して寂しい感じですが、それだけビッグネームに頼らなくても大丈夫という自信の表れだと思います。

むしろLupeと本作でもエグゼクティブ・プロデューサーを務めるCharles "Chilly" Pattonで設立した自らのレーベル1st & 15th Entertainment (F&F)のアーティストであるMatthew SantosGemStonesSarah Greenらを積極的にフックアップしています。ちなみに前述のSoundtrakk、Chris & DropといったプロデューサーもF&F所属です。

内容的には、前作『Lupe Fiasco's Food & Liquor』の収録曲「The Cool」の世界をさらに発展させたコンセプチュアルなアルバムです。The Cool、The Street、The Gameといったゾンビも登場するダークな雰囲気が特徴ですね。

こうしたダーク路線は基本的には苦手な僕なのですが、本作は違和感なく聴くことができました。むしろ、何処となく儚さを伴うダークな世界がなかなか気に入りましたね。

日本通なLupeだけあって、所々で聴こえてくる日本語を発見するのも楽しいですよ。決して空耳アワーではありません(笑)

まさにHip-Hopの救世主の名に相応しいクールなアルバムです!

オススメ曲を紹介しときやす。

「Go Go Gadget Flow」
Lupeのスキルフルな高速ラップを楽しめる1曲。巧みなフロウでここまで聴かせてしまうのが凄いですね。♪ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ〜♪Soundtrakkプロデュース。

「The Coolest」
まさに極上クールな1曲。アルバム全体のムードを象徴する感じの仕上がりです。リリカルで寂しげな雰囲気がいいですね。Chris & Dropプロデュース。

「Superstar」
アルバムからの1stシングル。前作にも参加していた白人シンガーソングライターMatthew Santosをフィーチャーしています。先行シングルになっただけあって、アルバムで一番派手でキャッチーな曲ですね。僅かアルバム1枚でスーパースターになってしまった自分自身をシニカルに観察している感じです。Soundtrakkプロデュース。

「Paris, Tokyo」
アルバムで一番のお気に入り曲がコレ。Eumir Deodato「San Juan Sunset」をサンプリングしたメロウ・チューンです。ダークな雰囲気のアルバムの中でこのメロウネスは際立ちますね。

「Hi-Definition」
Snoop Doggをフィーチャー。シングル向きのキャッチーな曲ですね。スペイシーな仕上がりが印象的です。Alshuxプロデュース。

「Gold Watch」
この曲もLupeの巧みなラップを堪能できます。特に、フジヤマ、トノサマ、マンガ、ニンジャ...といった具合に続々と日本語が聴こえくるのが楽しいですね。Chris & Dropプロデュース。

「Hip-Hop Saved My Life」
「Intruder Alert」
共にSoundtrakkプロデュースの哀愁メロウ路線の2曲。「Hip-Hop Saved My Life」は、女性シンガーソングライターであり、Nouveau Richへも参加しているNikki Jeanをフィーチャー。「Intruder Alert」は、Sarah GreenとMatthew Santosをフィーチャーしたピアノ・ループが印象的な曲。

「Streets on Fire」
Matthew Santosをフィーチャー。この曲も哀愁モードですね。定番ドラム・ネタThe Winstons「Amen, Brother」をサンプリングしています。Chris & Dropプロデュース。

「Little Weapon」
Patrick Stumpプロデュース曲。Bishop GとNikki Jeanをフィーチャー。銃を持ったアフリカの少年兵士の姿からインスパイアされた曲みたいです。オルタナ・テイストの仕上がりは、Patrick Stumpの起用が成功していると思います。

「Gotta Eat」
個人的には「Paris, Tokyo」と並ぶお気に入り。このダークなトラックが脳内を延々とループしています。Soundtrakkプロデュース。

「Dumb It Down」
GemStonesとGraham Burrisをフィーチャー。このあたりから徐々にダークな世界が深まってきます。Soundtrakkプロデュース。

「Hello/Goodbye (Uncool) 」
完成度ではアルバム随一なのでは?Unkle「Chemistry」をモロ使いし、そこへLupeがリリックをたたみ掛けます。ダークな疾走感と儚さが同居している感じが好きです。♪コンニチハ〜♪なんて日本語も聴こえます。

「Fighters」
この曲も大好き!この儚いムードがたまりません。Matthew Santosをフィーチャー。Le Messieプロデュース。

「Go Baby」
ラストはGemStonesをフィーチャーしたアップ・チューン。Soundtrakkプロデュース。

ちなみ今年リリース予定の次作のタイトルは『LupEND』になる模様です。
本人は『LupEND』のリリースを以って引退すると発言しているようですが、果たしてどうなるのでしょうね。これ程の才能を周囲もファンも手放すはずがないと思うのですが...

デビュー作『Lupe Fiasco's Food & Liquor』も改めて紹介したいと思います。
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2008年01月05日

Manfred Mann『Up The Junction』

スウィンギング・ロンドンを代表するサントラ作品☆Manfred Mann『Up The Junction』
Up the Junction
発表年:1968年
ez的ジャンル:スウィンギング・ロンドン系サントラ盤
気分は... :ヒップだねぇ!

60年代に活躍したモッドなブリティッシュ・ビート・グループManfred Mannの3回目の登場デス。

インスト・ナンバー中心の人気編集アルバム『Soul Of Mann』(1967年)、デビュー・アルバム『Five Faces Of Manfred Mann』(1964年)に続いて紹介するのは、1968年に公開された同名映画のサントラ盤『Up The Junction』です。

『Up The Junction』と言えば、TrafficThe Spencer Davis Groupによる同名映画のサントラ盤『Here We Go Round The Mulberry Bush』(1967年)と並び、スウィンギング・ロンドンを代表するサントラ作品として知られていますね。

Peter Collinson監督、Suzy Kendall主演の映画自体は観たことありませんが、ジャケの雰囲気からしてオシャレですね。さらにモッドなManfred Mannのサウンドが加わると、ファッションと映画と音楽が一体化したまさにスウィンギング・ロンドンって感じですよね。

僕がこの作品を購入したのも、そんなスウィンギング・ロンドンらしいファッショナブルな雰囲気に惹かれたためです。

この時期のManfred Mannは、1966年にヴォーカルのPaul Jonesが脱退し、さらに前年に加入したばかりのベースのJack BruceCream加入のために脱退してしまいます。代わりに、新ヴォーカルとしてMichael d'Abo新べーシストとしてBeatlesファンにはお馴染みのKlaus Voormannが加入しました。ちなみに新ヴォーカル候補にはRod Stewartの名も挙がっていたようです。

さらに、所属レコード会社であったEMIがPaul Jonesのみとの契約を希望したため、Fontanaへ移籍するというグループにとっては、まさに激動期だった模様です。

整理すると本作におけるグループのラインナップは、Manfred Mann(org、p、vo)、Tom McGuinness(g)、Mike Hugg(ds、vib、vo)、Michael d'Abo(vo)、Klaus Voormann(b、fl、vo)の5人。さらに旧メンバーのMike Vickers(g)なども参加しています。

さて、内容の方は基本はサントラなので多少散漫な印象を受けるのは確かですが、サイケ・ポップあり、フォーキーあり、モッド・ジャズありのゴッタ煮状態がなかなか面白かったりします。

サバービア誌でも取り上げられ、かのPaul Wellerもお気に入りの1枚!
って書くと興味湧いてくる方もいるのでは(笑)

全曲を紹介しときやす。

「Up the Junction(Vocal Version)」
タイトル曲は全部で4ヴァージョン収録されています。ヴォーカル入りの本ヴァージョンは、フォーキーかつサイケな雰囲気が魅力ですね。

「Sing Songs of Love」
「Walking Round」
サイケ・ポップ/ソフト・ロック好きにはたまらない2曲ですね。僕のイメージするManfred Mannの音とは全然違いますが、かなりグッドな2曲だと思います。「Sing Songs of Love」はMike Huggと実弟Brianらとの共作であり、Brianはヴォーカルでも参加しています。

「Up the Junction (Instrumental)」
これはタイトル曲のインスト・ヴァージョン。ヴォーカル・ヴァージョンとは全く異なる印象のモッド・ジャズに仕上がっています。本作にモッドなカッチョ良さを求めている方は必聴の1曲ですね。

「Love Theme」
サントラらしいサイケ風味のインストです。2ヴァージョン収録されています。

「Just for Me」
この曲もソフト・ロック好き向けですね。このあたりの曲は、先月紹介した『Bee Gees 1st』あたりと一緒に聴くと合うかもしれませんね。

「Shelia's Dance」
これはモッド・ジャズ好き向けのインスト。僕はやっぱりこの路線が一番好きですね(笑)

「Belgravia」
Mike Huggのヴァイヴが心地良いジャズ・グルーヴ。小粋な雰囲気が漂っています!

「Wailing Horn」
ドラム・ソロから一転してダークな世界へ...という訳わからん曲ですっ!そこが面白いかも(笑)

「I Need Your Love」
カッチョ良さはアルバム随一のモッド・ジャズ・チューン。アルバム・ジャケやスウィンギング・ロンドンのイメージとぴったりな仕上がりだと思います。

「Sleepy Hollow」
僕の持っているCDに収録のボーナス・トラック。シングル「Up the Junction(Vocal Version)」のB面に収録されていた曲です。現在発売のCDには、本曲の代わりに別のヴォーカルものが9曲ボーナス・トラックとして収録されています。

本作と並び称されるもうスウィンギング・ロンドンを代表するもう1枚のサントラ『Here We Go Round The Mulberry Bush』(1967年)とセットでどうぞ!
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2008年01月04日

Parliament『Mothership Connection』

P-Funkが何かを知りたければコレを聴け!☆Parliament『Mothership Connection』
Mothership Connection
発表年:1975年
ez的ジャンル:SFストーリー系P-Funk
気分は... :ここにP-Funkの真髄がある!

新年一発目がかなり地味な作品だったので、今回は本ブログでも人気のアーティストをセレクト!

ということでGeorge Clinton総帥率いるP-Funk軍団Parliamentの久々の登場です。P-Funkならば地味ということはないでしょう(笑)

Parliamentと実質的には同じもう1つのグループtFunkadelicについては、Parliament『Funkentelechy Vs. The Placebo Syndrome』(1977年)、Funkadelic『Uncle Jam Wants You』(1979年)に続き、3回目の登場となります。

今回紹介するのは、その後も展開を続けるSFストーリー仕立て作品の出発点となったアルバム『Mothership Connection』(1975年)です。

僕が“P-Funk”という言葉を初めて知ったのは、今は亡きRoger Troutmanの初ソロ・アルバム『The Many Facets of Roger』(1981年)の邦題『Pファンク...って何だ!?』でした。

今、この邦題に応えるとすれば、“P-Funkが何かを知りたければ、『Mothership Connection』を聴け!”というのが僕の回答ですかね。

そういった意味で、『Mothership Connection』というアルバムは、好き/嫌い抜きにブラック・ミュージックに興味がある方が聴くべき必須アイテムという気がします。また、Hip-Hop好きの方にとっては、サンプリング・ネタの宝庫という意味でも必須アイテムですね。

聖なるファンクを地球に広めるため、宇宙の彼方からマザーシップに乗ったファンクの伝道師Star Childがやって来た!というストーリー設定のもとに登場するファンク伝道者Star Child、Dr.Funkenstein、宿敵Sir.Noseといった個性的なキャラは、総帥George ClintonBootsy Collins、Gary Shider等実際の軍団メンバーのキャラの濃さとの相乗効果を生み、P-Funk軍団の特異な存在感を際立たせました。

お見事!としか言いようのないエンターテイメント性に加えて、ゲットーからの強烈な音メッセージを感じるグルーヴの嵐がParliamentの魅力ですよね。大マジメにおふざけしているって感じですかね。

Clinton総帥をはじめ、Bootsy Collins、Bernie Worrell、Maceo Parker、Gary Shider、Michael Hampton、Cordell Mosson、Jerome Brailey、Fred Wesley、Glen Goins、Calvin Simon、Grady Thomas等のお馴染みのメンバーが顔を揃えています。

根がマジメな方は、聴く前に一度頭の中をリセットして、おバカモードにしてから大音量で楽しみましょう(笑)

全曲を紹介しときやす。

「P-Funk (Wants to Get Funked Up)」
タイトル通り、何処を切ってもP-Funkって感じの曲です。シングルとしてR&Bチャート第33位となりました。突如ラジオがジャックされ、宇宙のラジオステーションWEFUNKからこのミッド・テンポのクールファンクが流れてきます。この引きずられるようなグルーヴ感がたまりませんな。

Dr. Dre「The Roach(Outro)」、Ice Cube「Say Hi to the Bad Guy」、NWA「1-900-2-Compton」、Del「Sunny Meadowz」、Redman「Da Funk」、Tone Loc「Don't Get Close」等のサンプリング・ネタとしてもお馴染みですね。

「Mothership Connection (Star Child)」
タイトル曲はシングルとしてR&Bチャートの第26位となりました。ジャケのStar Child(Clinton総帥)そのまんまの明るくポップなミッド・ファンクに仕上がっています。ホーン隊の絡みが絶妙ですね。♪Swing Down〜♪Sweet Chariot♪Stop, And Let Me Ride♪の部分はみんなで合唱しましょう!

Dr. Dre「Let Me Ride」、Eazy-E「We Want Eazy」、Tone Loc「The Homies」等のサンプリング・ネタになっています。

「Unfunky UFO」
♪Yeah〜♪yeah〜♪yeah〜♪のコーラスがSly Stone風ですね。でも、純粋にキャッチーでカッチョ良いファンク・チューンだと思います。Ice Cube「Dirty Mack」の元ネタ。

「Supergroovalisticprosifunkstication」
このタイトルの長さからしてP-Funkですよね(笑)個人的にはかなり好きです。Clinton総帥の少しキモいバリトン・ヴォイス、Bernie Worrellのスペーシーかつ変態チックなシンセがいいですね。

「Handcuffs」
この曲だけP-Funkというよりもフツーにファンクしています(笑)他の曲にはない土臭さがありますね。

「Give up the Funk(Tear the Roof off the Sucker)」
アルバムのハイライト曲。シングルとしてR&Bチャート第5位、ポップ・チャート第15位のヒットとなりました。アルバム全体がP-Funkらしいですが、その中でもピカイチって感じですよね。家で聴いていても、思わず立ち上がってしまいますね。これでハイ・テンションにならない人はP-Funkとは無縁かもしれません(笑)

Snoop Dogg「Who Am I (What's My Name)?」、Run DMC「Groove To The Sound」、Jibri Wise One「House the Dog Built」、MC Hammer「Turn This Mutha Out」等のサンプリング・ネタになっています。

P-Funkを初めて聴くという方は、とりあえず本曲と「Flash Light」「(Not Just) Knee Deep」の3曲を聴いてみてください。

「Night of the Thumpasorus Peoples」
気に障るくらいブリブリな音を出すBernieのシンセをバックに、ひたすら♪Gaga googa〜♪ga ga googa〜♪という意味不明なコーラスを繰り返します。この訳わかんないカンジもP-Funkらしいですね。

僕も今年はこのアルバムくらいハジけたいものです。
そのためには頭の中をリセットしないとね(笑)
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