発表年:1991年
ez的ジャンル:ソウルフルHouse Diva
気分は... :今年のイチオシは90年代!
今日から通常のエントリーに戻ります。
昨日も書いたように今年は少し90年代カテゴリーを充実させたいと思います。
特に90年代前半の音楽シーンに思い入れがあります。
90年代前半は、80年代後半から始まっていた音楽ジャンルの多様化・細分化が一気に加速し、今日のような音楽ジャンルのベースが確立した時代です。
僕の場合、80年代半ばからロック中心からR&B/Soul中心の音楽ライフへ移行していったのですが、90年代に入るとR&B/Soulへますますのめり込みつつ、ロックにも多少の未練があったので一応フォローし、そこへHip-Hop、ハウス、ワールド・ミュージックといった新しい音楽ジャンルの作品が加わり、さらにはAcid Jazzブームも到来して...といった具合で多方面から刺激を受けまくっていました。
加えて、それまで縁遠かったジャズ作品にも手を出すようになったり、レゲエ作品を熱心に集めたのもこの時期であり、90年代前半はまさに僕にとっての音楽ライフ黄金期だったような気がします。
ということで、今年最初の1枚は90年代前半らしいハウス・アルバムUltra Nate『Blue Notes in the Basement』(1991年)をセレクト。
新年一発目の作品としては思い切り地味ですが、本ブログらしいでしょう(笑)
僕の中でUltra Nateは、本ブログでも紹介したCrystal Waters、
Ce Ce Penistonと並ぶハウス・ディーヴァというイメージがありましたね。
根本的なことを言えば、ハウスというジャンルは、家で聴く音楽ではなく(フロアで聴くべし!)、アルバム単位で聴く音楽ではなく(シングルを聴くべし!)、アーティスト単位で聴く音楽ではないのかもしれません(レーベルで聴くべし!)。
僕もハウスは基本的にシングルでゲットしていましたし、アルバムもStrictly Rhythm、III East、nervous、Madhouse、Azuli等レーベル単位のコンピ・アルバムに醍醐味を感じていました。
(ちなみに、この時期のハウス・シングルで一番好きだったのはnervousから1992年にリリースされたSandy B「Feel Like Singin'」という曲です。)
でも、一方でアーティストの顔が見えないことに、少し物足りなさを感じていたのかもしれません。そんな理由で、顔の見えるこの三人のハウス・ディーヴァのアルバムを好んで聴いていたのかも?
Ultra Nateは1968年メリーランド生まれの女性シンガー。1989年にThe Basement Boysプロデュースのシングル「It's Over Now」でデビューし、1991年には「Is It Love?/Scandal」、「Rejoiceing」といった人気曲を含むデビュー・アルバム『Blue Notes in the Basement』を発表します。
その後も「Joy」、「Show Me」、「How Long」といったヒット・シングルを含む2nd『One Woman's Insanity』(1993年)、大ヒットしたクラシック・チューン「Free」を含む3rd『Situation: Critical』(1998年)といった作品を発表し、90年代のハウス・シーンでその名を轟かせました。
今日紹介するデビュー・アルバム『Blue Notes in the Basement』をリアルタイムで購入した人の多くは、Basement Boysプロデュースということが大きな決め手だったのでは?
ボルティモア出身のJay Steinhour、Teddy Douglas、Thommy Davisの3人から成るこのプロデュース・チームは、当時Crystal Watersの出世作「Gypsy Woman」のプロデュースで注目されていましたからね。
そんなBasement Boysのセンスが発揮されたアルバムが本作です。今時のハウス作品と比較すると完成度は落ちますが、逆にあまり作り込みすぎていないのが魅力だと思います。
タイトルやジャケの雰囲気もそうですが、全体的にブルージー&ジャジーな雰囲気が好きでした。また、アルバム全体のトータル感があって、単にダンス・チューンの寄せ集め的なアルバムになっていないところもいいですね。
Mood II Swingがプロデュースした後の大ヒット曲「Free」(1997年)あたりと比較すると、Ultra Nateのヴォーカルがパンチ不足の印象もありますが、アルバム全体の雰囲気を考慮し、バランスのとれたヴォーカルを披露していると思います。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Sands Of Time」
個人的にはこのタイトルを見ると年末の800回記念エントリーで紹介したThe S.O.S. Bandの同名アルバムを思い出してしまうのですが(笑)この曲は全然ハウスしていません。軽く彼女のヴォーカリストとしての実力を披露しているという感じですね。
「Is It Love?」
前述のようにシングルにもなりました。ジャジー・テイストのイントロからハウス・モードにスイッチする瞬間が何度聴いても好きですね。全体的に漂う哀愁感がいいですな。
「Deeper Love (Missing You)」
ハウス・ディーヴァの本領発揮といった感じの曲ですね。このアルバム・ヴァージョンはライト・タッチのスマートな仕上がりです。もっとディープなヴァージョンを聴きたい人は、シングルに収録されているLeftfieldのリミックスをどうぞ!
「You And Me Together」
Ce Ce Penistonによるクラシック「We Got a Love Thang」に似た雰囲気を持っていますよね。躍動感のある仕上がりが僕好みです。
「It's Over Now」
デビュー・シングル。ソウルフルなUltra Nateのヴォーカルとサックスのジャジー・テイストのトラックの相性がいいですね。
「Scandal」
「Is It Love?」とのカップリングでシングルになりました。90年代前半の魅力満載の全体的にダークで退廃的なムードのダンス・チューン。
「Rejoiceing」
一番の人気曲はコレなのでは?ゴスペル的な歌詞をハウス・サウンドにのせて歌い上げます。ゴスペルを歌っていた彼女らしい1曲なのでは?本当はDeee-Liteによるリミックス(Deee-Lightful Stomp Mix)も収録されているシングルの方がさらに好きなのですが(笑)
「Funny (How Things Change) 」
オープニングの「Blue Notes」に詩をつけたもの。歌ではなくポエトリー・リーディングって感じですね。
Amazonで見つかれば、90年代前半のハウスの魅力を伝える作品として前述のレーベル単位のコンピ・アルバムも紹介したいですね。少し探した限りでは、殆ど扱っていないようですが...