2008年01月11日

Ron Sexsmith『Whereabouts』

“90年代のJackson Browne”という気がするSSW☆Ron Sexsmith『Whereabouts』
Whereabouts
発表年:1999年
ez的ジャンル:慎まし系シンガーソングライター
気分は... :自分に正直に...

カナダ人シンガーソングライターRon Sexsmithの2回目の登場です。

前回は2ndアルバム『Other Songs』(1997年)でしたが、今回はそれに続く3rdアルバム『Whereabouts』(1999年)です。

ファンの方はご存知の通り、郵便配達などの仕事をしながらコツコツと曲をストックし、30歳過ぎてから1stアルバム『Ron Sexsmith』(1995年)を発表した遅咲きのSSWです(それ以前にも自主制作盤やRon Sexsmith & The Uncool名義でアルバム『Grand Opera Lane』をリリースしています)。

90年代半ば〜後半の僕はR&B/Hip-Hop/クラブ・ミュージック中心の音楽ライフで、SSWの新譜作品など殆ど聴く機会がありませんでしたが、唯一心奪われたのがこのカナダの“歌う郵便配達屋さん”かもしれません。

この人の魅力は“歌う郵便配達屋さん”という形容がピッタリな実直さと、Elvis Costelloが“今後20年は聴き続けられる”と絶賛した楽曲の良さにあると思います。

僕の場合、Ronの歌を聴いていると、70年代のJackson Browne作品から受けた感動と同じものを感じます。(見た目の印象ですが)不器用ながらも真っ正直な姿勢に共感してしまうのかもしれません。青春時代にJackson Browneの諸作から影響を受けた僕にとっては、Ronは“90年代のJackson Browne”的な存在なのかもしれませんね。

今回紹介する『Whereabouts』も1st『Ron Sexsmith』、2nd『Other Songs』同様に90年代を代表するプロデュースチームMitchell Froom & Tchad Blakeがプロデュースしています。彼らの関与で90年代ならではのSSW作品に仕上がっています。Ronの少し籠り気味のヴォーカルと彼ら独特のサウンド処理が実にマッチしていますね。

前2作と比べてストリングスなど全体的な音数が増えている分、ファンの間でも賛否両論分かれる本作ですが、僕はかなり好きです。基本的に楽曲の良さは変わっていないし、相対的に音が派手になったといっても他のアーティストと比較すれば圧倒的に地味なので(笑)

R&B中心の音楽ライフを過ごしている僕にとっては、忘れかけてしまっているものを思い出させてくれるアルバムです。

70年代SSW好きの方にもぜひ聴いて欲しいアーティストですね。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Still Time」
いきなりオープニングからアルバムで一番好きな曲。というよりもRonの作品の中で一番好きな曲かもしれません。この飾り気なく淡々と歌われる本曲を聴いていると、純粋に感動のみで涙腺がユルユルになります。先に書いた実直な歌と良い楽曲という魅力が存分に伝わってくる名曲だと思いますね。

以前にキリンジの高樹氏(堀込兄弟のお兄さん)が本作をイチオシしている記事を読んで嬉しく思った記憶があります(J-POPはあまり聴かない僕ですが、キリンジはかなり好きだったりします!)。

「Right About Now」
ブルージーな雰囲気に仕上がっています。この少し頼りないカンジがいいんですよね。

「Must Have Heard It Wrong」
アルバムの中ではかなりポップでキャッチーな仕上がり。メロディメイカーとしてのRonの才能の豊かさを実感できる曲ですね。

「Riverbed」
この曲も大好き!冬の寒い朝にひっそりと聴きたいタイプの曲ですね。Mitchell Froomのキーボードとスリングスががいいカンジです。

「Feel for You」
アルバムの中では一番ロックしているかもしれませんね。この手の曲を演奏しても青臭いカンジが残っているのが好きです。

「In a Flash」
シンプルな弾き語りが好きな人はコチラをどうぞ。やっぱりこの手の弾き語りを1曲は聴きたいですね。

「Beautiful View」
従来のアルバムには無かった厚めのアレンジの曲です。このあたりが賛否が分かれるところなのでしょうね。僕はメリハリがあって良いと思いマス。

「Doomed」
思わず聴き入ってしまう曲ですね。思い切りブルーな気分になりたい時に聴くといいかもしれません(笑)

「Every Passing Day」
明るい雰囲気ながらも少しひねりの入ったフォーキー・チューン。この曲を聴いていると、RonがRay Davies(Kinks)好きというのが何となくわかります。

いつ聴いても心洗われ、穏やかな気持ちになるカナダからのソングレターです。

「カナダからの手紙」と書くと、平尾昌晃&畑中葉子→畑中葉子「後から前から」→にっかつロマンポルノ...と善からぬ方向へ連想してしまう僕ですが(笑)
posted by ez at 04:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする