発表年:2007年
ez的ジャンル:R&Bクイーン
気分は... :それでも前進し続ける!
昨年末に発売されたR&BクイーンMary J. Bligeの新作『Growing Pains』です。
MJBの紹介は、『My Life』(1994年)、『Mary』(1999年)、『The Breakthrough』(2005年)に続き4枚目になります。
現状突破を試み見事に成功した前作『The Breakthrough』(2005年)から、ベスト盤『Reflections(A Retrospective)』(2006年)を挟んでの新作となる本作『Growing Pains』ですが、今回のテーマは“現状突破した後の状況を更に維持する方法”ということらしいです。
そんなテーマに挑むためのパートナーとして抜擢されたのが、世界中でNo.1に輝いたRihannaの大ヒット曲「Umbrella」で知られるプロデューサーC."Tricky" StewartとソングライターThe-Dreamの二人。C."Tricky" StewartはJazze Phaとのコンビも含めて全16曲中4曲(国内盤ならば全20曲中7曲)のプロデュースを手掛け、The-Dreamも全16曲中6曲でソングライティングに参加しています。
それ以外はThe Neptunes、Bryan-Michael Cox、Dre & Vidal、Sean "The Pen" Garrett、Stargate、Eric Hudson、Ne-Yo、Theron Otis Feemster、Dejion、Syienceという新旧様々なプロデューサーが腕を振るっています。ゲスト参加はLudacrisとUsherのみという控えめな布陣になっています。
購入してから約2週間聴きこんだ感想として、フツーの女性R&B作品として聴けば十分合格点クリアですが、R&Bクイーン基準で聴くともっと出来たのでは?って気もします。1曲1曲は悪くはないけど、アルバム全体として何かが足りないという印象ですね。個人的には前作『The Breakthrough』の方が好きです。
先行シングル「Just Fine」がかなり良かったので、事前の期待値が大きすぎたせいかもしれませんが、もう少し全体でのメリハリがあると良かった気がします。
また、切れ間なくアルバム全体を聴かせたいという意図からか、曲間が短く設定されていますが、iTunesで編集すると曲のエンディングが切れてしまい使いづらいですね。
なんて文句ばかり書いてしまいましたが、基本的には本作を支持したいと思います。内容はサイコーではないけど、トップ・ランナーとして前進し続ける姿はさすがMJBという気がします。
良い作品程度では賞賛されず、最高の作品をリリースしなければならない...R&Bクイーンって辛い立場ですね。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Work That」
iPodのCMソングにも起用された2ndシングル。もはや“Queen Of Hip-Hop Soul”なんて形容詞は不要なMJBですが、この曲はHip-Hop Soulしていますね。昔のMJBを思い出します。Theron Otis Feemster、Sean "The Pen" Garrettがプロデュースに関与しています。
「Grown Woman」
「Runaway Love」での共演も記憶に新しいLudacrisをフィーチャー。哀愁ムードだった「Runaway Love」とは大きく異なり、ハードなバウンス・チューンに仕上がっています。新人Dejoinがプロデュースし、The-Dreamらがソングライティングを手掛けています。
「Just Fine」
前述のアルバムからの1stシングル。プロデュースC."Tricky" Stewart & Jazze Pha、ソングライティングThe-Dreamという強力トリオが関与している、フラメンコ・フレイヴァーのリズムが新鮮なアッパー・チューン。思わず一緒に手拍子したくなるイケイケ・ムードがサイコーですね!この勢いがアルバム全体にも欲しかった気がします。
「Feel Like a Woman」
この曲もシングル候補になっているみたいですね。個人的にはあまりシングル向きではない気がしますが。Theron Otis Feemsterがプロデュースし、The-Dreamらがソングライティングを手掛けています。
「Hurt Again」
スロウものではDre & Vidalプロデュースによるこの曲が一番好きですね。楽曲が抜群にいいですね。切ないムードのサウンドとMJBのヴォーカルとの相性もバッチリですね。
「Shakedown」
Usherをフィーチャーしています。この曲もC."Tricky" Stewart & Jazze Pha、The-Dreamという強力トリオによるものです。Usherがイマイチ好きではない僕は、あまり入り込めないのですが(笑)
「Till the Morning」
The Neptunesプロデュース曲。いかにもNeptunes(というかPharrell)らしい展開のライト&メロウな仕上がりで、かなり好きですね。Pharrell自身をフィーチャーしてもハマったように思います。
「Fade Away」
「What Love Is」
Stargateプロデュースの2曲(共にNe-Yoも関与)。悪くはないけど、Stargateプロデュースと期待しただけに少し肩透かし気味かも?
「Work in Progress (Growing Pains) 」
「Smoke」
Ne-Yo絡みでは、この2曲が好きですね。タイトル曲はChuck Harmonyプロデュースによる美メロ・スロウです。「Smoke」はSyienceプロデュースによる独特のピュアネスを感じる1曲です。
「Talk To Me」
個人的に期待しているEric Hudsonのプロデュース曲。渋めですがじっくりしっかり聴かせてくれる1曲です。
「If You Love Me?」
前作『The Breakthrough』からの大ヒット「Be Without You」をプロデュースしたBryan-Michael Coxの制作です。もう1曲「Stay Down」もプロデュースしていますが、個人的にはコチラがオススメです。胸キュン・美メロ好きにはピッタリの1曲ですね。
「Come To Me (Peace) 」
ラストはC."Tricky" Stewart & Jazze Pha、The-Dreamトリオによるスケール感の大きな1曲。名曲の雰囲気が漂うバラッドです。
僕が持っているのは輸入盤ですが、国内盤にはBrook Lynn名義の「Nowhere Fast」(C."Tricky" Stewart & Jazze Phaプロデュース)、Todd Rundgrenの名曲カヴァー「Hello It's Me」(Mark Ronsonプロデュース)等のボーナス・トラック4曲が追加されています。そこまでテンコ盛りにする必要はない気がしますが...