発表年:1972年、1972年
ez的ジャンル:アフリカ回帰系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :人の良さそうなヒヒ顔が好きです!
今回はクラブ系リスナーにも人気のサックス奏者Gary Bartzの紹介です。
Gary Bartzは1940年ボルチモア生まれのジャズ・サックス奏者。Max Roach、Art Blakey、McCoy Tyner、Pharoah Sanders等との共演を経て、70年代初めには帝王Miles Davisのグループにも参加し、『Live Evil』等でその演奏を聴くことができます。さらには自身のグループNtu Troopを率いて、アフリカ回帰のブラック・ミュージック的なアルバムをリリースしています。
僕の中でのGary Bartzは、Miles Davis『Live Evil』、Ntu Troop名義の『Taifa』(1970年)、『Uhuru』(1971年)、『Juju Street Songs』(1972年)、『Follow The Medicine Man』(1973年)という5枚の印象が全てです。実際に持っているのも上記5枚のみです(Ntu Troop名義のものは実質は2in1によるCD2枚です)。
今日紹介するのは『Juju Street Songs』(1972年)と『Follow The Medicine Man』(1973年)の2in1CDです。本当は『Taifa』(1970年)と『Uhuru』(1971年)の2in1の方を紹介したかったのですが、Amazonでの扱いがないのでコチラにしました。
『Juju Street Songs』は、Leon Ware、Stevie Wonderといったソウル作品のカヴァー2曲とスピリチュアルな演奏の3曲の5曲構成です。個人的にはアフリカン・スピリチュアル・ジャズな後半3曲が気に入っています。
『Follow The Medicine Man』は、Stylisticsのカヴァー、ジャズ・ファンク、スピリチュアル・ジャズと聴き応え十分の6曲です(オリジナルは7曲ですが2in1では6曲になっています)。
僕にとっては、この人本来のアフリカ回帰的スピリチュアルな魅力と、レア・グルーヴ的な魅力、ニューソウルの動きにも呼応したアプローチの魅力などが重なって、お気に入りなのかもしれません。
インパクトのあるビジュアルの割には、人の良さそうな顔していますからね(笑)そういった人柄も音に反映しているにでは?
本当は自分の顔をヒヒに模した『Follow The Medicine Man』のジャケがサイコーなのですが!
全曲紹介しときやす。
「I Wanna Be Where You Are」
Leon Ware作によるMichael Jacksonのシングル・ヒットのカヴァー。10分を超える長尺演奏の中でポップあり、フリーキーあり、グルーヴィーあり、スピリチュアルありといった感じで、いろいろ楽しめる1曲になっています。
「Black Maybe」
Syreetaのカヴァー(Stevie Wonder作)。Andy Beyのヴォーカルをフィーチャーしたブルージーな仕上がりです。
そう言えば、Commonが昨年リリースしたアルバム『Finding Forever』に収録されていた「U, Black Maybe」はSyreeta「Black Maybe」にインスパイアされた曲でしたね。
「Bertha Baptist」
ここから3曲はアフリカ回帰路線の演奏が続きます。この曲はアフリカン・テイストですが、Andy Beyのエレピを中心にブラック・ムービー・サントラにハマリそうな雰囲気もありますよね。
「Africans Unite」
アフリカンなスピリチュアル・ジャズって感じですね。『Juju Street Song』の中ではこの曲が一番好きです!各種パーカッション類の鳴り具合がいいですな。Pharoah Sandersあたりと一緒に聴きたくなります。
「Teheran」
この曲もスピリチュアル・ジャズですね。3曲の中では一番スピリチュアル度が高いかもしれませんね。タイトルの通り中東のエキゾチックなムードが漂います。
ここまでが『Juju Street Song』の収録曲です。
「Sifa Zote」
ここからは『Follow The Medicine Man』収録曲です。このオープニングはスリリングなジャズ・グルーヴが堪能できます。クラブ・ジャズ好きの人は気に入る曲なのでは?Andy Beyのエレピがいいですね。
「Whasaname」
フリーキーなGary Bartzのサックスを堪能できるファンク・チューン。Stafford Jamesのベースラインが印象的ですね。
「Betcha by Golly, Wow」
Stylisticsのヒット曲カヴァー。僕の場合、この曲のカヴァーと言えば、Norman Connorsのヴァージョン(アルバム『You Are My Starship』収録)の印象が強いのですが。本ヴァージョンはかなりスピリチュアルな雰囲気も漂う仕上がりになっています。
「Dr. Follow's Dance」
クラブ系リスナーに人気のジャズ・ファンク・チューン。単純にカッチョ良さで言えば、この曲が一番かもしれませんね。もっと長尺で聴きたいですね。
「Standin' on the Corner」
Gary Bartz自身がヴォーカルをとるミッド・グルーヴ。ヴォーカルはAndy Beyに任せた方が良かったような気がします(笑)
「Sing Me a Song Today」
ミステリアスかつエキゾチックな魅力に溢れたジャズ・ファンク・チューン。エレクトリック・マイルス時代のMiles Davisがお好きな人は気に入る1曲だと思います。
オリジナルの『Follow The Medicine Man』には、もう1曲「Eloiles des Neiges」が収録されているのですが、本2in1には未収録になっています。